今年の株式市場は歴史に残るほど強い相場でスタートしていたなか、3月はイランへの武力行使をきっかけに大きく売られる場面もありましたが、4月に入ると中東情勢も関係なく、日経平均は再度急騰して6万円の大台をあっさり突破しました。この辺りの動きは、ここ数年日本株の購入を続けていた外国人投資家の資金が改めて大量に流入している影響が大きく、実際4月は5兆円以上の買い越しと単月での過去最高額を記録しています。
ここまで買い越し額が大きくなると反動も懸念されますが、海外投資家が日本株を購入している理由については、従来からの割安感や日本企業の株主還元力が強化されている事に加え、長く続いたデフレから日本が脱却しつつある事なども理由として考えられますので、この流れはまだまだ続きそうな雰囲気です。実際、外国人投資家は一旦買い始めると同じ銘柄を継続して購入するケースも多いですので、今回はそんな外国人投資家の代表格であるブラックロックが、最近大量に購入していた6つの高配当株を検証していきます。
【1925】大和ハウス
最初の銘柄は大和ハウスで大阪が本社の住宅総合メーカーですが、住宅の他に商業施設や事業施設も手掛けています。また、アジアやオーストラリア、アメリカを中心に海外への進出も注力しており、直近の海外売上比率は16%程度まで増えている状況です。
そんななか、今年1月にブラックロックは保有割合が7.29%から8.48%に増加した事を報告しています。
直近決算
大和ハウスは5月13日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は3505億円と255億円の増益になっているなか、配当も25円増配の年間175円としています。
今期予測は通期最終利益を2270億円と1235億円の減益見込みにしていますが、配当は1円増配の年間176円予測で発表しています。
また、9月末での株式2分割も発表しています。
通期最終利益(億円)
| 銘柄名 | 大和ハウス |
| 2020年3月期 | 2336 |
| 2021年3月期 | 1950 |
| 2022年3月期 | 2252 |
| 2023年3月期 | 3083 |
| 2024年3月期 | 2987 |
| 2025年3月期 | 3250 |
| 2026年3月期 | 3505 |
| 2027年3月期(会社予想) | 2270 |
2020年からの通期最終利益について、概ね順調に増益が続いていますが、過去最高益を記録した2023年以降は3000億円前後で停滞傾向にもなっています。そんななか、2025年は開発物件売却の順調な進捗や米国戸建住宅事業の拡大などによって増益となり、前期も米国子会社における大型の土地売却益の寄与や賃貸住宅、商業施設・ホテル事業が順調に拡大した事で、再度過去最高益を更新していますが、今期は中東情勢の影響や前年にあった一時的要因の反動を考慮して、期初から3割以上の減益見込みで発表しています。
配当推移
| 銘柄名 | 大和ハウス |
| 2016年 | 80 |
| 2017年 | 92 |
| 2018年 | 107 |
| 2019年 | 114 |
| 2020年 | 115 |
| 2021年 | 116 |
| 2022年 | 126 |
| 2023年 | 130 |
| 2024年 | 143 |
| 2025年 | 150 |
| 2026年 | 175 |
| 2027年(会社予想) | 176 |
2017年からの配当推移について、減配はもちろん据え置きの年もなく順調に増配が続いており、コロナショックの影響を受けた2020年頃は増配幅が1円程度の年も続きましたが、増配は前期までで16年連続となっています。そんななか、2024年は13円、2025年も7円の増配と最近は増配幅も大きくなっており、前期も創業70周年の記念配当10円を含めて、合計25円の大幅増配となり、今期は普通配当だけで期初から1円の増配予測としています。
大和ハウスの配当方針は業績に連動した利益還元を行い、かつ安定的な配当の維持に努めるとしており、具体的な目安を連結当期純利益35%以上としています。
株主優待

大和ハウスの株主優待ですが、保有株数や保有継続年数によって全国の大和ハウスグループが運営するホテルやゴルフ場、ホームセンター、スポーツクラブなどの施設のほか、株主優待専用グルメギフトや社会貢献活動でも使用できる優待券がもらえます。そんななか、今回の株式2分割後でも100株以上の保有で優待がもらえる様に内容が拡充されています。
株価推移

株価は2023年春以降に上昇が続き、2024年1月には4718円まで上昇しましたが、8月の暴落では3633円まで下落しました。
しかし、その後は概ね堅調に推移して、今年2月には5805円まで上昇しましたが、直近は4500円前後まで下落しています。
株価指標(2026年5月21日時点)
| 銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
| 大和ハウス | 1925 | 4453 | 12.1 | 0.95 | 176 | 3.95 | 48.0 |
最近の株価は直近高値から下落しているなか、増配も継続していますが配当利回りは3%後半と高水準です。
今期は減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は48%付近となっています。
投資判断
今までの内容から大和ハウスの投資判断について、直近の業績は一過性要因の影響もあって過去最高益が続いていましたが、今期は中東情勢の影響や前年一時的要因の反動も見込んで期初から3割以上の大幅減益見込みで発表しています。その辺りを嫌気してか、決算後の株価も売られていますが、10年以上の連続増配も継続している事で利回りは4%付近まで上昇している状況です。
以上の点を踏まえると、今後の業績も増減を繰り返す可能性はありますが、9月には株式分割まで控えていますので、ブラックロックが更に買い増しても不思議では無いです。
【5108】ブリヂストン
2番目の銘柄はブリヂストンです。ブリヂストンは世界最大手のタイヤメーカーで、日本だけに限らず、アジアやアメリカ、ヨーロッパなど様々な国へ製品を販売しています。また、乗用車やトラック、二輪車、航空機など様々な車種や環境に対応するタイヤを開発しており、海外に150以上の生産開発拠点を展開しているなか、直近の海外売上比率も8割近くを占めるほど国際的な企業です。
そんななか、4月にブラックロックは保有割合が6.02%から7.03%に増加した事を報告しています。
直近決算
ブリヂストンは12月決算ですので、5月14日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は921億円と前年同期比163億円の増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因は、市販用新商品やマルチブランド戦略が貢献した事に加え、円安の追い風もあったためとの事です。
通期最終利益(億円)
| 銘柄名 | ブリヂストン |
| 2019年12月期 | 2401 |
| 2020年12月期 | -233 |
| 2021年12月期 | 3940 |
| 2022年12月期 | 3003 |
| 2023年12月期 | 3313 |
| 2024年12月期 | 2849 |
| 2025年12月期 | 3272 |
| 2026年12月期(会社予想) | 3400 |
2019年からの通期最終利益について、2020年はコロナショックの影響で赤字に転落していますが、2021年は各国での経済活動再開や新車不足に伴う中古車市場の活況で市販用タイヤ需要が堅調に推移した事に加え、円安の影響で一気に過去最高益の水準へV字回復しました。
その後は増減を繰り返していましたが、前期は米国関税影響などの事業環境変化に迅速に対応した事や再編・再構築によるコストの最適化が進んだ事で増益となっており、今期も市販用タイヤを中心に拡売を計画し、質を伴った成長ステージへ着実に移行するとして増益の予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は27%付近で推移していますが、例年の平均約34%は下回っている状況です。
配当推移
| 銘柄名 | ブリヂストン |
| 2016年 | 70 |
| 2017年 | 75 |
| 2018年 | 80 |
| 2019年 | 80 |
| 2020年 | 55 |
| 2021年 | 85 |
| 2022年 | 87.5 |
| 2023年 | 100 |
| 2024年 | 105 |
| 2025年 | 115 |
| 2026年(会社予想) | 125 |
2016年からの配当推移について、赤字に転落した2020年は大きく減配となっていますが、その後は概ね増配傾向となっています。そして、業績が回復した2021年はコロナ前を上回る水準へ大きく増配となっており、2024年も業績が低迷するなか5円の増配、前期は業績の回復や配当性向の引き上げもあって更に10円の増配、そして今期も期初から10円の増配予測で発表しています。
ブリヂストンの配当方針は当該期の業績、財政状態に加え、中期的な利益見通し、投資計画、キャッシュ・フロー等を総合的に勘案して、連結配当性向50%を目安に持続的な企業価値向上を通じて、安定的且つ継続的な配当額の向上に努めることを基本としています。
株価推移

2023年以降の株価は上昇傾向で2024年5月には3529円まで上昇しました。
しかし、去年4月の暴落では2556円まで値を下げ、そこからは反発して今年2月には3859円まで上昇しましたが、直近は3300円前後で推移しています。
株価指標(2026年5月21日時点)
| 銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
| ブリヂストン | 5108 | 3327 | 12.3 | 1.13 | 125 | 3.76 | 46.1 |
最近の株価は直近高値から下落しているなか、増配も続いていますので配当利回りは3%後半となっています。
今期も増益見込みですのでPERは市場平均より割安で、配当性向は46%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容からブリヂストンの投資判断について、前期はトランプ関税の影響があるなか増益となっており、今期も期初から更に増益予測で第1四半期も順調なスタートを切っています。この辺りは、去年行った構造改革の効果も出ている印象で、今期は更に質を伴った成長ステージへ着実に移行するとしているなか、中東地域への売上も約1.5%と直接的な影響は限定的としています。
以上の点に加え、順調に増配も継続していますので、直近の株価は停滞感が強くなっている事も含め、ブラックロックが4月に買い増している事も納得です。
【4183】三井化学
3番目の銘柄は三井化学で三井系の総合化学メーカーです。主力製品はエチレン・プロピレン、フェノール類、ペットボトル原料のPETペレット、衛生材料用不織布などとなっていますが、直近は半導体関連材料などの成長領域へ事業ポートフォリオの変革を進めているところです。
そんななか、今年4月にブラックロックは保有割合が4.15%から5.18%へ増加した事を報告しています。
直近決算
三井化学は5月13日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は343億円と21億円の増益になっていますが、配当は据え置きの年間75円としています。
今期予測は通期最終利益を450億円と107億円の増益見込みにしていますが、配当は据え置きの年間75円予測で発表しています。
通期最終利益(億円)
| 銘柄名 | 三井化学 |
| 2021年3月期 | 578 |
| 2022年3月期 | 1099 |
| 2023年3月期 | 829 |
| 2024年3月期 | 499 |
| 2025年3月期 | 322 |
| 2026年3月期 | 343 |
| 2027年3月期(会社予想) | 450 |
2021年からの通期最終利益を見ていきますが、2022年にコロナからの経済回復や商品市況上昇の影響で過去最高益を記録した後は、世界的需要の低迷による販売数量の減少や原材料費高騰で減益が続いていました。
ただ、前期は関税影響もあるなか、成長領域における増益やICTソリューションの販売数量が堅調に推移した事などにより久しぶりに増益となっており、今期も中東情勢による損失が想定されますが、成長領域の事業拡大や事業構造改善に加え、前期一過性要因の反動も期待できるとして、期初から3割程度の増益予測で発表しています。
配当推移
| 年 | 三井化学 |
| 2017年 | 35 |
| 2018年 | 45 |
| 2019年 | 50 |
| 2020年 | 50 |
| 2021年 | 50 |
| 2022年 | 60 |
| 2023年 | 60 |
| 2024年 | 70 |
| 2025年 | 75 |
| 2026年 | 75 |
| 2027年(会社予想) | 75 |
2017年からの配当推移について、据え置きが続く期間も長いですが、減配はなく、増配傾向となっています。実際、2024年も業績は減益でしたが10円の増配となっており、2025年も5円の増配となりましたが、その後は業績が増益に転じるなか据え置きが続いています。
三井化学の配当方針は資本効率向上と安定的かつ継続的な配当の実現としており、具体的な目安はDOE3.0%以上、総還元性向40%以上としています。
株価推移

株価は2023年以降上昇傾向で、2024年5月には2418円まで値を上げました。
しかし、その後は下落が続いて去年4月の暴落では1322円まで売られましたが、今年2月には再度2478円まで値を上げ、直近は2000円前後で推移しています。
株価指標(2026年5月21日時点)
| 銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
| 三井化学 | 4183 | 2038 | 16.4 | 0.85 | 75 | 3.68 | 60.2 |
最近の株価は直近高値から下落していますので、配当は据え置きが続いていますが配当利回りは3%半ばの水準です。
今期も増益見込みですがPERは市場平均並みで、配当性向は60%付近となっています。
投資判断
今までの内容から三井化学の投資判断について、ここ数年の業績は減益が続いていましたが、前期は久しぶりに増益となり、今期も期初から3割以上の増益予測で発表しています。直近業績が好調な要因は、成長領域の拡大や構造改善効果としていますので、今後に期待できる部分も大きいです。
以上の点を踏まえると、化学メーカーという事で、原油価格の高騰やナフサの供給不足問題の影響は大きく、予測通りに業績が進捗するかは、今後の懸念材料となりますが、今までの配当推移から減配リスクは低めですし、ブラックロックが買い増している事も気になります。
【4452】花王
4番目の銘柄は花王で、アタックなどでお馴染みの洗剤や石鹸、ボディソープなどのトイレタリー商品のほか、化粧品など普段の生活で使用する商品を製造、販売する日用品メーカーです。そんななか、4月にブラックロックは保有割合が8.06%から9.17%へ増加した事を報告しています。
また、6月末に株式の2分割を予定しています。
直近決算
花王は12月決算ですので、5月12日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は309億円と前年同期比81億円の増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因は、海外事業において、アジア化粧品や米州ヘルスビューティケアなどが好調に推移した事に加え、土地売却による利益もあったためとの事です。
通期最終利益(億円)
| 銘柄名 | 花王 |
| 2019年12月期 | 1482 |
| 2020年12月期 | 1261 |
| 2021年12月期 | 1096 |
| 2022年12月期 | 860 |
| 2023年12月期 | 438 |
| 2024年12月期 | 1077 |
| 2025年12月期 | 1200 |
| 2026年12月期(会社予想) | 1300 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナ感染が拡大した2020年頃は化粧品のインバウンド需要消滅、その後は原材料費高騰などの影響で2023年までは減益が続いていました。しかし、2024年以降は高付加価値製品の拡大や価値の価格転嫁によって稼ぐ力が確実に向上した事に加え、構造改革効果及びコスト管理の徹底により販管費を抑制できた影響などで増益が続いており、今期も好調な流れは継続見込みとして更に増益の予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率も24%付近と順調なスタートを切っています。
配当推移
| 銘柄名 | 花王 |
| 2016年 | 94 |
| 2017年 | 110 |
| 2018年 | 120 |
| 2019年 | 130 |
| 2020年 | 140 |
| 2021年 | 144 |
| 2022年 | 148 |
| 2023年 | 150 |
| 2024年 | 152 |
| 2025年 | 154 |
| 2026年(会社予想) | 156 |
2016年からの配当推移について、低迷していた業績とは関係なく増配が続いており、配当性向が100%を超える年もありましたが、前期までで36期連続増配の日本記録を更新中です。そんななか、最近の増配幅は2円刻みと、そこまで大きい訳ではありませんが、安定 した増配を継続しており、今期も期初から2円の増配予測で発表しています。
花王の配当方針は、安定的・継続的な配当の実施を通じた利益還元を重視する方針です。
株価推移

株価は2020年6月に9000円を超える場面もありましたが、そこからは右肩下がりの状況でした。
しかし、2022年3月に4663円まで値を下げた後は上昇傾向となり、2024年9月には7273円まで値を上げましたが、その後は上下を繰り返し直近は6000円前後で推移しています。
株価指標(2026年5月21日時点)
| 銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
| 花王 | 4452 | 5934 | 20.6 | 2.50 | 156 | 2.63 | 54.3 |
最近の株価は低迷しているなか、日本トップとなる連続増配は続いていますが配当利回りは2%半ばの水準です。
今期も増益見込みですがPER、PBRは市場平均より割高で、配当性向は54%付近となっています。
投資判断
今までの内容から花王の投資判断ですが、ここ数年の業績はコロナ渦や原材料高騰の影響などで減益が続いており、配当性向が100%を超える年もありましたので、日本トップの連続増配記録が途絶える事も懸念されていました。ただ、その様な逆境でも意地の増配を続けた株主還元力は驚異的で、直近は構造改革や価格改定の効果もあって業績も増益に転じており、今期も順調なスタートを切っています。
以上の点を踏まえると、中東情勢の緊迫化を背景にした原料価格の高騰は懸念事項ですが、6月末には株式分割も控えていますので、4月にブラックロックが買い増している事も納得です。
【2503】キリンHD
5番目の銘柄はキリンHDでキリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリングループの持株会社です。酒類や清涼飲料水事業の他、医薬品・ヘルスサイエンス製品をグローバルに展開しており、直近の海外売上比率はアメリカを中心に5割に迫る水準まで拡大しています。
そんななか、3月にブラックロックは保有割合が6.1%から7.64%に増加した事を報告しています。
直近決算
キリンHDは12月決算ですので5月14日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は270億円と前年同期比27億円の増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因は、各事業の順調な進捗や協和キリンにおける売上総利益の増加も大きく貢献したためとの事です。
通期最終利益(億円)
| 銘柄名 | キリン |
| 2019年12月期 | 596 |
| 2020年12月期 | 719 |
| 2021年12月期 | 597 |
| 2022年12月期 | 1110 |
| 2023年12月期 | 1126 |
| 2024年12月期 | 582 |
| 2025年12月期 | 1475 |
| 2026年12月期(会社予想) | 1560 |
2019年からの通期最終利益について、2020年頃はコロナショックやミャンマー事業の落ち込みで低迷が続きましたが、2022年以降は原材料費高騰の影響を受けつつもコロナからの経済回復による酒類事業の回復や価格改定に加え、円安の追い風もあった事で大きく増益となりました。
そんななか、2024年はヘルスサイエンス事業の成長に向けた基盤を整えるために事業構造改革費用などを計上した事で大きく減益となりましたが、前期は前年の反動や各事業の順調な進捗に加え、前年に買収したFANCLの年初からの寄与があった事で大きく増益になっており、今期も好調な流れは続く見込みとして更に増益の予測にしているなか、第1四半期も前期比1割程度の増益と順調なスタートを切っています。
配当推移
| 銘柄名 | キリン |
| 2016年 | 39 |
| 2017年 | 46 |
| 2018年 | 51 |
| 2019年 | 64 |
| 2020年 | 65 |
| 2021年 | 65 |
| 2022年 | 69 |
| 2023年 | 71 |
| 2024年 | 71 |
| 2025年 | 74 |
| 2026年(会社予想) | 76 |
2016年からの配当推移について、2019年までは順調に増配が続いていましたが、業績が低迷した2020年以降は60円台で停滞が続きました。しかし、2022年は業績の回復に伴い久しぶりに4円の増配となっており、2023年も2円の増配となった事で70円の大台に乗せ、前期も3円の増配だったなか、今期も期初から2円の増配予測で発表しています。
キリンHDの配当方針はDOE5%以上を目安にしており、前期から累進配当も導入しています。
株主優待

キリンHDの株主優待について、2024年の年末より継続保有の条件が最低1年以上に変更されていますが、もらえる商品はキリンビールやキリンビバレッジの清涼飲料水に加え、メルシャンのワインなどから選べます。
株価推移

2021年頃からの株価は2000円を挟んだ水準で停滞していました。
実際、去年4月の暴落でも1961円までしか下げませんでしたが、今年に入ると上昇傾向で直近は2750円前後で推移しています。
株価指標(2026年5月21日時点)
| 銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
| キリン | 2503 | 2771 | 14.3 | 1.69 | 76 | 2.74 | 39.1 |
最近の株価はここ数年の高値圏まで上昇していますので、増配は続いていますが配当利回りは2%後半の水準です。
今期も増益見込みですのでPERは市場平均より割安で、配当性向は39%付近となっています。
投資判断
今までの内容からキリンHDの投資判断について、最近の業績は好調に推移しており、配当も順調に増配傾向ですが、ここ数年の株価は全体の強さも関係なく停滞していました。ただ、直近は日経平均の乱高下とは関係なく上昇が続いており、雰囲気も変わってきています。
ただ、それでも今までの上げ幅は他の高配当株と比較して控えめですし、直近ではブラックロックも買い増していますので、株価はようやくスタートラインに立ったレベルなのかもしれません。
【4503】アステラス製薬
最後の銘柄はアステラス製薬で国内大手の医薬品メーカーとなっており、主要製品には前立腺がん治療薬の「イクスタンジ」や尿路上皮がん向け治療薬の「パドセブ」などがあります。また、海外医薬品企業の買収などM&Aも含め企業規模の拡大を目指しており、直近の海外売上比率はアメリカを中心に8割を超えている状況です。
そんななか、今年1月にブラックロックは保有割合が8.51%から9.54%へ増加した事を報告しています。
直近決算
アステラス製薬は4月27日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は2915億円と2408億円の増益になっているなか、配当も4円増配の年間78円としています。
今期予測は通期最終利益を3000億円と85億円の増益見込みにしているなか、配当も2円増配の年間80円予測で発表しています。
通期最終利益(億円)
| 銘柄名 | アステラス製薬 |
| 2019年3月期 | 2222 |
| 2020年3月期 | 1954 |
| 2021年3月期 | 1205 |
| 2022年3月期 | 1240 |
| 2023年3月期 | 987 |
| 2024年3月期 | 170 |
| 2025年3月期 | 507 |
| 2026年3月期 | 2915 |
| 2027年3月期(会社予想) | 3000 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、2024年までは開発を進めていた新薬の開発中止に伴う減損損失が発生した事や研究開発費の増加に加え、アメリカで発売している心機能検査補助剤レキスキャンの売上が後発品の影響により減少した事などで減益が続いていました。
しかし、前期は眼疾患治療薬「アイザーヴェイ」や尿路上皮がん向け治療薬「パドセブ」などの重点戦略製品の売上が大きく拡大した事で過去最高益の水準へV字回復しており、今期も引き続き力強い成長が見込めるとして、期初から更に増益の予測で発表しています。
配当推移
| 銘柄名 | アステラス製薬 |
| 2017年 | 34 |
| 2018年 | 36 |
| 2019年 | 38 |
| 2020年 | 40 |
| 2021年 | 42 |
| 2022年 | 50 |
| 2023年 | 60 |
| 2024年 | 70 |
| 2025年 | 74 |
| 2026年 | 78 |
| 2027年(会社予想) | 80 |
2017年からの配当推移を見ていきますが、業績が低迷していた時期でも減配はなく、順調に増配が続いています。実際、2024年の業績は大幅減益でしたが10円の大幅増配となっており、その後は4円の増配が続いていたなか、今期業績は過去最高益の見込みですが、配当は現状2円の増配予測としています。
アステラス製薬の配当方針は、成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努める方針です。
株価推移

株価は2023年5月に2360円まで上昇した後は、低迷する業績と連動して下落が続きました。
そして、去年4月の暴落では1243円まで売られましたが、その後は急騰して先月には2717円まで上昇しましたが、直近は2300円前後で推移しています。
株価指標(2026年5月21日時点)
| 銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
| アステラス製薬 | 4503 | 2278 | 13.6 | 2.23 | 80 | 3.51 | 47.8 |
最近の株価は直近高値から下落しているなか、増配も継続していますので配当利回りは3%半ばの水準です。
今期も過去最高益の見込みですのでPERは市場平均より割安で、配当性向は48%付近となっています。
投資判断
今までの内容からアステラス製薬の投資判断について、ここ数年の業績は減益が続いていましたが、前期は過去最高益の水準へV字回復しており、今期も更に増益の予測で発表しています。最近の好調な業績と連動して、長く低迷していた株価も去年後半からは上昇に転じており、先月には上場来の高値を更新する場面もありましたが、決算後の株価は低迷しています。
正直、これだけの好決算で売られる理由は分かりませんが、敢えて探すなら既に株価が大きく上昇していた反動や今期の配当が最近の中では控えめな2円の増配予測だった点なども挙げられるかと思います。ただ、最近の業績が好調な要因は、重点戦略製品の売上が伸びている事や販管費率の改善としており、来週26日(火)に発表する次期中期経営計画では、「これまで築きあげてきたものを基盤として、持続的な成長を実現する姿を示したい」と表明していますので、内容次第では再度ブラックロックが買い増す可能性もありそうです。
まとめ
今回はここ数年の日本株が大きく上昇した要因の1つとして挙げられている外国人投資家の買い越し状況を踏まえ、代表格のブラックロックが大量購入していた6つの高配当株を検証しました。最近の日本市場には海外投資家からの注目が集まっており、特にブラックロックは資産規模からも大きな影響力がありますが、海外の機関投資家は1度購入した銘柄を度々買い増す傾向があります。
その様な点も含め、中東情勢が落ち着けば、これまで購入していた銘柄を含め、日本株を更に買い増す可能性は高そうですので、今の様な相場では冷静に銘柄を見極める事が大切です。
世界最大の機関投資家が最近大量に購入していた6銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。






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