株価が乱高下するなか、衝撃的な決算を発表した高配当株

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銘柄検証

8月の日経平均は5日月曜日に史上最大の下げ幅を記録したあと、翌日には史上最大の上げ幅を記録するなど乱高下が激しくなっています。これだけ相場全体の変動が激しいと売買の判断がより一層難しくなりますが、高配当株投資は優良企業の株価が安い場面を愚直に買い続ける事が1番大切です。

という事で今回は、優良高配当株を見極めるためにも先週8月6日(火)から8月8日(木)までに発表された決算の中から、保有銘柄を中心に良くも悪くも特に気になった銘柄を検証していきます。

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8月6日(火)

まずは、日経平均が史上最大の上げ幅を記録した8月6日からソフトバンク、東京海上、キリン、ニッスイ、みずほリースの5銘柄を見ていきます。

【9434】ソフトバンク

8月6日決算発表最初の銘柄は通信会社のソフトバンクで、NTT、KDDIと並ぶ大手通信会社です。前期は減益となりましたが、ヤフー・LINE事業は引き続き好調を維持しており、通信料収入の落ち込みにも反転の兆しが見えているなか、今期は増益見込みで発表していますので、順調なスタートが切れているのか注目でした。

直近決算

ソフトバンクは8月6日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は1625億円と前年同期比158億円の増益となりましたが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、モバイル売上高が増収基調を維持している事やPayPayが四半期ベースで初の黒字化を達成するなど、全領域で増益を達成したためとしています。

直近決算の感想

決算の感想ですが、主力のモバイル事業がスマートフォンの契約数が伸びている事もあり増益となっているなか、赤字が続いていたファイナンス事業もPayPayを連結してから初の黒字化を達成していますので文句のない決算だったかと思います。通信会社は第4四半期に調整が入る事で例年第1四半期時点の通期進捗率が30%前後と高めになる傾向がありますが、ソフトバンクの今期は32.5%と数字の部分でも順調なスタートを切っています。

【8766】東京海上HD

2番目の銘柄は東京海上HDで東京海上日動火災保険や日新火災海上などを傘下にしている保険持株会社です。最近の業績は海外保険事業の伸長や保有株式売却の影響で好調に推移しており、前期は前年比約2倍の大幅増益、今期も25%程度の増益見込みで発表していましたので、好調な状況が続いているのか注目でした。

直近決算

東京海上HDは8月6日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は1973億円と前年同期比694億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、政策保有株式の売却益や北米などの海外事業収益が寄与したためとの事です。

直近決算の感想

決算の感想について、期待通り第1四半期から前期比大幅増益の決算となりました。今期は前期大幅増益からの更なる増益見込みという事もあり、通期進捗率は23%付近に留まっていますが、政策株式の売却益や海外事業は年初計画を上回るペースになっているとの事です。

以上の点に加え、自然災害の本格シーズン前であることなども総合的に勘案し、 通期予想は⾒直さないとしていますので、状況次第では更なる上方修正も期待できそうです。

【2503】キリンHD

3番目の銘柄はキリンHDです。キリンHDは、キリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリングループの持株会社で12月決算のため、今回第2四半期決算を発表しています。

最近の業績はコロナからの経済回復やミャンマー市場からの撤退で増益が続いており、今期も16%程度の増益見込みとしていたなか、第1四半期時点の通期進捗率は20%弱のスタートでしたので、今回の決算で50%程度まで持って来れているのか注目でした。

直近決算

キリンHDは8月6日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は572億円と前年同期比253億円の増益となっているなか、通期最終利益を170億円下方修正していますが、年間配当予測に変更はありません。

業績下方修正の要因は、各事業における売上収益の拡大や為替影響により、事業利益は大幅増益を達成していますが、海外事業会社の資本構成の見直しに伴う課税所得の発生により、法人所得税費用が増加したためとの事です。

直近決算の感想

決算の感想ですが、本業は順調に推移しているなか、課税所得の発生という一時的要因ではありますが、通期見通しの下方修正は残念な結果です。ただ、好調な業績を裏付ける様に通期の売上予測は上方修正しており、また下方修正後でも依然増益予測を維持しているなか、通期進捗率も50%程度となっています。

以上の点の加え、今回の決算で株主優待制度の変更を発表しており、3年以上の継続保有で、より充実した優待品がもらえる様になりましたので、引き続き保有したいです。

【1332】ニッスイ

4番目の銘柄はニッスイで、水産品の加工や物流を手掛ける大手水産メーカーです。最近の業績はコロナからの経済回復や円安の追い風もあって過去最高益が続いており、今期もわずかですが増益の予測にしていますので、好調が維持できているのか注目でした。

直近決算

ニッスイは8月6日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は52億円と前年同期比7億円の減益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比減益の要因は、昨年からの食品の好調や水産商事の回復、為替の影響もあり売上は増収ですが、前年にあった政策保有株式売却の反動としています。

直近決算の感想

決算の感想について、微増益の予測にしている通期最終利益に対して進捗率は22%付近に留まっていますが、要因は前年の政策保有株式売却の反動ですので、そこまで心配する必要はないかと思います。

実際、売上は四半期ベースで過去最高を記録しており、また、水産市況は調整局面が落ち着き上昇に転じる魚種も出始めたとしている事や政策保有株式も第2四半期以降に売却予定としていますので、今後の巻き返しに期待したいです。

【8425】みずほリース

5番目の銘柄はみずほリースで情報関連、産業・工作機械などの国内機器、不動産、ファイナンス・投資、海外・航空機・船舶など幅広いリースビジネスを国内外で展開しています。

最近の業績は過去最高益が続いているなか、今期も更に増益の予測にしていますので、順調なスタートが切れているのか注目でした。

直近決算

みずほリースは8月6日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は97億円と前年同期比29億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、営業資産の増加をベースとした収益の増加に加え、インドのリース会社(Rent Alpha)や2024年4月に資本業務提携したジェコスの収益貢献などの影響としています。

直近決算の感想

決算の感想について、今期も大幅増益見込みにしている影響もあり通期進捗率は25%付近と例年の水準に留まっていますが、買収した企業の収益貢献などを要因に第1四半期は前期比4割以上増益の好スタートになっています。

そんななか、国内リース事業や不動産・環境エネルギー事業に加え、ファイナンス・投資事業も着実に営業資産を積上げて増益基調としていますので、今後も期待できそうです。

8月7日(水)

続いては8月7日に決算発表を行った銘柄の中からNTT、ホンダ、大和ハウス、ジャックス、スカパー、宮地エンジニアリングと個人投資家の人気も高い銘柄を検証していきます。

【9432】NTT

8月7日決算発表最初の銘柄はNTTです。最近の業績は順調に増益が続いていましたが、今期見込みは2027年度の新中期目標達成に向けて成長分野の拡大やコスト構造改革に積極的に取組んでいくとして、減益見込みで発表しました。

その辺りの影響もあり、最近の株価は低迷が続いていますので、業績に持ち直しの動きが見られるのか注目でした。

直近決算

NTTは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は2741億円と前年同期比1016億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比減益の要因は、携帯電話の通信収入減や固定電話事業の不振に加え、量販店での販売強化費増加などの影響としています。

直近決算の感想

決算の感想について、減益見込みにしている通期予測通りに第1四半期は前期比約27%の大幅減益スタートとなりました。通期進捗率だけを見ると25%付近と目安をクリアしている様に見えますが、例年の平均は約30%ですので厳しい状況である事は間違いありません。以上の点を踏まえると、同時に発表した上限2000億円の自社株買いが唯一のプラス材料ですが、株価は暫く低迷するかもしれません。

【7268】ホンダ

2銘柄目はホンダで日本を代表する輸送機器メーカーです。前期業績は四輪販売台数の増加や商品価値向上に見合う値付けに加え、円安影響などで過去最高益を記録していますが、今期は厳しい市場環境を想定し減益見込みで発表しています。また、最近は認証不正の問題でも話題になっていましたので、その辺りが業績に影響しているのか注目でした。

直近決算

ホンダは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は3946億円と前年同期比316億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、二輪車の販売増やアメリカでのハイブリット車販売好調に加え、円安影響としています。

直近決算の感想

決算の感想について、好調な二輪車、ハイブリット車販売に円安の追い風も加わり、通期進捗率は39%とかなりのロケットスタートになっています。ただ、中国市場の低迷を理由に新車販売計画を下方修正しており、また最近急速に進んでいる円高も懸念事項です。

以上の点を踏まえると、好調な第1四半期決算でしたが、上方修正しなかった事も理解できます。

【1925】大和ハウス

3番目の銘柄は大和ハウスで大阪が本社の住宅総合メーカーです。今期業績は前期に実施した大和リゾートの株式譲渡とホテルの売却や大和ハウスリートの投資口売却、政策保有株式売却益の減少などを要因に2割程度の減益見込みにしていましたので、持ち直しの兆しがあるのか注目でした。

直近決算

大和ハウスは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は913億円と前年同期比313億円の増益となっているなか、通期最終利益を230億円上方修正していますが、年間配当見込みに変更はありません。

業績上方修正の要因は、米国戸建住宅事業が順調に進捗している事やマンション事業も売却が順調に進捗している事に加え、販売価格上昇の影響などとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、本業が順調に推移しているなかではありますが、第1四半期から通期見通しの上方修正を発表した事は衝撃的でした。上方修正後でも今期減益見込みに変わりはありませんが、通期進捗率は35%付近で推移していますので、今後の更なる上方修正も期待できそうです。

以上の点を踏まえると、上限1000億円の自社株買いを同時に発表した事も含め、文句のない決算だったかと思います。

【8584】ジャックス

4番目の銘柄はジャックスです。ジャックスはオートローンなどのクレジット事業や一括・分割ショッピングのクレジットカード・ペイメント事業などを手掛けており、最近の業績は数年前の2倍以上に増えています。

しかし、今期は一部の加盟店で利上げなどの事業改革を行った影響でクレジット事業の取扱高が減速する見込みな事や海外事業の厳しい事業環境に加え、貸倒関連費用の増加などで減益見込みとしていましたので、巻き返しの兆しがあるのか注目でした。

直近決算

ジャックスは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は60億円と前年同期比16億円の減益となっているなか、通期最終利益を30億円下方修正し、年間配当見込みも30円の減配で発表しています。

業績下方修正の要因は、ベトナムやインドネシアにおいて長引く市況の低迷により非常に厳しい事業環境を強いられ、営業収益が前回予想を下回る見込みになった事や貸倒関連費用が増加する見込みになったためとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、今期は期初から厳しい状況が予想されていましたが、第1四半期決算での下方修正は衝撃的でした。特に配当については、今までの配当推移からそこまで減配のリスクを懸念していなかったため、第1四半期から30円の減配は正直ショックです。

それだけ海外事業が厳しい状況なのだとは思いますが、下方修正後の通期進捗率は36%付近で推移していますので、今が底だと信じたいです。

【9412】スカパーJSAT

5番目の銘柄はスカパーJSATです。スカパーといえば、メディア事業のイメージが強いかと思いますが、最近は利益の大部分を宇宙事業で稼いでおり、宇宙関連銘柄として最近は注目を集めています。

実際、最近の業績も宇宙事業の発展と共に順調に推移していますので、好調な状況が維持できているのか注目でした。

直近決算

スカパーJSATは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は50億円と前年同期比微増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比微増益の要因は、宇宙事業において画像販売などが増加した事やメディア事業はオペレーションの効率化が進んだためとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、前期までの好調な流れを引き継ぎ順調な内容で通期進捗率も28%の好スタートを切っています。そんななか、今後も宇宙事業を中心に積極的な投資を続けていくとの事ですので、決算翌営業日の株価は何故か大きく下げてしまいましたが、更なる飛躍が期待できそうな印象です。

【3431】宮地エンジニアリング

6番目の銘柄は宮地エンジニアリングで、橋梁や鉄骨などを施工する建設会社です。最近の業績は過去最高益が続くなか、今期も更に増益の予測にしていますので、好調な状況が続いているのか注目でした。

直近決算

宮地エンジニアリングは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は7億円と前期比微増益になっているなか、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比微増益の要因は、手持ち工事が予定どおり進捗したものの、今年度想定している売上と損益の改善計画が翌四半期以降に多く見込まれているためとしています。

また、9月末を基準日とした株式に2分割も発表しています。

直近決算の感想

決算の感想について、前期比微増益ではありましたが、通期進捗率が16%付近に留まるなか、株式分割を発表した事は衝撃的でした。ただ、2025年度からの製作を見込んでいた高難度ビッグプロジェクトの発注が遅れている事などを理由に2027年3月期の事業計画および目標値の見直し作業を行っている事や国土交通省の発注量も想定外に減少していると表明している事は今後の懸念事項です。

8月8日(木)

続いてはいよいよ決算発表数も格段に増えた8月8日から、INPEXと稲畑産業を見ていきます。

【1605】INPEX

最初の銘柄はINPEXで石油や天然ガスなどの開発生産を手掛ける国内最大手の石油開発企業です。業績は原油価格など商品市況の影響を大きく受けますが、今期は1割程度の増益見込みにしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は34%付近と順調なスタートを切っていましたので、通期見通しの上方修正があるのか注目でした。

直近決算

INPEXは12月決算ですので、8月8日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は2125億円と前年同期比359億円の減益となっているなか、通期最終利益の予測に変更はありませんでしたが、配当を10円増額の年間86円で発表しています。

前期比減益のなか配当増額を発表した要因は、直近の油価や為替の状況を踏まえても通期増益の見込みに変わりは無く、堅調に推移する予測のためとの事です。

直近決算の感想

決算の感想について、第2四半期時点では前期比減益の状況で、通期進捗率も59%付近では推移していますが、前年の77%と比較すると低水準です。しかし、前年の第3、第4四半期は、かなり低調な決算でしたので、下期での巻き返しが十分期待できる状況です。

その様な自信があるからこその、今回の配当増額だと思いますので、頼もしい限りです。

【8098】稲畑産業

2銘柄目は稲畑産業で自動車向けの高機能樹脂や生活用品などへの合成樹脂、また水産、農産物を取り扱う食品なども、海外を含め多くの取引先へ販売している化学系の専門商社です。

最近の業績は増減を繰り返す展開となっていたなか、今期は前期の第1四半期にあった一過性要因の反動で15%程度の減益見込みにしていますので、今期は減益スタートが濃厚でした。

直近決算

稲畑産業は8月8日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は63億円と前年同期比6億円の減益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比減益の要因について、円安の増収効果や国内および東南アジアにおけるビジネス好調などで売上は増収ですが、前期にあった一過性要因の反動としています。

直近決算の感想

決算の感想について、予想通りの減益スタートではありましたが、売上や経常利益は四半期ベースで過去最高を記録しています。また、通期進捗率も37%付近で推移していますので、今後に十分期待が持てる内容だったかと思います。

まとめ

今回は株式市場が大きく振れ動くなか、先週発表された決算の中から保有銘柄を中心に特に気になった銘柄を検証しました。

3月期銘柄は第1四半期決算という事で通期見通しの修正を発表した銘柄は少なかったですが、ジャックスの下方修正は衝撃的でした。また、第2四半期決算だったキリンも下方修正を発表していますが通期では何とか増益を維持しており、配当増額を発表したINPEXも今後に期待が持てる内容です。という事で、 今回の決算発表は一段落付きましたが、株式市場は今後も大きく揺れ動く可能性がありますので、改めて今回の決算を見直し優良高配当株の選定を進めたいと考えています。

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