最近はテレビやネットなどで投資に関する情報に触れる機会も増えていますので、今から新NISAで投資を始めようと考えている人も多いかと思います。しかし、個人的に最強の投資方法だと考えている日本株への高配当株投資においても、現在東証には4000社近い企業が上場しているため、どの銘柄を購入したら良いかは投資を始める時に最初に頭を悩まされる問題だと思います。
そこで今回は、私が投資初心者におすすめだと思う4条件を基準に新NISAで最初に買う高配当株として適していると思う5銘柄を検証していきますが、投資初心者に限らず高配当株として欠かせない優良銘柄ばかりですので、是非最後までご視聴ください。
投資初心者におすすめの4条件
まず前提条件として投資初心者が購入する銘柄として個人的におすすめだと思う4つの条件を紹介します。
最低購入金額が安い
1つ目の条件は最低購入金額が低い事です。投資初心者の場合、いきなり高額の投資を行うよりは少ない金額から始める方が精神的にも良いと思います。そして、現在株式の購入単位は一部銘柄を除いて100株単位となっていますので、株価が500円の銘柄だと5万円、1,000円の銘柄だと10万円で購入できる事になります。
しかし、なかには株価が1万円を超える銘柄もありますので、その様な銘柄の場合は最低購入金額が100万円を超えてしまいます。
もちろん現代社会は便利な世の中ですので、証券会社によっては1株単位で購入できるシステムもありますが、手数料が単元株で購入するよりも高くなる場合や指値注文ができない場合もありますので、投資初心者の場合は最低購入金額が低い銘柄の方がおすすめです。
株価、業績、配当が安定
2つ目の条件は株価、業績、配当が安定している銘柄です。これらの条件は投資初心者に限らず高配当株投資において大切な要因ですが、特に投資初心者にとっては大切なポイントです。
何故なら、購入した直後に暴落して大きな含み損を抱えたり、減配により受け取れる配当金が減ったりすると、せっかく始めた投資を辞めたくなる可能性があるからです。
その様なリスクを避けるためにも株価、業績、配当が安定している銘柄を選ぶ事が大切です。
知っている会社
3つ目の条件は知っている会社である事です。冒頭でも触れましたが、現在東証には4000社近い企業が上場しているため、上場企業といっても名前を知らない企業はたくさんありますし、社名は知っていても具体的に何をしているのか知らない企業もあるかと思います。
もちろん知名度が低くても優良な企業はたくさんありますが、最初に購入する銘柄は自分がよく知っている企業の方が安心できるかと思います。
株主優待がある
4つ目の条件は株主優待がある事です。企業によっては株主に対して自社商品やクオカードに加え、自社店舗で使用できる割引券などがもらえる株主優待を設定しています。
株主優待は、個人投資家と比べて機関投資家や海外の投資家が不利益である事などを理由に廃止にする企業も増えていますので注意は必要ですが、何かしらの商品が実際にもらえる事は嬉しいですので、投資初心者にはおすすめのポイントだと思います。
それではここからは、以上4つのポイントを基準に投資初心者におすすめだと思う5つの高配当株を個別に紹介していきます。
【5020】ENEOS
最初の銘柄はENEOSです。ENEOSは日本を代表するエネルギー・資源・素材企業グループで、石油や天然ガス開発、金属事業などを手掛けており、サービスステーション「ENEOS」の数は全国で1万を超えていますので知らない人はいないかと思います。
また、再生エネルギーや水素・バイオ燃料などエネルギートランジションの実現に向けた取り組みも加速させています。
直近決算
ENEOSは8月9日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は816億円と前年同期比358億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はないです。
前期比増益の要因は、原油価格上昇に伴う石油製品販売価格の上昇や金属価格上昇に加え、円安影響としています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ENEOS |
2019年3月期 | 3223 |
2020年3月期 | -1879 |
2021年3月期 | 1139 |
2022年3月期 | 5371 |
2023年3月期 | 1437 |
2024年3月期 | 2881 |
2025年3月期(会社予想) | 2100 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっています。2020年はコロナショックによるガソリン需要の減少に加え原油価格の下落で大きな赤字に転落していますが、2022年は資源価格の上昇などにより石油、天然ガスや金属セグメントが大幅増益となり過去最高益の水準へ大きく回復しています。
その後も商品市況の動きによって業績が上下するなか、前期は底堅く推移している原油価格による白油マージンの良化や円安の追い風で大きく増益となりましたが、今期は前期の反動を想定して減益見込みとしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は39%付近と順調なスタートを切っています。
配当推移
銘柄名 | ENEOS |
2015年 | 16 |
2016年 | 16 |
2017年 | 16 |
2018年 | 19 |
2019年 | 21 |
2020年 | 22 |
2021年 | 22 |
2022年 | 22 |
2023年 | 22 |
2024年 | 22 |
2025年(会社予想) | 22 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、2020年からは22円で変わっていないです。ちなみにこの間の業績は先ほど触れた様に商品市況価格や為替の影響で大きく上下しており、2020年に至っては赤字に転落していましたので、配当の安定感が際立っているかと思います。
ENEOSの配当方針は安定的な配当継続に配慮し、2025年度までの中期経営計画中は年間22円を下限としたうえ、3か年平均で在庫影響除き当期利益の50%以上を配当と自社株買いで還元するとしています。
株価推移
株価はコロナショックで320円まで値を下げましたが、約1年をかけて500円付近まで上昇しています。
その後は400円台で停滞する期間が長かったですが、去年後半からは右肩上がりとなっており、今回の暴落で600円付近まで売られましたが、直近は750円前後で推移しています。
株価指標(2024年8月22日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ENEOS | 5020 | 750.5 | 10.3 | 0.66 | 22 | 2.93 | 30.3 |
最近の株価は乱高下するなかでも、ここ数年の高値圏で推移していますので、配当は22円で安定していますが配当利回りは3%前後となっています。
今期業績は現状減益見込みとしていますがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は30%付近と余裕を感じる水準です。
投資判断
今までの内容からENEOSが投資初心者におすすめの理由について、冒頭で挙げた4条件のなかから、最低購入金額の低さと知名度の高さは当てはまるかと思いますが、業績は商品市況の影響で増減が大きく、株主優待もありません。
しかし、配当は安定しており、最近は大規模な自社株買いも行っていますので、将来的な増配が期待できる事も含め、投資初心者におすすめだと思います。
【2730】エディオン
2つ目の銘柄は大手家電量販店のエディオンで、大型店舗「エディオン」を全国に展開しており、フランチャイズ店舗も含めた店舗数は1200を超えています。
また、2022年にはニトリHDと資本業務提携を結び、去年はサンフレッチェ広島を子会社化するなど事業規模の拡大も進めています。
直近決算
エディオンは8月2日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は22億円と前年同期比12億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はないです。
前期比増益の要因は、季節商品が好調に推移した事やeコマース・玩具関連商品などの売上増加影響のためとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | エディオン |
2019年3月期 | 116 |
2020年3月期 | 109 |
2021年3月期 | 166 |
2022年3月期 | 131 |
2023年3月期 | 113 |
2024年3月期 | 90 |
2025年3月期(会社予想) | 110 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、過去最高益を記録した2021年をピークに減益傾向が続いています。2021年に業績が大きく伸びた要因は特別定額給付⾦⽀給やテレワーク、巣ごもり需要などにより売上が伸びたためで、2022年以降は前年にあった特別定額給付金などの反動減や、夏場の天候不順の影響によりエアコンなどの季節家電商品が低調に推移した事に加え、人件費などの増加で減益が続きました。
しかし、今期はパリオリンピックによる映像家電の盛り上がりやリフォーム、省エネ家電に対する補助金交付による需要増加が見込めるとして増益予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は20%付近とまずまずのスタートを切っています。
配当推移
銘柄名 | エディオン |
2015年 | 20 |
2016年 | 22 |
2017年 | 26 |
2018年 | 28 |
2019年 | 32 |
2020年 | 34 |
2021年 | 46 |
2022年 | 44 |
2023年 | 44 |
2024年 | 45 |
2025年(会社予想) | 45 |
2015年からの配当推移をまとめていますが、ここ数年は40円台半ばで安定しています。2022年の配当は金額だけ見ると2円の減配となっていますが、2021年は第20期記念配当が5円実施されていましたので、記念配当を考慮すると実質的には増配となります。
エディオンの配当方針は、業績および経営環境などを総合的に加味し、配当性向30%以上の安定配当を基本⽅針としています。
株主優待
エディオンには株主優待があり、ECサイトでも利用可能な電子ギフトカードが保有株数や保有継続年数によってもらえますので詳細を下記にまとめています。
継続保有でもらえる金額も上昇しますので、長期保有者にとっては有難い株主優待です。
株価推移
株価はコロナショックで780円まで売られましたが、2021年には1300円を超える水準まで上昇しました。
その後は停滞する時期もありましたが、2022年以降の株価は右肩上がりの状況が続き、直近は1800円前後で推移しています。
株価指標(2024年8月22日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
エディオン | 2730 | 1845 | 17.6 | 0.90 | 45 | 2.44 | 43.0 |
配当は安定していますが、最近の株価は上昇していますので配当利回りは2%半ばとなっています。
今期業績は増益見込みですがPERに割安感はなく、配当性向は43%付近と目安の水準を13%程度上回っています。
投資判断
今までの内容からエディオンが投資初心者におすすめの理由について、全国に店舗を展開していますので知名度は抜群のなか、店舗で使用できるギフトカードも株主優待としてもらえます。
業績には多少の増減があるなか配当も安定していますが、最近の株価上昇により最低購入金額は10万円台後半まで上昇しています。
株価上昇により配当利回りは2%半ばまで低下していますが、株主優待まで含めた総合利回りで計算すれば、高配当株としても魅力的だと思います。
【9882】イエローハット
3番目の銘柄はイエローハットです。イエローハットはカー用品を専門に取り扱う量販店で、現在全国に700店舗以上展開しています。
取り扱い製品はタイヤやカーナビなどに加え、車検やオイル交換などのメンテナンスも行っており、車全般に関わるサービスを手掛けています。
直近決算
イエローハットは7月31日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は22億円と前年同期比2億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当見込みに変更はありません。
前期比減益の要因は、3月が寒冷だった事でスタッドレスタイヤから夏用タイヤへの履き替えが4月へ移行した事や5月の大型連休のドライブ需要などによりタイヤ・オイル・バッテリーなど消耗品の店頭販売が順調に推移し、売上は過去最高を記録しましたが、人件費をはじめとする店舗運営コスト上昇などの影響としています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | イエローハット |
2019年3月期 | 73 |
2020年3月期 | 73 |
2021年3月期 | 85 |
2022年3月期 | 96 |
2023年3月期 | 106 |
2024年3月期 | 102 |
2025年3月期(会社予想) | 105 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響もそれ程関係なく、2023年までは増益が続いていました。増益が続いた要因としては、感染対策として車、バイクでの移動需要が高まった事やタイヤの価格改定を実施したためとしています。
そんななか、前期は暖冬や春の天候不良によりタイヤ販売が不振だったとして久しぶりの減益になっていますが、今期は新車販売の回復や中古市場の活性化に伴いタイヤなどの消耗品販売が好調に推移する見込みとして増益の予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は21%付近とまずまずのスタートになっています。
配当推移
銘柄名 | イエローハット |
2015年 | 23 |
2016年 | 27 |
2017年 | 30 |
2018年 | 33 |
2019年 | 36 |
2020年 | 46 |
2021年 | 54 |
2022年 | 58 |
2023年 | 62 |
2024年 | 66 |
2025年(会社予想) | 70 |
2015年からの配当推移をみていきますが、据え置きの年すらなく順調に増配が継続しており、増配は前期までで14期連続となっています。また、最近の増配幅は4円刻みと大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると3倍弱以上の水準です。
イエローハットの配当方針は、連結業績、財務状況、投資計画などを勘案しながら配当性向30%以上を目安に安定的な配当を継続していく方針です。
株主優待
イエローハットには株主優待が設定されており、保有株数によって全国の店舗で使用できる割引券がもらえますので内容を表にまとめています。
保有株数 | 割引券 | |
100株以上1000株未満 | 10枚(3000円分) | |
1000株以上3000株未満 | 25枚(7500円分) | |
3000株以上5000株未満 | 40枚(1万2000円分) | |
5000株以上 | 50枚(1万5000円分) |
こちらの内容を3月と9月の年2回もらえるほか、ウォッシャー液2.5L1本と引き換えできる引換券ももらえますので、イエローハットをよく利用する人にはおすすめの株主優待です。
株価推移
株価はコロナショックで1195円まで売られた後、2021年8月には2157円まで上昇しました。その後は1500円から2000円のボックス圏で推移する期間が長かったですが、今年に入ると右肩上がりの状況で、直近は2500円前後で推移しています。
株価指標(2024年8月22日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
イエローハット | 9882 | 2521 | 11.1 | 0.99 | 70 | 2.78 | 30.8 |
最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、増配が継続している事で配当利回りは2%後半となっています。
今期業績は増益見込みですのでPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は31%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容からイエローハットが投資初心者におすすめの理由について、前期業績はわずかに減益となりましたが、今期は過去最高益レベルに回復する見込みになっているなか、配当も10年以上連続増配が続くほど株主還元力も抜群です。
そんななか、全国に店舗を展開しているため知名度も高く、株主優待までありますので、投資初心者におすすめの条件が全て揃っている感じですが、最近の株価上昇により最低購入金額は20万円台半ばまで上昇しています。
【1332】ニッスイ
4番目の銘柄はニッスイで水産品の加工や物流を手掛ける大手水産メーカーです。世界各海域での水産物漁獲から買付、養殖、加工などを手掛ける水産事業と家庭用・業務用冷凍食品や缶詰、練り製品などを手掛ける食品事業が主力事業です。
水産メジャーとして世界各地にネットワークを持っており、直近の海外売上比率は4割近くを占めています。
直近決算
ニッスイは8月6日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は52億円と前年同期比7億円の減益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比減益の要因は、昨年からの食品の好調や水産商事の回復、為替の影響もあり売上は増収ですが、前年にあった政策保有株式売却の反動としています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ニッスイ |
2019年3月期 | 153 |
2020年3月期 | 147 |
2021年3月期 | 143 |
2022年3月期 | 172 |
2023年3月期 | 212 |
2024年3月期 | 238 |
2025年3月期 | 240 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響を受けた2021年頃は減益が続きました。しかし、2022年以降はコロナからの経済回復や国内養殖事業の改善に加え、食品事業において国内外とも価格転嫁が実現した事で前期は過去最高益を記録しています。
今期は水産市況の下げ止まりが見えてきた事や南米養殖のプラス影響で水産の利益が持ち直す見通しとして、更に増益の予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は22%付近とまずまずのスタートを切っています。
配当推移
銘柄名 | ニッスイ |
2015年 | 3 |
2016年 | 5 |
2017年 | 6 |
2018年 | 8 |
2019年 | 8 |
2020年 | 8.5 |
2021年 | 9.5 |
2022年 | 14 |
2023年 | 18 |
2024年 | 24 |
2025年(会社予想) | 24 |
2015年からの配当推移を見ていきますが順調に増配が続いています。特に最近は好調な業績を背景に増配額も大きくなっており、2023年は4円、前期は6円の増配となっていますが、今期見込みは現状据え置きになっています。
ニッスイの配当方針は、長期的・総合的視野に立った企業体質の強化ならびに将来成長が見込まれる分野の事業展開に備えた内部保留も勘案しながら、経営環境の変化に対応して連結業績に応じた株主還元を行うとしており、具体的な目安を2024年度までに配当性向30%以上としています。
株主優待
ニッスイは株主優待が設定されており、保有株数によって自社商品の詰め合わせセットがもらえます。
具体的な金額は、500株以上で3000円相当、1000株以上で5000円相当となっており、最低単元の100株ではもらえませんので注意が必要です。
株価推移
株価は2019年に863円まで上昇しましたが、コロナショックで398円まで値を下げました。
その後は500円台で停滞する期間が長かったですが、去年春以降は上昇傾向で今年3月には1000円を超えましたが、直近は850円前後まで下落しています。
株価指標(2024年8月22日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ニッスイ | 1332 | 870.4 | 11.3 | 1.05 | 24 | 2.76 | 31.1 |
最近の株価は直近高値から下落しているため、今期配当は現状据え置きですが配当利回りは2%後半となっています。
業績は過去最高益が続いていますのでPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は31%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容からニッスイが投資初心者におすすめの理由について、最近の業績は過去最高益が続いているなか、今期は現状据え置きですが配当も概ね順調に増配傾向です。また、日本を代表する食品メーカーとして知名度も高く、最低購入金額も10万円以下と格安です。
しかも自社商品がもらえる株主優待までありますので、投資初心者におすすめの条件が全て揃っている感じですが、唯一の注意点は株主優待がもらえるのは500株以上となっており、株主優待をもらうためには40万円以上の資金が必要です。
【9432】NTT
という事で、なかなか全ての条件が揃う銘柄は無いですが、最後の銘柄はNTTです。NTTは通信事業を主体とするNTTグループの持株会社で、2020年にはNTTドコモを完全子会社化しています。
最近の業績は通信料値下げの影響を受けながらも増益が続いていましたが、今期業績を減益見込みで発表した事やNTT法改正の影響もあってか、今年の株価は低迷が続いています。
直近決算
NTTは8月7日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は2741億円と前年同期比1016億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比減益の要因は、携帯電話の通信収入減や固定電話事業の不振に加え、量販店での販売強化費増加などの影響としています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | NTT |
2019年3月期 | 8545 |
2020年3月期 | 8553 |
2021年3月期 | 9161 |
2022年3月期 | 11810 |
2023年3月期 | 12131 |
2024年3月期 | 12795 |
2025年3月期(会社予想) | 11000 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックを受けた2020年でもぎりぎり増益を維持しているなか、ここ数年の増益幅は数年前と比較して勢いが付いていました。業績好調の要因は通信料金値下げの影響があるなか、企業のデジタル変革の取り組みが急速に広がり国内外でITサービスの需要が増えたことや、テレワークの拡大で家庭向けのインターネットサービスの契約が増えたためとしています。
そして、前期も過去最高益となっていますが、今期は2027年度の新中期目標達成に向けて成長分野の拡大やコスト構造改革に積極的に取組んでいくとして、14%程度の減益見込みで発表しているなか、第1四半期時点の通期進捗率は25%付近と目安をクリアしている様に見えますが、例年の平均は約30%ですので厳しい状況である事は間違いありません。
配当推移
銘柄名 | NTT |
2015年 | 1.8 |
2016年 | 2.2 |
2017年 | 2.4 |
2018年 | 3 |
2019年 | 3.6 |
2020年 | 3.8 |
2021年 | 4.2 |
2022年 | 4.6 |
2023年 | 4.8 |
2024年 | 5.1 |
2025年(会社予想) | 5.2 |
2015年からの配当推移をみていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配傾向で、前期までで13期連続増配となっています。金額の単位が細かくなっているのは株式25分割の影響ですが、今期も業績は減益見込みのなか増配予測にしていますので、2015年と比較すると3倍弱の水準へ増えている状況です。
NTTの配当方針は、株主還元の充実は当社にとって最も重要な経営課題の一つとし、継続的な増配の実施を基本的な考え方としています。
NTT株主優待
NTTは100株以上保有を条件に2年以上3年未満の継続保有で1500ポイント、5年以上6年未満の継続保有で3000ポイントのdポイントがもらえます。
株式の25分割後でも100株保有の条件は変わっていませんので、今なら約1万5000円で株主優待がもらえますが、同一の株主番号でもらえる最大ポイントは4500ポイントで毎年もらえる訳ではありませんので注意が必要です。
株価推移
株価は2020年10月に85円まで売られましたが、その後は停滞する時期を挟みながらも右肩上がりの状況でした。
そんななか、今年1月には192円まで上昇しましたが、その後は低迷しており、6月に144円まで売られたあと160円付近まで反発しましたが、直近は再び150円前後で推移しています。
株価指標(2024年8月22日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
NTT | 9432 | 152.4 | 11.7 | 1.29 | 5.2 | 3.41 | 39.7 |
最近の株価は下落が続いているなか、配当は増配が続いていますので配当利回りは3%半ばの水準です。
今期業績は減益見込みですがPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は40%付近となっています。
投資判断
今までの内容からNTTが投資初心者におすすめの理由について、今期業績は現状減益見込みですが、基本的には増益で推移しているなか、配当も10年以上連続増配が続いています。
そんななか、最低購入金額は株式25分割の影響で1万円台と格安で株主優待まであり、知名度も文句のないレベルです。
以上の点を踏まえると、最近低迷している株価推移も含め、投資初心者におすすめだと思えます。
まとめ
今回は、投資初心者が最初に買う場合におすすめだと思う高配当株を個人的に選定した4つの条件を基準に5銘柄検証しました。なかなか全ての条件が当てはまる銘柄は無いですが、それぞれ投資初心者に限らず魅力的な銘柄だと思います。
また、今回紹介した銘柄以外にも日本には優良高配当株がたくさんありますので、個人的にも新NISAでこれからも多くの高配当株を購入していきたいと考えています。
投資初心者におすすめだと思う5銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。
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