自己資本比率が高い3つの高配当株を検証

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銘柄検証

高配当株を選定するポイントはいくつもありますが、自己資本の高さも1つのポイントです。自己資本が高い事で安定的に経営する事ができますし、倒産のリスクも軽減される事に加え、業績が落ち込んだタイミングでも減配されにくいという点がメリットとして考えられます。

もちろん減配については各企業の配当方針も関係してきますので一概には言えませんが、その辺りも踏まえたうえで、今回は自己資本比率が高い銘柄は高配当株として投資可能か検証していきます。

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自己資本比率とは

そもそも自己資本比率とは、総資本のうち返済不要の自己資本が資本全体の何%を占めるかを示す数値で、自己資本÷総資本×100で算出できます。

総資本には銀行などの他人から借り入れた資金が含まれますので、自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社と言えます。

そして自己資本比率の目安は業種によっても分かれますが、概ね40%以上が望ましい目安とされる事が多いです。

それでは以上の点を考慮したうえで、自己資本比率の高い銘柄が高配当株として投資可能か検証していきます。

【8898】センチュリー21・ジャパン

最初の銘柄はセンチュリー21・ジャパンです。

センチュリー21は1971年にアメリカで誕生した世界最大級の不動産販売ネットワークでセンチュリー21・ジャパンは1983年に国内のフランチャイザーとして設立されました。

2022年3月末時点で全国に991店舗を展開しており、不動産仲介のフランチャイズ店舗数としては国内No.1です。

そして今回のテーマでもある自己資本比率は85%付近と高水準です。

直近決算

センチュリー21・ジャパンは10月28日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は3億円と前年同期比で約1.3億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

第2四半期減益の要因は、前期に稼働を開始している基幹システムの償却費負担などの影響としており、営業収益並びに各段階利益については当期の計画に対して堅調に推移しているとの事で、第2四半期時点の通期進捗率も約47%付近となっています。

通期最終利益(億円)

銘柄名センチュリー21
2019年3月期8.1
2020年3月期5.8
2021年3月期7.0
2022年3月期7.4
2023年3月期(会社予想)6.3

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、2020年にコロナショックの影響で大きく減益となった後は回復傾向でしたが、今期は現状減益見込みとなっています。

今期減益見込みの要因は、新基幹システムの開発とオフィス拡張などの基盤整備に伴う費用の増加や中長期の売上拡大実現に繋がる人員増強、加盟店獲得強化のための集客施策などに伴う費用の増加が要因との事です。

センチュリージャパンに直営店は無くフランチャイズのみの事業形態ですので、主な収益源は加盟店からの加盟金やサービスフィーになり、新規加盟店の獲得や加盟店の支援強化が重要になります。

配当推移

銘柄名センチュリー21
2015年40
2016年45
2017年50
2018年50
2019年50
2020年50
2021年45
2022年45
2023年(会社予想)45

2015年からの配当推移を見ていきますが2017年以降は年間50円が続いた後、ここ数年は年間45円となっています。

センチュリー21・ジャパンの配当方針は、安定的な配当を継続して実施することを経営の重要目標の一つとして位置付けていますが、配当性向などの目安は設定していない様です。

株価推移

株価は2017年2月に1580円の高値を付けた後は、右肩下がりの状況が続いています。

今年に入ってからは1000円台前半で停滞しており、直近は1000円前後で推移しています。

株価指標(2022年11月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
センチュリー218898100916.71.68454.4674.4

配当は横ばいが続いていますが、株価が下落している事で配当利回りは4%半ばと高水準です。

今期業績は減益見込みという事もありPER、PBRは市場平均を上回っており、配当性向は75%付近とこちらも高水準です。

投資判断

今までの内容からセンチュリー・21ジャパンの投資判断について、今期業績は減益見込みですが配当は安定しており、配当利回りも4%半ばと高水準です。

国内の不動産市況については、住宅価格の上昇や今後の金利上昇懸念などの不安要素もありますが、新規加盟店は増加傾向が続いています。

しかし、現状の配当性向は約75%と今後の減配も気になり始める水準で自己資本比率の高さでカバーできるかは不透明です。

以上の様にセンチュリー・21ジャパンについては好悪材料が混在していますが、株価は右肩下がりの状況が続いている事を踏まえると、もう少し様子を見たいところですが、最低単元くらいは購入しても面白いかなというところです。

【9986】蔵王産業

2番目の銘柄は蔵王産業です。

蔵王産業は、欧米や中国などの各メーカーで製造した業務用、産業用、コンシューマー向けの清掃機器、洗浄機器などを輸入し国内全域で販売している輸入販売商社です

商社ですが社内に研究、開発セクションを設けており、欧米のメーカーや国内の外注先との技術協力により新製品の開発などを行っています。

また、高圧洗浄機や自動床洗浄機、スチーム洗浄機などの環境クリーニング機器のレンタル事業も手掛けています。

そして直近の自己資本比率は86%付近と高水準を維持しています。

直近決算

蔵王産業は10月31日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は約5億円とほぼ前年同期並みの数字となっており、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

第2四半期の決算が前期並みだった要因について、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や急激な円安の進行などの影響でエネルギー資源や原材料価格の高騰に加え半導体の部品逼迫など先行きは引き続き不透明な状況となっていますが、付加価値の高い新商品の積極的な投入や各種展示会への出展のほか、引き続き代理店販売の拡充などに努めた為としています。

通期最終利益(億円)

銘柄名蔵王産業
2019年3月期7.3
2020年3月期7.0
2021年3月期7.9
2022年3月期11.7
2023年3月期(会社予想)9.5

2019年からの通期最終利益について数年前までは7億円台で推移していましたが、前期は過去最高の水準へ大幅増益となっています。

前期業績が大きく伸びている要因は、主要顧客である製造業において緊急事態宣言が解除され昨年に比べ実演販売活動の機会が回復してきたことで高圧洗浄機などの主力商品の販売が総じて増えた事や、ビルメンテナンス業界は大手国内メーカーと共同開発した新商品であるスティック型バキュームクリーナーが同業界への入り口商品として好評だったことで関連商品などの販売が増えた為としています。

そして今期は前期の反動や部材価格の高騰などを要因に現状減益見込みとなっていますが、第2四半期時点の通期進捗率は約52%でしたので今後の業績動向に期待したいところです。

配当推移

銘柄名蔵王産業
2015年50
2016年55
2017年55
2018年61
2019年61
2020年61
2021年53
2022年78
2023年(会社予想)68

2015年からの配当推移を見ていきますが、増減の激しい展開が続いています。

前期は業績好調を受けて大幅増配になっていますが、今期は減益見込みの為、配当も減配予測になっています。蔵王産業の配当方針は、長期的な観点で当社株式を保有していただくため、当社の事業展開や財務状況のほか会計基準の変更など特殊要因による業績変動などを総合的に勘案し、毎期の業績に応じて配当性向40%程度を目標にするとの事です。

株価推移

株価はコロナショック時に1174円まで売られましたが、その後は2000円を超える水準まで順調に値を戻しました。

しかし、今年8月以降はじわじわと値を下げ、直近は年初来安値の1600円台まで値を下げています。

株価指標(2022年11月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
蔵王産業9986168010.10.75684.0540.9

今期配当は減配予測ですが、直近の株価は下落している事もあり配当利回りは4%を超えています。

今期は現状減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は40%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から蔵王産業の投資判断ですが、今期業績は減益見込みですが数年前と比較すると伸びている状況であり、配当利回りも4%付近と高水準です。

配当は業績と連動して上下しており直近の株価も下落していますが、水準としては1年前と変わらない株価です。

という事で結局は今後の業績が過去最高だった前期の水準を超えていくのか、このまま数年前の水準に落ちていくのかが1番大事なポイントだと思います。

もちろん今後の業績がどうなるのかは誰にも分かりませんが、主要顧客や商品が設備投資に左右される事を考慮すると、今後の世界的な景気後退懸念により減速していく可能性もあるかと思いますので、個人的にはもう少し様子を見守りたいかなというところです。

【7203】トヨタ自動車

最後の銘柄はトヨタ自動車です。

トヨタについては敢えて説明するまでも無いかもしれませんが、日本最大手の自動車メーカーで世界での自動車販売台数もトップクラスです。

また、子会社であるダイハツやスバル、マツダ、スズキなどの自動車メーカーとも提携を結び勢力を拡大しています。

トヨタ自動車の自己資本比率は38%付近とそこまで高いわけではありませんが、自己資本額は27兆円と群を抜いていますので今回選定しています。

直近決算

トヨタは11月1日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は1兆1710億円と前年同期比で3534億円の減益となっていますが、通期最終利益は従来予想から変更なく、年間配当は非開示のままですが中間配当は前期から1円増配の25円で発表しています。

第2四半期減益の要因は、半導体の供給不足や上海ロックダウンなどの影響で計画通りの生産活動ができないなか、円安によるプラス効果はありましたが資材高騰などの影響により減益としています。

通期最終利益(億円)

銘柄名トヨタ
2019年3月期18828
2020年3月期20361
2021年3月期22452
2022年3月期28501
2023年3月期(会社予想)23600

2019年からの通期最終利益を見ていきますが前期までは順調に増益が続いており、今期は現状減益見込みとなっていますが、数年前と比較すると順調な内容です。

トヨタが日本を代表する企業である事は誰もが認めるところだと思いますが、改めて最終利益の数字を見ると今期は減益でも最終利益は2兆円を超えており、まさに桁違いな事を改めて実感します。

しかし、今期第2四半期時点の通期進捗率は約50%ですので順調に推移している様に感じますが、半導体の調達リスクなどを織り込み⽣産台数の⾒通しを50万台引き下げていますので、今後の業績動向には注目です。

配当推移

銘柄名トヨタ
2015年40
2016年42
2017年42
2018年44
2019年44
2020年44
2021年48
2022年52
2023年(会社予想)25(中間)

2015年からの配当推移を見ていきますが、トヨタは去年10月に株式を5分割していますので、前期以前の配当は分割調整した金額になっています

数年前は40円台で据え置きの年も多かったですが、2021年からは2期連続で増配中です。

そして今期配当は現状非開示としていますが、先程触れた様に中間配当は前期から1円増の25円で発表していますので、今期も前期と同じ52円程度は期待できそうです。

トヨタの配当方針は、連結配当性向30%を維持・向上させつつ、安定的・継続的に配当を行うよう努めるとしています。

株価推移

株価はコロナショックで1154円まで売られた後は順調に上昇し、今年1月には2475円まで上昇しました。その後はロシアのウクライナ侵攻などで売られる展開となり、直近は2000円前後で推移しています。

株価指標(2022年11月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
トヨタ7203198511.50.97

最近の株価は高値からは下落していますが、前期配当52円で計算すると配当利回りは2%半ばの水準です。

今期業績は減益見込みですがPER、PBRは市場平均並みで、現状のEPS173円で配当性向30%を計算すると約52円ですので、このままいけば今期も前期並みの配当は期待できそうです。

投資判断

今までの内容からトヨタ自動車の投資判断ですが、世界を代表する企業規模や業績を含め投資対象として検討したい銘柄です。

高配当株として考えた場合、現在の配当利回りは少し物足りない部分がありますが、今後の増配を期待して狙う事はアリの様な気もします。

という事でトヨタについては、今後の増配を期待して株価の調整局面があれば狙いたいというところです。

まとめ

今回は自己資本比率の高い高配当株を3銘柄検証しました。

冒頭でもお伝えした様に自己資本比率が高い事で経営の安定や倒産リスクの軽減、そして減配されにくいメリットについて検証しました。

今回検証したセンチュリー21・ジャパンや蔵王産業は、それぞれここ数年の間に減配した実績がありましたので、自己資本比率が高いだけで減配リスクが低いと判断する事は難しく、やはり業績や配当の推移、そして配当方針などをトータルでみていく事が大切だと改めて感じました。

しかし、自己資本比率が高い事は間違いなくメリットの1つではありますので、銘柄選定時にはチェックしてみる方が良いかと思います。

自己資本比率が高い3銘柄については、YouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

自己資本比率が高い高配当株3銘柄を検証

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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