日本製鉄は高配当銘柄として投資可能か検証

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銘柄検証

今回は日本最大手の鉄鋼メーカー日本製鉄が高配当銘柄として投資可能か、日本製鉄の現状と今後を踏まえて投資判断を検証してみたいと思います。

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日本製鉄の歴史と現状

まず日本製鉄の歴史と現状を簡単にまとめていきます。

日本製鉄は日本最大手の鉄鋼メーカーで、元々は新日本製鉄と住友金属工業が2012年に合併して新日鉄住金となり、2019年に日本製鉄へ社名変更しています。

少し昔の話にはなりますが、新日本製鉄は新日鉄の通称で個人投資家にも人気が高く、個人的にも証券会社で働いていた2000年代によく売買していた思い出があります。概要欄には記載していますが、私は証券会社を退職後2020年に株式市場に復活するまでの約10年間、株式市場に全くノータッチでしたので、住金と合併した辺りまでは何となく記憶にありましたが、コード番号は同じなのに日本製鉄という社名には少し違和感がありました。

そんな日本製鉄の現状ですが、米中貿易摩擦による世界経済の減速や国内の鋼材需要減少に加え中国メーカーの台頭もあり業績は厳しい状況が続いていました。そこで日本製鉄は複数の生産拠点の休止、閉鎖を決めるなど大規模なリストラを進めています。

今期についてはコロナからの経済回復や鋼材価格の上昇により業績は上振れしているところです。

日本製鉄直近決算(2022年3月期第2四半期決算)

ここからは日本製鉄の直近決算を検証していきます。

日本製鉄は昨年11月発表の2022年3月期第2四半期決算内容で通期純利益を1500億円増の5200億円へ上方修正しています

配当は現状通期予測を公表していませんが、中間配当は従来予想から15円増の70円と中間配当としては過去最高額になっています。

業績好調の要因は、昨年度断⾏した抜本的コスト改善に加え、紐付き価格是正の取り組み強化、⼀貫能⼒絞り込みによる注⽂選択の効果、海外グループ会社の収益⼒の向上等によるものとしています。

紐付き価格とは、納品価格を自動車メーカーなどの鉄鋼製品ユーザーとの交渉で決める事で、これまでの価格交渉ではコスト削減や品質にも厳しい国内自動車メーカーが優位となるケースが多く、鉄鋼メーカーは長年厳しい交渉を強いられていました。しかし、コロナからの経済回復や鉄鋼メーカーの大規模リストラによる工場閉鎖などで生産能力が落ちた事もあり、世界的に鋼材価格が高騰している事を背景に最近は国内でも鉄鋼メーカーが優位な状況となっています。 

株価推移

株価はコロナショックで800円を割れる水準まで下がりましたが、その後は戻してきています。去年5月頃からは、1700円前後から2400円付近の動きになっており、直近は1800円前後での動きになっています。商品市況の上昇などで同じように業績が急回復している商社株や海運株と比較すると株価は元気がない感じです。

最終利益推移(億円)

銘柄名日本製鉄
2019年3月期2511
2020年3月期-4315
2021年3月期-324
2022年3月期(会社予想)5200

日本製鉄の2019年からの最終利益をまとめていますが、かなり増減が激しいです。

高齢化、人口減少による建設需要の縮小などで国内の鋼材需要は減少が続いていた中、2020年3月期はコロナショックで更に大きく業績を落としました。

今期はコロナからの経済回復や鋼材価格の上昇でV字回復になっています。

第2四半期決算後の配当比較

配当推移
2015年55
2016年45
2017年45
2018年70
2019年80
2020年10
2021年10
2022年(会社予想)70円(中間)

2015年からの配当推移をまとめていますが、浮き沈みの激しい業績と共に増減が激しくなっています。今期の通期配当は先程触れたようにまだ開示されていませんが、中間時点で過去最高の70円が出ていますので、ここ数年と比較してもかなり高い水準になる可能性が高そうです。

また配当方針は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針としており、具体的な数値としては連結配当性向年間 30%程度を目安としています。

株主優待制度

日本製鉄は株主優待も行っていますので内容を下記にまとめています。

※1000株以上保有

工場見学会、経営概況説明会への招待(抽選) 年2回

※5000株以上保有

鹿島アントラーズの試合、紀尾井ホール室内管弦楽団への招待(抽選) 年2回

現在の株価だと1000株で約180万円、5000株で約9000万円ですので、あまり個人投資家にとっては現実的な優待ではないかと思います。

日本製鉄の株価等指標(2022年1月28日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
日本製鉄540118973.40.56

日本製鉄の配当利回りは年間配当がまだ公表されていないので分かりませんが、中間配当が70円出ている事や現在のEPS(1株あたり利益)から予想すると150円を超えてくる可能性もあります。仮に150円で計算した場合でも配当利回りは8%を超えます。

また、業績好調によりPER、PBRともにかなり割安な水準になっています。

日本製鉄の今後

中期経営計画(2025年度)では、中⻑期的な国内需要減少や輸出採算性悪化などを想定し「集中⽣産」「注文構成高度化」「設備新鋭化」による最適⽣産体制の構築を目標に掲げています。

最適⽣産体制の構築により損益分岐点を更に改善する事や海外事業の利益拡大やグループ各社の競争⼒・収益⼒強化などで鉄グループ会社の収益改善を目指す方針です。

具体的には高付加価値品を一貫で製造する体制、実⼒の観点から競争⼒ある一貫製鉄所を中心とする効率的な全社最適生産体制を構築としています。

また、再生エネルギーのインフラ整備、更新等のエンジニアリングやケミカル&マテリアル部門では強みのある商品の事業拡大、システムソリューションではDXビジネス分野に注力し継続的に事業成長を目指す事で鉄以外セグメントの収益改善も目指すとしています。

日本製鉄の投資判断

以上の点を踏まえた上での日本製鉄の投資判断ですが、業績や配当の増減が激しすぎて中長期の高配当銘柄としては厳しいというのが本音です。今期業績好調の要因である鋼材市況についてもいつまで現在の状況が続くかは不透明です。

しかし、その様な事は日本製鉄が1番分かっていると思いますし、実際将来に向けて大規模リストラや鉄以外の事業セグメントを伸ばしていく意向も感じます。

その様な意味では今期の配当を来期以降も継続していけるかは不透明ですし、将来的には今期よりも水準は落ちるかもしれませんが、安定した業績、配当を期待出来るメーカーになる可能性はあるかと思います。

株価も好業績の割には上昇していませんので、ポートフォリオの分散や鉄鋼メーカーに思い入れのある方は投資対象として検討しても良いかもしれません。

日本製鉄の投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧下さい。

日本製鉄の株価や今後を踏まえて高配当銘柄として投資可能か検証

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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