いよいよ今年も残り1ヶ月を切りましたが、個人的には先月の購入で今年の成長投資枠は使い切ってしまいましたので、来年の購入候補の選定を最終的に進めていました。そんななか、15銘柄程度を購入候補にしようと思っていたのですが、まだまだ買いたいと思える優良高配当株も多く、結果として来年は17銘柄を新規銘柄の購入候補として選定しています。
という事で、かなり数も多くなりましたので、今回はそんな来年の購入候補17銘柄のうち、前半8銘柄の最新状況を検証していきます。
来年の投資方針
まずは来年の投資方針からまとめていきますが、購入対象は日本の個別銘柄に限定します。今年までは米国ETFも購入対象にしていたのですが、まだまだ日本の個別株で買いたい銘柄も多く、来年も日本の個別高配当株を中心に購入していく予定です。
購入は全てNISA口座で購入金額は来年も夫婦2人分の成長投資枠480万円を購入上限とします。
また、配当や優待が目的の中長期投資のため、基本的に売却はしない方針ですが、来年は新規資金確保の問題から旧NISAの非課税保有期間が終了する銘柄の一部売却を予定しています。
そして、リスク分散のため、購入銘柄や業種、購入時期は分散させる方針です。
以上の投資方針のもと、ここからは来年の購入候補に選定した銘柄の最新情報を個別に検証していきます。
【1802】大林組
最初の銘柄は大林組で、今年後半は購入候補にしている時期もありましたが、NISA枠との兼ね合いで購入できませんでしたので、引き続き購入候補にしています。大林組は国内最大手のスーパーゼネコンで、国内外で高層ビルやマンション、オフィスビルなどの建設工事を手掛けています。
そんななか、近年は丸ビルや皇居新宮殿、六本木ヒルズ森タワーに加え、台湾新幹線などのビッグプロジェクトも施工しており、直近の海外売上比率も25%程度を占めています。
直近決算
大林組は11月11日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は551億円と254億円の増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因について、手持ち工事が建築、土木ともに順調に進捗した事や海外建設工事は円安が追い風になった事に加え、政策保有株式売却の影響としています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 大林組 |
2021年3月期 | 987 |
2022年3月期 | 391 |
2023年3月期 | 776 |
2024年3月期 | 750 |
2025年3月期(会社予想) | 870 |
2021年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっています。2022年は国内建築事業の大規模工事複数件において工事損失引当金を計上した事などを要因に大幅減益となりましたが、2023年は手持ち工事が堅調に進捗した事や海外子会社において円安の追い風があった事に加え、前期の反動で大幅増益となっています。
前期は政策保有株式の売却益計上はありましたが、複数案件での工事損失引当金計上の影響などで減益となっており、今期は国内建築事業で前年度損失計上からの反動増や工事採算が改善する事に加え、引き続き政策保有株式の売却を推進するとして増益の予測にしているなか、第2四半期時点の通期進捗率は63%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | 大林組 |
2015年 | 10 |
2016年 | 18 |
2017年 | 28 |
2018年 | 28 |
2019年 | 32 |
2020年 | 32 |
2021年 | 32 |
2022年 | 32 |
2023年 | 42 |
2024年 | 75 |
2025年(会社予想) | 80 |
2015年からの配当について、数年前は32円で据え置きが続く期間が長かったですが減配はなく、2023年以降は増配が続いています。特に前期は一気に33円の大幅増配になっており、今期も5円の増配見込みになっています。
前期配当が大きく増配となった要因は今年3月に配当方針を見直したためで、大林組の配当方針は長期安定配当の維持を第一に自己資本配当率(DOE)を基準にしており、前期からその目安を3%程度から5%程度に引き上げています。
株価推移
株価はコロナショック時に772円まで売られた後は、1000円前後で停滞の期間が長かったです。
しかし、去年春頃からはじわじわ上昇していたなか、配当方針の見直しを発表した今年3月以降は急騰し、直近は2100円前後で推移しています。
株価指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
大林組 | 1802 | 2116.5 | 17.4 | 1.34 | 80 | 3.78 | 65.9 |
最近の株価は上場来の高値付近まで上昇していますが、最近の配当も大幅増配となっていますので配当利回りは3%後半と高水準です。
今期業績は増益見込みですがPER、PBRは市場平均より割高で、配当性向は66%付近となっています。
大林組について、業績には多少のブレがありますが、ここ数年の配当に減配は無く、特に前期は大幅増配となっています。大幅増配の要因は配当方針の見直しによるもので、しかも大林組は株主資本(DOE)を目安にしていますので、今後も業績のブレとは関係なく、高水準の配当が期待できそうです。
そんななか、直近の株価は最近の好調な業績や証券会社のレーティング引き上げもあって、上場来の高値付近まで上昇していますが、株価にはある程度目を瞑って来年は狙いたいと考えています。
【1928】積水ハウス
2番目の銘柄は積水ハウスで、今まで度々購入候補にしていた事はありますが、依然購入できていませんので、改めて購入候補にしています。積水ハウスは国内外で不動産開発を手掛けており、日本を代表するハウスメーカーです。
戸建てや賃貸住宅、マンションなど幅広い物件を手掛けているなか、アメリカを中心に海外市場の開拓も進めており、直近の海外売上比率は2割に迫る水準となっています。
直近決算
積水ハウスは1月決算ですので、12月5日に第3四半期決算を発表しており、最終利益は1648億円と前年同期比230億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因は、安定成長を続ける国内事業や積極的成長を図る米国事業が牽引しているとの事で、全てのビジネスモデルで増収増益を達成しているためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 積水ハウス |
2019年1月期 | 1285 |
2020年1月期 | 1412 |
2021年1月期 | 1235 |
2022年1月期 | 1539 |
2023年1月期 | 1845 |
2024年1月期 | 2023 |
2025年1月期(会社予想) | 2090 |
2019年からの通期最終利益について、コロナショックの影響を受けた2021年は減益となっていますが、2022年以降は増益が続いており、最近は過去最高益が続いています。業績好調の要因は高付加価値住宅の提案やボリューム効果もあり国内市場が順調に回復している事に加え、アメリカを中心に海外市場も堅調に推移しているためとの事です。
そして、今期も好調な流れは継続する見込みとして更に過去最高益を更新する予測にしているなか、第3四半期時点の通期進捗率も79%付近と綺麗な最終着地が期待できそうな状況です。
配当推移
銘柄名 | 積水ハウス |
2015年 | 50 |
2016年 | 54 |
2017年 | 64 |
2018年 | 77 |
2019年 | 79 |
2020年 | 81 |
2021年 | 84 |
2022年 | 90 |
2023年 | 110 |
2024年 | 123 |
2025年(会社予想) | 129 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配が続いており、前期までで12年連続の増配となっています。また、最近の増配幅は業績好調を受けて大きくなっており、今期も第1四半期決算の業績上方修正にあわせて4円の増額が発表された事で6円の増配見込みとしています。
積水ハウスの配当方針は中期的な平均配当性向40%以上に加え、一株当たり配当金の下限値を年間110円と設定しています。
株主優待
積水ハウスには株主優待もあり、魚沼産のコシヒカリが5kgもらえます。しかし、1000株保有が条件となっており今の株価だと350万円くらい必要ですので、優待目当てで買うのは厳しそうです。
株価推移
株価はコロナショックで1551円まで売られた後は、上下を繰り返しながらも順調に上昇しています。
そして、2023年以降は上昇ペースも加速しており、今年9月には4134円まで上昇しましたが、直近は3500円前後まで下落しています。
株価指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
積水ハウス | 1928 | 3602 | 11.2 | 1.32 | 129 | 3.58 | 40.0 |
最近の株価は直近高値から下落しているなか、配当は増配が続いていますので配当利回りは3%半ばとなっています。
業績は過去最高益が続いていますのでPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は40%付近と方針通りの水準です。
積水ハウスについて、業績は過去最高益を更新し続けており、配当も10年以上連続増配が継続していますが、最近の株価は今年9月の高値から600円近く下落しているところです。ここまで株価が下落している要因は、はっきりしませんが、直近の第3四半期決算も順調な内容でしたので、そろそろ反発しそうな雰囲気はあります。
以上の点を踏まえると、積水ハウスは日本企業では珍しい1月決算銘柄ですので、来年権利取り前に更に急落する場面があれば狙いたいですし、急落が無ければ権利落ち後の購入を検討しています。
【2163】アルトナー
3番目の銘柄はアルトナーで設計技術者の人材派遣に特化しており、機械や電気・電子、制御ソフト、情報処理などの専門的技術者を提供しています。また、設計開発から設計技術周辺に至る業務自体も受注し、顧客企業の幅広い要望にも応える事が可能としています。
アルトナーも今年は夏頃にかけて購入候補にしている場面がありましたが、購入できていませんので、引き続き購入候補に選定しています。
直近決算
アルトナーは1月決算銘柄ですので、9月9日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は約6億円とほぼ前年同期比並みの水準になっているなか、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
第2四半期の最終利益が前期並みだった要因は、生成AI向けの半導体需要拡大により半導体製造装置関連メーカーからの技術者要請は好調を維持していますが、研修施設の増床関連費用や採用関連投資などの先行投資費用が影響したためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | アルトナー |
2020年1月期 | 6.1 |
2021年1月期 | 6.2 |
2022年1月期 | 7.2 |
2023年1月期 | 8.9 |
2024年1月期 | 10 |
2025年1月期(会社予想) | 11 |
2020年からの通期最終利益を見ていきますが順調に増益が続いており、前期も過去最高益を記録しています。増益が続いている要因は、コロナ禍やロシアウクライナ情勢、資源価格、為替の変動などによる大きな影響はなく技術者要請が活発な事やソフトウェア化の進展により半導体のニーズが急増しているためとの事です。
今期も戦略重点顧客である自動車関連メーカーや半導体製造装置関連メーカーの技術者要請は引き続き旺盛であると予測されるとして、更に増益の見込みにしているなか、第2四半期時点の通期進捗率は57%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | アルトナー |
2015年 | 6.25 |
2016年 | 8.75 |
2017年 | 11.25 |
2018年 | 15 |
2019年 | 18 |
2020年 | 20.5 |
2021年 | 23 |
2022年 | 34.5 |
2023年 | 60 |
2024年 | 75 |
2025年(会社予想) | 80 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、据え置きの年すらなく順調に増配が続いているなか、2023年は一気に2倍近い増配となっています。2023年の配当が大きく増配となった要因は会社設立60周年と上場15周年の記念配当を17円実施したためですが、前期は普通配当だけで更に15円の増配となっており、今期も5円の増配見込みとしています。
アルトナーの配当方針は配当性向50%をベースとし、毎年当期純利益を増額していくことにより前年割れのない配当金額の決定をしていきたいとしています。
株価推移
株価はコロナショックで490円まで売られた後は、900円付近での動きが中心でした。
しかし、去年からは上昇ペースに勢いが付き、今年3月には2631円まで上昇しましたが、直近は1900円前後で推移しています。
株価指標(2024年12月5日)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
アルトナー | 2163 | 1895 | 17.1 | 4.43 | 80 | 4.22 | 72.1 |
最近の株価は低迷しているなか、増配は続いていますので配当利回りは4%前半と高水準です。
業績は過去最高益が続いていますがPERは市場平均並みで、配当性向は72%付近と目安の50%を大きく上回っています。
アルトナーについて、最近の業績は過去最高益を更新し続けているなか、今期も第2四半期時点の通期進捗率は57%付近と順調に推移しており、今後の業績も自動車や半導体関連の設計技術者ニーズが高まる事で期待できる部分は大きいです。
以上の点を踏まえ、積水ハウスと同じ1月決算銘柄という事もあり、権利落ち前の急落か権利落ち後に株価が下がったタイミングでの購入を来年は検討したいと考えています。
【2730】エディオン
4番目の銘柄はのエディオンで、今年1度だけ購入候補にしていたタイミングがありましたが、改めて購入候補に選定しています。エディオンは家電量販店「エディオン」を全国に展開しており、フランチャイズ店舗も含めた店舗数は1200を超えています。
また、2022年にはニトリHDと資本業務提携を結び、去年はサンフレッチェ広島を子会社化するなど事業規模の拡大も進めています。
直近決算
エディオンは11月1日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は100億円と前年同期比28億円の増益となっているなか、通期最終利益の予測を25億円上方修正し、配当も1円増額の年間46円見込みへ修正しています。
業績上方修正の要因は、期間を通じて気温が高く、季節家電が好調だった影響で売上高を全体的に押し上げたためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | エディオン |
2019年3月期 | 116 |
2020年3月期 | 109 |
2021年3月期 | 166 |
2022年3月期 | 131 |
2023年3月期 | 113 |
2024年3月期 | 90 |
2025年3月期(会社予想) | 135 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、過去最高益を記録した2021年をピークに減益傾向が続いていました。2021年に業績が大きく伸びた要因は特別定額給付⾦⽀給やテレワーク、巣ごもり需要などにより売上が伸びたためで、2022年以降は前年にあった特別定額給付金などの反動減や、夏場の天候不順の影響によりエアコンなどの季節家電商品が低調に推移した事に加え、人件費などの増加で減益が続きました。
しかし、今期はパリオリンピックによる映像家電の盛り上がりやリフォーム、省エネ家電に対する補助金交付による需要増加が見込めるとして期初から増益予測にしていたなか、第2四半期決算で更なる上方修正を発表していますが、通期進捗率は74%付近と更なる上積みも期待できそうな水準です。
配当推移
銘柄名 | エディオン |
2015年 | 20 |
2016年 | 22 |
2017年 | 26 |
2018年 | 28 |
2019年 | 32 |
2020年 | 34 |
2021年 | 46 |
2022年 | 44 |
2023年 | 44 |
2024年 | 45 |
2025年(会社予想) | 46 |
2015年からの配当推移をまとめていますがここ数年は40円台半ばで安定しています。2022年の配当は金額だけ見ると2円の減配となっていますが、2021年は第20期記念配当が5円実施されていましたので、記念配当を考慮すると実質的には増配となります。
エディオンの配当方針は、業績および経営環境などを総合的に加味し配当性向30%以上の安定配当を基本⽅針としています。
株主優待
エディオンには株主優待があり、ECサイトでも利用可能な電子ギフトカードが保有株数や保有継続年数によってもらえますので詳細は画像をご覧ください。
継続保有でもらえる金額も上昇しますので、長期保有者にとっては有難い株主優待です。
株価推移
株価はコロナショックで780円まで売られましたが、2021年には1300円を超える水準まで上昇しました。
その後は停滞する時期もありましたが、2022年以降の株価は右肩上がりの状況が続き、直近は1800円前後で推移しています。
株価指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
エディオン | 2730 | 1798 | 14.0 | 0.85 | 46 | 2.56 | 35.9 |
最近の株価は上昇していますので、じわじわ増配は続いていますが配当利回りは2%半ばとなっています。
今期業績は増益見込みですがPERは市場平均並みで、配当性向は36%付近と方針通りの水準です。
エディオンについて、業績には多少の増減があるなか配当に安定感はありますが、最近の株価上昇もあり配当利回りは2%半ばと高配当銘柄としては少し寂しい水準です。ただ、エディオンにはギフトカードがもらえる株主優待が設定されており、最低条件の3000円で計算しても配当と合わせた総合利回りは4%前半となりますので、来年最低単元は購入したいと思っています。
【3231】野村不動産HD
5番目の銘柄は野村不動産HDで今回初めて購入候補にしています。野村不動産HDは野村不動産を中核に持つ持株会社で「プラウド」ブランドなどのマンション開発や分譲が主力事業です。また、自社ブランドの賃貸ビルやホテルも運営しているほか、東南アジアを中心に海外事業も拡大しています。
そんななか、来年3月末を基準日とした株式の5分割も直近の決算で発表しています。
直近決算
野村不動産HDは10月25日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は425億円と96億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はないです。
前期比増益の要因は、分譲住宅の計上戸数の増加や平均価格の上昇に加え、新たに連結の対象となったUDS社の寄与を含むホテル事業の伸長などのためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 野村不動産 |
2019年3月期 | 458 |
2020年3月期 | 488 |
2021年3月期 | 421 |
2022年3月期 | 553 |
2023年3月期 | 645 |
2024年3月期 | 681 |
2025年3月期(会社予想) | 700 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、順調に増益が続いており、特に2022年以降は大きく増益傾向となっています。最近の業績が好調な要因は、顧客ニーズの多様化や低金利環境の継続などの下支えにより供給戸数がコロナ前の水準まで回復した事に加え、物件売却収入が増加したことためとしており、前期は過去最高益を記録しています。
そして、今期も好調な流れは継続する見込みとして更に増益の予測にしているなか、第2四半期時点の通期進捗率は61%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | 野村不動産 |
2015年 | 45 |
2016年 | 57.5 |
2017年 | 65 |
2018年 | 70 |
2019年 | 75 |
2020年 | 80 |
2021年 | 82.5 |
2022年 | 97.5 |
2023年 | 120 |
2024年 | 140 |
2025年(会社予想) | 165 |
2015年からの配当推移について、据え置きの年すらなく順調に増配が続いています。特に2022年以降は好調な業績を背景に増配幅も大きく、前期は20円、今期は現状25円の増配予測になっており、2015年と比較すると3倍以上の水準です。
野村不動産HDの配当方針は、不透明な事業環境下での配当の安定性を高めるため今期からDOE4%を下限としたうえで、具体的な目安を総還元性向40%から50%としています。
株価推移
株価はコロナショックで1465円まで売られましたが、その後は上下を繰り返しながらも右肩上がりの状況でした。
しかし、今年4月に4594円の高値を付けた後は低迷が続き、8月の暴落時に3293円まで下げた後、直近は3700円前後で推移しています。
株価指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
野村不動産HD | 3231 | 3770 | 9.3 | 0.88 | 165 | 4.38 | 40.7 |
最近の株価は低迷しているなか、大幅増配が続いている事で配当利回りは4%半ばとなっています。
今期も過去最高益の見込みですのでPER、PBRは市場平均よりも割安で、配当性向は41%付近と方針通りの水準です。
野村不動産HDについて、最近の業績や配当は順調に推移していますが、株価は日銀による追加利上げを警戒してか低迷が続いていますので、配当利回りは4%台と高水準です。
そんななか、来年3月末には株式5分割の権利取りを控えており、権利落ち前後は株価が大きく動くケースもありますので、来年の3月頃に購入チャンスが来れば狙いたいと考えています。
【3393】スターティアHD
6番目の銘柄はスターティアHDで、今年1回だけ購入候補にしたタイミングがありましたが様子見で終わりました。スターティアHDは中小企業向けにITインフラやサーバーなどを提供しているスターティア株式会社が中核です。
そんなスターティア株式会社の最近はデジタルマーケティング事業に注力しており、営業支援ツールや見込み顧客化・商談化ツールなども手掛けています。
直近決算
スターティアHDは11月8日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は10億円と前年同期比約1.5億円の増益となっているなか、通期最終利益の見込みを1.5億円上方修正し、配当も5円増額の年間102円予測へ修正しています。
業績上方修正の要因は、ITインフラ関連事業におけるネットワーク関連機器の販売とビジネスフォンのリプレイスが好調に推移した事やストックサービスの拡販によりストック売上高も好調に積み上げることができたためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | スターティア |
2021年3月期 | -13 |
2022年3月期 | 9 |
2023年3月期 | 12 |
2024年3月期 | 15 |
2025年3月期(会社予想) | 18 |
2021年からの通期最終利益について、コロナショックの影響で2021年は赤字に転落していますが、その後は順調に増益が続いています。
前期もITインフラが堅調に推移するなか、デジタルマーケティング事業もマーケティングオートメーションツールの牽引やサブスクリプション売上の積み上げなどにより利益化した事で過去最高益を記録しており、今期も好調な流れは継続見込みとして更に増益の予測にしているなか、第2四半期決算で上方修正が発表されましたが、通期進捗率は55%付近と依然高水準を維持しています。
配当推移
銘柄名 | スターティア |
2015年 | 10 |
2016年 | 9 |
2017年 | 9 |
2018年 | 12 |
2019年 | 9 |
2020年 | 9 |
2021年 | 10 |
2022年 | 14 |
2023年 | 41 |
2024年 | 69 |
2025年(会社予想) | 102 |
2015年からの配当推移について、数年前は10円付近で停滞している期間が長かったですが、2021年以降は増配傾向が続いています。特に最近は業績好調により増配幅も大きくなっており、前期は28円、今期は第2四半期決算で5円増額された事で合計33円の大幅増配見込みになっています。
スターティアHDの配当方針は財務健全性の維持に努め、連結業績や今後の事業展開などを総合的に勘案し、累進配当を継続的に実施すると共に、連結ベースの配当性向 55%を目途としています。
株価推移
株価はコロナショックで360円まで売られましたが、約1年後には2180円まで上昇しました。
その後は再び500円前後まで売られる場面がありましたが、2022年夏頃からは上昇傾向で、直近は2200円前後まで上昇しています。
株価指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
スターティア | 3393 | 2145 | 11.3 | 2.69 | 102 | 4.76 | 53.6 |
最近の株価は上昇していますが、大幅増配が続いていますので配当利回りは4%半ばとなっています。
業績も増益が続いていますのでPERは市場平均より割安で、配当性向は53%付近と方針通りの水準です。
スターティアHDについて、最近の株価は上昇していますが、配当も大幅増配が続いているため配当利回りは依然4%台と高水準です。大幅増配が続いている要因は業績好調や株主還元向上によるもので、今後の業績もITインフラの堅調な需要や前期から黒字化しているデジタルマーケティング事業も含め、期待できる部分が大きいです。
そんな自信もあってか、今期から累進配当を導入していますので、現在の株価はここ数年の高値圏ですが、改めて来年の購入候補に選定しています。
【3481】三菱地所物流リート投資法人
7番目の銘柄はREITの三菱地所物流リートで今回初めて購入候補にしています。三菱地所リートは物流施設を主な投資対象とし、三菱地所グループの総合力を活かした運用により投資主価値の最大化を目指す方針です。
現在の保有物件数は35件で投資先は物流施設が9割以上を占めているなか、エリアは首都圏が5割近くを占め、残りは近畿圏、中部圏となっています。
分配金推移
銘柄名 | 三菱地所物流リート |
2018年 | 10872 |
2019年 | 11016 |
2020年 | 11910 |
2021年 | 13383 |
2022年 | 14527 |
2023年 | 15460 |
2024年 | 17685 |
2025年(会社予想) | 17660 |
2018年からの分配金推移を見ていきますが、順調に増配が続いており、コロナショックでも減配には陥っておらず、最近は好調な業績を背景に増配幅も大きくなっています。そして、今年も2000円以上の大幅増配となっていますが、来年も現状は同水準の予測になっています。
基準価格推移
基準価格はコロナショックで25万円付近まで下落した後は急反発し、2021年12月には53万円まで上昇しました。
しかし、その後は右肩下がりの状況で、直近は35万円前後で推移しています。
基準価格指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱地所物流リート | 3481 | 343500 | 18.2 | 1.08 | 17660 | 5.14 | ‐ |
最近の基準価格は右肩下がりですが、分配金は増配が続いていますので利回りは5%前後と高水準です。
また、三菱地所リート投資法人は2月、8月が権利月となっています。
三菱地所リートについて、ここ数年の基準価格は他のREIT銘柄同様に低迷が続いています。REITの基準価格下落が続く要因は今後の国内金利の上昇懸念で、REITは新規物件を取得する費用を金融機関などからの借入れで調達する事が多く、金利上昇は借入金利上昇の部分でマイナス要因となっています。
そんななか、日銀による追加利上げへの懸念も高まっていますが、メイン投資先の物流施設の需要は今後も高まる事が期待できますし、最近の業績、分配金推移も順調ですので、今回初めて購入候補に選定しています。
【5108】ブリヂストン
前半最後の銘柄はブリヂストンです。ブリヂストンは世界最大手のタイヤメーカーで、日本だけに限らず、アジアやアメリカ、ヨーロッパなど様々な国へ製品を販売しています。
乗用車やトラック、二輪車、航空機など様々な車種や環境に対応するタイヤを開発しており、海外に150以上の生産開発拠点を展開しているなか、直近の海外売上比率は8割近くを占めるほど国際的な企業です。
直近決算
ブリヂストンは12月決算ですので、11月11日に第3四半期決算を発表しており、最終利益は2527億円と前年同期比140億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比減益の要因は、北米や南米事業の悪化が継続している事に加え、中国市場のEV攻勢による自動車業界の構造変化によるものとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ブリヂストン |
2019年12月期 | 2401 |
2020年12月期 | -233 |
2021年12月期 | 3940 |
2022年12月期 | 3003 |
2023年12月期 | 3313 |
2024年12月期(会社予想) | 3360 |
2019年からの通期最終利益について、2020年はコロナショックの影響で赤字に転落していますが、2021年は過去最高益の水準へ一気にV字回復しています。2021年の業績が好調だった要因は、各国での経済活動再開や新車不足に伴う中古車市場の活況で市販用タイヤ需要が堅調に推移した事に加え、円安の影響としています。
2022年はV字回復の反動もあり減益となりましたが、前期は半導体不足改善に伴う需要回復や市販用プレミアムタイヤの拡販に加え、円安影響で増益になっています。そして、今期も第2四半期で下方修正は発表しましたが、何とか増益は維持しているなか、第3四半期時点の通期進捗率も75%付近で推移しています。
配当推移
銘柄名 | ブリヂストン |
2015年 | 130 |
2016年 | 140 |
2017年 | 150 |
2018年 | 160 |
2019年 | 160 |
2020年 | 110 |
2021年 | 170 |
2022年 | 175 |
2023年 | 200 |
2024年(会社予想) | 210 |
2015年からの配当推移について、赤字に転落した2020年は大きく減配となっていますが、その2020年以外は概ね増配傾向となっています。そして、業績が回復した2021年はコロナ前を上回る水準へ大きく増配となっており、前期も25円の増配となりました。
ブリヂストンの配当方針は持続的な企業価値向上を通じて、安定的且つ継続的な配当額の向上に努めるとしており、連結配当性向40%を具体的な目安にしています。
株価推移
株価はコロナショックで2861円まで売られた後、約1年をかけて5000円付近まで値を戻しました。
その後もじわじわ上昇して今年5月には7058円まで上昇しましたが、そこからは下落が続き、直近は5300円前後で推移しています。
株価指標(2024年12月5日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ブリヂストン | 5108 | 5288 | 10.8 | 1.04 | 210 | 3.97 | 42.8 |
最近の株価は下落が続いているなか、増配は続いていますので配当利回りは4%前後まで上昇しています。
今期業績も増益見込みを維持していますのでPERは市場平均よりも割安で、配当性向は43%付近と方針通りの水準です。
ブリヂストンについて、今期業績見込みは何とか増益を維持しており、進捗率も75%付近と順調に推移しています。しかし、今後の自動車業界には世界的な自動車販売の不振やEV車への対応に加え、円高やトランプ大統領就任による関税の引き上げなど懸念点も多いです。
以上の点を踏まえると、最近の株価は下落が続いていますが、最優先では狙わず、もう少し様子を見ながら来年更に株価が下がる場面があれば狙いたいと考えています。
まとめ
今回は2025年に購入を検討している17銘柄のうち、前半8銘柄の最新情報と選定した理由についてまとめましたが、今回紹介した順番はコード番号順になっており、購入したい順番という訳ではありません。
という事で、後半の9銘柄は前半最後のブリヂストン(5108)より後の銘柄となりますが、前半同様魅力的な銘柄ばかりとなっており、詳細な銘柄の情報や選定した理由については、明日12月8日(日)夜19時に投稿しますので、是非こちらもご覧ください。
2025年に購入を検討している前半8銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。
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