今回は2021年10月29日に発表されたJTの2021年第3四半期決算の内容について検証していきます。
JTの現状(2020年迄)
まずは2020年迄のJTの現状について振り返ります。
JTは2013年頃より増配を繰り返し高配当株としてのイメージが強くなった事もあり、株価は上昇を続け2015年から2016年にかけて4000円を超える場面がありました。
しかしメイン事業は時代に逆行するたばこ事業の為、業績は低迷気味でした。
それでも増配を継続した事により配当性向が高まり、減配の恐れも嫌気され2017年以降株価は下落して、2020年3月のコロナショック時には2000円を割り込む場面もありました。
2021年のJT
今年のJTは2021年2月発表の本決算で大規模なリストラを発表すると共に年間配当を154円から130円に変更するという上場後初の減配を発表しています。
決算発表後は株価も更に売られ3月には1900円を割れる場面もありましたが、その後は持ち直す動きになっています。
今期の業績については海外たばこ事業の好調に加え円安のプラス要因もあり、7月発表の第2四半期決算で最終利益を2720億円と320億円上方修正しています。
上方修正後も株価はしっかりとした動きを続け10月には2300円を超える場面もありました。
2021年第3四半期決算内容
それでは2021年第3四半期の主なポイントを下記にまとめています。
- 通期最終利益を2720億円から3300億円へ580億円上方修正。
- 上方修正の要因は、引き続き海外たばこ事業の好調に加え円安が大きな要因
- 業績の上方修正により年間配当を134円から140円へ増額
以上のように非常に好調な決算発表となりました。
業績推移
2019年からのJTの業績を下記の表にまとめています。
通期純利益(億円)
銘柄名 | JT |
2019年12月期 | 3481 |
2020年12月期 | 3102 |
2021年12月期(会社予想) | 3300 |
通期の業績は今回の上方修正でコロナ前の水準に戻ってきています。
第3四半期迄の業績(億円)
銘柄名 | JT | 進捗率(%) |
2019年1月~9月 | 3161 | 90.8 |
2020年1月~9月 | 2579 | 83.1 |
2021年1月~9月 | 3388 | 102.6 |
第3四半期迄の業績ではコロナ前の水準を超えてきています。
JTは第3四半期時点の進捗率が例年高めではありますが、今回の上方修正で2021年の進捗率は100%を超えています。
つまり現状第四半期(10月~12月)は赤字を予測している事になりますが、こちらについては増税によるリトルシガーの値上げを受けて60億円の減益を想定しているとの事です。
しかし、2019年第4四半期の最終利益は約320億円、2020年の第四半期は約523億円ですので60億円の減益があっても赤字に転落する可能性は低いような気がします。
このまま業績が順調に推移していけば2022年2月の本決算発表までに更なる上方修正が発表される可能性もあるかもしれません。
配当推移と配当性向
年 | 配当推移 | 配当性向 |
2015年 | 118 | 38.62 |
2016年 | 130 | 54.36 |
2017年 | 140 | 62.07 |
2018年 | 150 | 67.33 |
2019年 | 154 | 77.79 |
2020年 | 154 | 88.04 |
2021年(会社予想) | 140 | 75.26 |
2015年からの配当推移と配当性向をまとめています。
業績の上方修正と共に2021年の配当は140円に増額されました。
JTは今後、配当性向75%を目安とする方針を発表しており業績の上方修正にあわせて配当も増額された感じです。
第3Q決算発表後の株価

銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
JT | 2914 | 2328.5 | 12.5 | 1.48 | 140 | 6.01 | 75.27 |
今回の決算を受けて株価は翌週月曜日に143円高と大きく値を上げ、翌日は反動から50円安となりましたが、配当利回りは6%を超える水準です。
JTの今後
上方修正の主な要因である円安については今後も継続するか不透明ですが、海外たばこ事業については引き続き好調な状態が続きそうな感じです。
業績が回復していく中、リストラの効果が出始めれば今後更に利益水準が上がってくるかもしれません。
2021年の通期進捗率は第3四半期時点で100%を超えている為、来年2月の本決算迄に更に上方修正、配当の増額があるかもしれません。
まとめ
今回はJTの2021年第3四半期決算の内容についてまとめました。
今年初めに減配を発表した時と比較すると随分雰囲気が変わっている印象です。
しかし、逆に考えると再びあの時の状態に戻ってしまう可能性も十分ある訳ですので引き続き慎重に動向を見守り続けてたいと思います。
JTの第3四半期決算についてはYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。






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