増配発表が連発している電力株は『高配当銘柄』として投資可能か検証

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銘柄検証

株式投資において『絶対』という言葉は禁句になっていますが、個人的には株式投資に限らず人生において『絶対』は禁句だと思っています。特に最近はネット社会の発達によって、どんな大企業でも不祥事や事故などで徹底的に叩かれ、淘汰されてしまうケースも目立ちます。

そんななか、以前は電力株も高配当株として絶対的な存在でしたが、東日本大震災以降は状況が一変してしまいました。しかし、最近の決算では電力株の増配発表が相次ぎましたので、今回は電力株が再び高配当株として投資可能か検証していきます。

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電力株の過去と現在

まずは、電力株の過去と現在からまとめていきますが、先ほどもお伝えした様に私が証券会社で働いていた約20年前、高配当株といえば電力株が主役でした。安定した業績や株価に加え、高水準な配当と中長期で保有する高配当株投資だけでなく、就職先としても人気だったかと思います。

しかし、東日本大震災での原発事故以降、その図式は大きく変化しています。

実際、福島第一原発を抱える東京電力は2011年以降に配当を実施していませんし、その他の電力会社も原発が稼働できなくなり、代替の火力発電などで発電コストが増したため業績が低迷した事で減配や無配に陥りました。

また、電気は生活に欠かせない存在ですし、他業種からの新規参入もできないため安泰と言われていましたが、2016年の電力小売自由化よりライバルの数も増えている状況です。

以上の様に、かつて絶対的な優良高配当株だった電力株のここ十数年は、非常に厳しい状況が続きました。

電力各社の配当推移

銘柄名東京電力中部電力関西電力中国電力北陸電力東北電力四国電力九州電力北海道電力沖縄電力
2016年0250505025205560
2017年030255035352015560
2018年03535500403020560
2019年045505004030301060
2020年0505050104030351060
2021年0505050154030351060
2022年0505050103530402060
2023年050500000000
2024年05550357.51530252010
2025年
(会社予想)
0606010153040502020

という事で、続いてはそんな電力株の2016年からの配当推移を表にまとめていますが、同じ電力株でも銘柄によってかなり差がある事が分かるかと思います。東京電力は震災以降無配の状況が続いており、その他の銘柄も2023年に業績低迷から無配に転落した銘柄が増えています。

配当推移だけを見ると中部電力や関西電力が安定している様に見えますが、関西電力の配当利回りは現状2%台前半と高配当株と呼ぶには寂しい水準です。

ただ、今期予測をみていくと、かなりの銘柄が増配見込みで発表していますので、ここからは今期増配で発表した銘柄の中から、配当利回りも2%後半で推移している3銘柄を個別に検証していきます。

【9502】中部電力

最初の銘柄は中部電力で愛知県が本社の電力会社です。2020年に電気、ガスの販売事業を中部電力ミライズに移管し、送配電事業は中部電力パワーグリッドに移管しています。

また、再生エネルギー事業の拡大を目指すなか、M&Aにより海外展開も進めています。そして、浜岡原発3基を抱えていますが、現状はいずれも停止中となっている状況です。

直近決算

中部電力は4月26日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は4031億円と3649億円の増益となっているなか、配当は5円増配の年間55円としています。

今期予測は通期最終利益が1700億円と2331億円の減益見込みにしていますが、配当は5円増配の年間60円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名中部電力
2021年3月期1472
2022年3月期-430
2023年3月期382
2024年3月期4031
2025年3月期(会社予想)1700

2021年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっており、2022年に赤字に転落している要因は、電源調達コストの増加や収益認識に関する会計基準適用の影響としています。

前期は期ずれ差益が発生した事やミライズの電源調達価格の低下に加え、パワーグリッドにおける需給調整にかかる費用減少などの影響で過去最高益の水準へ大きく増益となっていますが、今期はその反動で減益の見込みにしています。

配当推移

銘柄名中部電力
2016年25
2017年30
2018年35
2019年45
2020年50
2021年50
2022年50
2023年50
2024年55
2025年(会社予想)60

2016年からの配当推移について、2020年以降は50円で据え置きの期間が続きましたが、前期は業績好調により久しぶりに5円の増配となっています。そして、今期も業績は減益見込みですが、配当は5円増配の予測で発表しています。

中部電力の配当方針は安定的な配当の継続を基本としながら、利益の成長を踏まえた還元に務めるとしており、具体的な目安を連結配当性向30%以上としています。

株価推移

株価は2022年2月に1113円まで売られた後は、上下を繰り返しながらも上昇傾向です。

特に2023年以降は上昇ペースが加速しましたが、最近は2000円前後で停滞が続いています。

株価指標(2024年5月24日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
中部電力950220269.00.59602.9626.7

最近の株価はここ数年の高値圏で停滞しているなか、増配が続いていますので配当利回りは3%前後まで上昇しています。今期業績は減益見込みすがPER、PBRは市場平均よりも割安で、配当性向は27%付近と余裕を感じる水準です。

投資判断

今までの内容から中部電力の投資判断について、業績は電源調達価格などによって大きく増減する展開が続いていますが、配当推移には安定感があり、赤字に転落した2022年や他の電力会社が無配に転落した2023年も安定配当を維持しています。

そんななか、現状の配当性向にも余裕があり、配当利回りも3%前後と電力株の中でトップクラスです。

以上の点に加え、海外展開も含めて再生可能エネルギーの拡大を目指している事を踏まえると、最初の銘柄ですが電力株を狙うなら中部電力で良い様な気がしてきます。

【9507】四国電力

2番目の銘柄は四国電力で香川県が本社の電力会社です。発電所が瀬戸内側に集中しており、原子力と石炭火力の比率が大きくなっているなか、伊方原発3号機は2022年から稼働を再開しています。

また、情報通信など電力以外への事業多角化も推進しています。

直近決算

四国電力は4月26日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は605億円と黒字転換しているなか、配当は無配から30円増配の年間30円としています。

今期予測は通期最終利益が360億円と245億円の減益見込みにしていますが、配当は10円増配の年間40円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名四国電力
2021年3月期29
2022年3月期-62
2023年3月期-228
2024年3月期605
2025年3月期(会社予想)360

2021年からの通期最終利益を見ていきますが、やはり増減が大きくなっており、2023年頃は赤字に転落しています。2023年赤字転落の要因は、伊方発電所3号機の稼働増はありましたが、燃料価格の高騰などにより需給関連費が大幅に増加したためとの事です。

前期は収入単価の上昇や火力単価の減少に加え、海外事業損失の反動があった影響で過去最高益の水準へ増益となっていますが、今期は前期の反動で大きく減益の予測になっています。

配当推移

銘柄名四国電力
2016年20
2017年20
2018年30
2019年30
2020年30
2021年30
2022年30
2023年0
2024年30
2025年(会社予想)40

2016年からの配当推移について、2022年までは30円付近で安定感がありましたが、2023年は業績悪化により無配に転落しています。しかし、前期はすぐに元の水準へ復配しており、更に今期は久しぶりに10円の増配見込みになっています。

四国電力の配当方針は安定的な配当の実施を株主還元の基本とし、業績水準や財務状況、中長期的な事業環境などを総合的に勘案し、まずは1株当たり配当額50円の実現を目指すとしています。

株価推移

株価はコロナショックで691円まで売られた後も、700円前後で停滞する時期が続きました。しかし、2023年からは上昇に転じ、直近は1400円前後で推移しています。

株価指標(2024年5月24日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
四国電力950714208.10.81402.8222.9

最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、今期配当は増配見込みですので配当利回りは2%後半となっています。

今期業績は減益増益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は23%付近と余裕のある水準です。

投資判断

今までの内容から四国電力の投資判断ですが、業績は中部電力同様に増減が激しくなっているなか、業績悪化が要因とは言え2023年に無配転落している点はマイナスの印象です。高配当株投資は中長期保有が基本ですので多少の減配は仕方が無いとしても、一気に無配となった過去があると、今後業績が悪化した時の配当額に警戒感が高まります。

ただ、現状の配当性向には余裕があり、配当方針で目標としている年間50円までは後10円となっていますので、この辺りに期待感が持てるのならば狙っても良いのかもしれません。

【9508】九州電力

3番目の銘柄は九州電力で福岡県が本社の電力会社です。九州管内の電気を発電しているなか、世界的な脱炭素の流れを受け、海外事業も含めて再生可能エネルギーの拡充を目指しています。

また、原子力発電所は玄海と薩摩川内に2基ずつ保有していますが、いずれも再稼働している状況です。

直近決算

九州電力は4月30日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は1664億円と黒字転換しているなか、配当は無配から25円増配の年間25円としています。

今期予測は通期最終利益が800億円と844億円の減益見込みにしていますが、配当は25円増配の年間50円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名九州電力
2021年3月期318
2022年3月期68
2023年3月期-564
2024年3月期1664
2025年3月期(会社予想)800

2021年からの通期最終利益を見ていきますが、他の電力会社同様に増減が激しくなっており、2023年は燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ差損が発生した事や原子力発電所の稼働減により燃料費が増加した事などを要因に赤字に転落しています。

しかし、前期は燃料費調整の期ずれが差益に転じた事や原子力発電所の稼働増により燃料費が減少した影響で過去最高益の水準へ大幅増益となりましたが、今期は再び反動で減益の予測になっています。

配当推移

銘柄名九州電力
2016年5
2017年15
2018年20
2019年30
2020年35
2021年35
2022年40
2023年0
2024年25
2025年(会社予想)50

2016年からの配当推移について、2022年までは順調に増配が続いていましたが、2023年は赤字転落から一気に無配に転落しています。前期は過去最高益の水準へ大幅増益となりましたが、配当は25円の増配に留まっており、今期は減益見込みですが更に25円増配の年間50円予測としている事で、以前の配当額を超える水準になっています。

九州電力の配当方針は、2025年度までに可能な限り早期の50円配当を目指しており、2025年度以降は安定配当を基本としつつ、まずは50円配当の維持に努めるとしています。

株価推移

株価はコロナショックで686円まで下落しましたが、その後は約1年で1149円まで急速に反発しました。

その後は再び675円まで下落する場面がありましたが、去年春以降は上昇に転じ、直近は1750円前後で推移しています。

株価指標(2024年5月24日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
九州電力9508176011.21.21502.8431.9

最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、配当も増配が続いていますので配当利回りは2%後半まで上昇しています。

今期業績は減益見込みですがPERは市場平均よりも割安で、配当性向は32%付近と余裕ある水準です。

投資判断

今までの内容から九州電力の投資判断について、業績に関しては他の電力株同様に増減が激しいなか、やはり2023年に無配に転落している点が気にはなります。ただ、九州電力は原発4基を再稼働しており、現時点において収益の部分では大きな追い風になっている印象です。

また、九州エリアは半導体工場の投資計画が増加している事で今後の電力需要増加が見込まれるとしていますので、配当方針をみていると年間50円配当からの増配は厳しそうな雰囲気ですが、現状の配当水準でも良いと思えれば、面白い銘柄かもしれません。

【9513】Jパワー

最後は同じく発電を手掛けているJパワーを検証していきます。Jパワーは日本最大の卸電気事業会社で、現在全国約100ヶ所の発電所で水力、風力、地熱、再生可能エネルギー、石炭火力など様々なエネルギーを利用して発電し、作った電力を各地域の電力会社などへ販売しています。

直近決算

Jパワーは5月9日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は777億円と359億円の減益となっていますが、配当は10円増配の年間100円としています。

今期予測は通期最終利益が420億円と357億円の減益見込みにしていますが、配当は据え置きの年間100円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名Jパワー
2019年3月期462
2020年3月期422
2021年3月期223
2022年3月期696
2023年3月期1136
2024年3月期777
2025年3月期(会社予想)420

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、変動が大きくなっているなか、特に2021年は大きく減益となっており、要因は電力価格高騰を受けてJEPXなどから電力を購入して販売している子会社で大幅な損失が発生したためです。

その後、2023年にかけては電力販売価格や石炭価格の上昇を背景に過去最高益の水準へ大きく伸びましたが、前期は販売電力量の減少や海外事業での電力販売価格低下に加え、火力発電所の設備トラブル影響などで減益となっています。

そして、今期も火力発電所の設備トラブルや豪州炭鉱権益保有子会社の減益に加え、前期一過性利益の反動減などから減益見込みにしています。

配当推移

銘柄名Jパワー
2015年70
2016年70
2017年70
2018年75
2019年75
2020年75
2021年75
2022年75
2023年90
2024年100
2025年(会社予想)100

2015年からの配当推移について、数年前までは75円で変わりありませんでしたが、2023年以降は増配が続いています。前期も業績は減益でしたが10円の増配を行っており、今期は現状据え置きの予測となっています。

Jパワーの配当方針は、短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30% 程度を目安に利益水準、業績見通し、財務状況などを踏まえた上で、安定的かつ継続的な還元充実に努める方針で、下限は年間100円としています。

株価推移

株価は2015年に4690円の高値を付けましたが、そこからは下落が続き2020年には1352円まで売られました。

その後は反発し、2022年以降は2000円から2500円付近での値動きが中心となっているなか、直近は2550円前後で推移しています。

株価指標(2024年5月24日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
Jパワー9513255411.10.381003.9243.5

直近の株価はボックス圏の上限付近で推移していますが、最近は増配傾向ですので配当利回りは4%前後と高水準です。

今期業績は大きく減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は44%付近と目安の水準を10%程度上回っている状況です。

投資判断

今までの内容からJパワーの投資判断について、業績が電力の販売価格や発電所の設備トラブル影響により大きく増減を繰り返している事は懸念事項ですが、その様な状況でも配当推移には安定感があり、現状の水準を下限として示してくれている点は安心材料です。

そんななか、直近の株価は最近の高値圏で推移していますが数年前と比較するとまだまだ半値程度の水準で、現状の配当利回りも4%前後と高水準ですので、高配当株として気になる銘柄です。

まとめ

今回は、昔高配当株として絶対的な人気を誇っていた電力株が今でも高配当株として購入可能か検証しました。原発や電力の小売自由化などの問題で業績や配当推移が大きく増減していた電力株ですが、銘柄によっては多少落ち着きを取り戻している印象です。特に配当については、直近の配当推移や配当方針から今後に期待できそうな銘柄もありました。

ただ、現状の配当利回りは高くても2%後半程度の水準ですので、最後に検証したJパワーや他業種の高配当株と比較すると物足りない水準です。

以上の点を踏まえると、今の株式市場には電力株よりも業績や配当推移が安定しているなか、配当利回りも高い優良高配当株が増えていますので、最優先で電力株を狙う必要はなさそうに感じますが、ポートフォリオの業種を分散させる目的ならば購入する価値はある様に思いました。

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