今週からは3月期銘柄の本決算発表も本格化していますが、今日は個人投資家に人気が高い通信会社のソフトバンクや武田薬品工業が決算を発表しており、また12月銘柄のJTやキリンHDもそれぞれ第1四半期決算を発表しています。
という事で今回は、本日5月9日に発表された決算の中から、個人投資家に人気が高い銘柄の検証を行っていきます。
【9434】ソフトバンク
5月9日決算発表最初の銘柄は通信会社のソフトバンクで、NTT、KDDIと並ぶ大手通信界会社です。前期業績は2023年にPayPay子会社化に伴う再測定益を計上した反動で減益見込みになっていますが、ヤフー・LINE事業は引き続き好調を維持しており、通信料収入の落ち込みにも反転の兆しが見えていますので、今期業績は増益見込みで発表する可能性が高そうでした。
また、配当は据え置きが続いていますが、ソフトバンクは先月末に9月末を基準日とした株式の10分割を発表しており、今期配当は株式分割により据え置きでも8.6円となりますので、どうせならキリの良い9円での発表を期待したい状況でした。
直近決算
ソフトバンクは5月9日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は4890億円と423億円の減益となりましたが、配当は据え置きの年間86円としています。
今期は最終利益が5000億円と110億円の増益見込みとしていますが、配当は据え置きの年間86円で発表しています。
注目ポイント
ソフトバンク決算の注目ポイントですが、株式分割により今期配当は据え置きでも8.6円となるため増配があるのかでしたが、残念ながら据え置きでの発表となっています。ただ、ソフトバンクは株式の10分割と一緒に100株以上の保有を条件にPayPayポイントが1000円分もらえる株主優待の新設を発表していましたので、実質利回りは10%を超える状況との事です。
いずれにしても、高水準の還元を継続としていますので、引き続き今後の増配を期待したいと思います。
また、業績についてもメディアやEC事業が順調に推移している事に加え、通信料値下げで落ち込んでいたコンシューマ事業も1年前倒しで反転しており、今後は継続的な増収を見込んでいるとして、今期見込みは増益で発表しています。
そして、今後は急速に成長している生成マーケットへの投資で生成AI時代のマーケットリーダーを目指すとしていますので、今後の事業展開も楽しみな銘柄です。
【4502】武田薬品工業
5月9日決算発表2銘柄目は武田薬品工業です。前期最終利益は大幅減益見込みとしているなか、第3四半期時点の通期進捗率は158%付近と既に予測の1.6倍近い利益を稼げていた状況ですが、通期見通しは変更していませんでした。
ただ、武田薬品工業は前期の前提為替を1ドル137円としており、現在の為替水準が継続した場合は業績が上振れる可能性があるともしていましたので、前期の最終着地はかなり上振れる可能性がありました。
また、配当も前期より累進配当を導入していますので、今期配当は190円台への増配を期待したいところです。
直近決算
武田薬品工業は5月9日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は1440億円と1730億円の減益となっているなか、配当は8円増配の年間188円としています。
今期は最終利益が580億円と860億円の減益見込みにしていますが、配当は8円増配の年間196円で発表しています。
注目ポイント
武田薬品工業決算の注目ポイント1つ目は前期の最終利益でしたが、従来予想を510億上回る最終着地となりました。武田薬品工業は非経常的な要因による損益や売上収益などを除いて試算するコア営業利益を採用しているため、見た目の数字は悪くなっていますが、成長製品や新製品の力強い動きは続いている様です。
そして、2つ目の注目ポイントは前期より導入した累進配当政策のもと、今期配当をいくらで発表するかでしたが、見事8円増配の年間196円予定としています。ちなみに前期も8円の増配でしたので、もしかすると暫くは年間8円の増配が武田薬品工業の定番になるかもしれません。
また、今期最終利益も大きく減益の予測になっていますが、米国におけるVYVANSEの独占販売期間満了による大幅なマイナス影響は、2024年度が最終年度となる見込みとしている点や事業構造再編費用として1400億円を計上する見込みとしていますので、引き続き今後に期待したいです。
【8098】稲畑産業
5月9日3銘柄目は稲畑産業で自動車向けの高機能樹脂や生活用品などへの合成樹脂、また水産、農産物を取り扱う食品なども、海外を含め多くの取引先へ販売している化学系の専門商社です。
前期業績は増益見込みにしているなか、第3四半期時点の通期進捗率も79%付近でしたので順調な最終着地が期待できる状況でした。
ただ、累進配当を宣言している配当方針の期限が前期までとなっていましたので、今期の配当方針や配当見込みをどの様に発表するのか注目でした。
直近決算
稲畑産業は5月9日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は200億円と6億円の増益となっているなか、配当は5円増配の年間120円としています。
今期は最終利益が170億円と30億円の減益見込みにしていますが、配当は5円増配の年間125円見込みで発表しています。
また、上限50億円の自社株買いも発表しています。
注目ポイント
稲畑産業の決算注目ポイントは、累進配当を宣言している配当方針の期限が前期までだったため、今期の配当方針や配当見込みがどうなるかでしたが、無事に累進配当継続となりました。
ちなみに新たな配当方針は、2027年3月期までの新中期経営計画中は一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず継続的に増加させていくことを基本(累進配当)としており、総還元性向の目安は概ね50%程度にしています。
新たな配当方針のもと今期配当は5円増配で発表していますので、とりあえずは一安心といったところです。
ただ、今期最終利益は前期の負ののれん発生益反動により減益見込みになっている点は仕方が無いと思いますが、3ヵ年計画最終年度の最終利益目標も190億円と前期より10億円も少ない点は少し気になるところです。
【2914】JT
4番目の銘柄は5月9日に第1四半期本決算を発表したJTです。最近の業績は海外たばこ事業の好調や円安の追い風もあり堅調に推移しています。
そんななか、1月から3月の第1四半期も引き続き円安は継続していましたので、さすがに第1四半期で業績見通しの上方修正は無いと思いますが、好調なスタートが期待できる状況でした。
直近決算
JTは5月9日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は1572億円と前年同期比126億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。
前期比増益の要因は、たばこ事業におけるプライシング効果が、 HTS(加熱式たばこ)への投資強化・サプライチェーンにおけるコスト増加の影響を上回ったためとしています。
注目ポイント
JT決算の注目ポイントは第1四半期を順調にスタート出来ていたかでしたが、見事に前期比約9%の増益と好調な結果になり、通期進捗率も約34.5%となっています。要因としては、引き続き海外たばこ事業を中心に堅調な動きが続いている様で、為替も依然円安水準が続いていますので、今後の上方修正にも十分期待できそうです。
実際、JTは為替動向を含め、不確実性を見極めた上で第2四半期決算以降、必要に応じて 通期業績見込のアップデートを実施と今回の決算をまとめていますので、夏に発表される第2四半期決算では現状据え置きとなっている今期配当の増配が発表されるかもしれません。
【2503】キリンHD
最後の柄目は同じく5月9日に第1四半期決算を発表したキリンHDで、キリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリングループの持株会社です。最近の業績はコロナからの経済回復やミャンマー市場からの撤退で増益が続いています。
そんななか、今期も16%程度の増益見込みとしていますので、順調なスタートが切れているのか注目でした。
直近決算
キリンHDは5月9日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は259億円と前年同期比204億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当見込みに変更はありません。
前期比増益の要因は、前期にあったミャンマー事業の連結除外に伴う特別損失約190億円の反動などのためとしています。
注目ポイント
キリンHD決算の注目ポイントは第1四半期決算を順調にスタート出来ているかでしたが、ミャンマー事業の反動があったとはいえ、前期比大幅増益の好調なスタートだったかと思います。
今期は通期最終利益を16%程度の増益予測にしている事もあり、通期進捗率は20%弱にとどまりましたが、第1四半期の連結売上収益や事業利益はともに計画を上回って推移しているとの事ですので、第2四半期以降にも期待が持てる内容だったかと思います。
明日の注目ポイント
最後に明日の決算の注目ポイントですが、明日は週末という事もあり、決算発表もピークを迎えます。という事で保有銘柄の決算もかなり数が多いですが、注目はNTTとKDDIの通信株で、どちらも連続増配を継続中ですので今期も増配が期待できますが、どの程度の増配幅で発表するのか注目です。
また、大和ハウスやイエローハットも連続増配が続いており、ホンダも業績は好調に推移していますので、明日は増配ラッシュもピークを迎えそうです。
まとめ
今回は本日5月9日に発表された本決算について、保有銘柄を中心に速報で検証しました。個人投資家に人気が高いソフトバンクや武田薬品工業に加え、JTやキリンHDも第1四半期決算を発表しましたので、なかなか注目度の高い1日だったかと思います。
そんななか、注目していたソフトバンクの今期配当は残念ながら据え置きとなりましたが、今期業績は順調に推移しそうな印象でしたので、今後の増配にも期待がかかります。また、武田薬品工業へは190円台の増配を期待していましたが、期待を上回る8円増配の年間196円発表でしたので、200円の大台も近いうちに突破してくれそうです。
そして、稲畑産業も無事に累進配当を継続してくれましたので、今後も安心して保有できます。
また、第1四半期決算となったJTとキリンHDもそれぞれ順調なスタートを切っていましたので、第2四半期以降の上方修正が期待できる内容でした。
という事で、今回は本日決算が発表された銘柄の中から保有銘柄を中心に個人投資家に人気が高い銘柄の検証を速報で行いましたが、概ね好調な内容だったかと思います。そして、いよいよ明日は今回の決算発表シーズンのピーク日となりますので、数がかなり多くなるかと思いますが、明日も速報で検証したいと考えています。
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