株式投資をしている人であれば投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏の名前を聞いた事がある人は多いかと思いますが、コロナショックの真っ只中だった2020年8月に日本の5大総合商社を購入した事は国内の投資家に衝撃を与えました。その後の商社株暴騰により更に衝撃を受ける事になりますが、その様な状況もあり、バフェット氏の保有銘柄や次に狙いそうな銘柄は世界中の投資家にとっても注目の的となっています。
という事で今回は、ウォーレン・バフェット氏の投資観や現在の保有銘柄を参考に今後バフェット氏が購入しそうな5つの業種を選定し、代表的な1銘柄を検証していきます。
ウォーレン・バフェット氏の保有銘柄
まずはバフェット氏の保有銘柄を見ていきますが、バフェット氏は投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務めており、現在バークシャー・ハサウェイは、アップル(IT)やバンクオブアメリカ(銀行)、シェブロン(石油)などの大手アメリカ企業の株式を保有しているなか、引き続き5大総合商社も保有を続けています。
そんななか、バークシャー・ハサウェイは日本株投資の大半を円債社債で賄っており、最近2019年に次ぐ大きさとなる2818億円の円建て社債を新たに発行した事で、日本株への追加投資を行うのではないかとの期待も高まっています。
バフェット氏の投資基準
それではここからは、ウォーレン・バフェット氏の次なる投資先を探すにあたり、バフェット氏の投資基準を4つのポイントに分けて検証していきます。
大企業
最初の投資基準は大企業である事です。バークシャー・ハサウェイほどの会社が投資する場合、当然投資金額も巨額になりますので、そもそも投資対象が大企業でないと投資できないというのが現実です。
また、バフェット氏はブランド価値を重視するとも言われていますので、投資基準の大前提は大企業でブランド価値がある事になります。
利益が右肩上がりに伸びていく
2番目の投資基準は利益が右肩上がりに伸びている企業です。もちろん利益が右肩上がりに伸びている企業ならバフェット氏に限らず狙いたいところですが、バフェット氏はその根拠に参入障壁が高い事や国益に絡むビジネスである事を掲げています。
参入障壁が高ければ既存ビジネスがライバル企業の登場などで利益が減少する恐れも低くなりますし、国益に絡む事業であれば倒産のリスクも低くなるからです。
理解できるビジネスを展開しているか
3番目の投資基準は自分が理解できるビジネスを展開している事です。バフェット氏は「バカげていること、不道徳なこと、他人と比較して悪く見えることを避ける様にしている」と過去に発言しており、その全てに当てはまるとして仮想通貨に対しては否定的な見解を示しています。
非常に分かりやすい基準ですが、自分が理解できない事業へは投資しない方針です。
良い会社を適正価格で購入
最後の投資基準は良い会社を適正価格で購入する事です。非常に単純明快な基準ですが、バフェット氏は「良いビジネス、適切な価格、良い経営への投資が重要」としています。良いビジネスとは先ほどお伝えした参入障壁の高さや国益に絡むものが挙げられますし、良い経営とは利益が右肩上がりで伸びていく事や高配当、自社株買いなどの株主還元力が挙げられると思います。
そして、適正価格については企業価値と比較して割安な時にだけ株式を購入する事が大切としていますが、その一方コロナショックで株価が大きく下落した2020年3月は株を買えておらず、「株の売買タイミングを計るのは得意ではない」とも発言しています。
また、コロナショック以降の株価上昇については、米大手金融機関に対して「株式市場での投機的な行動を推奨しており、株式市場を賭博場にした」として、2020年から2021年にかけては株式を売り越していた時期もありました。
それでも大きな利益を上げられているのは、企業価値と比較して割安な時にだけ購入する事を長期的に徹底しているからだと感じます。
バフェット氏の投資基準まとめ
ここまではバフェット氏の投資基準を4つのポイントに分けて検証しましたが、正直バフェット氏だからといって目新しい事は何も無かったと思いますし、全て個人投資家にも当てはまる事の様に感じます。実際、有名な投資家だからといって特別な事はしておらず、自分の信念に基づき当たり前の事を長期間にわたって徹底して行っている印象です。
それでは以上の投資基準を踏まえ、今後バフェット氏が商社株の次に狙いそうな日本株を業種ごとに検証していきます。
【石油株】
バフェット氏が次に狙いそうな最初の業種は石油株です。石油株を選択した理由について、バフェット氏は現在アメリカの石油企業シェブロンを保有していますので、事業内容は理解しやすいと思いますし、設備面でも参入障壁は高めだと思います。
そんななか、日本の石油関連銘柄となるとENEOSやINPEXが主力ですが、いずれも企業規模は大きく、また指標面も割安な銘柄が多いですので、ここからは代表してINPEXを個別に見ていきます。
【1605】INPEX
INPEXは石油や天然ガスなどの開発生産を手掛ける国内最大手の石油開発企業です。
現状は石油、天然ガスの開発生産がメイン事業ですが、脱炭素社会への流れを受け再生可能エネルギーやカーボンリサイクル事業にも注力しています。
直近決算
INPEXは12月決算ですので、11月12日に第3四半期決算を発表しており、最終利益は2894億円と前年同期比232億円の増益となっているなか、通期最終利益の見込みを200億円上方修正していますが、年間配当予測に変更はありません。
最終利益を上方修正した要因は、オーストラリアでの生産を一時停止したことで売上や営業利益などは下方修正していますが、税金費用の減少を織り込んだためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | INPEX |
2019年12月期 | 1235 |
2020年12月期 | -1116 |
2021年12月期 | 2230 |
2022年12月期 | 4610 |
2023年12月期 | 3217 |
2024年12月期(会社予想) | 3800 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっています。2020年はコロナショックの影響などで赤字に転落していますが、2022年にかけては原油及び天然ガスの販売価格上昇に加え、円安の追い風もあり過去最高益の水準へV字回復しました。
前期は原油価格の反落や豪州の一部プロジェクトで減損損失を計上した事で減益となっていますが、今期は増益見込みとしていたなか、先ほどお伝えした様に第3四半期決算で上方修正を発表しましたが、通期進捗率は76%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | INPEX |
2015年3月 | 18 |
2016年3月 | 18 |
2017年3月 | 18 |
2018年3月 | 18 |
2019年3月 | 24 |
2019年12月 | 30 |
2020年12月 | 24 |
2021年12月 | 48 |
2022年12月 | 62 |
2023年12月 | 74 |
2024年12月(会社予想) | 86 |
2015年からの配当推移について、数年前は据え置きが続く年もありましたが、最近は概ね安定して増配が続いています。特にここ最近の増配幅は業績好調や株主還元強化を背景に大きくなっており、2022年は14円、前期は12円の大幅増配で、今期も期初時点では2円の増配見込みとしていましたが、第2四半期決算で10円増額された事で12円の大幅増配見込みになりました。
INPEXの配当方針は、2022年度から2024年度の中期経営計画期間中は総還元性向 40%以上を目途とし、年間配当金の下限を30円に設定するなか、事業環境、財務体質、経営状況等を踏まえ、株主還元の強化に取り組む方針です。
株主優待
INPEXには株主優待が設定されており、保有株数や保有継続年数によってクオカードがもらえますので内容を表にまとめています。
保有株数 | 保有継続年数 | 金額 | 優待品 | ||
400株以上 | 1年以上 | 1000円 | QUOカード | ||
2年以上 | 2000円 | ||||
3年以上 | 3000円 | ||||
800株以上 | 1年以上 | 2000円 | カタログギフト | ||
2年以上 | 3000円 | ||||
3年以上 | 5000円 |
400株以上かつ1年以上継続が最低条件ですので少しきつめの条件ですが、長期保有者には有難い内容です。
株価推移
株価は2020年10月に489円まで下げた後は急速に値を戻し、2022年6月には1831円まで上昇しました。
その後再び1300円付近まで値を下げた後、今年4月には2628円まで上昇しましたが、直近は2000円前後で推移しています。
株価指標(2024年11月14日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
INPEX | 1605 | 2000 | 6.4 | 0.56 | 86 | 4.30 | 27.3 |
最近の株価は4月の高値から下落しているなか、大幅増配が続いている事で配当利回りは4%前半と高水準です。
今期業績は増益見込みですのでPER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は27%付近と余裕を感じる水準です。
投資判断
今までの内容からINPEXの投資判断ですが、業績は商品市況の影響を受けつつも順調に推移しており、株主還元強化の方針から大幅増配も続いています。そんななか、最近の株価は原油価格の下落や全体の暴落などを要因に下落していますので指標面は割安で、配当利回りも4%台を維持しています。
以上の点に加え、政府が20%を超える大株主であるため国策に絡むビジネスと言えますし、バフェット氏は現在石油企業シェブロンを保有していますので、INPEXが次の購入候補になっても不思議ではありません。
【金融株】
バフェット氏が次に狙いそうな2番目の業種は金融株です。直近でバフェット氏はアメリカの大手銀行バンクオブアメリカの売却を行っていますが、依然保有比率は10%程度を維持しており、また他にも多くの金融株を保有しています。
そんななか、日本の金融株の業績も最近は増益、増配が続く銘柄が多く、特に三菱UFGFGや三井住友FG、みずほFGのメガバンクは企業規模、ブランド価値も十分ですが、今回は少し目先を変えて三井トラストHDを個別に検証していきます。
【8309】三井トラストHD
三井トラストHDは三井住友信託銀行を中核とする金融持株会社です。信託銀行業務の個人・法人向け金融ソリューションや法人アセットマネジメントに加え、証券代行などの金融サービスも提供しています。
直近決算
三井トラストHDは11月12日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は1328億円と前年同期比888億円の増益となっているなか、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因は、円金利の上昇影響や資産運用、資産管理事業が順調に推移している事に加え、不動産、証券代行などの手数料ビジネスも好調なためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 三井トラスト |
2021年3月期 | 1421 |
2022年3月期 | 1690 |
2023年3月期 | 1910 |
2024年3月期 | 791 |
2025年3月期(会社予想) | 2400 |
2021年からの通期最終利益を見ていきますが、2023年にかけては順調に増益が続いており、業績好調の要因は不動産仲介や法人与信関連の手数料収入が好調に推移した事に加え、株式等関係損益の改善としています。
ただ、前期業績について、本業は順調に推移していましたがベア投信の損失処理を推し進めた結果として大きく減益になっており、今期は引き続き本業が順調に推移する見込みである事や前期反動の影響で大きく増益の見込みにしているなか、第2四半期時点の通期進捗率も55%付近と順調に推移しています。
配当推移
年 | 三井トラスト |
2015年 | 60 |
2016年 | 65 |
2017年 | 65 |
2018年 | 65 |
2019年 | 70 |
2020年 | 75 |
2021年 | 75 |
2022年 | 85 |
2023年 | 105 |
2024年 | 110 |
2025年(会社予想) | 145 |
2015年からの配当推移をみていきますが、数年前は70円付近で据え置きの年も多かったです。しかし、2022年からは増配が続いており、特に最近は増配額も大きくなっているなか、今期は期初当初から一気に35円の増配見込みになっています。
三井トラストHDの配当方針について、配当金は累進的としつつ、利益成長を通じた増加を目指すとしており、具体的な目安は連結配当性向40%以上としています。
株価推移
株価はコロナショックで1309円まで売られましたが、その後は右肩上がりで上昇しています。
特に今年に入ると上昇ペースも加速し、7月には4000円に迫る水準まで上昇しましたが、8月の暴落で2845円まで売られ、直近は3700円前後で推移しています。
株価指標(2024年11月14日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三井トラスト | 8309 | 3670 | 11.0 | 0.83 | 145 | 3.95 | 43.4 |
最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、今期配当は大幅増配見込みとなっていますので配当利回りは4%前後と高水準です。
今期業績は大幅増益見込みですのでPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は43%付近となっています。
投資判断
今までの内容から三井トラストHDの投資判断ですが、前期業績は一時的要因の影響で大きく減益となりましたが、本業は順調に推移しており、最近は増配額も大きくなっています。
その分、最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、同じ金融業のメガバンクと比較すると上げ幅は小さく、現状の配当利回りも4%前後とメガバンクよりも高水準です。
以上の点を踏まえると、もちろん金融株としてはメガバンクの方が企業規模や将来性は上ですが、現在の株価や配当利回りを考慮すると三井トラストHD辺りも面白い存在だと思います。
【鉄鋼株】
バフェット氏が次に狙いそうな3番目の業種は鉄鋼株です。鉄鋼株に関しては業績、配当の増減も激しいですが、最近は数年前と比較して業績が大きく伸びているなか、指標面が割安な銘柄も多いです。
そんななか、日本製鉄やJFEなど合併により名称が変わってしまった銘柄もありますが、歴史も長く、日本を代表する会社で企業規模も大きいですので、ここからは代表して合同製鐵を個別で検証していきます。
【5410】合同製鐵
合同製鐵は日本製鉄グループの鉄鋼メーカーです。鉄筋コンクリート構造を支える鉄筋用の棒鋼やスパイラル筋に使用される異形コイル鉄筋などを製造しています。
また、国産資源である鉄スクラップを少ないエネルギーで再び社会資本の形成に役立てるなど、インフラを支える鉄鋼製品の提供を通じて社会に貢献していくとしています。
直近決算
合同製鐵は11月1日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は48億円と前年同期比29億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比減益の要因は、国内建設において建設コスト高騰による計画見直しや人手不足による工事遅延が解消されていない事に加え、建機、工作機械等の需要が低迷している事で販売数量が減少しているためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 合同製鐵 |
2020年3月期 | 74 |
2021年3月期 | 49 |
2022年3月期 | -11 |
2023年3月期 | 125 |
2024年3月期 | 151 |
2025年3月期(会社予想) | 115 |
2020年からの通期最終利益を見ていきますが増減の激しい展開となっており、2022年は赤字に転落しています。赤字に転落した要因は、主原料である鉄スクラップなどの高騰に販売価格の値上げが追い付かなかったためで、前期にかけては鉄スクラップ価格が安定的に推移した事や販売価格改善に加え、コスト改善の伸長で業績が大きく回復しています。
しかし、今期は経営環境における電力料金や輸送費、金利、労務費などの大幅な上昇を勘案し減益見込みにしているなか、第2四半期時点の通期進捗率は42%付近と少し心配な水準で推移しています。
配当推移
銘柄名 | 合同製鐵 |
2015年 | 40 |
2016年 | 85 |
2017年 | 40 |
2018年 | 80 |
2019年 | 70 |
2020年 | 145 |
2021年 | 95 |
2022年 | 0 |
2023年 | 200 |
2024年 | 280 |
2025年(会社予想) | 240 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、増減の激しい業績と連動して配当も大きく上下しており、コロナショックなどの影響で減益が続いた時期は減配が続き、赤字に転落した2022年は無配に転落しています。
しかし、業績が回復した2023年はV字回復した業績と連動し大きく増配となっており、前期も好調な業績と連動して80円の増配となりましたが、今期は減益見込みとなっている業績の影響で40円の減配予測になっています。
合同製鐵の配当方針について、当面の間は財務体質の改善、必要な投資資金の確保等を勘案しつつ、業績連動利益配分の指標として、連結配当性向年間30%程度を目安にしています。
株価推移
株価は2020年2月に3035円の高値を付けた後は右肩下がりの状況が続き、2022年5月には1197円まで下落しました。
しかし、その後は右肩上がりの状況で今年2月には6290円まで上昇しましたが、直近は3800円前後まで下落しています。
株価指標(2024年11月14日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
合同製鐵 | 5410 | 3850 | 4.9 | 0.44 | 240 | 6.23 | 30.5 |
最近の株価は右肩下がりですので、今期の配当は減配見込みですが配当利回りは6%前半と高水準です。
今期業績も減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は30%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容から合同製鐵の投資判断について、今期は現状減益、減配見込みとなっていますが、今年の株価は下落が続いている事で配当利回りは6%前後と高水準です。ただ、今までの配当推移を見ても業績と連動して大きく上下している点は懸念事項で、また、第2四半期時点の進捗率を踏まえると、今後の業績下方修正から更なる減配の可能性もありそうです。
ただ、それでも業績や配当は数年前と比較して高水準で推移しており、指標面もかなり割安ですので、更に株価が下がる場面があればバフェット氏の購入対象になるかもしれません。
【リース株】
バフェット氏が次に狙いそうな4番目の業種はリース株です。国内にリース株はたくさんの銘柄がありますが、連続増配を継続している銘柄も多く株主還元力が高い業種となっています。
そんななか、特にオリックスの業態は現在リース業に留まらず、不動産や金融など幅広い分野でビジネスを展開しており、その辺りのビジネスモデルは商社株と重なる部分もありますので個別に検証していきます。
【8591】オリックス
オリックスはリース業界の代表的な銘柄ですが、現在はリース業にとどまらず、不動産、金融、事業投資など様々な事業で海外を含む多くの企業と取引しています。
実際、リースを起点に「金融」と「モノ(物件)」の2つの専門性から関連するビジネスを拡大させており、直近の海外売上比率も約25%程度を占めています。
直近決算
オリックスは11月8日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は1829億円と548億円の増益となっているなか、通期最終利益、年間配当予測に変更はありませんが、中間配当は前期比約19円増配の62.17円で発表しています。
前期比増益の要因は、インバウンド需要の取り込みや不動産売却に加え、投資先のベース利益も伸長した事で金融、事業、投資の3分類とも想定通り順調に推移したためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | オリックス |
2019年3月期 | 3237 |
2020年3月期 | 3027 |
2021年3月期 | 1923 |
2022年3月期 | 3121 |
2023年3月期 | 2903 |
2024年3月期 | 3461 |
2025年3月期(会社予想) | 3900 |
2019年からの通期最終利益について、コロナショックの影響で大きく減益となった2021年以外は3000億円前後で安定していましたが、2022年の最終利益には弥生の売却益1632億円が含まれていた事もあり、2023年はその反動で減益となっています。
しかし、前期は不動産や事業投資・コンセッションが好調な事やクレジット社の株式一部譲渡による売却益を計上した事で3000億円台半ばの水準まで大きく増益となっており、今期も好調な流れは継続するとして更に増益の予測にしているなか、第2四半期時点の通期進捗率は47%付近と目安の50%には届いていませんが、順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | オリックス |
2015年 | 36 |
2016年 | 45.75 |
2017年 | 52.25 |
2018年 | 66 |
2019年 | 76 |
2020年 | 76 |
2021年 | 78 |
2022年 | 85.6 |
2023年 | 85.6 |
2024年 | 98.6 |
2025年(会社予想) | 98.6 |
2015年からの配当推移について、たまに据え置きの年もありますが減配はなく、概ね順調に増配が続いている印象です。2023年は減益だった業績の影響で据え置きとなっていますが、前期は業績好調により13円の大幅増配となっており、今期の年間配当も現状は据え置きの見込みですが、中間配当は前期比約19円増配の62.17円となっています。
そんななか、オリックスの今期配当方針は配当性向39%、もしくは前年度配当金(98.6円)のいずれか高い方としていますので、今後の業績次第では年間配当の大幅増配もかなり期待できそうな状況です。
株価推移
株価はコロナショックで1100円まで売られた後は順調に値を戻し、2022年1月には2612円まで上昇しました。
その後は2000円台で停滞が続く時期もありましたが、去年春以降は上昇傾向で、今年7月には3788円まで上昇し、8月の暴落で2644円まで下落しましたが、直近は3500円前後で推移しています。
株価指標(2024年11月14日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
オリックス | 8591 | 3359 | 9.8 | 0.98 | 98.6 | 2.94 | 28.9 |
最近の株価はここ数年の高値圏で推移しているなか、今期年間配当も現状は据え置き見込みですので配当利回りは2%後半となっています。
業績は今期も過去最高益見込みという事でPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は29%付近と目安の水準を10%程度下回っています。
投資判断
今までの内容からオリックスの投資判断について、ここ数年の最終利益は3000億円付近で停滞が続いていましたが、今期は4000億円に迫る予測になっているなか、第2四半期時点の進捗率も順調に推移しています。
そんななか、中間配当は約19円の大幅増配になっており、配当方針との兼ね合いで年間配当は現状据え置きになっていますが、このまま業績が順調に推移すれば、今期は大幅増配となる可能性が高そうです。
以上の点に加え、オリックスの業態はリース業に留まらず、幅広い事業を手掛けている点が総合商社とも重なりますので、バフェット氏が次に狙いそうな気もします。
【自動車株】
バフェット氏が次に狙いそうな最後の業種は自動車株です。自動車株も古くから日本を代表する業種で現在でも世界でトップクラスのシェアを誇っている銘柄がたくさんあります。
そして、いずれも企業規模は大きく、また指標面も割安な銘柄が多いですので、十分バフェット氏の購入候補になる可能性もありそうですが、ここからは代表してホンダを検証していきます。
【7267】ホンダ
ホンダは日本を代表する輸送機器メーカーで、オートバイの販売台数、売上高は世界1位となっています。国内に限らず北米やアジアなど世界各国に製品を販売しており、直近の海外売上比率は9割に迫る水準です。
直近決算
ホンダは11月6日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は4946億円と前年同期比1217億円の減益となっているなか、通期最終利益の見込みを500億円下方修正していますが、年間配当予測に変更はありません。
前期比減益の要因は、日本やアメリカでの販売台数は伸びていますが、中国の販売台数が価格競争激化などの影響で減少した事に加え、持分法による投資利益減益などのためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ホンダ |
2019年3月期 | 6103 |
2020年3月期 | 4557 |
2021年3月期 | 6574 |
2022年3月期 | 7070 |
2023年3月期 | 6514 |
2024年3月期 | 11071 |
2025年3月期(会社予想) | 9500 |
2019年からの通期最終利益について、コロナショックで大きく減益となった2020年以降は順調に推移していましたが、2023年は半導体供給不足の影響による四輪車の生産・販売台数減少や原材料価格高騰の影響で減益となりました。
しかし、前期は米国での堅調な需要による四輪車の販売増加や機種収益の改善に加え、円安の追い風もあった事で過去最高益を更新しており、今期は研究開発費の増加や為替のマイナス影響などを考慮して期初から減益見込みにしていたなか、先ほどお伝えした様に第2四半期で更に500億円下方修正されましたが、通期進捗率は52%付近で推移しています。
配当推移
銘柄名 | ホンダ |
2015年 | 29.3 |
2016年 | 29.3 |
2017年 | 30.6 |
2018年 | 33.3 |
2019年 | 37 |
2020年 | 37.3 |
2021年 | 36.6 |
2022年 | 40 |
2023年 | 40 |
2024年 | 68 |
2025年(会社予想) | 68 |
2015年からの配当について、コロナショックの影響を受けた2021年は減配になっており、たまに据え置きの年もありますが、概ね順調に増配傾向となっています。そんななか、前期は業績好調を背景に一気に28円の大幅増配となっており、今期は現状据え置きの予測にしています。
ホンダの配当方針は連結配当性向30%を目安に安定的・継続的に行うよう努めるとしています。
株主優待
ホンダには株主優待があり、100株以上の保有で希望者全員にホンダのカレンダーが1部もらえます。
また、いずれも抽選にはなりますが1年以上の継続保有でレースやEnjoy Hondaの入場券、3年以上の継続保有で事務所やHonda Jetの見学会に参加できますので、ホンダファンの人にとっては嬉しい株主優待です。
株価推移
株価はコロナショック時に706円まで売られましたが、その後は上下を繰り返しながら約1年で1000円を超える水準まで上昇しています。
そこからは1000円付近での値動きが中心でしたが、去年春以降は右肩上がりの状況で、今年3月には1959円まで上昇しましたが、直近は1300円前後まで下落しています。
株価指標(2024年11月14日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ホンダ | 7267 | 1322.5 | 6.5 | 0.50 | 68 | 5.14 | 33.2 |
最近の株価は下落が続いているなか、配当は高水準を維持していますので配当利回りは5%前後となっています。
今期業績は減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は33%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容からホンダの投資判断について、今期は減益見込みになっていますが、今回の決算で大きく下方修正を行った自動車メーカーもありましたので、健闘している方かとは思います。ただ、それでも今後の自動車メーカーには中国市場の動向やEV車への対応、またトランプ大統領誕生による関税の引き上げなど懸念点も多いです。
その辺りの状況もあり、最近の株価は低迷している自動車株が多いですが、世界を代表するメーカーである事は間違いなく、指標面も割安ですので、苦戦している現状をバフェット氏が狙っていそうな気もします。
まとめ
今回はウォーレン・バフェット氏が次に狙いそうな日本株を5業種選定し、その中から代表的な1銘柄を検証しました。途中でもお伝えした様に有名な投資家だからといって特別な事をしている訳ではなく、むしろ当たり前の事を徹底して行っている印象です。
そのため、我々個人投資家でも十分実践できる投資術だと思いますので、もちろん次にどの銘柄を購入するのかは分かりませんが、参考にできる部分は多いかと思います。
バフェット氏が次に狙いそうな5銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。
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