私のポートフォリオで最も大きな割合を占めている業種が銀行株です。

そこで今回は銀行株の現状と今後の見通しについてまとめました。
銀行の現状
まず銀行の収益状態について検証してみます。
銀行の主な収益源は大きく分けると下記の2種類です。
金利収入
- 民間企業や個人向けへの貸出金利
- 国債等の運用金利
手数料収入
- 送金手数料
- ATM利用手数料
- 金融商品販売手数料
金利収入については長引く長期金利の低迷により、民間企業への貸出利回り、個人向け住宅ローン等の貸出利回りともに低下し金利収入も減っています。
また、国債等の運用についても利回りが低下し運用益が下がってきている状況です。
この様な現状の中、長く続く世界的な低金利の流れもあり、日経平均は順調に上がるなか銀行株は苦戦を強いられてきました。
特に2019年以降はFRBが長期金利の値下げを行った影響や、2020年のコロナショックによる金融緩和により、更に大きく利回りは下げその度に銀行株は売られてきました。
金利低下=銀行株下落という事は、両方のチャートを比較すると明らかです。




この様に見事にチャートはシンクロしています。
銀行の場合、金利の上下によって金利収入が増減する事が自然の流れですので、金利の値動きによって株価が影響を受ける事は致し方ない面もあります。
米国10年債の金利は最近上がっているとはいえ、昔と比較するとかなり低い状態であり依然として従来の金利収入は厳しい状態が続いています。
手数料収入についても送金手数料やATMの利用手数料収入は、ネットバンキングの増加やキャッシュレス化の推進により、現状の手数料収入を維持する事も大変な状況です。
また、金融商品の販売手数料もネット証券等の台頭による手数料低下の影響もあり伸び悩んでいる状況です。
この様に並べると銀行の現状と今後は厳しそうとの結論に至ると思います。
実際ここ10年近く、銀行株は終わった業界、将来性の無い業界として売られ続けてきました。
日経平均がアベノミクスで上昇していた事を考えると、銀行株の値動きの悪さはより鮮明です。
しかし、銀行業界は本当に終わった産業なのでしょうか?
ここからは、銀行の今後について検証していきます。
銀行の今後
まず大手メガバンクのここ3年の業績を比較してみます。
銘柄名 | 三菱UFJ | 三井住友FG | みずほFG |
2018年3月期 | 9896 | 7343 | 5765 |
2019年3月期 | 8726 | 7268 | 965 |
2020年3月期 | 5281 | 7038 | 4485 |
2021年3月期(会社予想) | 6000 | 4000 | 3500 |
2021年第3四半期迄 | 6070 | 4339 | 3540 |
世界的な長期金利低下が進む中、業績は順調に推移しています。
コロナの影響があった2021年期は、業績が大きく下がっていますが赤字に転落するメガバンクはありませんでした。
それどころかメガバンク3行は、第3四半期迄で2021年期の業績予測をクリアしていますので本決算では、上方修正の可能性も大いにあります。
※三菱UFJ銀行は、3月31日(水)7500億円に上方修正しました。
その要因としては、各銀行が低金利でも収益を上げられる構造を構築している事が言えると思います。
長引く低金利が続くなか、各銀行は従来の金利収入に頼らず、手数料収入を上げる方向を模索し続けてきました。
海外収益の拡大を目指し、海外の銀行を買収し現地企業への出資強化を図ったり、証券・信託・リース・投資銀行業務等の多角化経営や企業間のM&Aに注力して手数用収入増を目指し、その効果も業績に反映されています。
また、口座維持手数料や通帳発行手数料等の新たな手数料収入を作り上げている銀行も既にありますし今後も増えていくと思われます。
支店の統廃合やリストラで経費削減を進める事も重要な収益改善の要素になります。
この様に利用者からすると有難くない事柄もありますが、銀行の収益構造は確実に変化しつつある状況だと思います。
銀行株の見通しと配当利回り
では、銀行株は買いなのかというお話ですが、冒頭にも記した通り銀行株の値動きを検証するには金利の動向が重要な鍵を握っています。
そこでまずは、米国10年債利回りの検証を行ってみたいと思いますが、現在の利回りは約1.6%前後です。
年末時点では1%を割っていましたので、短期間でかなり上げています。
その要因は、新型コロナワクチンの普及により世界経済が正常に戻り、景気が回復する事への期待感からとみられています。
今後の利回りについても景気への回復期待や、上がったとはいえ以前と比較してもまだ低い利回りの為、上昇基調は変わらないとの見方が多いです。

金利以外の要因としては、銀行業界に限らないお話しですが、どこの業界も従来通りのビジネスモデルが通用し続ける事は無いと思います。
銀行業界も長引く低金利や従来の手数料収入減により、ビジネスモデルを変える必要はあると思います。
今後はビジネスモデルを変える事が出来るかがポイントになると思いますが、そう考えると規模や資金の面でも地方銀行は厳しいような気がします。
そこで大手3行の株価やPERを比較してみます。
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当利回り |
三菱UFJ | 8306 | 592.5 | 14.47 | 0.46 | 4.22 |
三井住友FG | 8316 | 3927 | 13.45 | 0.47 | 4.84 |
みずほFG | 8411 | 1582 | 11.46 | 0.45 | 4.74 |
株価/1株当たり利益で算出。市場平均は15倍程度で15倍より低いと割安
株価/1株純資産で算出。1倍を割れていると割安
最近は株価も大分上がりましたが、それでもPERで市場平均並み、PBRは大きく平均を割れています。
また、配当利回りも大手3行とも4%を超えており市場平均を大きく上回っています。
特に三井住友FGは累進配当を宣言しており、株主還元も重視しています。
減配せずに配当の水準を維持または利益成長に合わせて増配し続ける政策を指します。
累進配当を宣言しているからといって、100%減配が無いわけではありません。
業績悪化等により、累進配当を止めてしまう可能性があるからです。
しかし、累進配当を宣言している以上、減配の可能性は他の銘柄と比較して低いとは言えます。
銀行株は買いなのか
以上の様な要因を考慮しますと大手3行は、長期的な視点で買える銘柄ではないかと思います。
ただ、みずほFGについてはメガバンク3行の中で見劣りする部分も有りますし、最近のシステム障害の問題も有るので、購入するのならば三菱UFJか三井住友FGが良いかと思います。
両行とも低金利でも収益が確保出来るビジネスモデルが構築出来ていますし、財務基盤も日本有数の企業です。
最近の株価上昇もあり、短期的に株価は下がる可能性もありますが、中長期の高配当優良銘柄として考えた場合、三菱UFJと三井住友銀行FGは、まだ十分に購入出来る銘柄ではないかと思います。
銀行株についてはYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。






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