野村HDと大和証券は高配当銘柄として投資可能か検証

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銘柄検証

今回は先日2022年3月期の第3四半期決算が発表された証券会社大手野村HDと大和証券2社の決算内容を中心に2銘柄の現状と今後を比較検証していきます。

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証券業界の現状

それでは本題ですが、まずは証券業界の現状から簡単にふれておきます。

最近は若者を中心に投資へ興味を持つ人も増え、国内の証券口座数は順調に増加傾向で3000万口座に迫る勢いで増えていますが、その中心はネット証券です。ずっと証券口座数No.1だった野村証券は、SBI証券、楽天証券にも抜かれてしまっているのが現状です。

その理由については敢えて説明するまでもないかもしれませんが、ネット証券の手軽さや手数料の安さが大きな要因でしょう。

元証券マンの私が言うのもどうかと思いますが、対面証券の手数料は高すぎます。私が昔働いていた証券会社も未だに20年前と変わらない手数料体系で取引をしていますので、正直信じられない気持ちです。もちろん営業マンが手数料に見合った提案をしてくれるのであれば良いのですが、そうで無いケースの方が多いかと思います。

その様な状況ではありますが、今回は対面証券大手の野村HDと大和証券2社の直近決算を中心に高配当株銘柄として投資可能か検証していきます。

証券会社の収益源

それではまず対面証券会社の収益源について簡単に触れておきますが、証券会社には大きく分けて3つの収益部門がありますので3つの部門について個別に解説します。

リテール営業部門

個人投資家などに対して資産管理、運用に関する商品、サービスを提供する部門で個人投資家に株式や投資信託などを販売して手数料をもらう事が一般的です。リテール部門が個人投資家にとって1番身近な部門だと思いますし、私も証券会社時代はリテール部門でした。

アセット・マネジメント部門

投資資産の運用を実際の所有者、投資家に代行して行う事で、株式や債券などの一般的な資産から、多様化する顧客の運用ニーズに応える商品ラインナップの拡充やサービスの向上を目的としています。

馴染みのある商品ですと投資信託やETFを組成、運用している部門です。

ホールセール部門 

金融商品やソリューションの提供、市場への流動性供給に関する業務を行う部門で、国内外の事業会社、政府機関、金融機関など幅広い顧客を対象に、様々なサービスを提供しています。

野村HDと大和証券の直近決算等

それではここからは野村HDと大和証券の直近決算の内容をみていきます。まずは野村HDの直近決算ですが、先日2月1日に2022年3月期第3四半期決算を発表しています。

野村HDの直近決算等

野村HDの第3四半期時点の最終利益は1120億円と前年同期比で1965億円の大幅減益となっています。

配当については、野村HDは各国の資本市場において多角的に投資金融サービス業を展開しており、また当該市場には経済情勢、相場環境等に起因するさまざまな不確実性が存在している為、業績予想は行っておらず通期配当予測も開示していません。

しかし、中間配当は8円でしたので前期並み(35円)の配当が出るかは不透明です。

業績低迷の要因は、営業部門やホールセール部門の利益が減少している事に加え、第1四半期に計上した米国顧客取引に関する追加損失(654億円)も大きく影響しています。ここで出てきた米国顧客とは去年春頃に話題になった米投資会社アルケゴスとみられています。

配当推移

銘柄名野村HD
2015年19
2016年13
2017年20
2018年20
2019年6
2020年20
2021年35
2022年(会社予想)8(中間)

野村HDの2015年からの配当推移をまとめていますが業績と連動して大きく上下を繰り返しています。

野村HDの配当方針は、半期毎の連結業績を基準として連結配当性向30%を重要な指標のひとつとするとしています。

株価推移

野村HDの株価はコロナショックで400円を割れる水準まで売られましたが、その後は値を戻し700円を超える場面もありました。最近は今期の業績低迷もあり高値圏からは売られ500円台での動きになっています。

大和証券直近決算等

続いては大和証券ですが、大和証券は1月28日に第3四半期決算を発表しています。

大和証券の第3四半期時点の最終利益は769億円と前年同期比で192億円の増益となっており、純利益は5年ぶりの高水準です。

配当については新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済情勢や相場環境に大きな影響を受ける状況にあり、 その業績予想を行うことは困難であるため通期配当予測を開示していません。しかし中間配当は17円出ており、このまま業績が順調に推移すれば前期36円と同水準の配当が期待出来そうです。

業績好調の要因としてリテール部門は資産管理型ビジネスモデルへの移行とコスト構造改革が順調に進展しており、ホールセールス部門やアセット・マネジメント部門も好調に推移との事です。

配当推移

銘柄名大和証券
2015年30
2016年29
2017年26
2018年28
2019年21
2020年20
2021年36
2022年(会社予想)17(中間)

大和証券の2015年からの配当推移をまとめていますが、20円から30円付近での推移となっています。

大和証券の配当方針は、利益配分を含む株主価値の持続的な向上を目指しており、配当については中間配当および期末配当の年2回を基本としており、連結業績を反映して半期ごとに配当性向50%以上の配当を行なう方針としています。

株価推移

大和証券の株価はコロナショックで400円を割れましたが、その後は順調に右肩上がりです。直近では700円を超える場面もあり、コロナ前の水準より高くなっています。

野村HDと大和証券業績推移等比較

野村HDと大和証券の2018年からの最終利益と2020年からの第3四半期時点の最終利益を比較検証していきます。

第3四半期時点最終利益(億円)

銘柄名野村HD大和証券
2020年3月期第3四半期2514490
2021年3月期第3四半期3085577
2022年3月期第3四半期1120769
2020年3月期通期進捗率(%)115.981.2
2021年3月期通期進捗率(%)201.553.2
2022年3月期通期進捗率(%)

通期最終利益(億円)

銘柄名野村HD大和証券
2018年21931105
2019年-1004638
2020年2169603
2021年15311083
2022年(会社予想)

野村HDは2021年よりアルケゴス絡みとみられる損失が響いており、大きく減益となっています。証券会社は経済環境や相場環境によって大きく影響を受けますが、特に野村HDは規模が大きい事もあってかその傾向を強く感じます。またアルケゴス関連のように突如大きなマイナス要因が発生する事もあり、特にここ数年は第4四半期で大きな赤字が発生し、第3四半期時点よりも業績を落とす展開が続いています。

野村HDと比較すると大和証券の業績は安定傾向です。コロナショックで業績は落としましたが、今期はこのままいけば順調に回復する見込みになっています。

配当推移比較

銘柄名野村HD大和証券
2015年1930
2016年1329
2017年2026
2018年2028
2019年621
2020年2020
2021年3536
2022年(会社予想)8(中間)17(中間)

野村HDと大和証券の2015年からの配当推移を比較します。

2銘柄とも業績の増減によって配当額も上下していますが、比較するとまだ大和証券の方が安定している感じはします。

また、今期配当についても通期予測は2銘柄とも出していませんが、中間時点の実績をみると野村HDの方に不安が残ります。

指標比較(2022年2月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
野村HD8604538.70.58
大和証券8601708.40.79

野村HDと大和証券の株価等指標を比較していきます。2銘柄とも通期業績、配当予測を出していない為、空白の部分が多いです。

配当利回りについては先程から触れている様に通期予測が出ていないので算出出来ません。しかし、大和証券はこのまま業績が順調に推移すれば前期並みの水準は出せそうな感じですので、前期の36円で計算すると配当利回りは現状5%前後の水準です。

大和証券株主優待

大和証券には株主優待もありますので内容を表にまとめています。

株主優待保有株数(1000株~2999株)保有株数(3000株~4999株)
1.名産品、雑貨(2000円相当)1~3より1つ選択1~3より2つ選択(同一商品可)
2.会社四季報(1冊)
3.寄付(2000円相当)
株主優待保有株数(5000株~9999株)保有株数(1万株以上)
4.名産品、雑貨(5000円相当)4~6より1つ選択4~6より2つ選択(同一商品可)もしくはweb限定品(1万円相当)1点を選択
5.会社四季報(2冊)
6.寄付(5000円相当)

保有株数によって名産品や会社四季報などから商品が選択出来ます。

そして株主優待としては珍しく年2回貰える制度となっています。

野村HDと大和証券の今後

野村HD、大和証券の今後を個別に検証していきます。

野村HDの今後

野村HDの今後ですが、2025年3月期に向けた経営ビジョン「社会課題の解決を通じた持続的成長の実現」に向けて、既存ビジネスで既に強みであるパブリック市場に加え、個別の顧客へカスタマイズされた提案を行うプライベート領域を強化・拡大としています。

対面証券の1番の課題はネット証券との差別化ですので、顧客ごとへ最適な提案を行えるかが今後のポイントになりそうです。

大和証券の今後

大和証券の今後ですが、新中期経営計画2023の中で様々な目標を掲げていますが、その中より主要3部門の注目点についてまとめています。

リテール部門

資産管理型ビジネスモデルへの転換は、⻑期戦略に基づき過去から実施しており「貯蓄から資産形成」、「お客様資産の⾶躍的拡⼤」の実現を⽬指すとしています

ホールセール部門

国内外において幅広いテーマでM&Aニーズが拡⼤しており、対応力を強化としています。

アセット・マネジメント部門

投資家利益の追求と販路拡大により運用資産を拡大し、米国で成長著しいテーマETFに国内で先行して取組み運用資産の飛躍的拡大を目指す。

野村HDと大和証券の投資判断

今までの点を踏まえ野村HDと大和証券の投資判断ですが、証券会社は業績の変動が激しく、中長期投資の高配当銘柄としては狙いにくいところがあります。

しかし今回2銘柄を比較検証しましたが、野村HDに比べ大和証券の方が高配当銘柄として検討出来るかなとも思いました。業績の変動の割には配当の増減も少なく、年2回の株主優待制度まであります。

いずれにしても対面証券の今後のポイントはネット証券との差別化になると思います。リテール部門で正面から挑むのは分が悪すぎますので、いかに他の分野で業績を伸ばしていけるか今後を見守りたいと思います。

野村証券と大和証券の投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧下さい。

大手証券2社(野村HD、大和証券)は高配当銘柄として投資可能か比較検証

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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