【2022年12月】プライム市場配当利回りTOP10銘柄を検証

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銘柄検証

今回はプライム市場の配当利回り上位10銘柄の投資判断を個別に検証していきます。

今年4月に東証が再編され誕生したプライム市場ですが、早いもので既に8ヶ月が経過しています。

プライム市場の配当利回り上位10銘柄検証は今年6月以来になりますが、最近は株主還元に力を入れている企業が増えた事もあり、わずか6ヶ月で多くの銘柄が入れ替わり、そして全体的な配当利回りも大きく上昇していました。

そこで前回の上位10銘柄と比較しながら、今回の上位10銘柄について特に気になる銘柄は個別で検証していますので、是非最後までご視聴下さい。

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プライム市場配当利回り上位10銘柄(2022年6月3日時点)

それでは本題ですが、まずは前回検証した今年6月3日時点のプライム市場配当利回り上位10銘柄から振り返ります。

順位銘柄コード株価予想配当配当利回り評価備考
1商船三井910435503509.86×業績・配当の増減が大きすぎ
2日本郵船91011084010559.73×業績・配当の増減が大きすぎ
3日東工業665122711777.79配当性向100%(2024年3月期まで)
4三ツ星ベルト519228422207.74配当性向100%(2024年3月期まで)
5淺沼組185252803827.23配当性向74.6%
6西松建設182042452856.71配当性向70.3%
7パイオラックス598819011276.68配当性向100%(2025年3月期まで)
8タチエス7239113573.66.48×3期連続赤字
9ユニデンHD681532752106.41×配当性向154%
10東洋製罐グループHD59011403896.34×配当性向230%

当時は3月期銘柄の本決算発表が一巡したタイミングでしたが、おすすめ評価にしたのは建設株の淺沼組と西松建設の2銘柄だけでした。その他の銘柄については配当性向が高い事や業績の変動が激しい事を理由におすすめとはしていませんでした。

そして当時10位の銘柄でも配当利回りは6%超とかなりの高水準でしたが、今回は更に全体的な利回りが上がっています。

それではここからは、2022年11月18日時点のプライム市場配当利回り上位10銘柄を10位から見ていきます。

10位 【7433】伯東(7.07%)

伯東は半導体などの電子部品を取り扱う専門商社で海外企業との取引も多い企業です。

直近の業績は、コロナからの経済回復などの影響で車載関連用途ICや産業機器向け電子部品の販売が好調な事に加え円安の影響で大きく伸びています。

そして伯東は2025年3月期までの中期経営計画中は、株主還元について総還元性向100%を目標にしていますので、業績の好調と連動して大幅増配となっています。

現在の業績は絶好調で株価も上昇が続いていますが、半導体需要は景気動向に左右される部分が大きく、今後の世界経済に景気後退懸念がある事や現在の配当は総還元性向100%を目標に設定されている事を考慮すると、もう少し様子を見たいかなという印象です。

9位 【5208】有沢製作所(7.13%)

有沢製作所は、プリント基板向けの電子材料やレンズなどの光学ディスプレー材料を製造、販売する電子機器メーカーです。

ここ数年の業績は順調に推移している事や2020年に配当方針を従来の配当性向35%から総還元性向60%超へ引き上げた事で、配当は数年前の3倍近い水準に急上昇しています。

しかし、今期は原材料費高騰などの影響で減益見込みとなっており、現状の配当性向も90%台と高水準な為、中長期の高配当株としては狙いにくいです。

8位 【5192】三ツ星ベルト(7.13%)

三ツ星ベルトは自動車用や産業用のVベルトをメインに製造するゴムメーカーで、建築用の防水材や土木用の遮水材、電子材料なども取り扱っています。

今年5月に発表した本決算で、2023年度までの配当性向を従来の1株当たり 54 円以上、連結配当性向35%から連結配当性向100%に引き上げた事で大幅増配となり、配当利回りが急上昇しています。

直近の業績は順調に推移していますが、配当性向100%は現状来期までの方針となっていますので、2024年度以降の配当方針は気になるところです。

7位 【1662】石油資源開発(7.35%)

石油資源開発は国内外で石油やガスの開発、生産、輸送、販売までを行う石油開発会社です。

前期までは2期連続の赤字でしたが、今期は原油価格やLNG価格の上昇により業績は急回復しています。

石油資源開発の配当方針は連結配当性向30%を目安にしつつ、事業環境の変化などにより一時的に業績が悪化した場合でも、一株当たり年間50円配当の維持に努めるとしています。

実際前期までの年間配当は3期続けて50円でしたが、今期は一気に6倍の300円へ急上昇しています。

しかし、業績は資源価格に影響を受ける部分が大きく、来期以降再び配当が50円に戻ってしまう可能性もある為、中長期投資の高配当株銘柄としては選定しにくいです。

6位 【1820】西松建設(7.60%)

西松建設は準大手のゼネコンでダムやトンネルなど土木に実績があり、直近の売上は不動産事業の好調を受けて増収ですが、最終利益は建設資材の高騰で減益傾向となっています。

そして西松建設は去年5月に2023年度までの配当方針を連結配当性向70%以上目標にした事で大幅増配となり配当利回りも上昇しています。

今期業績は減益見込みとなっており2024年度以降の配当方針も気になるところですが、以前の業績は割と安定していましたので気になる銘柄ではあります。

4位 【1518】三井松島HD(9.06%)

三井松島HDは、100年以上にわたって石炭の生産、販売を手掛けており、本社は福岡県です。今期業績は石炭価格の上昇を受けて好調な状況が続いており、過去最高益を更新する見込みとなっています。

好調な業績と連動して、今期配当は前期比3倍の270円見込みと大きく増配した事で配当利回りも上昇しています。

三井松島HDの配当方針は配当性向30%を目安としていますが、今期配当は創業110周年と最高益の記念配当190円が含まれており、また業績も今後の石炭価格に左右される部分が大きい為、中長期の高配当株としては狙いにくいです。

5位 【9107】川崎汽船(8.01%)、3位【9110】NSユナイテッド海運(9.48%)、2位【9104】商船三井(18.12%)、1位【9101】日本郵船(18.78%)

昨年、業績の大幅上方修正から大幅増配が続いた商船株からは今回4銘柄がランクインしており、その中でも商船三井と日本郵船の配当利回りは18%台と桁違いの数字になっています。

海運株は去年春頃よりコロナからの経済回復需要にコンテナや人員の供給が追い付かず、貨物船の賃料UPが好業績に繋がっていましたが、今期は更に円安の追い風も加わり前期以上の好業績となっています。

そして業績好調に伴う増配を繰り返し、株価も値を上げていますが配当利回りも大きく上昇しています。

貨物需要は世界経済の動向に大きく影響を受ける為、今後の景気後退リスクは懸念材料となっており、また業績や配当の増減も激しいので中長期保有の高配当株としてはなかなか手を出しにくい銘柄です。

しかし、今期も折り返しを過ぎ各社の第2四半期時点の通期進捗率も70%付近と高水準を維持している事を考えると、今期は前期を上回っての着地となる可能性は高そうです。

この状態がいつまで続くかは分かりませんし、今更海運株に手を出す事は勇気が入りますので私は買いませんが、既に購入されている方にとっては楽しみな銘柄だと思います。

プライム市場配当利回りTOP10(2022年11月18日時点)

順位銘柄コード株価予想配当配当利回り評価備考
1日本郵船9101271651018.78×業績・配当の増減が大きすぎ
2商船三井9104303555018.12×業績・配当の増減が大きすぎ
3NSユナイテッド海運911035853409.48×業績・配当の増減が大きすぎ
4三井松島HD151829802709.06×業績・配当の増減が大きすぎ
5川崎汽船910724962008.01×業績・配当の増減が大きすぎ
6西松建設182037502857.60現状の配当性向は80%超えも業績は安定傾向
7石油資源開発166240803007.35×配当性向100%(2025年4月期まで)
8三ツ星ベルト519233652407.13配当性向100%(2024年3月期まで)
9有沢製作所52081262907.13×配当性向90%台
10伯東743335352507.07総還元性向100%(2025年3月期まで)

今回紹介した10銘柄を表にまとめていますが、今回おすすめ評価にした銘柄は無く、もう少し様子を見たいという意味で△評価にしたのが伯東、三ツ星ベルト、西松建設の3銘柄です。

その他の銘柄は途中で触れた様に業績や配当の振れ幅が大きく、中長期で保有する高配当株投資としては狙いにくい印象です。

それではここからは、今回△評価にした3銘柄の中より伯東と西松建設についてもう少し詳細に検証していきます。

【7433】伯東

まずは配当利回り第10位の伯東について見ていきます。

通期最終利益(億円)

銘柄名伯東
2019年3月期24
2020年3月期14
2021年3月期30
2022年3月期49
2023年3月期(会社予想)80

2019年からの通期最終利益について2020年はコロナショックの影響で大きく減益となっていますが、2021年以降の業績は増益が続いています。

特に前期はコロナからの経済回復などを要因に半導体需要が増えた事で電子部品事業が大きく伸び過去最高益となっています。

今期について、当初はコロナ感染再拡大やロシアウクライナ情勢などを考慮して前期並みの予測にしていましたが、引き続き車載関連機器の需要が底堅い事や産業機器分野における設備投資も堅調さを維持した事に加え円安の追い風もあり、10月末に発表した第2四半期決算で最終利益を80億円へ30億円上方修正しています。

配当推移

銘柄名伯東
2015年40
2016年40
2017年40
2018年46
2019年50
2020年50
2021年60
2022年160
2023年(会社予想)250

2015年からの配当推移を見ていきますが、2021年までは50円前後の水準で推移していましたが、前期以降急激に配当額が増えています。

そして、今期配当について当初は前期と同じ年間160円予測にしていましたが、第2四半期決算で業績を上方修正した事に伴い年間250円へ増額しています。

伯東の配当方針は、株主への利益還元の充実は経営上の重要な施策と位置づけ、 2025年3月期までの中期経営計画期間中は配当と自己株式の取得により総還元性向を100%とする方針です。

株価推移

株価はコロナショックで850円まで売られた後は、上下を繰り返しながら上昇しています。

配当性向を引き上げたタイミングや決算発表時に株価を大きく上げる場面もあり、直近は3700円前後で推移しています。

株価指標(2022年12月2日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
伯東743336858.81.102506.7859.4

株価は上昇が続いていますが、配当の大幅増額を受けて配当利回りは6%半ばと高水準です。

業績好調によりPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は60%付近の水準です。

投資判断

今までの内容から伯東の投資判断ですが、直近の業績は順調に推移しており、株価も上昇が続いていますが、大幅増配を受けて配当利回りは6%半ばと高配当株として魅力的な水準です。

今後の業績については、冒頭でも触れた様に半導体需要は景気動向に左右される部分が大きい為、今後も今期と同水準の最終利益を維持できるかは不透明です。

2025年までは総還元性向100%を目安にしていますので、多少の業績低迷では減配にならないかもしれませんが、世界的に景気後退となると容赦なく業績、配当が落ち込む可能性はあります。

以上の点を踏まえると伯東については、やはりもう少し様子を見たいかなというところです。

【1820】西松建設

続いての銘柄は第6位の西松建設です。

通期最終利益(億円)

銘柄名西松建設
2019年3月期187
2020年3月期187
2021年3月期171
2022年3月期151
2023年3月期(会社予想)135

西松建設の2019年からの通期最終利益を見ていきますが、数年前までは180億円前後で安定していましたが、前期、今期と減益が続いています。

今期業績について当初は増益見込みとしていましたが、11月4日に発表した第2四半期決算で従来予想から25億円減の135億円へ下方修正しています。

業績低迷の要因は、売上高は不動産事業などが想定を上回り増収見込みですが、建設資材の急激な価格上昇により国内建築工事の完成工事総利益が想定を大幅に下回る見込みの為としています。

配当推移

銘柄名西松建設
2015年50
2016年80
2017年105
2018年95
2019年105
2020年105
2021年105
2022年221
2023年(会社予想)285

2015年からの配当推移をみていきますが、数年前までは年間100円前後で推移していましたが、2022年は前期比約2倍、そして今期は更に増配の見込みとしています。

前期以降の配当が大きく増えている要因は、先程もお伝えした通り去年5月に2023年度までの配当方針を連結配当性向70%以上目標に引き上げた為です。

そして今期の配当について第2四半期で最終利益は下方修正されましたが、配当の減額は無かった為、配当性向は83%付近まで上昇しました。配当性向は70%以上が目標ですので方針通りではあるのですが、かなりの高水準にはなっています。

株価推移

株価はコロナショックで1784円まで下げた後は順調に右肩上がりの状況で、今年の6月には4445円まで上昇しました。

その後は、3000円台半ばまで売られる場面もありましたが、直近は3800円前後で推移しています。

株価指標(2022年12月2日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
西松建設1820380511.10.972857.4983.3

ここ数年の株価は大きく上昇していますが、大幅増配により配当利回りは7%台と高水準です。

業績の下方修正はありましたがPERは市場平均よりも若干割安で、配当性向は83%付近と目標としている70%以上を上回っています。

投資判断

今までの内容から西松建設の投資判断についてですが、直近の業績は低迷傾向で要因である原材料費高騰の今後も不透明な状況です。

当然今後は工事単価の価格改定でカバーしていくとは思いますが、原材料費の高騰は凄いペースで続いていますので、価格改定が追い付くかは分かりません。

そして今回の下方修正でも減配しなかった点は評価したいですが、配当性向は80%台を超えていますので、今後更に業績の下方修正があると減配は避けられないかもしれません。

業績低迷の割に株価が下がっていない事も考慮すると、やはり西松建設についてももう少し様子を見たいかなというところです。

まとめ

今回はプライム市場の配当利回り上位10銘柄の投資判断を個別に検証しました。

6.ヶ月前の10銘柄と比較して全体的な配当利回りは上昇していましたが、やはり配当利回りの高さだけで購入を検討することは危険だと改めて感じました。

高配当株投資は5年、10年単位で保有し続ける中長期投資を前提としていますので、1番大切な事は業績、配当の安定です。

業績回復や増配のペースが急激すぎる銘柄や配当性向が100%を超えている様な銘柄は高配当銘柄として基本的にNGです。

業績回復や株主還元姿勢の高まりが一時的なものにならないか見極めながら引き続き銘柄検証を行っていきたいと考えています。

プライム市場配当利回り上位10銘柄については、YouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

【2022年12月】プライム市場配当利回り上位10銘柄を検証

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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