早いもので来週からは今年も後半戦となりますが、今年上半期の相場は年明けから弱含む展開の日が多かったなか、4月には関税ショックから日経平均も3万1000円を割り込む場面がありました。その後は相互関税が一時停止された事もあって順調に反発した事で、日経平均も4万円の大台を回復しましたが、依然関税問題の先行きは不透明な状況のなか、直近では中東情勢が緊迫化する場面もありましたので、今年の下半期も波乱含みの相場が待っていそうです。
そこで今回は、上半期の購入銘柄を振り返ったうえで、直近の相場状況や残りの成長投資枠を踏まえ、今年の下半期に購入を検討している6銘柄の最新情報を個別に検証していきます。
上半期の購入銘柄
銘柄 | コード | 購入単価 | 株数 | 購入金額 | 購入時期 | 備考 |
INPEX | 1605 | 1,990 | 100 | 199,000 | 1月6日 | |
三菱商事 | 8058 | 2,492 | 100 | 249,200 | 1月14日 | |
カナディアン | 9284 | 73,500 | 4 | 294,000 | 1月17日 | |
三菱地所リート | 3481 | 114,334 | 3 | 343,002 | 1月21日 | |
東京センチュリー | 8439 | 1,485 | 100 | 148,500 | 1月27日 | |
エディオン | 2730 | 1,825 | 100 | 182,480 | 2月3日 | |
エネクスインフラ | 9286 | 47,395 | 3 | 142,185 | 2月3日 | |
日本紙パルプ | 8032 | 625 | 300 | 187,500 | 2月6日 | |
大和証券 | 8601 | 1,050 | 100 | 104,950 | 2月12日 | |
産業ファンド | 3249 | 113,110 | 1 | 113,110 | 2月12日 | |
積水ハウス | 1928 | 3,444 | 100 | 344,400 | 2月17日 | |
MS&AD | 8725 | 3,038 | 100 | 303,800 | 2月27日 | |
豊田通商 | 8015 | 2,525 | 100 | 252,500 | 3月5日 | |
大林組 | 1802 | 1,955 | 100 | 195,500 | 3月11日 | |
ソフトバンク | 9434 | 213.3 | 1000 | 213,300 | 3月17日 | 旧NISA入替分 |
日本紙パルプ | 8032 | 613 | 200 | 122,600 | 3月17日 | |
伊藤ハム米久 | 2296 | 4,065 | 100 | 406,500 | 4月3日 | |
INPEX | 1605 | 1,691.5 | 100 | 169,150 | 4月7日 | |
オリックス | 8591 | 2,941 | 100 | 294,100 | 5月14日 | 旧NISA入替分 |
九州リース | 8596 | 1,171 | 100 | 117,100 | 6月18日 | |
合計 | 4,382,877 |
まずは上半期の購入銘柄から振り返っていきますが、購入銘柄数は合計18、金額は約438万円となっており、冒頭でも触れた様に上半期の相場は弱い展開の日が多かったですので、年明けから想定以上にハイスピードで購入を進めた結果になっています。実際、私は今年も夫婦2人分の成長投資枠480万円を年間の購入上限にしていますが、折り返し時点で残りの成長投資枠は約42万円とかなり少なくなりました。
ただ、こうして見ていくと、1月、2月に購入した三菱商事やエディオンなども、途中含み損に陥る局面はありましたが、今は順調に回復しており、他の銘柄も含めて購入しておいて良かったと思える銘柄ばかりです。また、去年夏の暴落ではあまり購入できませんでしたが、今年は4月の暴落局面で2銘柄を購入する事ができ、特に1番下げた7日にINPEXを購入した時には勇気も入りましたが、結果としては良い買い場になった印象です。
という事で、ここからは直近の相場状況や残りの成長投資枠を踏まえたうえで、今年の下半期に購入を検討している6つの高配当株を個別にまとめていきます。
【5020】ENEOS
最初の銘柄はENEOSで現在800株保有していますが、下半期に買い増しを考えています。ENEOSは日本を代表するエネルギー・資源・素材企業グループで、石油や天然ガス開発、金属事業などを手掛けており、サービスステーション「ENEOS」の数は全国で1万を超えています。
また、再生エネルギーや水素・バイオ燃料などエネルギートランジションの実現に向けた取り組みも加速させています。
直近決算
ENEOSは5月12日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は2260億円と621億円の減益になっていますが、配当は4円増配の年間26円としています。
今期予測は通期最終利益を1850億円と410億円の減益見込みにしていますが、配当は4円増配の年間30円予測で発表しています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ENEOS |
2019年3月期 | 3223 |
2020年3月期 | -1879 |
2021年3月期 | 1139 |
2022年3月期 | 5371 |
2023年3月期 | 1437 |
2024年3月期 | 2881 |
2025年3月期 | 2260 |
2026年3月期(会社予想) | 1850 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっています。2020年はコロナショックによるガソリン需要の減少や原油価格の下落で大きな赤字に転落していますが、2022年は資源価格の上昇などにより過去最高益の水準へV字回復しました。
しかし、2023年は商品市況の反落で再び大きく減益となっており、2024年は底堅く推移している原油価格や円安の追い風で再度大きく増益となりましたが、前期は油価下落による在庫影響の悪化やのれん減損損失を計上した事に加え、子会社だったJX金属上場に伴う区分変更影響などで減益となり、今期も油価下落や円高影響が続く見込みとして更に減益の予測で発表しています。
配当推移
銘柄名 | ENEOS |
2016年 | 16 |
2017年 | 16 |
2018年 | 19 |
2019年 | 21 |
2020年 | 22 |
2021年 | 22 |
2022年 | 22 |
2023年 | 22 |
2024年 | 22 |
2025年 | 26 |
2026年(会社予想) | 30 |
2016年からの配当推移を見ていきますが、2020年から2024年までは業績の増減も関係なく、22円で据え置きが続いていました。そして、前期も期初時点では据え置き予測で発表していましたが、第2四半期決算で4円の増配が発表され、今期も更に4円増配の予測になっています。
ENEOSの配当方針は安定的な配当継続に配慮し、2027年度までの中期経営計画中は年間30円を起点とする累進配当を導入したうえ、3か年平均で在庫影響除き当期利益の50%以上を配当と自社株買いで還元する方針としています。
株価推移

株価は2023年前半まで400円台で停滞する期間が長かったですが、その後は上昇傾向で、去年7月には865円まで上昇しました。
そこからは停滞が続き、今回の暴落では590円まで売られましたが、直近は700円前後で推移しています。
株価指標(2025年6月26日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ENEOS | 5020 | 712.1 | 10.4 | 0.62 | 30 | 4.21 | 43.6 |
最近の株価は直近安値から反発していますが、今期も増配見込みになりましたので配当利回りは4%前半と高水準です。
今期も業績は減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は43%付近となっています。
ENEOSについて、業績は原油価格や為替の影響で増減が激しいなか、これまでの配当も増配こそありませんでしたが、安定感がありましたので、個人的にも2020年から2022年にかけて800株購入していました。そんななか、直近の配当は増配が続いており、少し前と比較して雰囲気が変わっていたなか、今期からは累進配当まで導入されましたので、今や減配リスクは完全に無くなっています。
以上の点を踏まえると、直近の株価は中東情勢の緊迫化で上昇した原油価格の影響で値を上げる場面がありましたが、それでも1年前の高値には届いておらず、配当利回りも4%台を維持している事に加え、最低購入金額も7万円付近と格安ですので、今回久しぶりに購入候補に選定しています。
【4182】三菱ガス化学
2番目の銘柄は三菱ガス化学で、今回初めて購入候補に選定しています。三菱ガス化学は基礎化学品や機能化学品を生産する化学材料メーカーで、主要製品は海外で合弁生産するメタノールや過酸化水素となっており、半導体やスマホ向け材料に強みを持っています。
また、海外の売上も多くなっており、直近の海外売上比率はアジアを中心に6割近くを占めています。
直近決算
三菱ガス化学は5月12日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は455億円と67億円の増益となっているなか、配当は15円増配の年間95円としています。
今期予測は通期最終利益が360億円と95億円の減益見込みにしていますが、配当は5円増配の年間100円予測で発表しています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 三菱ガス |
2021年3月期 | 360 |
2022年3月期 | 482 |
2023年3月期 | 490 |
2024年3月期 | 388 |
2025年3月期 | 455 |
2026年3月期(会社予想) | 360 |
2021年からの通期最終利益を見ていきますが、2023年にかけては半導体向け製品の販売数量増加やコロナからの経済回復に加え、市況上昇などにより増益が続きましたが、2024年はメタノール市況の下落や海外メタノール生産会社の減損損失計上により減益となりました。
そして、前期はメタノール市況の上昇や前年減損損失の反動などにより増益となりましたが、今期は成長投資に伴う減価償却費や研究開発費の増加に加え、円高などの影響を考慮して期初から2割程度の減益見込みで発表しています。
配当推移
銘柄名 | 三菱ガス |
2016年 | 32 |
2017年 | 38 |
2018年 | 59 |
2019年 | 70 |
2020年 | 70 |
2021年 | 70 |
2022年 | 80 |
2023年 | 80 |
2024年 | 80 |
2025年 | 95 |
2026年(会社予想) | 100 |
2016年からの配当推移について、据え置きが続く期間もありますが減配はなく、概ね増配傾向となっています。そんななか、2024年までは3年続けて80円で据え置きが続いていましたが、前期は業績好調もあって15円の大幅増配となっており、今期も業績は減益見込みですが、期初から5円の増配予測で発表しています。
三菱ガス化学の配当方針は、2026年度までの中期経営期間は累進配当を採用しており、具体的な目安を総還元性向50%としています。
株価推移

株価は2023年頃から右肩上がりの状況で、去年5月には3370円まで上昇しました。
しかし、その後は低迷が続き、直近は2200円前後で推移しています。
株価指標(2025年6月26日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱ガス化学 | 4182 | 2192.5 | 11.9 | 0.64 | 100 | 4.56 | 54.1 |
最近の株価は低迷しているなか、今期配当も増配見込みですので配当利回りは4%半ばと高水準です。
今期業績は減益見込みですがPER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は54%付近となっています。
三菱ガス化学について、業績は増減を繰り返していますが、配当は2009年度より減配しておらず、また現在は正式に累進配当を宣言している事で減配リスクも無くなっています。そんななか、最近の株価はメタノール市況の低迷や今後の円高を警戒してか下落が続いている事で、配当利回りも4%半ば付近まで上昇していますので、下半期に株価が更に下がり、2000円を割れる様ならば狙いたいと考えています。
【3231】野村不動産HD
3番目の銘柄は野村不動産HDで、今年前半に購入候補にしているタイミングはありましたが、購入できませんでしたので、改めて購入候補に選定しています。野村不動産HDは野村不動産を中核に持つ持株会社で「プラウド」ブランドなどのマンション開発や分譲が主力事業です。
そんななか、3月末に株式の5分割を行っています。
直近決算
野村不動産HDは4月24日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は748億円と67億円の増益となっているなか、配当は6円増配の年間34円としています。
今期予測は通期最終利益を750億円と2億円の増益見込みにしているなか、配当も2円増配の年間36円予測で発表しています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 野村不動産 |
2019年3月期 | 458 |
2020年3月期 | 488 |
2021年3月期 | 421 |
2022年3月期 | 553 |
2023年3月期 | 645 |
2024年3月期 | 681 |
2025年3月期 | 748 |
2026年3月期(会社予想) | 750 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、順調に増益が続いており、特に2022年以降は増益幅も大きくなっています。最近の業績が好調な要因は、分譲住宅の平均価格、粗利益率の上昇やホテル事業の伸長に加え、国内の機関投資家向けファンドの運用資産残高が着実に増加した影響などとしており、前期も過去最高益を記録しています。
そして、今期も住宅分譲が引き続き好調に推移する事や住宅・都市開発部門での収益不動産売却の増加により好調な流れは継続する見込みとして更に増益の予測にしています。
配当推移
銘柄名 | 野村不動産 |
2016年 | 11.5 |
2017年 | 13 |
2018年 | 14 |
2019年 | 15 |
2020年 | 16 |
2021年 | 16.5 |
2022年 | 19.5 |
2023年 | 24 |
2024年 | 28 |
2025年 | 34 |
2026年(会社予想) | 36 |
2016年からの配当推移について、据え置きの年すらなく順調に増配が続いており、前期までで13年連続の増配を継続中です。そんななか、2022年以降は好調な業績を背景に増配幅も大きく、2024年は4円、前期も6円の増配となり、今期も期初から2円の増配見込みで発表されています。
野村不動産HDの配当方針は、不透明な事業環境下での配当の安定性を高めるためDOE4%を下限としたうえで、具体的な目安を総還元性向40%~50%としています。
株価推移

株価は去年4月に918円の高値を付けた後は下落が続き、8月の暴落時には658円まで値を下げました。
その後は反発に転じて今年3月には908円まで上昇しましたが、今回の暴落で780円まで下落し、直近は850円前後で推移しています。
株価指標(2025年6月26日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
野村不動産HD | 3231 | 841.6 | 9.6 | 0.96 | 36 | 4.28 | 41.2 |
最近の株価は停滞しているなか、今期も増配見込みとなりましたので配当利回りは4%前半と高水準です。
今期も過去最高益の見込みですのでPERは市場平均よりも割安で、配当性向は41%付近と方針通りの水準です。
野村不動産HDについて、最近の業績は順調に推移しており、今期も過去最高益予測のなか、配当も2円の増配予測で発表されています。ただ、最近の中では増益率、増配額が物足りなかった事や今後の国内金利の利上げ懸念に加え、株式5分割の影響もあってか、直近の株価は全体と比べて戻りが鈍いですので、改めて購入候補に選定しています。
【8601】大和証券グループ
4番目の銘柄は大和証券グループで、今年2月に100株購入していますが、早速買い増しを検討しています。大和証券は国内第2位の証券会社で有価証券関連業を中核とするリテール事業やホールセール事業、アセットマネジメント事業などの投資事業を営んでいます。
また、あおぞら銀行やかんぽ生命との資本業務提携を進めるなど、事業規模の拡大も図っているところです。
直近決算
大和証券は4月28日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は1543億円と328億円の増益になっているなか、配当も12円増配の年間56円としています。
今期予測については経済情勢や相場環境に大きな影響を受ける状況にあり、 その業績予想を行うことは困難であるとして例年通り非開示にしており、年間配当は便宜上下限の44円を記載しているとの事です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 大和証券 |
2019年3月期 | 638 |
2020年3月期 | 603 |
2021年3月期 | 1083 |
2022年3月期 | 948 |
2023年3月期 | 638 |
2024年3月期 | 1215 |
2025年3月期 | 1543 |
2026年3月期(会社予想) | ‐ |
2019年からの通期最終利益について、2022年頃は1000億円前後で推移していましたが、その後は増減が激しくなっています。実際、2023年はリテール部門でフロー収益が減少した事やホールセール部門も不透明な市場環境を受けて顧客アクティビティが減少した事などを要因に減益となりましたが、2024年はリテール部門で資産管理型ビジネスへの移行が着実に進展した事などにより全部門が堅調に推移した事で大きく増益となりました。
そんななか、前期も総資産コンサルティングの着実な浸透やアセットマネジメント部門も収益が拡大した事で増益となっており、今期予測は例年通り非開示で発表されています。
配当推移
銘柄名 | 大和証券 |
2016年 | 29 |
2017年 | 26 |
2018年 | 28 |
2019年 | 21 |
2020年 | 20 |
2021年 | 36 |
2022年 | 33 |
2023年 | 23 |
2024年 | 44 |
2025年 | 56 |
2026年(会社予想) | ‐ |
2016年からの配当推移について、数年前は20円台で増減を繰り返す展開が続いていましたが、2021年は業績好調を背景に大きく増配となっています。そんななか、2022年以降は業績低迷により減配が続く時期もありましたが、2024年は業績好調から一気に21円の大幅増配、そして前期も過去最高となる年間56円の配当になっており、今期は便宜上下限の44円予測で発表しています。
大和証券の配当方針は、業績の安定性を反映した還元方針として2027年3月期までは年間配当金の下限を44円と設定したうえで、具体的な目安を配当性向で半期毎に50%以上としています。
株価推移

2023年夏以降の株価は右肩上がりの状況で、去年7月には1353円まで上昇しました。
しかし、その後は低迷が続き、今回の暴落では773円まで下げましたが、直近は1000円前後で推移しています。
株価指標(2025年6月26日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
大和証券 | 8601 | 1003.5 | ‐ | 0.86 | 44 | 4.38 | ‐ |
最近の株価は低迷していますので、今期配当は現状下限の44円予測となっていますが配当利回りは4%半ばと高水準です。
通期の業績見通しは非開示ですのでPERや配当性向は算出できない状況です。
大和証券について、証券会社の業績は株式市場の影響を大きく受けるため、他の証券会社も普段から業績や配当予測を非開示で発表する企業が多く、大和証券も今期業績見通しは非開示としていますが、配当は下限の年間44円予測で発表しています。
ただ、現在の株価なら下限の44円でも配当利回りは4%を大きく超えていますし、今後業績が上振れれば、配当利回りが更に5%、6%を超える可能性もありますので、最低購入金額が10万円付近で低迷している事も含め、下半期に買い増しを検討しています。
【1870】矢作建設工業
5番目の銘柄は矢作建設工業で、今回初めて購入候補にしています。矢作建設工業は名古屋が本社の建設会社で東海エリアを中心に集合住宅や商業施設、物流施設などの建築工事や土木、鉄道工事なども手掛けています。
また、最近は独自の耐震工事で受注拡大に注力しているところです。
直近決算
矢作建設工業は5月7日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は56億円と8億円の減益となっていますが、配当は20円増配の年間80円としています。
今期予測は通期最終利益を66億円と10億円の増益見込みとしているなか、配当は10円増配の年間90円予測で発表しています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 矢作建設 |
2022年3月期 | 48 |
2023年3月期 | 45 |
2024年3月期 | 64 |
2025年3月期 | 56 |
2026年3月期(会社予想) | 66 |
2022年からの通期最終利益について、2024年は前年に子会社化した企業の業績が加わった事や大規模な自社開発産業用地を売却した影響で大きく増益となり過去最高益を記録していますが、前期はその反動で減益となりました。
しかし、前期も建設事業は大型物流施設工事を中心に施工が進捗した事で堅調に推移しており、今期は更に複数の大型建築工事の施工が進捗するとして期初から過去最高益を更新する予測で発表しています。
配当推移
銘柄名 | 矢作建設 |
2016年 | 22 |
2017年 | 24 |
2018年 | 24 |
2019年 | 28 |
2020年 | 34 |
2021年 | 34 |
2022年 | 38 |
2023年 | 43 |
2024年 | 60 |
2025年 | 80 |
2026年(会社予想) | 90 |
2016年からの配当推移について、たまに据え置きの年はありますが、減配はなく、順調に増配が続いています。そんななか、最近の増配幅は大きくなっており、2024年は17円、前期は創立70周年の記念配当が20円実施された事で大幅増配となりましたが、今期は普通配当のみで期初から10円の増配予測となっています。
矢作建設工業の配当方針は、継続的かつ安定的な株主還元を実施することを基本方針にしており、具体的な目安を自己資本配当率(DOE) 5%以上にしているなか、今期から累進配当も宣言しています。
株価推移

株価は800円付近で停滞の時期が長かったですが、2023年以降は大きく上昇して、2024年には1743円の高値を付けました。
その後は1200円付近まで反落する場面はありましたが、今回の決算を受けて直近は1700円前後まで上昇しています。
株価指標(2025年6月26日)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
矢作建設 | 1870 | 1693 | 11.0 | 1.06 | 90 | 5.32 | 58.7 |
最近の株価は上場来の高値付近で推移していますが、配当も大幅増配が続いていますので配当利回りは5%半ばと高水準です。
今期業績は増益見込みですのでPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は59%付近となっています。
矢作建設工業について、最近の業績は過去最高益レベルで推移しているなか、今までの配当推移も10年以上減配が無いほど安定していました。そんななか、前期は記念配当の影響で大きく増配となっていましたが、今期は普通配当のみで増配を維持しており、また累進配当まで宣言されましたので、今後も高水準な配当が期待できそうです。
以上の点を踏まえ、現在の株価は上場来の高値付近で推移しており、会社の知名度や出来高も物足りない水準ではありますが、今回初めて購入候補に選定しています。
【1605】INPEX
最後の銘柄はINPEXで現在300株保有していますが、更なる買い増しを検討しています。INPEXは石油や天然ガスなどの開発生産を手掛ける国内最大手の石油開発企業です。
現状は石油、天然ガスの開発生産がメイン事業ですが、脱炭素社会への流れを受け再生可能エネルギーやカーボンリサイクル事業にも注力しています。
直近決算
INPEXは12月決算ですので5月13日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は1262億円と前年同期比44億円の増益となっているなか、通期最終利益の見込みを300億円下方修正していますが、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益のなか下方修正を発表した理由は、主要プロジェクトにおける安定操業が業績を下支えしていますが、前回発表予想時の想定に対して原油価格の下振れリスクが高まった事や為替が円高基調に変移したためとしています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | INPEX |
2019年12月期 | 1235 |
2020年12月期 | -1116 |
2021年12月期 | 2230 |
2022年12月期 | 4610 |
2023年12月期 | 3217 |
2024年12月期 | 4273 |
2025年12月期(会社予想) | 3000 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっています。2020年はコロナショックの影響などで赤字に転落していますが、2022年にかけては原油及び天然ガスの販売価格上昇に加え、円安の追い風もあり過去最高益の水準へV字回復しました。
しかし、2023年は原油価格の反落や豪州の一部プロジェクトで減損損失を計上した事で減益となり、前期はその反動で増益となりましたが、今期は想定の原油価格レートを前期より低く想定した事で期初から2割程度の減益見込みとしていたなか、先ほどお伝えした様に第1四半期決算で更に下方修正が発表された事で減益率は3割近くまで拡大しています。
配当推移
銘柄名 | INPEX |
2015年3月 | 18 |
2016年3月 | 18 |
2017年3月 | 18 |
2018年3月 | 18 |
2019年3月 | 24 |
2019年12月 | 30 |
2020年12月 | 24 |
2021年12月 | 48 |
2022年12月 | 62 |
2023年12月 | 74 |
2024年12月 | 86 |
2025年12月(会社予想) | 90 |
2015年からの配当推移について、数年前は据え置きが続く年もありましたが、最近は概ね安定して増配が続いています。特に直近の増配幅は業績が増減するなか株主還元強化を背景に大きくなっており、2022年は14円、2023年も12円の大幅増配、そして前期も期初時点では2円の増配見込みとしていましたが最終的には12円の大幅増配となり、今期も現状は4円の増配予測となっています。
INPEXの配当方針は、今期から2027年度の中期経営計画中は年間90円を起点とする累進配当による安定的な還元に加え、機動的に自己株式取得を行うとしており、業績の成長にあわせて株主還元を強化する方針です。
株主優待
INPEXには株主優待が設定されており、保有株数や保有継続年数によってクオカードがもらえますので内容を表にまとめています。
保有株数 | 保有継続年数 | 金額 | 優待品 | ||
400株以上 | 1年以上 | 1000円 | QUOカード | ||
2年以上 | 2000円 | ||||
3年以上 | 3000円 | ||||
800株以上 | 1年以上 | 2000円 | カタログギフト | ||
2年以上 | 3000円 | ||||
3年以上 | 5000円 |
400株以上かつ1年以上継続が最低条件ですので少しきつめの条件ですが、長期保有者には有難い内容です。
株価推移

2022年頃までの株価は1000円台半ばで停滞が続いていましたが、去年4月には2628円まで上昇しました。
しかし、その後は低迷する原油価格と連動してずるずる売られ、今回の暴落では1651円まで値を下げましたが、直近は2000円前後で推移しています。
株価指標(2025年6月26日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
INPEX | 1605 | 2018 | 8.1 | 0.52 | 90 | 4.46 | 35.9 |
最近の株価は中東情勢の緊迫化を受けて乱高下しましたが、増配も続いていますので配当利回りは4%半ばと高水準です。
今期業績は減益見込みですがPER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は36%付近となっています。
INPEXについて、業績は原油価格や為替の影響などで増減が激しいですが、最近の配当は大幅増配が続いており、また今期から2027年度までを期限とした累進配当も宣言されましたので、今後も業績とは関係なく高水準な配当が期待できそうです。そんななか、直近の株価はENEOS同様に緊迫化した中東情勢の影響で上昇した原油価格と連動して値を上げる場面がありました。
ただ、その後は戦争が早期に終わった事で反落しており、また先月の下方修正で想定の原油価格は65ドル/バレルに変更していますので、今後は業績の上方修正にも期待がかかるなか、依然配当利回りも4%台を維持していますので、今年中に株主優待がもらえる400株まであと100株買い増そうと思い、引き続き下半期の購入候補に選定しています。
今年の下半期に購入を検討している6銘柄(2025年6月26日時点)
今回検証した今年の下半期に購入を検討している6銘柄の最新情報を表にまとめていますが、残りの成長投資枠が少ない事もあり、最低購入金額は1番高い三菱ガス化学やINPEXでも20万円付近と低めに抑えています。
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ENEOS | 5020 | 712.1 | 10.4 | 0.62 | 30 | 4.21 | 43.6 |
三菱ガス化学 | 4182 | 2192.5 | 11.9 | 0.64 | 100 | 4.56 | 54.1 |
野村不動産HD | 3231 | 841.6 | 9.6 | 0.96 | 36 | 4.28 | 41.2 |
大和証券 | 8601 | 1003.5 | ‐ | 0.86 | 44 | 4.38 | ‐ |
矢作建設 | 1870 | 1693 | 11.0 | 1.06 | 90 | 5.32 | 58.7 |
INPEX | 1605 | 2018 | 8.1 | 0.52 | 90 | 4.46 | 35.9 |
そんななか、下半期の相場もトランプ関税や中東情勢絡みで不安定な動きが続く可能性は高く、そうなると日本企業にも業績の下方修正や減配などのリスクが懸念されます。
ただ、今回選定した6銘柄のうち、野村不動産と大和証券は下限配当を設定しており、残りの4銘柄も累進配当を導入していますので、減配リスクは限りなくゼロに近く、安心して保有できる銘柄となっています。
まとめ
今回は今年の下半期に購入を検討している6銘柄の最新情報を検証しました。上半期の相場は大きく揺れ動く展開が続きましたが、様々な状況を踏まえると、下半期も波乱含みとなる可能性は高そうです。そんななか、私が購入する銘柄を選定する時に1番重視している点は「減配リスクの低さ」ですので、今回の6銘柄も限りなく減配しそうに無い銘柄を中心に選んでいます。
という事で、成長投資枠の残りは少ないですので、今回検証した全ての銘柄を購入する事はできませんが、下半期も株価が下がる場面は積極的に狙って行く予定で、そんな実際に購入した銘柄は下半期もYouTubeのメンバー限定動画で購入日に報告していきますので、興味のある方は是非メンバーシップも宜しくお願いします。
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