稲畑産業は高配当銘柄として投資可能か検証

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銘柄検証

今回は先日の決算で大幅増配を発表した稲畑産業の直近決算内容を中心に稲畑産業が高配当銘柄として投資可能か現在の株価や今後を踏まえて検証してみたいと思います。

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稲畑産業とは

まず稲畑産業の会社内容を簡単にまとめていきます。

稲畑産業は1890年に京都で稲畑染料店として発足し、その後はケミカル分野を中心に事業を拡大している専門商社です。

現在は情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の4つの分野で事業を展開しています。

また、世界17カ国に約60拠点を展開しており、売上比率も50%以上が海外と国際的な企業です。

稲畑産業の現状

稲畑産業の販売商品は、自動車向けの高機能樹脂や生活用品などへの合成樹脂、有機ディスプレイへの部材、また水産、農産物を取り扱う食品なども海外を含め多くの取引先へ販売しており、ここ数年はコロナ感染拡大の影響もあり業績は横ばいが続いていました。

しかし、今期はコロナ感染からの需要回復や樹脂価格上昇もあり業績は急激に伸びているところです。

稲畑産業の直近決算

続いて稲畑産業が2月7日に発表した第3四半期決算の内容を検証していきます。

第3四半期までの最終利益は182億円と前年同期比で88億円の増益です。

業績好調により通期最終利益を従来予想から55億円増の215億円へ上方修正、配当は年間110円へ40円の増配を発表しています。

業績好調の要因は、合成樹脂事業がコロナ感染拡大による落ち込みから回復した事や樹脂価格の上昇、生活産業事業は回転寿司向け加工品やアメリカでのシーフード商品の販売好調が要因としています。

また、保有株式の売却益も業績上方修正の要因としています。

株価推移

稲畑産業の株価はコロナショックで1,000円を割れる水準まで売られた後は順調に右肩上がりです。そして大幅な増配を発表した今回の決算発表を受けて株価は大きく上昇し直近では2500円を超える水準まで買われました。

業績推移

ここからは、稲畑産業の2018年からの通期最終利益推移と2020年からの第3四半期時点の最終利益推移を見ていきます。

第3四半期時点最終利益(億円)

銘柄名稲畑産業
2020年3月期第3四半期91
2021年3月期第3四半期94
2022年3月期第3四半期182
2020年3月期通期進捗率(%)79.8
2021年3月期通期進捗率(%)68.6
2022年3月期通期進捗率(%)84.6

通期最終利益(億円)

銘柄名稲畑産業
2018年3月期67
2019年3月期128
2020年3月期114
2021年3月期137
2022年3月期(会社予想)215

2018年からの業績推移を検証していきますが、2019年に一気に2倍近くまで伸びた後はコロナショックの影響もあり業績は横ばいでした。今期はコロナショックからの反動や樹脂価格上昇により、再度大きく業績が伸びている状況です。

また、第3四半期時点の通期進捗率が85%程度ですので、本決算にも期待が持てる数字です。

配当推移

銘柄名稲畑産業
2015年33
2016年36
2017年40
2018年40
2019年48
2020年53
2021年63
2022年(会社予想)110

稲畑産業の2015年からの配当推移を見ていきますが順調に増配傾向で、特に今期は47円増配と勢いが凄くなっています。

稲畑産業の配当方針は、中期経営計画中(2023年度迄)の総還元性向は目安として概ね50%程度としています。

ただし、政策保有株式を売却し相当程度のキャッシュインが発生した事業年度においては、今後の資金需要や会社の財務状況、株価、マーケットの状況などを総合的に勘案し、上記の総還元性向の目安には必ずしも囚われずに、株主還元を実施するとしています。

また中期経営計画中は、一株あたりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする累進配当の継続を発表しています。

政策保有株式売却について

稲畑産業は、中期経営計画「New Challenge 2023」における政策保有株式の縮減方針の一環として保有資産の効率化を図るため、保有している株式の売却を掲げており、今後3年間で50%の縮減を行うことを方針として表明しています。

政策保有株式の売却により得た資金については、基本的には内部留保ではなく、株主還元と今後の成長に向けた投資に充当する方針としています。

そして稲畑産業は現在12銘柄を保有しており、今期の売却利益は2月末時点で34億円と発表しています。今後も売却は継続予定としており、来期以降も配当原資として期待出来そうです。

株主優待制度

稲畑産業には株主優待制度もありますので内容を表にまとめています。

継続保有年数/保有株数100株以上200株未満200株以上300株未満300株以上
6ヶ月未満500円分500円分500円分
6ヶ月以上3年未満1,000円分2,000円分3,000円分
3年以上2,000円分3,000円分5,000円分

保有株数や継続保有年数によってオリジナルのQUOカードが貰えます。

また、QUOカードの権利確定は9月末となっており決算月とは異なりますので注意が必要です。

株価等指標データ(2022年3月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
稲畑産業809822636.00.731104.8629.22

稲畑産業は今回の決算を受けて株価が急上昇しましたが、それでも配当利回りは4%後半、配当性向は20%後半の水準です。

業績の上方修正もありPERは6倍、PBRも0.7倍程度と市場平均と比較して割安な数値となっています。

稲畑産業の今後

2030年頃までの目標として連結売上高1兆円以上の早期実現や海外比率70%以上などを掲げています。

各セグメントにおいて投資の積極化を図っていく方針ですが、情報電子・合成樹脂以外の事業比率を3分の1以上にする事を目標にしています。

主要重点施策としては、主力ビジネスのさらなる深掘りと成長分野への横展開として、中国市場が主戦場の液晶・有機ELビジネスを深耕するとともに、新世代FPDや周辺部材、広がりを見せる産業用インクジェット関連ビジネスに注力する方針です。

また、将来の成長が見込める市場への多面的な取り組みと確実な収益化として環境負荷低減商材の拡充を図るとともに、新エネルギー分野、5G関連や車載・モビリティ関連ビジネスへの取り組みを多面的に展開し、収益レベルの一段の向上に努めるとしています。

稲畑産業の投資判断

今までの点を踏まえ稲畑産業の投資判断ですが、今期絶好調の業績や累進配当を導入している配当方針などを見ても非常に期待の持てる高配当銘柄だと思います。また、現状でも5割を超えている海外への売上比率を更に高める方針や保有株式の売却益によっては今後も更なる増配が期待出来そうです。

しかし、株価は今回の決算を受けてかなり上昇している事も事実です。また、今回の増配は第3四半期時点での発表だった為、3月の期末配当は年間110円のうち80円とかなり高比率になります。

当然3月末の権利落ち後は株価が下がる事が想定されますので、期末の配当はあきらめて3月の権利落ち後、株価が下がったタイミングで購入を検討する事が長期投資の部分では良さそうな気がします。

個人的にも3月権利落ち以降、株価が下がる場面は狙っていこうと考えています。

稲畑産業の投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

【大幅増配】稲畑産業は高配当銘柄として投資可能か株価や今後を踏まえ検証

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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