【景気後退怖くない!】ディフェンシブ王道3銘柄の投資判断

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銘柄検証

最近の相場はアメリカのインフレ対策による金利引き上げからの景気後退懸念に日米ともに大きく影響を受けています。

アメリカの利上げについては、FRBのパウエル議長もインフレ対策を優先する為にある程度の痛みは仕方がないというスタンスですので、今後の世界的な景気後退は、もはや懸念では無くなっている状況です。

景気後退に陥れば当然株価も大きな下落が想定されますので、今回は景気後退局面でも相対的にしっかりとした動きが期待できるディフェンシブ株の王道3銘柄について個別に検証していきます。

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ディフェンシブ株とは

それでは本題ですが、そもそもディフェンシブ株とは景気の動向に業績や株価が左右されにくく安定している銘柄の事です。

具体的な業種としては、生活必需品である食品や医薬品に加え、社会インフラである電力やガス、鉄道、通信などが代表的な銘柄です。

しかし、ディフェンシブ銘柄といっても景気の動向を全く受けないわけではありませんので、ここからは王道のディフェンシブ銘柄の現状を個別に検証していきます。

【4502】武田薬品工業

最初の銘柄は武田薬品工業です。

武田薬品工業は日本の医薬品企業の中で売上トップの国内最大手医薬品メーカーで、現在約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに日本および米国に主要な研究拠点を有しています。

薬は景気が悪くなった時でも必要とされますので、製薬会社はディフェンシブ銘柄の代表的な存在です。

そして武田薬品工業は海外への輸出も多い為、最近の円安も業績にはプラス要因となっています。

直近決算

武田薬品工業は10月27日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は1667億円と前年同期比で169億円の減益となっています。

第2四半期決算は減益でしたが、通期最終利益は3070億円へ150億円上方修正しており、年間配当予測に変更はありません。

第2四半期減益の大きな要因は、前期にあった糖尿病治療剤のポートフォリオ売却の剥落影響の為としています。

通期最終利益(億円)

銘柄名武田薬品
2018年3月期1868
2019年3月期1351
2020年3月期442
2021年3月期3760
2022年3月期2300
2023年3月期(会社予想)3070

2018年からの通期最終利益を見ていきますが、増減の激しい展開が続いています。

前期決算が大幅減益の要因として売上は順調に伸びていますが、営業収益の部分で武田コンシューマーヘルスケアの株式や関連資産の売却などで2,289億円の譲渡益を前年度に計上した反動や研究開発費増加の為としています。

そして今期見込みは先程お伝えした様に第2四半期決算で業績を上方修正した事で770億円の増益見込みとなっています。

上方修正の要因は主力製品が好調に推移している事に加え円安の効果としており、上方修正後の通期進捗率は約54%と順調に推移しています。

配当推移

配当金
2015年180
2016年180
2017年180
2018年180
2019年180
2020年180
2021年180
2022年180
2023年3月期(会社予想)180

2015年からの配当推移をみていきますが、年間配当は毎年180円です。

配当は遡ると2009年から10年以上180円で変わっておらず、30期以上減配はしていません。

武田薬品工業の株主還元方針は、売上と利益が中期的に伸長していくことを見込んでおり、1株当たり年間配当金180円の確立された配当方針を維持した上、自己株式の取得は適切な場合に取り組むとしています。

株価推移

株価は2018年に6693円まで上昇しましたが、その後は右肩下がりでコロナショックでは2894円まで売られました。今年に入ってからは好調な売上などを背景に上昇しており、直近は4000円前後で推移しています。

株価指標(2022年11月18日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
武田薬品4502393619.90.911804.5791.1

最近の株価は今年の中では高値圏ですが配当は安定している事もあり、配当利回りは4%半ばと高水準です。

業績の上方修正はありましたがPERに割安感はなく、配当性向は91%付近とかなりの高水準です。

投資判断

今までの内容をもとに武田薬品工業の投資判断ですが、世界を代表する製薬メーカーであり10年以上変わらない配当と配当利回りの高さは高配当株として魅力を感じます。

そして製薬メーカーは景気の動向に業績が左右されない点も、今後の景気後退リスクを考慮するとおすすめです。

しかし、武田薬品工業の業績は度重なる企業買収を繰り返した事で突如買収絡みの費用が発生する事や新薬の治験中止などで業績や株価が大きく上下する場合があります。

その為、株価もディフェンシブ銘柄としては値動きが激しくなる時がありますが、それでも現在の株価は4年前の高値から半値近い水準である事を考えると、ポートフォリオの一部として保有しても良い様な気もします。

【4502】花王

2番目の銘柄は花王です。

花王は、アタックなどでお馴染みの洗剤や石鹸に加えボディソープなどのトイレタリー商品や化粧品など普段の生活で使用する商品を製造、販売する日用品メーカーです。

日用品は景気に関係なく普段から使用する物ですので、花王も代表的なディフェンシブ銘柄です。

そんな花王の現状ですが、コロナ感染が拡大した2020年はハンドソープ、手指消毒液などの衛生関連商品の特需がありましたが、最近の業績は原材料費高騰の影響で厳しい状況が続いています。

直近決算

花王は12月決算ですので11月1日に第3四半期決算を発表しており、最終利益は583億円と前年同期比で237億円の大幅減益ですが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありませんでした。

第3四半期が大幅減益になった要因は、一部日用品の値上げや商品市況上昇により売上は増収となりましたが、原材料価格高騰の影響で最終利益は減益に陥ったとしています。

通期最終利益(億円)

銘柄名花王
2018年12月期1536
2019年12月期1482
2020年12月期1261
2021年12月期1096
2022年12月期(会社予想)1110

2018年からの通期最終利益を見ていきますが、ここ数年は減益傾向が続いており、2020年頃はコロナショックによるインバウンド需要消滅や外出自粛による化粧品などの販売落ち込みが主な減益要因でした。

最近はコロナから経済は回復してきている状況ですが、原材料費高騰の影響が最終利益に大きく響いています。

そして今期は現状増益見込みとしていますが、第3四半期時点の通期進捗率は約52%ですので、今後余程の事が起きない限り今期も減益での着地となりそうな感じです。

配当推移

銘柄名花王
2015年80
2016年94
2017年110
2018年120
2019年130
2020年140
2021年144
2022年(会社予想)148

2015年からの配当推移をまとめていますが、減益が続く業績とは関係なく配当は増配が続いています。

花王の配当は2022年迄で33期連続増配の日本記録を更新中と株主還元姿勢の高い企業です。

花王の配当方針は、安定的・継続的な配当の実施を通じた利益還元を重視しており、具体的な数値としては配当性向40%を目標にしています。

花王は連続増配に強いこだわりを持っている様に感じますが、このまま業績が低迷すると近い将来連続記録は止まりそうな気もします。

株価推移

株価は2020年6月には9000円を超える場面もありましたが、そこからは下落が続き今年3月には4663円まで下げました。

その後は6000円を超える水準まで反発しましたが、今回の決算を受けて株価は5000円割れが意識される水準まで下落しています。

株価指標(2022年11月18日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
花王4452549123.02.591482.7061.9

今回の決算で株価が急落した事もあり配当利回りは2%後半まで上昇しています。

通期業績の下方修正はありませんでしたが、現状の見込みでもPER、PBRは割高で、配当性向は約62%と高水準です。

投資判断

今までの内容から花王の投資判断ですが、最近の業績は低迷が続き今期も第3四半期までは厳しい状況となっています。

そして直近の業績が低迷している要因は原材料価格の高騰ですので、ディフェンシブ銘柄としての優位性は発揮できていない状況です。

原材料費高騰の影響が収まれば、今後景気が後退したとしても業績は回復していきそうですが、先行きは不透明です。

このままいくと連続増配記録もそろそろ危なそうな気配もしますので、花王についてはとりあえず来年2月に発表される予定の本決算までは様子を見たいかなというところです。

【9432】NTT

最後の銘柄はNTTです。

NTTは通信事業を主体とするNTTグループの持株会社で、2020年にはNTTドコモを完全子会社化しています。

現代社会では通信インフラも景気に関係なく必要不可欠な存在ですので、通信会社も王道のディフェンシブ銘柄です。

通信業界は2020年に菅総理による携帯料金値下げ圧力を受けた為、その後各社は携帯料金の値下げプランを発表しました。

通信料収入については値下げによる収益減のほか、国内市場は飽和状態で今後の飛躍的な成長が見込めない為、通信部門以外での収益確立を目指すようになっています。

直近決算

NTTは11月8日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は6966億円と前年同期比208億円の増益でしたが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありませんでした。

前期比増益の要因として通信料金値下げや電気料金高騰の影響はありましたが、グローバルソリューション事業などが好調だった為としており、第2四半期としては過去最高益を更新しています。

通期最終利益(億円)推移

銘柄名NTT
2018年3月期8978
2019年3月期8545
2020年3月期8553
2021年3月期9161
2022年3月期11810
2023年3月期(会社予想)11900

通期最終利益は、コロナショックを受けた2020年頃は減益や据え置きの年もありましたが、ここ数年の増益幅は数年前と比較して勢いが付いている状況です。

業績好調の要因は、企業のデジタル変革の取り組みが急速に広がり国内外でITサービスの需要が増えたことや、テレワークの拡大で家庭向けのインターネットサービスの契約が増えた為としています。

携帯料金値下げの影響はありましたが、通信部門以外の分野で通信料金値下げの影響をカバー出来ている状況です。

そして第2四半期時点の通期進捗率は約58%となっており、5年平均の61.7%は下回っていますが、第3四半期以降の上方修正も期待できそうな内容です。

配当推移

銘柄名NTT
2015年45
2016年55
2017年60
2018年75
2019年90
2020年95
2021年105
2022年115
2023年(会社予想)120

2015年からの配当推移をみていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配傾向です。

NTTの配当方針は、株主還元の充実は当社にとって最も重要な経営課題の一つとし継続的な増配の実施を基本的な考え方としています。

具体的な配当性向などの目安は掲げていませんが、今後も好調な業績が続けば更なる増配が期待できそうな配当推移です。

株価推移

株価は菅ショックで2127円まで売られましたが、その後は右肩上がりの状況です。去年夏頃に少し停滞した時期はありましたが、今年に入ってからは上昇ペースに勢いが付いており、直近は4000円前後で推移しています。

株価指標(2022年11月18日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
NTT9432384711.11.571203.1234.7

順調に増配が続いていますが株価も上昇が続いている事で、配当利回りは3%前後の水準まで低下しています。

そして業績も好調ですが株価も上昇傾向ですのでPERに割安感はそれ程なく、配当性向は35%付近と余裕を感じます。

投資判断

以上の点を踏まえNTTの投資判断ですが、業績、配当は順調に推移しており企業規模にも文句はありません。

懸念されていた通信料金値下げの影響をDX関連や決済サービスなど他の事業でカバーできており、今回の決算も非常に良い内容でした。

しかし、業績の好調と連動して現在の株価も高値圏で推移していますので、今後調整局面があれば狙いたいところです。

まとめ

今回は王道のディフェンシブ株を3銘柄検証しました。

業績に関しては現状が分かれており、武田はまずまず、花王は不調、NTTは絶好調と明暗が分かれています。

株価も現状にあわせて上下していますが、肝心な事は今後景気後退した時の状況です。

1番心配な銘柄は花王ですが、減益の大きな要因である原材料費高騰が落ち着けば今後の業績や株価は持ち直す様な気もします。

武田薬品に関しては製薬会社という事で主力製品となる新薬を開発できるかがポイントになるかと思いますが、今まで進めてきた企業買収の効果も着実に出てきていますので今後に期待したいところです。

NTTは絶好調な業績とあわせて株価も高値圏で推移していますが、個人的には通信会社でNTTだけ保有できていませんので、押し目があれば狙いたいと考えています。

以上の様にディフェンシブの王道銘柄といっても現状や今後の見通しは大きく違いますので、各銘柄の動向を追いながらチャンスを待ちたいと思います。

ディフェンシブ3銘柄の投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

【景気後退怖くない!】ディフェンシブ王道3銘柄の投資判断

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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