【王道からマニアックな銘柄まで】累進配当を宣言している6つの高配当株

スポンサーリンク
銘柄検証

さすがに直近の株式市場は乱高下も激しくなっていますが、日経平均やTOPIXは依然史上最高値付近で推移していますので、今年はこのまま歴史に残る相場として、年末に向けて更に一段と上昇する可能性も高まっている印象です。今年の様に強い相場だと保有銘柄の多くが上昇していますので、投資家としては嬉しい限りですが、最近の株価上昇で配当利回りが低下している銘柄が増えている点は、高配当株投資家としては、悩ましい問題です。

ただ、最近は好調な業績や株主還元の向上を背景に増配を行ってくれる銘柄も増えており、なかには「減配せずに現在の配当水準を維持または増配し続ける」累進配当政策を導入する企業も増えています。そんな累進配当を宣言している銘柄であれば、減配リスクが無いなか、今後の増配によって購入時点よりも配当利回りが上昇するケースも多いですので、今の様な強い相場の時でも比較的購入を行いやすいです。

そこで今回は、累進配当を導入した時期が早かった銘柄や誰もが知っている『王道累進銘柄』から、あまり累進配当のイメージが無い様な『隠れ累進銘柄』まで合計6つの高配当株を検証していきます。

スポンサーリンク

【8058】三菱商事

最初の銘柄は総合商社の三菱商事で、累進配当を宣言したのは2016年からと、最近は累進配当を導入する日本企業が増えるなか、トップクラスに長い期間に渡って累進配当政策を継続している王道の累進銘柄です。

そんな三菱商事はエネルギー、金属などの金属資源部門に強みを持っており、現在約1300社の連結対象会社と協働して幅広いビジネスを世界中で展開しているなか、直近の海外売上比率もアメリカを中心に5割近くを占めている状況です。

直近決算

三菱商事は11月4日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は3557億円と前年同期比2623億円の減益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比減益の要因は、豪州原料炭事業の市況悪化やローソンの持分法適用会社化に伴う影響などに加え、前年度会計処理見直しの反動があったためとの事です。

通期最終利益(億円)

銘柄名三菱商事
2020年3月期5353
2021年3月期1725
2022年3月期9375
2023年3月期11806
2024年3月期9640
2025年3月期9507
2026年3月期(会社予想)7000

2020年からの通期最終利益について、増減の激しい展開となっており、2021年はコロナショックの影響で大幅減益となりましたが、2022年以降はコロナからの経済回復や商品市況の上昇で大幅増益が続き、2023年には過去最高益を記録しています。

しかし、2024年以降は商品市況反落の影響で減益が続いており、前期もローソンの再評価益計上など一時的な増益要因は多かったですが、資源価格の下落や洋上風力発電関連の減損損失などの影響で減益となっており、今期も原料炭、鉄鉱石価格の下落に加え、前期一時的要因の反動などを想定して大きく減益の見込みにしているなかですが、第2四半期時点の通期進捗率は51%付近と、通期見通しに対しては概ね計画通りに進捗しているとの事です。

配当推移

銘柄名三菱商事
2016年16.6
2017年26.6
2018年36.6
2019年41.6
2020年44
2021年44.6
2022年50
2023年60
2024年70
2025年100
2026年(会社予想)110

2016年からの配当推移を見ていますが、2017年以降減配はなく順調に増配傾向で、コロナショックで業績を大きく落とした2021年にも増配しています。そんななか、最近は業績とは関係なく増配幅が大きくなっており、前期は減益でも30円の大幅増配、そして今期も業績は大きく減益見込みですが10円の増配予測としています。

三菱商事の配当方針は累進配当+機動的な自己株式取得とする基本方針を維持としており、前期までが期限だった累進配当も2027年度までの継続が発表されています。

株価推移

2023年以降の株価は基本的に右肩上がりで、去年4月には3775円まで上昇しました。

しかし、その後は業績低迷の影響もあって下落が続き、4月の暴落では2257円まで売られましたが、直近は再度3700円前後まで上昇しています。

株価指標(2025年11月13日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
三菱商事8058373120.01.571102.9558.8

最近の株価は上昇していますので、配当は増配が続いていますが配当利回りは3%前後となっています。

今期は大きく減益見込みですのでPER、PBRは市場平均より割高で、配当性向は59%付近と最近の中では高水準になっています。

投資判断

今までの内容から三菱商事の投資判断について、最近の業績は資源価格の下落や円高影響などで減益が続いていますが、今期減益の大きな要因は前期に計上した炭鉱売却やローソン再評価益の反動など、一時的利益の反動も大きくなっています。従って、今期業績が厳しくなるのは前期から、ある程度想定されており、その辺りも影響して、去年春以降の株価は低迷していました。

ただ、最近の株価は全体の強さや8月末にバフェット氏による買い増しが明らかになった事もあって反発している事で、増配は続いていますが、利回りも3%程度まで低下しています。以上の点を踏まえると、今期までは業績も厳しい状況が続きそうですが、総合商社トップのブランド力で必ず復活してくれると思いますし、今までの配当推移や最低でも2027年度まで続く累進配当政策のもと、減配リスクはありませんので、王道の累進銘柄として、バフェット氏の様に買い増しも検討したくなります。

【3407】旭化成

2番目の銘柄は旭化成で、ヘルスケア、住宅、マテリアルなどの事業を手掛ける大手総合化学メーカーです。ヘルスケア事業では国内外で医薬品などを取り扱い、住宅事業では不動産開発やリフォーム、断熱材などに加え、北米やオーストラリアでの住宅事業も手掛けており、アメリカや中国を中心に直近の海外売上比率も5割を超えている状況です。

そんななか、累進配当を宣言したのは今年からと最新の累進配当銘柄です。

直近決算

旭化成は11月5日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は662億円と前年同期比60億円の増益になっているなか、通期最終利益の見込みを150億円上方修正していますが、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、マテリアル事業で事業撤退に伴う損失が発生しましたが、ヘルスケアと住宅セグメントが増益で推移した事に加え、営業外損益の改善や税金費用の低減もあったためとの事です。

通期最終利益(億円)

銘柄名旭化成
2022年3月期1618
2023年3月期-919
2024年3月期438
2025年3月期1349
2026年3月期(会社予想)1400

2022年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっており、2023年は半導体不足の長期化や中国のロックダウン、原燃料価格高騰に加え、米ポリポア社買収時に認識した広義ののれん1864億円を特別損失に計上した事で赤字に転落しましたが、その後は各セグメントの拡販や原燃料コストを踏まえた適正なプライシング、コストダウンの効果で増益が続きました。

そんななか、今期はアメリカの関税影響や為替の影響に加え、ヘルスケアの事業譲渡影響によるマイナスを見込むとして期初時点では減益予測にしていましたが、医薬品などの販売が好調で国内住宅事業も伸びているほか、投資有価証券の売却益も計上する予定として、第2四半期決算で上方修正を発表し、一転増益予測になっています。

配当推移

銘柄名旭化成
2016年19
2017年20
2018年24
2019年34
2020年34
2021年34
2022年34
2023年36
2024年36
2025年38
2026年(会社予想)40

2016年からの配当推移について、数年前は34円で据え置きが続いていましたが、2023年は業績が赤字に転落するなか、久しぶりに2円の増配となっており、その後もじわじわ増配が続いています。実際、前期も2円の増配で今期も業績は減益見込みですが、期初から2円の増配予測で発表しています。

旭化成の配当方針は中期的なFCFの見通しから株主還元の水準を判断するとしており、DOE3%を目安とした中長期的な累進配当を目指す方針です。

株価推移

株価は2021年に1380円まで上昇した後は、1000円前後で低迷が続きました。

そして、今年春の暴落では880円まで売られましたが、直近は1300円前後まで上昇しています。

株価指標(2025年11月13日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
旭化成34071271.512.30.91403.1538.8

最近の株価はじわじわ上昇していますが、増配も続いていますので配当利回りは3%前半の水準です。

今期も増益見込みになりましたのでPER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は39%付近となっています。

投資判断

今までの内容から旭化成の投資判断について、業績は一過性要因もあって増減が激しいですが、配当は安定した増配が続いており、今期からは累進配当まで宣言されています。そんななか、ここ数年の株価は低迷していましたが、直近は好調な業績や全体の強さもあってか上昇していますので、利回りは3%付近まで低下している状況です。

以上の点を踏まえると、今後の業績も増減を繰り返す可能性はありますが、導入したばかりの累進配当政策のもと、今後も継続した増配には期待できそうですので、今のうちに購入したくなる銘柄です。

【8439】東京センチュリー

3番目の銘柄は東京センチュリーでオートリースや航空機リースなどを手掛ける伊藤忠系の大手総合リース会社です。パソコンやサーバーなどの情報通信機器の取り扱いに強みを持っており、再生可能エネルギー事業も手掛けています。

リース銘柄は連続増配を継続している企業が多いですが、正式に累進配当を導入している銘柄は意外と少ないなか、東京センチュリーは去年5月に累進配当を宣言しています。

直近決算

東京センチュリーは11月7日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は927億円と前年同期比496億円の増益になっているなか、通期最終利益の見込みを70億円上方修正し、配当も4円増額の年間72円予測に修正しています。

前期比増益の要因は、ロシアへ航空機をリースしていた事に絡む和解保険金を519億円計上した事が大きいですが、特別損益を除いた収益も80億円の増益と本業も順調に推移しているとの事です。

通期最終利益(億円)

銘柄名東京センチュリー
2021年3月期491
2022年3月期502
2023年3月期47
2024年3月期721
2025年3月期852
2026年3月期(会社予想)1000

2021年からの通期最終利益について、2022年頃は500億円前後で安定していましたが、2023年は連結子会社を通じてロシアへ航空機をリースしていた事などにより、ロシア関連の特別損失を580億円計上した事で大きく減益となりました。しかし、2024年以降はロシア関連損失の剥落や全事業分野で増益になったとして、過去最高益の水準へV字回復しています。

そんななか、今期はロシアの航空会社向けにリースしていた機体等を対象に保険和解金が計上されるとして、期初から更に過去最高益を更新する予測にしていましたが、受領金額が期初予想を上回った事や本業も好調に推移しているとして、第2四半期決算で上方修正を発表しているなか、通期進捗率は93%付近と更なる上方修正も期待できる水準で推移しています。

配当推移

銘柄名東京センチュリー
2016年20
2017年25
2018年28.5
2019年31
2020年34
2021年34.5
2022年35.75
2023年35.75
2024年52
2025年62
2026年(会社予想)72

2016年からの配当推移について、大きく減益となった2023年は据え置きになっていますが、その年以外は順調に増配が続いています。そんななか、特に直近は業績好調から増配幅も大きくなっており、2024年は約16円、前期も10円の増配、そして今期も期初から6円の増配見込みにしていたなか、第2四半期決算で4円増額された事で合計10円の大幅増配予測になっています。

東京センチュリーの配当方針は累進配当を基本としつつ、利益成長による増配を目指し、配当性向は35%程度を目安にしています。

株価推移

株価は2023年の春頃からは上昇傾向となり、去年9月には1784円の高値を付けました。

しかし、その後は低迷が続き、4月の暴落では1261円まで値を下げましたが、直近は1900円前後まで上昇しています

株価指標(2025年11月13日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
東京センチュリー84391929.59.40.92723.7335.2

最近の株価は上昇していますが、大幅増配も続いていますので配当利回りは3%後半となっています。

今期も過去最高益の見込みですのでPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は35%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から東京センチュリーの投資判断について、最近の業績は過去最高益が続いていたなか、今期はロシア関連の損失が保険和解金として戻ってくる事で、大きく増益の予測になっています。そんななか、期初時点では同時に関税影響やバイオマス事業の減損などに備えたリスク要因も320億円見込んでいるとしていましたが、第2四半期時点で損失の計上はなく、通期進捗率も90%超と高水準で推移していますので、今後の更なる上方修正も現実的です。

以上の点を踏まえると、もちろん保険和解金は一過性要因ですので、来期の業績は反動で大きく減益となる可能性が高いですが、累進配当政策のもと減配リスクはありませんので、まだまだ狙えそうな水準にも見えてきます。

【1605】INPEX

4番目の銘柄は国内最大手の石油開発企業INPEXですが、累進配当を宣言したのは今期からと、累進配当銘柄としては新しい存在です。現状は石油、天然ガスの開発生産がメイン事業ですが、脱炭素社会への流れを受け再生可能エネルギーやカーボンリサイクル事業にも注力しています。

直近決算

INPEXは12月決算ですので、11月13日に第3四半期決算を発表しており、最終利益は2934億円と前年同期比40億円の増益になっているなか、通期最終利益の見込みを200億円上方修正していますが、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、イクシスLNGプロジェクトを構成する子会社の資本金を一部有償減資した事で、為替差益 243億円を計上した影響などとしており、第3四半期における堅調な生産・コスト最適化なども踏まえ、業績を上方修正したとの事です。

通期最終利益(億円)

銘柄名INPEX
2019年12月期1235
2020年12月期-1116
2021年12月期2230
2022年12月期4610
2023年12月期3217
2024年12月期4273
2025年12月期(会社予想)3900

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、増減が激しくなっています。2020年はコロナショックの影響などで赤字に転落していますが、2022年にかけては原油及び天然ガスの販売価格上昇に加え、円安の追い風もあり過去最高益の水準へV字回復しました。

しかし、2023年は原油価格の反落や豪州の一部プロジェクトで減損損失を計上した事で減益となり、前期はその反動で増益となりましたが、今期は想定の原油価格レートを前期より低く設定した事や為替の影響で減益見込みとしているなか、第2四半期、第3四半期と連続で上方修正を発表した事で減益率は9%程度まで改善しています。

配当推移

銘柄名INPEX
2015年3月18
2016年3月18
2017年3月18
2018年3月18
2019年3月24
2019年12月30
2020年12月24
2021年12月48
2022年12月62
2023年12月74
2024年12月86
2025年12月(会社予想)100

2015年からの配当推移について、数年前は据え置きが続く年もありましたが、最近は概ね安定して増配が続いています。特に直近の増配幅は業績が増減するなか株主還元強化を背景に大きくなっており、2022年は14円、2023年と前期は12円の大幅増配だったなか、今期も期初時点では4円の増配見込みとしていましたが、第2四半期決算で10円増額され、合計14円の大幅増配予測になっています。

INPEXの配当方針は、今期から2027年度の中期経営計画中は年間90円を起点とする累進配当による安定的な還元に加え、機動的に自己株式取得を行うとしており、業績の成長にあわせて株主還元を強化する方針です。

株主優待

INPEXには株主優待が設定されており、保有株数や保有継続年数によってクオカードがもらえますが、400株以上かつ1年以上の継続保有が最低条件と少しきつめの条件になっているなか、今期から800株以上の長期保有者に対して、内容を拡充させる事を発表しています。

株価推移

2022年頃までの株価は1000円台半ばで停滞が続いていましたが、去年4月には2628円まで上昇しました。

しかし、その後は低迷する原油価格と連動してずるずる売られ、4月の暴落では1651円まで値を下げましたが、直近は3000円前後まで上昇しています。

株価指標(2025年11月13日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
INPEX160530169.10.791003.3230.2

最近の株価はここ数年の高値圏まで上昇していますので、増配も続いていますが配当利回りは3%半ばまで低下しています。

今期は減益見込みですがPER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は30%付近と余裕を感じる水準です。

投資判断

今までの内容からINPEXの投資判断について、業績は原油価格や為替の影響などで増減が激しいですが、最近の配当は大幅増配が続いており、株価も上昇傾向です。ただ、今回の決算では足許の株価水準を依然割安と認識しているとして、追加の自社株買い200億円も発表しています。

以上の点を踏まえると、今期から累進配当が宣言されている事も含め、今後の更なる大幅増配も期待できますので、株主優待拡充の恩恵が受けられる800株保有はハードルが高いですが、今からでも狙いたくなる銘柄です。

【1870】矢作建設工業

5番目の銘柄は矢作建設工業で名古屋が本社の建設会社です。東海エリアを中心に集合住宅、商業施設、物流施設などの建築工事や土木、鉄道工事なども手掛けています。

建設会社で累進配当を導入している銘柄は少ないかと思いますが、矢作建設工業は今期から累進配当を宣言しています。

直近決算

矢作建設工業は11月6日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は57億円と前年同期比48億円の増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、大型建築工事の施工が最盛期を迎えている事や工事採算の改善も進んだ結果としています。

通期最終利益(億円)

銘柄名矢作建設
2022年3月期48
2023年3月期45
2024年3月期64
2025年3月期56
2026年3月期(会社予想)66

2022年からの通期最終利益について、2024年は前年に子会社化した企業の業績が加わった事や大規模な自社開発産業用地を売却した影響で大きく増益となり、過去最高益を記録していますが、前期はその反動で減益となりました。

しかし、前期も建設事業は大型物流施設工事を中心に施工が進捗した事で堅調に推移しており、今期も好調な状況が続く見込みとして期初から過去最高益を更新する予測で発表していたなか、第2四半期時点の通期進捗率も86%付近と絶好調ですが、第3四半期以降に今後の持続的成長を実現するため、積極的な投資を行う可能性がある事などを踏まえ、通期予測の上方修正は行っていないとの事です。

配当推移

銘柄名矢作建設
2016年22
2017年24
2018年24
2019年28
2020年34
2021年34
2022年38
2023年43
2024年60
2025年80
2026年(会社予想)90

2016年からの配当推移について、たまに据え置きの年はありますが、減配はなく、順調に増配が続いています。そんななか、最近の増配幅は大きくなっており、2024年は17円、前期も創立70周年の記念配当が20円実施された事で大幅増配となっていたなか、今期は普通配当のみで期初から更に10円の増配予測となっています。

矢作建設工業の配当方針は、継続的かつ安定的な株主還元を実施することを基本方針にしており、具体的な目安を自己資本配当率(DOE) 5%以上にしているなか、今期から累進配当も宣言しています。

株価推移

株価は800円付近で停滞の時期が長かったですが、2023年以降は大きく上昇して、2024年には1743円の高値を付けています。

その後、4月の暴落で1170円まで下落し、10月には2348円まで上昇する場面はありましたが、直近は今回の決算を受けて2100円前後まで下落しています。

株価指標(2025年11月13日)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
矢作建設1870212313.81.25904.2458.7

最近の株価は直近高値から下落しているなか、大幅増配も続いていますので配当利回りは4%前半と高水準です。

今期は過去最高益の見込みですがPERは市場平均並みで、配当性向は59%付近となっています。

投資判断

今までの内容から矢作建設工業の投資判断について、最近の業績は好調に推移しており、今期も過去最高益を更新する予測にしているなか、第2四半期時点の通期進捗率も86%付近と絶好調です。そんななか、今回の決算で上方修正が発表されなかった影響もあってか、直近の株価は売られており、利回りも再度4%を超えてきている状況です。

ただ、上方修正を行なわなかった理由は、今後の積極的な投資を踏まえたもので、将来性も期待できますので、累進配当が宣言されている事も含め、今の株価は絶好の押し目買いチャンスにも見えてきます。

【3279】アクティビア・プロパティーズ

最後の銘柄はREITのアクティビア・プロパティーズで、都市型商業施設や東京のオフィスへ重点的に投資するREITです。現在の保有物件数は45件で、投資先は東京のオフィスが5割を超え、都市型商業施設が約3割になっているなか、エリアは東京都で約7割、残りは三大都市圏となっています。

そして、REITでは唯一の累進配当を宣言している銘柄です。

分配金推移

銘柄名アクティビア・プロパティーズ
2017年6198
2018年6349
2019年6718
2020年6352
2021年6254
2022年6270
2023年6495
2024年6222
2025年(会社予想)5910
2026年(会社予想)3000(1期分)

2017年からの分配金推移について、6000円台で上下する展開が続いていましたが、直近は減配傾向で、今年は現状5000円台へ減配する見込みになっています。ただ、現状1期分しか発表されていませんが、来年の予測は増配になっており、また今後は資産入替に伴い発生する売却益を還元し、分配金の累進配当モデルを構築するとして、2029年5月期までは年率2%以上の増配を目指し、分配金も3200円以上を想定しているとの事です。

基準価格推移

基準価格は2021年に17万7000円まで上昇した後は右肩下がりで、去年12月には10万3500円まで下落しました。

しかし、そこからは右肩上がりの状況が続き、直近は14万4000円前後まで上昇しています。

株価指標(2025年11月13日時点)

銘柄コード決算月投資口価格予想分配金配当利回り
アクティビア・プロパティーズ32795、1114390060004.17

最近の基準価格は上昇が続いているなか、分配金も減配傾向ですが利回りは4%台と高水準です。また、アクティビア・プロパティーズは、5月、11月が権利月となっています。

投資判断

今までの内容からアクティビア・プロパティーズの投資判断について、去年までの基準価格は国内金利の上昇懸念を主因に下落が続いていましたが、今年に入ると反発しており、この辺りは他のREITと同じ動きです。

そんななか、最近の分配金は減配傾向ですが、直近の決算では2029年までの累進配当が宣言されており、現状REITでは唯一の存在ですので、今後の増配を期待してポートフォリオに入れたくなる銘柄です。

まとめ

今回は配当方針に累進配当を導入している銘柄の中から、誰もが知っている王道の銘柄やあまり累進配当のイメージが無い隠れ累進銘柄まで合計6銘柄を検証しました。冒頭でお伝えした様に、最近の株価上昇で利回りが低下している高配当株が増えていますが、高配当株投資は今の利回りだけでなく、10年、20年先の利回りを想定して投資を行う事が大切です。

その様な点において、累進配当を宣言している銘柄であれば、増配への期待も高まりますので、今の様な強い相場の時には特に投資対象として、リストアップしたい銘柄です。

累進配当を宣言している6銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。

【王道からマニアックな銘柄まで】累進配当を宣言している6つの高配当株

コメント

タイトルとURLをコピーしました