ロシアのウクライナ侵攻で大きく揺れ動いている株式相場ですが、今回は飲料大手メーカーのキリンHDとコカ・コーラの本決算内容を中心に2銘柄の現状と今後を検証していきます。
また、私は今週どちらかの銘柄を購入しましたので、購入の経緯までをまとめていきたいと思います。
飲料メーカーの現状
まず飲料メーカーの現状を簡単に振り返ります。
ここ数年の飲料メーカーは、度重なる緊急事態宣言の影響による休業要請や外出自粛、また天候不順などにより厳しい状況が続いています。
またキリンについては、ミャンマーの政情不安からミャンマー事業の落ち込みも重なっている状況です。
そしてコカ・コーラはコロナ前から赤字に転落しており、「これまでのやり方は選択肢にない」という強い言葉で構造改革を進めているところです。
ここからはそんな飲料大手メーカーが2月に発表した本決算を検証していきます。
キリン本決算等
まずキリンですが、2月14日に本決算を発表しています。
キリンの本決算ですが、最終利益は597億円と前年から122億円の減益です。
2021年の年間配当は従来予想通りの65円で変更はありません。
2022年の予測は最終利益1145億円と548億円の増益、配当は前期と同額の年間65円の配当予測で発表しています。
前期業績低迷の要因は、コロナ感染拡大による緊急事態宣言の影響やミャンマーの政情不安によるミャンマー事業の落ち込みとしています。
また、キリンはミャンマー市場からの撤退を発表し減損損失を累計で680億円計上しています。
キリンHD配当推移
銘柄名 | キリン |
2015年 | 38 |
2016年 | 39 |
2017年 | 46 |
2018年 | 51 |
2019年 | 64 |
2020年 | 65 |
2021年 | 65 |
2022年(会社予想) | 65 |
キリンの2015年からの配当推移を見ていきますが、ここ数年は現状維持が続いています。
業績が低迷しても減配しない姿勢は評価したいところですが、2021年の配当性向は90%を超えています。今期の配当性向は現状40%後半ですが、今後業績が予測通りに進捗しない場合は、更に配当性向が上昇する可能性もあります。
キリンの配当方針は、株主の皆様への適切な利益還元を経営における最重要課題の一つと考えており、各期の業績、実質的利益水準を勘案した連結配当性向及び今後の経営諸施策等を総合的に考慮のうえ、安定した配当を継続的に行うことが、株主の皆様の要請に応えるものとしています。
具体的な数値としては、連結配当性向40%以上としています。
株価推移

キリンの株価はコロナショックで1800円台前半まで売られた後は2400円を超える水準まで値を戻しました。
その後はコロナ感染拡大により多発された緊急事態宣言の影響やミャンマー事業の落ち込みが加わり、低迷した業績と共に株価も再びコロナショック時の1800円台前半まで売られました。
直近の株価は決算を受けて上昇し2000円を超える水準まで買われましたがロシアのウクライナ侵攻によって再び1900円を割れています。
前期の業績は決して良い決算ではありませんでしたが、ミャンマー市場からの撤退や今期の業績見込みなどが悪材料出尽くしと評価され決算直後は買われたのだと思います。
コカ・コーラ本決算
続いてはコカ・コーラの直近決算ですが、2月10日に本決算を発表しています。
コカ・コーラの本決算ですが、最終利益は25億円の赤字となっており赤字額は前期よりも22億円改善はされています。
今回の決算で3期連続の赤字となっていますが、2021年の配当は従来予想通り年間50円のままです。
2022年の予測は、現状業績の見通しを発表していませんが、配当は据え置きの年間50円見込みで発表しています。
業績低迷の要因は、コロナ感染拡大による影響や前年に行った大幅なコスト削減の反動、原材料価格の高騰としています。
配当推移
銘柄名 | コカ・コーラ |
2015年 | 41 |
2016年 | 46 |
2017年 | 44 |
2018年 | 50 |
2019年 | 50 |
2020年 | 25 |
2021年 | 50 |
2022年(会社予想) | 50 |
コカ・コーラの2015年からの配当推移をみていきますが、ここ数年は50円で落ち着いています。コロナショックを受けた2020年に25円の減配がありましたが、2021年以降は再び50円に戻しています。
コカ・コーラの配当方針は、積極的な利益還元を行うことを利益配分に関する基本方針としながら、安定的に配当を行うことを最優先として当期利益の30%以上を目安とし、業績や内部留保を総合的に勘案のうえ中間配当および期末配当の年2回、剰余金の配当を実施としています。
しかし、コカ・コーラの決算は赤字が続いており、配当性向も関係ない事になっていますので、今後の配当金推移は気になるところです。
株価推移

コカ・コーラの株価は2021年3月に2000円を超える場面もありましたが、その後は下落が続いています。低迷する業績と共に株価も売られ去年11月には1200円台まで下げました。
その後は少し戻し、直近では決算発表前に製品の値上げを発表した事もあり、株価は1500円を超える場面もありました。
キリンHD、コカ・コーラ最終利益推移(億円)
銘柄名 | キリン | コカ・コーラ |
2018年12月期 | 1642 | 101 |
2019年12月期 | 596 | -579 |
2020年12月期 | 719 | -47 |
2021年12月期 | 597 | -25 |
2022年12月期(会社予想) | 1145 | ‐ |
キリンとコカ・コーラの2018年からの業績推移を検証していきますが、2019年以降は両社とも低迷が続いています。
2銘柄ともコロナの影響を大きく受けている状況ですが、特にコカ・コーラは3期連続赤字と深刻な業績です。
キリンは、コロナ同様懸念材料だったミャンマー市場からの撤退を発表しており、今期の業績は大幅に改善する予測となっています。
キリンHD、コカ・コーラ配当推移比較
銘柄名 | キリン | コカ・コーラ |
2015年 | 38 | 41 |
2016年 | 39 | 46 |
2017年 | 46 | 44 |
2018年 | 51 | 50 |
2019年 | 64 | 50 |
2020年 | 65 | 25 |
2021年 | 65 | 50 |
2022年(会社予想) | 65 | 50 |
2銘柄の2015年からの配当推移を見ていきますが、2社ともここ数年は現状維持が続いています。2社とも業績が芳しくないなか、何とか現状を維持している感じですので早急な業績回復が待たれます。
株主優待制度
キリンには株主優待制度もありますので内容を下記にまとめています。
1~6のいずれかを選択出来、1000株以上保有でグレードが上がります
①一番搾り詰め合わせセット(合計4本)
②清涼飲料の詰め合わせ(合計7本)
③機能性表示食品
④キリンシティお食事券(1,000円相当)
⑤サッカー日本代表応援グッズ:タオルマフラー
⑥「キリン飲酒運転根絶募金」へのご寄付(1,000円)
株価等指標データ(2022年3月4日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
キリン | 2503 | 1832 | 13.3 | 1.71 | 65 | 3.55 | 47.3 |
コカ・コーラ | 2579 | 1468 | ‐ | 0.53 | 50 | 3.41 | ‐ |
2銘柄とも業績が低迷し株価が売られるなか配当を維持している為、配当利回りは3%半ばの水準です。
キリンは現在の今期予測で配当性向が40%後半ですので、業績が予測通りに進捗しなかった場合は、50%を超えてくる可能性もあります。
コカ・コーラは業績見込みを発表していない為、色々な数値が測定出来ない状態ですので、とりあえず今期は早く業績見込みを発表出来るようにして欲しいものです。
キリンHD、コカ・コーラの今後
飲料メーカーの今後ですが、今期もコロナの感染状況が1番の懸念点でしょう。
ここ2年は緊急事態宣言による休業要請や外出自粛の影響で飲料品の売り上げも大きな影響を受けました。
コロナに関しては企業努力ではどうしようも無い問題ですが、今期も1番気になるところだと思います。
またキリンについてコロナ以外の注意点は、ミャンマー事業撤退の行方です。
撤退は決めましたが、現時点では撤退を前提にJV解消を目指す事にしており、今後の見通しには不確定な要素があるとしています。
具体的なリスクとしては、キリングループから連結除外される事になった際に為替換算調整勘定が発生として、現時点の換算減損190億円の可能性や、残存資産回収不能リスクとして減損120億円の可能性が有るとしています。
当然ながらリスクは最小限にとどめるとしていますが、どうなるかは不透明です。
キリンHD、コカ・コーラの投資判断
以上の点を踏まえて飲料大手2社の投資判断ですが、今期もコロナ感染状況を睨みながらの展開になりそうです。
国内のコロナ感染もまだオミクロン株の収束が見えていない状況ですが、今後新たな変異株の出現などで影響が長引く可能性は十分考えられます。
個別の材料として、キリンについてはミャンマー市場からの撤退がスムーズに進むかが1番の注目点です。また、コカ・コーラは3期連続の赤字ですので、今期黒字に回復出来るか、まだ発表されていない業績見込みの発表に注目です。
そんな中、今週キリンHDを購入しました。元々購入候補銘柄にキリンHDを入れていましたので、特に本決算以降の動きは注目していました。
しかし、今回の決算を受けて株価は2000円を超える水準まで上昇したので、一旦は購入を見送ったのですが、ロシアのウクライナ侵攻で全体が下がりキリンも1900円を割れる水準まで売られたので購入しました。
キリンHDについては、コロナやミャンマー事業撤退の行方、原材料費高騰の問題などがあり、今期の業績見込みを達成出来るか不安な部分もありますが、既に株価はかなり売られており、ここから更に大きく売り込まれる可能性は低いのではないかとの思いで購入しました。
キリンとコカ・コーラの投資判断はYouTubeで動画版を投稿していますのであわせてご覧下さい。






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