最近は老後の資金問題や今後のインフレ懸念に加え、岸田総理の資産所得倍増計画などにより資産運用を始めようと考えている人が増えている様に感じます。特に去年は高校で金融教育の授業がスタートしたり年末にはNISA枠拡大の方針が示されたりと、国策として投資家を増やそうという強い意志を感じます。
しかし、個人的に最強の資産運用だと考えている高配当株投資においても、現在東証には4000社近い企業が上場しているため、どの銘柄を購入したら良いかは投資を始める時に最初に頭を悩まされる問題だと思います。
そこで今回は、投資初心者が最初に買う銘柄として適していると思う7銘柄を個別に検証していきます。
投資初心者におすすめの4条件
まず前提条件として投資初心者が購入する銘柄として個人的におすすめだと思う4つのポイントを紹介します。
最低購入金額が安い
1つ目のポイントは最低購入金額が安い事です。現在、株式の購入単位は一部銘柄を除いて100株単位となっています。従って株価が500円の銘柄だと5万円、1,000円の銘柄だと10万円で購入できます。しかし、なかには株価が1万円を超える銘柄もありますので、その様な銘柄の場合は最低購入金額が100万円を超える場合もあります。
もちろん現代社会は便利な世の中ですので、証券会社によっては1株単位で購入できるシステムもありますが、手数料が単元株で購入するよりも高くなる場合や指値注文ができない場合もありますので、投資初心者の場合は最低購入金額が安い銘柄の方がおすすめです。
株価、業績、配当が安定
2つ目のポイントは株価、業績、配当が安定している銘柄です。これらの条件は投資初心者に限らず高配当株投資において大切な要因ですが、特に投資初心者にとっては大切なポイントです。
購入した直後に暴落して大きな含み損を抱えたり、減配により受け取れる配当金が減ったりすると、せっかく始めた投資を辞めたくなる場合もあるかと思います。
その様なリスクを避けるためにも株価、業績、配当が安定している銘柄を選ぶ事が大切です。
知っている会社
3つ目のポイントは知っている会社である事です。冒頭でも触れましたが、現在東証には4000社近い企業が上場しているため、上場企業といっても名前を知らない企業はたくさんありますし、名前は知っていても具体的に何をしているのか知らない企業もあると思います。
もちろん知名度は低くても優良な企業はたくさんありますが、最初に購入する銘柄は自分がよく知っている企業の方が投資しやすいかと思います。
株主優待がある
4つ目のポイントは株主優待がある事です。
企業によっては株主に対して自社商品やクオカード、カタログギフトなどがもらえる株主優待を設定しています。
株主優待は、個人投資家と比べて機関投資家や海外の投資家が不利益である事などを理由に廃止にする企業も増えていますので注意は必要ですが、おまけ程度の気持ちで考えると投資初心者にはおすすめのポイントだと思います。
それではここからは、以上4つのポイントを基準に投資初心者におすすめだと思う7つの高配当株を個別に紹介していきます。
【5020】ENEOS
最初の銘柄は石油元売り最大手のENEOSです。
ENEOSは原油を精製し石油製品として販売する石油元売り会社で、最低購入金額は5万円前後と安く、株価も安定傾向です。業績は原油価格に大きく左右される部分があり株主優待もありませんが、業績と関係なく配当は安定しています。
そしてガソリンスタンドとして多くの人に馴染みがあるかと思いますので、投資初心者におすすめの銘柄です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ENEOS |
2018年3月期 | 3619 |
2019年3月期 | 3223 |
2020年3月期 | -1879 |
2021年3月期 | 1139 |
2022年3月期 | 5371 |
2023年3月期(会社予想) | 1400 |
2018年からの通期最終利益を見ていきますが、ENEOSの業績は原油価格に大きく左右されるため、原油価格の上下によって最終利益も大きく増減を繰り返しています。
実際2020年は、年明け以降のコロナ禍によるガソリン需要の減少に加え原油価格の下落で大きな赤字に転落しました。しかし、2022年はコロナからの経済回復の影響もあり資源価格が上昇した事で、石油や天然ガス、金属セグメントが大幅増益となり業績も急回復しています。
今期は原油価格の反動などを想定して期初当初は通期最終利益を1700億円と大幅減益見込みとしていましたが、原油価格が高止まりしている事もあり第2四半期決算で通期最終利益の見込みを3300億円へ上方修正しました。
しかし、今月発表した第3四半期決算では、第3四半期における原油価格の下落や円高による石油製品マージンのマイナスタイムラグ発生に加え、 製油所の稼働回復が計画に届かなかったことなどを要因に通期最終利益の見込みを1400億円へ下方修正しています。
この様にENEOSの業績は原油価格によって大きく上下するところが懸念点ではあります。
配当推移
銘柄名 | ENEOS |
2015年 | 16 |
2016年 | 16 |
2017年 | 16 |
2018年 | 19 |
2019年 | 21 |
2020年 | 22 |
2021年 | 22 |
2022年 | 22 |
2023年(会社予想) | 22 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、2020年からは22円で変わっていないです。
前期は業績が伸びている事を踏まえると増配も期待したいですが、今期見込みも含め配当は据え置きとなっています。
ENEOSの配当方針は、株主への利益還元が経営上の重要課題であるとの認識のもと、中期的な連結業績の推移および見通しを反映した利益還元の実施を基本としながら、安定的な配当の継続に努めるとしています。
具体的な数値としては、2022年度までの中期経営計画中の配当は現状を下回らない配当水準とし、また総還元性向を3ヵ年累計の在庫影響を除き当期利益の50%以上としていますので、原油価格の上下によって生じた利益は配当原資に含めない方針です。
しかし、中期経営計画は今期までとなっていますので、来期以降の配当方針は気になるところです。
株価推移
株価はコロナショック時に320円まで売られましたが、2021年は原油価格の上昇もあり500円を超える場面がありました。
そして、去年5月の本決算で発表した大規模自社株買いがポジティブサプライズとなり580円まで株価は上昇しましたが、その後はじわじわ下がる原油価格同様に値を下げ、直近は460円前後で推移しています。
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ENEOS | 5020 | 459.4 | 9.9 | 0.49 | 22 | 4.79 | 47.4 |
最近の株価はじわじわ下落していますが年間配当は22円で安定しているため、配当利回りは4%後半と高水準です。
今期は大幅減益見込みですがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は第3四半期決算の下方修正で47%付近へ上昇しています。
投資初心者におすすめの理由
冒頭でも触れた様に一般的にENEOSといえばガソリンスタンドをイメージすると思いますが、世界的な脱炭素の流れにより、将来的にガソリン車は販売廃止の動きとなっています。そうなると当然ガソリンは使用しなくなりますので、ガソリンスタンドの存在意義も心配になるところです。
しかし、石油は使用しなくなったとしても代替のエネルギーは必要になるため、ENEOSは水素や再生可能エネルギー、天然ガスを使用した石油に代わるエネルギーの開発を進めています。
以上の様な点を考慮すると石油元売り会社としてのENEOSの将来には不安がありますが、エネルギー会社としての将来性には期待できる部分も大きいと思いますので、投資初心者にもおすすめだと思います。
【2503】キリンHD
2番目の銘柄はキリンHDです。
キリンHDは、キリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリングループの持株会社で、多くの人に馴染みがあるかと思います。
最近の業績や株価はコロナショックやミャンマー市場の問題もあり上下していますが、配当は安定しており、自社商品がもらえる株主優待もあります。
最低購入金額は20万円付近とそこまで安いわけではありませんが、投資初心者にはおすすめの銘柄だと思います。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | キリン |
2018年12月期 | 1642 |
2019年12月期 | 596 |
2020年12月期 | 719 |
2021年12月期 | 597 |
2022年12月期 | 1110 |
2023年12月期 | 1130 |
2018年からの通期最終利益を見ていきますが、ここ数年の業績はコロナ感染拡大による緊急事態宣言の影響やミャンマーの政情不安によるミャンマー事業の落ち込みで低迷が続いていましたが、前期は大きく業績が回復しています。
前期業績回復の要因は、原材料費高騰の影響を受けつつもコロナからの経済回復による酒類事業の回復や医領域、北米飲料事業の好調に加え、円安の影響としています。
そして、今期は現状微増益の見込みとしていますが、今年はコロナからの更なる経済回復も期待できますし、懸念だったミャンマー事業からの撤退も完了していますので更なる上積みを期待したいところです。
配当推移
銘柄名 | キリン |
2015年 | 38 |
2016年 | 39 |
2017年 | 46 |
2018年 | 51 |
2019年 | 64 |
2020年 | 65 |
2021年 | 65 |
2022年 | 69 |
2023年(会社予想) | 69 |
2015年からの配当推移について、ここ数年は現状維持が続いていましたが前期配当は本決算で4円の増配が発表されました。
業績が低迷しても減配しない姿勢は評価したいところですが、2021年の配当性向は業績低迷を背景に90%を超えていました。
キリンHDの配当方針は、安定した配当を継続的に行うことが株主の皆様の要請に応えるものとしており、具体的な数値としては連結配当性向40%以上としています。
今期は現状据え置きの見込みですが現在の配当性向は50%付近ですので、更なる増配のためには業績の上積みが必要です。
株主優待
キリンHDには株主優待があり、キリンビールやキリンビバレッジ商品、メルシャンワインの詰め合わせセットに加え、ビアレストラン「キリンシテイ」で使用できるお食事券などから選択する事ができます。
そして、100株以上から株主優待はもらえますが、1000株以上で各商品のグレードが上がる様になっています。
株価推移
株価はコロナショックで1825円まで売られた後は2462円まで急速に値を戻しましたが、業績低迷を背景に再び値を下げ、去年3月にはコロナショック時を下回る1739円まで売られました。
その後は業績の回復やミャンマー市場からの撤退などを受けて反発し、直近は2000円前後で推移しています。
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
キリン | 2503 | 1996.5 | 14.3 | 1.65 | 69 | 3.46 | 49.5 |
決算発表後に株価が売られた事や配当が増配された事もあり、配当利回りは3%半ばまで上昇しています。
業績は好調ですがPERにそれほど割安感はなく、配当性向は50%付近となっています。
投資初心者におすすめの理由
キリンHDの前期業績は大幅増益で着地し、今期見込みも若干ですが増益見込みとしています。今年は更にコロナからの経済活動再開の動きが進む可能性が高く、懸念材料だったミャンマー市場からの撤退で投資しやすい環境になっています。
指標面に割安感はなく最低購入金額も20万円前後ではありますが、抜群の企業規模と知名度を誇っていますので、中長期保有の高配当株投資で最初に購入して良い銘柄の様な気もします。
【9433】KDDI
3番目の銘柄はKDDIです。
KDDIはNTT、ソフトバンクと並ぶ大手通信会社で、実際にKDDIの携帯を使用している人も多いかと思います。通信業界は通信料金値下げの影響を受けていますが、現状は金融やDX、決済事業などの成長領域部門でカバーしています。
KDDIの最低購入金額は40万円付近と高額ですが、業績、配当は増加傾向でカタログギフトがもらえる株主優待もありますので投資初心者におすすめです。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | KDDI |
2018年3月期 | 5725 |
2019年3月期 | 6176 |
2020年3月期 | 6397 |
2021年3月期 | 6514 |
2022年3月期 | 6724 |
2023年3月期(会社予想) | 6880 |
2018年からの通期最終利益を見ていきますが順調に増益が続いています。
前期は通信料金値下げの影響が懸念されていましたが、他の成長領域でカバーし増益となっています。
今期は去年7月に大規模通信障害を引き起こし加入者への賠償として総額約75億円を支払った事や通信料金値下げの影響で、第3四半期時点では前年同期比減益となっています。
しかし、第4四半期で注力領域(DX、金融など)の推進とコスト効率化により、通期では増益を目指すとしていますので5月発表の本決算に期待したいところです。
配当推移
銘柄名 | KDDI |
2015年 | 56 |
2016年 | 70 |
2017年 | 85 |
2018年 | 90 |
2019年 | 105 |
2020年 | 115 |
2021年 | 120 |
2022年 | 125 |
2023年(会社予想) | 135 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、据え置きの年すらなく順調に増配が続いており、現在20期連続の増配を継続中です。
KDDIの配当方針は、配当性向40%超と利益成長に伴うEPS成長の相乗効果により、今後も持続的な増配を目指すとしています。
株主優待
KDDIには保有株数や保有継続年数によってカタログギフトがもらえる株主優待がありますので、内容を表にまとめています。
KDDI | ||
保有株数/保有年数 | 5年未満 | 5年以上 |
100株~999株 | 3000円相当 | 5000円相当 |
1000株以上 | 5000円相当 | 1万円相当 |
ランクアップのためには、保有株数で1000株以上、保有継続年数は5年以上とかなりハードルは高めですが、狙いたくなる株主優待です。
株価推移
株価は菅ショックで2604円まで売られ後は上下を繰り返しながら値を戻し、去年5月には4636円まで上昇しました。しかし、その後は通信障害の問題や前期比減益が続く業績の影響で値を下げ、直近は4000円付近で推移しています
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
KDDI | 9433 | 3991 | 12.5 | 1.73 | 135 | 3.38 | 42.4 |
最近の株価は高値から下落しているなか増配が継続しているため、配当利回りは3%半ばの水準です。
しかし、PER、PBRに割安感はなく、配当性向は43%付近と方針通りの水準です。
投資初心者におすすめの理由
KDDIの直近業績は少し低迷していますが、今までの業績や配当推移、株主還元力などは高配当株として理想的な銘柄だと思います。
しかし、最近の株価は多少下がったとはいえ最低購入金額は40万円前後と高額で、株主優待についてもカタログギフト方式の優待は廃止にする銘柄が増えていますので注意が必要ですが、20年以上増配が続く配当推移を踏まえると高配当株として早めに購入したい銘柄です。
【1332】ニッスイ
4番目の銘柄はニッスイです。
ニッスイは水産品の加工や物流を手掛ける大手水産メーカーで、家庭用の冷凍食品でも馴染みがあると思います。そんななか、最近の業績や配当は増加傾向ですが株価はそこまで上昇していません。
最低購入金額も5万円前後と安く、500株以上の保有が条件ですが自社商品がもらえる株主優待もありますので投資初心者におすすめです。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ニッスイ |
2019年3月期 | 153 |
2020年3月期 | 147 |
2021年3月期 | 143 |
2022年3月期 | 172 |
2023年3月期(会社予想) | 200 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響を受けた2021年頃は減益が続きました。
しかし、前期はコロナからの経済回復や国内養殖事業の改善に加え、堅調な市況価格の影響もあり大きく業績が回復しています。
今期業績について、原材料や円安を始めとしたコストアップの影響を大きく受けつつも、前期に引き続き国内外の販売が堅調に推移している事や国内養殖事業の改善が一部の魚種を除き継続し、北米加工事業のコスト削減も進んだことなどで大幅増益となっています。
そして、第3四半期時点の通期進捗率は92%付近ですので、更なる上積みも期待できそうな状況です。
配当推移
銘柄名 | ニッスイ |
2015年 | 3 |
2016年 | 5 |
2017年 | 6 |
2018年 | 8 |
2019年 | 8 |
2020年 | 8.5 |
2021年 | 9.5 |
2022年 | 14 |
2023年(会社予想) | 16 |
2015年からの配当推移を見ていきますが順調に増配が続いており、特に前期以降は好調な業績を背景に大幅増配となっています。ニッスイの配当方針は、長期的・総合的視野に立った企業体質の強化ならびに将来成長が見込まれる分野の事業展開に備えた内部保留も勘案しながら、経営環境の変化に対応して連結業績に応じた株主還元を行うとしています。
株主優待
ニッスイは株主優待が設定されており、保有株数によって自社商品の詰め合わせセットがもらえます。
具体的な金額は、500株以上で3000円相当、1000株以上で5000円相当となっており、最低単元の100株ではもらえませんので注意が必要です。
株価推移
株価はコロナショックで398円まで売られた後、2021年10月には689円まで上昇しています。しかし、その後はじわじわと値を下げ、直近は500円台で推移しています。
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ニッスイ | 1332 | 537 | 8.4 | 0.76 | 16 | 2.98 | 24.9 |
最近の株価は動きが止まっていますが配当は順調に増配が続いているため、配当利回りは3%前後の水準です。
好調な業績を背景にPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は25%付近と余裕を感じます。
投資初心者におすすめの理由
ニッスイの直近業績は順調に推移しており配当も増配傾向で、株主優待をもらうには26万円前後の資金が必要ですが、100株ならば5万円くらいで購入可能です。配当利回りは3%前後と高配当株としては少し物足りない水準ですが、来期以降の増配も期待できそうな業績推移です。
その割に最近の株価は低迷が続いており、元々そこまで大きく株価が動く銘柄でない事も含め、投資初心者におすすめだと思います。
【9069】センコーグループHD
5番目の銘柄はセンコーグループHDです。
センコーグループHDは、量販店や小売チェーン店の物流業務に加え、鉄骨部材、外壁などの住宅物流、化学合成製品の輸送など様々な商品の物流を手掛けています。
センコーグループHDの最低購入金額は10万円前後とお手頃で業績、配当は増加傾向ですが、株価は安定しています。
株主優待はなく、あまり馴染みも無いかもしれませんが、走っている車を見ると「センコー」と名前の入ったトラックがよく走っていますので投資初心者にもおすすめです。
通期業績推移(億円)
銘柄名 | センコーHD |
2019年3月期 | 116 |
2020年3月期 | 120 |
2021年3月期 | 142 |
2022年3月期 | 152 |
2023年3月期(会社予想) | 160 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが順調に右肩上がりで、コロナショックでも減益には陥っておらず、直近の業績はコロナからの経済回復の影響もあり増益額も増えています。
業績好調の要因は燃料価格上昇の影響などはありましたが、コロナからの経済回復による物流需要の増加やコスト改善・生産性向上に取り組むとともに、 M&Aの収益寄与があったためとしており、前期は過去最高益となっています。
今期は更に増益見込みになっていますが、第3四半期時点の通期進捗率は90%超と更なる上積みも期待できそうな内容です。
配当推移
銘柄名 | センコーHD |
2015年 | 17 |
2016年 | 20 |
2017年 | 22 |
2018年 | 22 |
2019年 | 26 |
2020年 | 26 |
2021年 | 28 |
2022年 | 34 |
2023年(会社予想) | 34 |
2015年からの配当推移を見ていきますが好調な業績と連動して順調に増配傾向です。
コロナショック時など据え置きの年はありますが減配はなく、配当額は右肩上がりの状況です。
センコーグループHDの配当方針は、安定配当に加え業績連動を考慮した配当の実施ならびに配当性向の向上を目指す中で株主還元の充実を目指す方針です。
株価推移
株価はコロナショックで707円まで売られた後、2021年3月には1100円を超える場面もありました。その後はじわじわと値を下げ去年6月には824円まで下げましたが、直近は反発し1000円前後で推移しています
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
センコーHD | 9069 | 974 | 9.1 | 0.91 | 34 | 3.49 | 31.7 |
最近の株価は安値圏からは反発していますが、順調に増配が続いていますので配当利回りは3%半ばの水準です。
業績好調を受けてPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向も約31%と余裕を感じます。
投資初心者におすすめの理由
センコーグループHDは将来性も期待できる物流事業を幅広く手掛けており、株価もじわじわ上昇していますが、まだまだ指標面では割安です。
株主優待はなく知名度も一般的にはそこまで高くないとは思いますが、最低購入金額は10万円前後と買いやすいので、投資初心者にもおすすめだと思います。
【8282】ケーズHD
6番目の銘柄はケーズHDです
ケーズHDは家電量販店ケーズデンキを中核にした持株会社で、全国に店舗を展開していますので馴染みがある人も多いかと思います。
業績はコロナショックや天候不順で上下していますが配当は安定しており、最低購入金額も10万円台前半とお手頃です。
そして、店舗で使用できるお買い物券が株主優待でもらえますので投資初心者にもおすすめです。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ケーズHD |
2019年3月期 | 238 |
2020年3月期 | 215 |
2021年3月期 | 387 |
2022年3月期 | 285 |
2023年3月期(会社予想) | 255 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、2021年に過去最高益を記録した後は減益傾向が続いています。
2021年はコロナによる営業時間短縮などの影響はありましたが、特別定額給付金の支給が家電買い替えの後押しになったことに加え、テレワークの普及によってパソコンなどの販売が好調だったとの事です。
その後は前年の反動や天候不順により減益が続いており、今期も当初は増益見込みとしていましたが、夏季商戦最盛期に気温が低下しエアコン販売が不振だった事や前期の東京オリンピックによるテレビ買い替え需要の反動に加え、水道光熱費などの増加により第2四半期決算で通期見込みを下方修正しています。
そして、2月1日に発表した第3四半期決算は前期比61億円減と厳しい状況は続いており、通期予想の下方修正はありませんでしたが、進捗率は69%付近と最終着地が心配な水準となっています。
配当推移
銘柄名 | ケーズHD |
2015年 | 17.5 |
2016年 | 20 |
2017年 | 27.5 |
2018年 | 31.5 |
2019年 | 30 |
2020年 | 30 |
2021年 | 40 |
2022年 | 43 |
2023年(会社予想) | 44 |
2015年からの配当推移について数年前までは30円付近で安定していましたが、ここ数年は40円を超える水準まで上昇しています。
ケーズHDの配当方針は連結配当性向30%を⽬指し、その実現に努めるとしています。
株主優待
ケーズHDには保有株数に応じてケーズデンキで使用できるお買い物優待券がもらえますので内容を表にまとめています。
保有株数 | 優待券 | 金額 |
100株以上 | 1枚 | 1000円 |
500株以上 | 3枚 | 3000円 |
1000株以上 | 5枚 | 5000円 |
3000株以上 | 10枚 | 1万円 |
6000株以上 | 20枚 | 2万円 |
1万株以上 | 30枚 | 3万円 |
下記内容を3月と9月の年2回もらえ、また継続保有期間1年以上の場合、保有株数100株以上1000株未満で優待券1枚、保有株数1000株以上で優待券2枚が追加でもらえますので長期保有者に有難い株主優待です。
株価推移
株価はコロナショックで920円まで売られた後、2021年3月には1600円付近まで上昇しました。
しかしその後は下落が続き、直近は第3四半期決算で発表した自社株買いが好感され、少し上昇しましたが1100円台で推移しています。
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ケーズHD | 8282 | 1174 | 8.8 | 0.78 | 44 | 3.75 | 32.9 |
最近の株価は低迷が続いていますが増配が継続している事もあり、配当利回りは3%後半の水準です。
第2四半期決算で業績の下方修正はありましたが、PER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は33%付近と方針通りの水準です。
投資初心者におすすめの理由
ケーズHDの今期業績は減益見込みとなっており最終着地も心配な水準ですが、コロナ前と比較するとそこまで悪い数字ではないです。
そして、家電量販店は現状どこも苦戦が続いていますが、今年インバウンド需要が復活すれば業績の回復も期待できるかもしれません。
そしてケーズHDは全国に店舗があり株主優待も使いやすいと思いますので、投資初心者にもおすすめかと思います。
【8566】リコーリース
最後の銘柄はリコーリースです。
リコーリースは、事務機器などのリースや集金代行、不動産などの投資事業を手掛けるリコー系のリース会社です。
あまり馴染みはないかもしれませんが、業績、配当は増加傾向で株価は安定しています。そして、最低購入金額は40万円付近と高額ではありますが、クオカードがもらえる株主優待もありますので投資初心者におすすめです。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | リコーリース |
2019年3月期 | 119 |
2020年3月期 | 118 |
2021年3月期 | 120 |
2022年3月期 | 134 |
2023年3月期(会社予想) | 135 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響も関係なく順調に増益が続いており、特に前期の業績は大きく伸びています。
前期業績好調の要因は、資産利回り改善の継続やレンタル事業の伸長により各セグメントの利益はいずれも計画を達成し、過去最高益を更新したためとの事です。
今期は更に増益見込みとしていますが、第3四半期時点の通期進捗率は90%を超えていますので更なる上積みも期待できそうです。
配当推移
銘柄名 | リコーリース |
2015年 | 50 |
2016年 | 55 |
2017年 | 60 |
2018年 | 70 |
2019年 | 80 |
2020年 | 90 |
2021年 | 100 |
2022年 | 120 |
2023年(会社予想) | 135 |
配当についても好調な業績を背景に増配傾向が続いており、リコーリースは2022年までで27期連続増配を継続中です。
リコーリースの配当方針は2022年度までの中期経営計画の目標として、配当性向30%を目指すとしています。
ただ、現在の配当方針は今期までとなりますので、来期以降の配当方針は気になるところです。
株主優待
リコーリースには株主優待があり、保有株数や保有継続年数によってクオカードかカタログギフトが貰えますので、詳細を表にまとめています。
保有株数 | 保有継続年数 | 金額 | 優待品 | |||
100株~299株 | 1年未満 | 2000円相当 | QUOカード | |||
1年以上3年未満 | 4000円相当 | |||||
3年以上 | 5000円相当 | |||||
300株以上 | 1年未満 | 5000円相当 | カタログギフト | |||
1年以上3年未満 | 8000円相当 | |||||
3年以上 | 1万円相当 |
継続保有期間が3年を超えるとかなりの金額になりますので、中長期保有の高配当株としては有難い限りです。
株価推移
株価はコロナショックで2423円まで売られた後は順調に上昇し、2022年1月には4000円に迫る場面もありました。その後は値を下げましたが、最近は3000円台後半で安定した動きが続いています。
株価指標(2023年2月17日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
リコーリース | 8566 | 3915 | 8.9 | 0.58 | 135 | 3.45 | 30.8 |
最近の株価はじわじわ上昇していますが、安定して増配している事で配当利回りは3%半ばの水準です。
業績好調を受けてPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は30%付近と方針通りの水準です。
投資初心者におすすめの理由
リコーリースは業績、配当が順調に推移しているなか、元々株価が大きく動く銘柄ではないですが、最近の株価は底堅く推移しています。
しかし、コロナショックでも関係なく増益や増配が続いている事を踏まえると、株価は物足りない動きにも見えます。最低購入金額は40万円弱と高額ではありますが、クオカードがもらえる株主優待もありますので、投資初心者でも狙って良い様な気はします。
まとめ
今回は、投資初心者が最初に買う場合におすすめだと思う高配当株を7銘柄検証しました。最初におすすめとして挙げた4つの条件をもとに銘柄を選定しましたが、なかなか全ての条件が当てはまる銘柄は無いです。
ENEOSの配当推移は安定しており最低購入金額も安いですが、業績は変動が激しく株主優待もありません。キリンHDの直近業績は好調で株主優待もありますが、最低購入金額は20万円付近と特別安くはありません。
ニッスイやセンコーグループHDは業績、配当推移が好調で最低購入金額も安いですが、センコーグループHDに株主優待は無く、ニッスイも株主優待をもらうためには500株購入する必要があります。KDDIやリコーリースは業績、配当は順調に推移しており株主優待もありますが、最低購入金額が40万円付近と高額です。
ケーズHDは株主優待があり最低購入金額も10万円台前半と安いですが、直近の業績は微妙です。
以上の様に各銘柄それぞれ妥協するポイントがありますが、投資に限らず人生は妥協の連続だと思いますので、自分なりに納得できる妥協ポイントを探す事が大切かと思います。
高配当株投資で投資初心者におすすめの7銘柄については、YouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。
コメント