今週で2022年3月期銘柄の本決算発表もピークを過ぎました。私は5月8日に本決算発表の注目ポイントについて保有銘柄を中心に業種ごとにまとめていましたので、今回は実際に発表された決算の数字と比較検証していきます。
最終利益事前予想
まずは決算発表前の会社予想とコンセンサス予想について振り返っておきます。
銘柄 | コード | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
ENEOS | 5020 | 4900 | 4647 | |
伊藤忠商事 | 8001 | 8200 | 8377 | |
三菱商事 | 8058 | 8200 | 8883 | |
三井物産 | 8031 | 8400 | 8735 | |
三菱UFJ | 8306 | 10500 | 11421 | |
三井住友FG | 8316 | 6700 | 6985 | |
リコーリース | 8566 | 126 | 133 | |
オリックス | 8591 | 3100 | 3179 | |
三菱HCキャピタル | 8593 | 950 | 991 | |
NTT | 9432 | 11000 | 11292 | |
KDDI | 9433 | 6550 | 6644 | |
ソフトバンク | 9434 | 5000 | 5155 |
コンセンサス予想とは、複数のアナリストや専門家などが企業の実態に沿って業績などを算出した予想の平均値の事で、今回は四季報のコンセンサス予想で比較しています。
業績好調な銘柄が多いですが会社予想とコンセンサスに差がある銘柄もありますので、実際の最終着地点と決算を受けて株価がどの様に反応したのかを業種ごとにまとめていきます。
ENEOS
ENEOSの2022年3月期最終利益は5371億円と4232億円の増益となっており、年間配当は22円で変更はありません。
今期予測は最終利益が1700億円と3671億円の大幅減益見込みで発表していますが、年間配当は据え置きの22円予想となっています。
最終利益コンセンサス比較
銘柄 | コード | 最終利益(億円) | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
ENEOS | 5020 | 5371 | 4900 | 4647 |
ENEOSの最終利益について事前の会社予想、コンセンサスと比較していきますが、会社予想を471億円、コンセンサスを724億円上回った最終利益となっています。
ENEOSは期末ぎりぎりの3月25日に最終利益を上方修正しましたが、それを更に上回った最終着地です。
会社予想、コンセンサスの両方を上回った事に加え、ENEOSは今回の決算で大規模な自社株買いも発表した事で決算後の株価は急騰しています。
注目ポイント
ENEOS本決算の注目ポイントは今期業績の予想金額としていました。
現在業績好調の要因になっている原油高については高止まりの状況が続いており、前期ほどの業績押し上げ効果は期待できない為、今期コンセンサスは最終利益が1678億円と大幅減益予想になっていました。
結果は先程お伝えした様に1700億円見込みとコンセンサスを22億円上回る予想になっていますので、ENEOSの業績については前期も今期も予想を上回る決算になっています。
総合商社(伊藤忠商事、三菱商事)
伊藤忠の最終利益は8202億円と4188億円の増益、2022年3月期の年間配当は従来の予想通り110円のままですが、今期配当は20円増配の年間130円で発表しています。
三菱商事の期最終利益は9375億円と7650億円の増益、2022年3月期の配当は従来予想から8円増額の年間150円とし、今期配当も据え置きの年間150円で発表しています。
最終利益コンセンサス比較
総合商社2銘柄の最終利益について従来の会社予想、コンセンサスと比較していきます。
銘柄 | コード | 最終利益(億円) | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
伊藤忠商事 | 8001 | 8202 | 8200 | 8377 | |
三菱商事 | 8058 | 9375 | 8200 | 8883 | |
三井物産 | 8031 | 9147 | 8400 | 8735 |
伊藤忠商事はほぼ会社予想通りの数字でしたが、コンセンサスを175億円下回りました。
三菱商事は会社予想を1175億円、コンセンサスを492億円上回っての最終着地です。
一足早く決算を発表していた三井物産も会社予想、コンセンサスを上回る決算でしたので総合商社の決算を比較すると伊藤忠商事が少し見劣りする格好となり、実際株価も伊藤忠商事が1番売られています。
注目ポイント
総合商社の本決算注目ポイントとしては、まず2022年3月期の最終利益を挙げていました。
2銘柄とも業績好調ですので、会社予想、コンセンサスを上回ってくるかと思っていたのですが、先程お伝えした様に伊藤忠商事はコンセンサスを下回りました。
配当について2022年3月期は既に2銘柄ともかなりの増配額となっており、更なる増配は厳しく今期の増配に期待としていました。
結果として伊藤忠商事は、前期は従来の予想通りで今期は20円増配の130円となりましたが、三菱商事は前期8円増額で今期は据え置きの150円と予想を上回る結果になっています。
総合商社の今期業績は資源価格の動向が不透明な事もあり減益見込みとしていますが、まだまだ期待できそうな雰囲気はあります。
メガバンク(三菱UFJ、三井住友FG)
三菱UFJの最終利益は1兆1308億円と3538億円の増益、2022年3月期の年間配当は28円で変更ありませんが、今期配当は4円増配の年間32円で発表しています。
三井住友FGの最終利益は7066億円と1938億円の増益、2022年3月期の年間配当は210円で変更ありませんが、今期の配当は10円増配の年間220円としています。
最終利益コンセンサス比較
メガバンクの最終利益について事前の会社予想、コンセンサスと比較していきます。
銘柄 | コード | 最終利益(億円) | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
三菱UFJ | 8306 | 11308 | 10500 | 11421 | |
三井住友FG | 8316 | 7066 | 6700 | 6985 |
三菱UFJは会社予想を808億円上回りましたが、コンセンサスには113億円届きませんでした。三井住友FGは会社予想を366億円、コンセンサスを81億円上回る最終着地となっています。
三菱UFJはコンセンサスを上回れませんでしたが、それでもメガバンクの業績は好調が続いており、決算後の株価はしっかりした動きとなっています。
注目ポイント
メガバンクの本決算注目点として、まず最終利益の着地点を挙げていました。
最終利益については2銘柄とも会社予想よりもコンセンサスの方が高かった事もあり、三菱UFJはコンセンサスに届きませんでしたが、それでも凄い最終利益です。
また、配当については既に2022年3月期は例年と比較して大幅増配になっていた為、今期配当予想を注目にしていました。
結果として三菱UFJが4円増配の年間28円、三井住友FGが10円増配の年間220円予想で発表しています。
今期業績見込みは三菱UFJが減益、三井住友FGが微増益予想で発表していますが、メガバンクの将来には明るい未来を感じます。
リース(オリックス、三菱HCキャピタル、リコーリース)
オリックスの最終利益は3121億円で1198億円の増益、2022年3月期の配当は従来予想から7.6円増配の年間85.6円、今期も据え置きの年間85.6円見込みで発表しています。
三菱HCキャピタルの最終利益は994億円で441億円の増益、2022年3月期の配当は従来予想から2円増額の年間28円、今期は3円増配の年間31円予想としています。
リコーリースの最終利益は134億円と14億円の増益、2022年3月期の配当は従来予想から5円増額の年間120円、今期は15円増配の年間135円予想としています。
最終利益コンセンサス比較
リース3銘柄の最終利益について事前の会社予想、コンセンサスと比較していきます。
銘柄 | コード | 最終利益(億円) | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
リコーリース | 8566 | 134 | 126 | 133 | |
オリックス | 8591 | 3121 | 3100 | 3179 | |
三菱HCキャピタル | 8593 | 994 | 950 | 991 |
オリックスは会社予想を21億円上回っていますが、コンセンサスからは58億円低い着地でした。
三菱HCキャピタルは会社予想を44億円上回っていますが、ほぼコンセンサス通りの着地です。
リコーリースも会社予想を8億円上回っていますが、ほぼコンセンサス通りの着地となっています。
注目ポイント
リース3銘柄の本決算注目ポイントは、2022年3月期の更なる増配があるのかとしていましたが、先程お伝えした様に3銘柄とも見事に増配してくれました。
そしてオリックス以外の2銘柄は今期配当も増配予想で発表しています。
オリックスも今期配当は、配当性向33%または前期配当金額(85.6円)の高い方としており、今後の増配にも期待が持てる内容です。
今期もリース銘柄は高い株主還元姿勢を見せてくれそうです。
通信株(NTT、KDDI、ソフトバンク)
NTTの最終利益は1兆1810億円で2649億円の増益、2022年3月期の配当は従来の予想通り年間115円、今期は5円増配の年間120円予想で発表しています。
KDDIの最終利益は6724億円で210億円の増益、2022年3月期の配当は従来の予想通り年間125円、今期は10円増配の年間135円としています。
ソフトバンクの最終利益は5175億円で263億円の増益、2022年3月期の配当は従来の予想通り年間86円、今期も据え置きの年間86円予想で発表しています。
最終利益コンセンサス比較
通信3銘柄の最終利益について事前の会社予想、コンセンサスを比較していきます。
銘柄 | コード | 最終利益(億円) | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
NTT | 9432 | 11810 | 11000 | 11292 | |
KDDI | 9433 | 6724 | 6550 | 6644 | |
ソフトバンク | 9434 | 5175 | 5000 | 5155 |
NTTは会社予想を810億円、コンセンサスを518億円上回っています。
KDDIは会社予想を174億円、コンセンサスを80億円上回っています。
ソフトバンクは会社予想を175億円、コンセンサスを20億円上回っています。
3銘柄とも会社予想、コンセンサスの両方を上回っており非常に力強い決算となっています。
注目ポイント
通信3銘柄の本決算注目ポイントは今期配当の予想金額としていました。
今までの配当推移を見てもNTTとKDDIの増配は可能性が高いかと思っていましたが、ソフトバンクの増配はあるのか注目していました。
結果は先程お伝えした様にNTT、KDDIは今期も増配、ソフトバンクは今期も据え置きと明暗が分かれています。
ある程度は予想通りの結果ではありますが、ソフトバンクもそろそろ1円でも良いので増配して欲しいところです。
決算注目ポイントまとめ
今回検証した銘柄の2022年3月期の最終利益と事前の会社予想、コンセンサスを表にまとめています。
銘柄 | コード | 最終利益(億円) | 会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | |
ENEOS | 5020 | 5371 | 4900 | 4647 | |
伊藤忠商事 | 8001 | 8202 | 8200 | 8377 | |
三菱商事 | 8058 | 9375 | 8200 | 8883 | |
三井物産 | 8031 | 9147 | 8400 | 8735 | |
三菱UFJ | 8306 | 11308 | 10500 | 11421 | |
三井住友FG | 8316 | 7066 | 6700 | 6985 | |
リコーリース | 8566 | 134 | 126 | 133 | |
オリックス | 8591 | 3121 | 3100 | 3179 | |
三菱HCキャピタル | 8593 | 994 | 950 | 991 | |
NTT | 9432 | 11810 | 11000 | 11292 | |
KDDI | 9433 | 6724 | 6550 | 6644 | |
ソフトバンク | 9434 | 5175 | 5000 | 5155 |
保有銘柄や今後購入を検討している銘柄を中心に検証しましたが、業績好調の銘柄が多く事前の会社予想、コンセンサスを上回っている銘柄が多い様に感じました。
強いて触れると伊藤忠商事の決算が少し物足りない様な感じで、実際株価は決算後に売られていますが、それでも十分良い決算です。
まとめ
そして今回検証した銘柄の多くが前期、今期の増配や自社株買いを発表しており、株主還元姿勢の高まりも改めて感じました。
最近はアメリカを中心に外国株の人気も高まっていますが、この様な決算を見るとまだまだ日本株にも大きな魅力がある様に思います。
また今回検証した銘柄の本決算については、業種ごとに詳細な検証記事を改めて投稿しますので宜しくお願いします。
2022年3月期本決算の注目ポイントはYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。





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