【絶好の仕込みチャンス】TOBで今後買収される可能性がある5つの高配当株

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銘柄検証

最近の日本企業は業界再編や東証が要請している親子上場の解消を目的としてTOBによる買収が行われる事も増えていますが、一般的にTOBが行われた場合は、現在の株価に対してプレミアムが付きますので、株主にとって魅力的な部分も大きいです。実際、TOBが発表された後の株価はTOB価格の付近まで上昇する事が多いですので、買収されそうな企業を予想して事前に購入しておく事も有効な投資手法と言えます。

そこで今回は、TOBの仕組みを踏まえたうえで、今後TOBによって買収されそうな5つの銘柄を検証していきます。

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TOBとは

そもそもTOBとは「Take Over Bid」の略称で、企業が他の会社の株式を市場外でまとめて買う方法です。そんなTOBは他社を買収したい時や子会社を完全子会社化したい時などに行われ、また通常TOB価格は現在の株価にプレミアムが付きますので、TOB発表後の株価は急騰する事も多いです。

ただ、TOBが成立して完全子会社になった後は上場廃止になる事も多く、個人的にも何回か経験がありますが、保有銘柄がTOBされた場合は売却せざるを得ない状況になる可能性もあります。

従って、長期保有を目的とした高配当株投資の趣旨とは少し違ってきますが、株価上昇で売却益を得る事ができ、また旧NISA時代は売却によって貴重なNISA枠を失ってしまう事がデメリットでしたが、新NISAでは売却後にNISA枠が復活しますので、メリットも大きくなっています。

という事で、ここからは業界再編への期待や親子上場の解消に絡み、今後TOBによる買収対象になりそうな5つの銘柄を個別に検証していきます。

【8570】イオンFS

最初の銘柄はイオンFSです。イオンFSはイオングループの金融サービス会社で、国内と海外の連結会員数が約5000万人のイオンカードを中心にクレジット業務や銀行業務、電子マネー業務などを手掛けています。

そんななか、現在イオングループは東証が要請する親子上場の解消に向け、TOBによる完全子会社化や業界再編を進めていますので、現在親会社のイオンが約48%の株式を保有しているイオンFSにもTOBへの期待が高まっています。

直近決算

イオンFSは2月期決算ですので、4月10日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は195億円と13億円の減益になっていますが、配当は据え置きの年間53円としています。

今期予測は通期最終利益を210億円と15億円の増益見込みにしていますが、配当は据え置きの年間53円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名イオンFS
2020年2月期341
2021年2月期176
2022年2月期302
2023年2月期306
2024年2月期208
2025年2月期195
2026年2月期(会社予想)210

2020年からの通期最終利益について、コロナショックの影響を受けた2021年は大きく減益となりましたが、その後は円安の影響で国際事業が好調に推移した事やコロナからの経済回復で300億円台へ増益となりました。

しかし、2024年は国内事業再編による統合関連費用を計上した事やデジタルバンクへの先行投資費用が膨らんだ事で減益となり、前期も特殊な手口によるカード不正利用への補償費用を計上した影響などで更に減益となりましたが、今期はイオン生活圏の拡大による資産収益性・生産性向上を通じ、持続的なROEの向上を目指すとして増益の予測で発表しています。

配当推移

銘柄名イオンFS
2016年66
2017年68
2018年68
2019年68
2020年68
2021年34
2022年50
2023年53
2024年53
2025年53
2026年(会社予想)53

2016年からの配当推移について、数年前までは60円台で安定していましたが、2021年はコロナショックによる業績低迷を受けて大きく減配となっています。2022年以降は業績の回復に伴い配当も増配とはなっていますが、最近は据え置きが続いており、まだコロナ前の水準へは戻れていないです。

イオンFSの配当方針は、株主に対する利益還元を経営の重要施策と位置付け、適正な利益配分を実施する方針としています。

株価推移

株価はコロナショック以降、1000円台前半で停滞する期間が長かったです。

そんななか、4月の暴落で1070円まで下げる場面はありましたが、直近は1400円付近まで上昇しています。

株価指標(2025年7月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
イオンFS8570136014.00.63533.9054.5

直近の株価は上昇しているなか、配当も据え置きが続いていますが配当利回りは3%後半と高水準です。

今期業績は増益見込みですのでPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は54%付近となっています。

投資判断

今までの内容からイオンFSの投資判断について、今期業績は増益見込みで発表されましたが、数年前と比較すると物足りない水準で配当も据え置きが続いています。ただ、業績低迷の要因は先行投資や貸倒引当金、販管費の増加影響などですので、今後の国内金利の更なる利上げへの期待やイオングループという規模感を踏まえると、今後巻き返しそうな雰囲気はあります。

そんななか、ここ数年の株価は停滞していましたが、直近はTOBへの思惑もあってか少し動き出した雰囲気もありますので、イオングループの再編や割安な指標面を考慮すると、完全子会社化されても不思議では無いです。

【1719】安藤ハザマ

2番目の銘柄は安藤ハザマで耐震や免震などの建設基盤技術を中心に山岳トンネルやダム建設などを手掛ける準大手のゼネコンです。そんななか、建設業界でも資材高騰や人手不足などを要因に業界の再編が進んでいますのでTOBへの期待も高まっています。

直近決算

安藤ハザマは5月14日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は264億円と126億円の増益になっているなか、配当は10円増配の年間70円としています。

今期予測は通期最終利益を180億円と84億円の減益見込みにしていますが、配当は10円増配の年間80円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名安藤ハザマ
2022年3月期176
2023年3月期151
2024年3月期138
2025年3月期264
2026年3月期(会社予想)180

2022年からの通期最終利益について、2024年にかけては資材価格の高騰や人件費の増加に加え、海外工事での貸倒引当金を計上した事で減益が続きましたが、前期は手持ち工事が想定通りに進捗した事や採算性が向上した事に加え、政策株式の売却もあり、過去最高益を記録しています。

そして、今期も手持ち工事は順調に進捗する見込みですが、前年の反動も考慮して、期初から3割以上の減益見込みで発表しています。

配当推移

銘柄名安藤ハザマ
2016年12
2017年20
2018年25
2019年30
2020年30
2021年30
2022年40
2023年40
2024年60
2025年70
2026年(会社予想)80

2016年からの配当推移について、据え置きが続く年はありますが、減配はなく、概ね順調に増配傾向となっています。そんななか、直近は業績とは関係なく大幅増配が続いており、2024年は20円、前期も10円の増配となっていたなか、今期も業績は大きく減益見込みですが、期初から10円の増配予測としています。

安藤ハザマの配当方針は業績や将来の収益等を考慮し、継続的かつ安定的な配当を実施するとしており、具体的な目安を配当性向70%以上としています。

株価推移

株価は2023年に1000円台前半まで上昇しましたが、その後は停滞が続きました。

しかし、今年2月に業績の上方修正が発表された後は再び値を上げ、直近は1500円前後で推移しています。

株価指標(2025年7月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
安藤ハザマ1719150313.11.38805.3269.7

最近の株価は上場来の高値付近まで上昇していますが、大幅増配も続いていますので配当利回りは5%半ばと高水準です。

今期は減益見込みですがPERは市場平均より割安で、配当性向は70%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から安藤ハザマの投資判断について、今期業績は大きく減益見込みですが、要因は前年にあった一時的要因の反動影響が大きく、数年前と比較しても順調に伸びているなか、配当も大幅増配が続いています。そのため、最近の株価も上昇傾向ですが、指標面は依然割安で配当利回りも5%台と高水準です。

以上の点を踏まえると、建設業界の再編によるTOB期待も掛かりますが、純粋に高配当株としても気になってきます。

【9436】沖縄セルラー電話

3番目の銘柄は沖縄セルラー電話です。沖縄セルラーはKDDI傘下の通信会社で、1991年に沖縄地域での携帯・自動車電話サービスを行う会社として設立しています。

沖縄県で約5割のシェアを持つモバイル事業と3割のシェアを持つFTTH事業を基盤としつつ、沖縄電力と協業してサービス提供しているauでんきなども手掛けています。

直近決算

沖縄セルラー電話は5月8日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は124億円と3億円の増益になっているなか、配当は14円増配の年間124円としています。

今期予測は通期最終利益を125億円と1億円の増益見込みにしているなか、配当は4円増配の年間128円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名沖縄セルラー
2019年3月期93
2020年3月期98
2021年3月期105
2022年3月期106
2023年3月期108
2024年3月期121
2025年3月期124
2026年3月期(会社予想)125

2019年からの通期最終利益について、順調に増益が続いてはいますが、数年前の増益幅は通信料金値下げの影響をauでんきやFTTH事業で補う展開となっており、小幅にとどまっていました。

ただ、2024年は通信料金の上昇やauでんきの収益性向上によって過去最高益の水準へ大きく増益となっており、前期も端末販売による利益の増加やソリューションにおける大口案件の獲得増が貢献した事で更に増益となり、今期も好調な流れは続く見込みとして過去最高益を更新する予測で発表しています。

配当推移

銘柄名沖縄セルラー
2016年48
2017年52.5
2018年58.5
2019年65
2020年72.5
2021年81
2022年84
2023年88
2024年110
2025年124
2026年(会社予想)128

2016年からの配当推移を見ていきますが、順調に増配が継続しており、前期までで24期連続の増配を継続中です。そんななか、最近は増配幅も大きくなっており、2024円は22円、前期も14円の大幅増配となっており、今期も期初から4円の増配予測になっています。

沖縄セルラーの配当方針は、増収、増益、連続増配の3増を経営方針に掲げ、具体的な目安を配当性向40%超としています。

株価推移

2023年以降の株価は上昇が続きましたが、ここ1年くらいは4000円台前半で停滞していました。

しかし、4月の暴落で3920円まで下落した後は急騰し、直近は5000円前後で推移しています。

株価指標(2025年7月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
沖縄セルラー9436501018.72.431282.5547.8

最近の株価は上場来の高値付近まで上昇していますので、増配も継続していますが配当利回りは2%半ばとなっています。

業績も過去最高益が続いていますがPER、PBRは市場平均より割高で、配当性向は48%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から沖縄セルラーの投資判断について、ここ数年の業績は通信料収入減少の影響を受けながらも増益を維持していたなか、最近の業績には勢いが出ており、増配幅も大きくなっています。その辺りの状況もあってか、直近の株価は今回の決算発表後に急騰していますので、現状の配当利回りは2%台半ば程度まで下落しています。

ただ、他の通信会社同様に現在は通信以外の事業にも注力しており、親会社のKDDIからTOBで買収される可能性もありますので、中長期の視点で気になる銘柄です。

【8133】伊藤忠エネクス

4番目の銘柄は伊藤忠エネクスです。伊藤忠エネクスは伊藤忠グループ中核のエネルギー商社で、エネルギー商社としての売上は業界トップクラスとなっています。販路はガソリンスタンドや工場、病院などの法人向けのほか、一般家庭へも石油製品やLPガスなどを販売しています。

そんななか、親会社の伊藤忠が約53.7%の株式を保有しており、TOBによって完全子会社化される可能性があります。

直近決算

伊藤忠エネクスは4月30日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は171億円と33億円の増益となっているなか、配当も8円増配の年間62円としています。

今期予測は通期最終利益を160億円と11億円の減益見込みにしているなか、配当は据え置きの年間62円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名伊藤忠エネクス
2019年3月期115
2020年3月期120
2021年3月期121
2022年3月期131
2023年3月期138
2024年3月期138
2025年3月期171
2026年3月期(会社予想)160

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、順調に増益が続いており、前期までで10期連続の過去最高益を記録しています。業績好調の要因について、2023年は外航船向けの重油販売が堅調に推移したためとしており、2024年も好調な自動車ディーラー事業や資産入れ替えに伴う売却益により増益となっています。

そして、前期もホームライフ事業や電力・ユーティリティ事業などの採算改善及び産業ビジネス事業が好調に推移した事で過去最高益を更新していますが、今期は前期の一過性要因の反動を考慮して6%程度の減益見込みで発表しています。

配当推移

銘柄名伊藤忠エネクス
2016年24
2017年32
2018年40
2019年42
2020年44
2021年50
2022年48
2023年50
2024年54
2025年62
2026年(会社予想)62

2016年からの配当推移を見ていきますが順調に増配が続いており、2022年は2円減配となっていますが、2021年は設立60周年の記念配当が6円出ていましたので、記念配当を考慮すると増配が継続している事になります。そんななか、2024年は4円、前期も本決算で4円増額された事で合計8円の大幅増配となり、今期は現状据え置きの見込みになっています。

伊藤忠エネクスの配当方針は継続的な安定配当を方針として掲げ、 連結配当性向40%以上を強く意識した上で、2026年度までの中期経営計画中は累進配当を実施としています。

株価推移

2023年春以降の株価は上昇が続き、去年7月には1887円まで値を上げました。

その後は乱高下する場面もありましたが、概ね1600円付近で停滞していたなか、4月の暴落で1368円まで売られ、直近は1700円前後まで上昇しています。

株価指標(2025年7月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
伊藤忠エネクス8133176012.41.15623.5243.7

最近の株価はじわじわ上昇しているなか、増配が継続している事で配当利回りは3%半ばとなっています。

今期業績は減益見込みですがPERは市場平均より割安で、配当性向は44%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から伊藤忠エネクスの投資判断について、最近の業績は過去最高益が続いているなか、今期は減益見込みで発表されましたが、期初時点の予測が減益となるのは恒例ですので、そこまで気にする必要はありません。

そんななか、現在約53.7%の株式を保有している親会社の伊藤忠は、過去にファミリーマートやデサントなどの子会社をTOBによって完全子会社化した実績もありますので、伊藤忠エネクスが次の候補にる可能性も十分あります。

【8584】ジャックス

最後の銘柄はジャックスで三菱UFJ銀行系列の大手クレジット会社です。オートローンなどのクレジット事業や一括・分割ショッピングのクレジットカード・ペイメント事業に加え、ファイナンス事業なども手掛けています。

また、東南アジアを中心に二輪車の販売金融を通じて海外でも事業を展開しています。

直近決算

ジャックスは5月15日に本決算を発表しており、前期の通期最終利益は186億円と51億円の減益となっているなか、配当は30円減配の年間190円としています。

今期予測は通期最終利益を155億円と31億円の減益見込みにしていますが、配当は10円増配の年間200円予測で発表しています。

通期最終利益(億円)

銘柄名ジャックス
2019年3月期89
2020年3月期107
2021年3月期117
2022年3月期183
2023年3月期216
2024年3月期237
2025年3月期186
2026年3月期(会社予想)155

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックでも減益には陥っておらず、2024年までは順調に増益が続いていました。業績好調の要因は、コロナからの経済回復によりオートローンやカードショッピングの取扱高が増加した事に加え、海外市場も徐々に回復した影響としており、2024年は過去最高益を記録しています。

しかし、前期は調達金利の上昇やコロナ渦以降に取扱高が急拡大したベトナムとインドネシアで債券内容が悪化して貸倒関連費用が増加した事に加え、販管費の増加などにより大きく減益となり、今期も国内の調達金利上昇を主因に更に減益の見込みで発表しています。

配当推移

銘柄名ジャックス
2016年70
2017年75
2018年80
2019年80
2020年95
2021年105
2022年160
2023年190
2024年220
2025年190
2026年(会社予想)200

2016年からの配当推移について、たまに据え置きの年はありますが減配はなく順調に増配が続いていたなか、2024年も創立70周年の記念配当10円を含めて30円の増配となりましたが、前期は記念配当の反動に業績低迷も加わった事で30円の減配となりました。

そんななか、今期も業績は減益見込みですが、配当方針を変更した事で期初から10円の増配予測で発表されています。

ジャックスの配当方針は、配当性向40%またはDOE(株主資本配当率)3.0%を目安にいずれか高い方とし、1株当たり200円以上の安定的な利益還元を実施する方針です。

株価推移

コロナショック以降の株価は順調に上昇が続き、去年1月には5840円まで値を上げました。

しかし、その後は全体の暴落や業績悪化によって右肩下がりで、4月の暴落では3095円まで売られましたが、直近は4000円前後で推移しています。

株価指標(2025年7月4日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
ジャックス858440359.00.562004.9644.8

最近の株価は直近安値から反発していますが、今期配当は増配見込みとなりましたので配当利回りは5%前後と高水準です。

今期も業績は減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は45%付近となっています。

投資判断

今までの内容からジャックスの投資判断について、直近の業績は調達金利の上昇や海外市場の低迷で減益が続いており、前期は配当も減配となりましたが、最近の株価下落によって配当利回りは5%付近まで上昇しています。そんななか、今年3月にはMUFGグループとのグループ一体運営を力強く推進していく事を目的に三菱UFJ銀行を割当先とする第三者割当増資を行い、増資後の保有比率は40%付近まで上昇する見込みになっています。

以上の点を踏まえると、今後MUFGグループとの連携が拡充していくなか、いずれかのタイミングで完全子会社になっているかもしれません。

まとめ

今回は様々な状況を踏まえたうえで、今後TOBによって買収される可能性がある5つの高配当株を検証しました。TOBを行う目的は業界再編や親子上場の解消など複数ありますが、大前提として買収する企業の株価が割安に放置されている事が大切です。

また、過去にTOBが発表された銘柄の株価は発表前から思惑で上昇するケースがあった事まで踏まえると、今回の5銘柄も指標面は割安な企業が多いなか、直近の株価は動き出している雰囲気もありますので、TOBへの期待も高まります。

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