今回は現時点の株価は少し高いですが、今後株価が下がったら購入を検討したいと考えている高配当株についてまとめていきます。
特に高配当株投資を行うならば、是非保有しておきたいと思う王道の3銘柄を個別に検証していますので、是非最後までご覧ください。
【8306】三菱UFJフィナンシャルグループ
最初の銘柄は、三菱フィナンシャルグループです。
三菱UFJフィナンシャルグループは、三菱UFJ銀行を中核に持つ金融持株会社で国内最大手の金融グループです。
銀行業界はコロナショックで2020年以降メガバンクも大きく業績を落とす時期もありましたが、2022年3月期は前期からの反動やコロナショックでの倒産に備えていた貸倒引当金を想定程使用しなくて良かった事もあり業績は急回復しています。
また、国内市場は飽和状態である為、メガバンクを中心に海外の市場開拓も進めています。
直近決算
三菱UFJは8月2日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は1136億円と前年同期比2694億円の減益でしたが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありませんでした。
前期比大幅減益の要因は、MUB(米国地銀ユニオンバンク)株式譲渡決定に関連した損失2544億円を計上した為としています。
しかし、当該損失のうちMUB株式譲渡時に特別利益として1579億円が戻入となる予定としており、最終利益目標1兆円は不変との事です。
通期最終利益(億円)推移
銘柄名 | 三菱UFJ |
2018年3月期 | 9896 |
2019年3月期 | 8726 |
2020年3月期 | 5281 |
2021年3月期 | 7770 |
2022年3月期 | 11308 |
2023年3月期(会社予想) | 10000 |
通期最終利益を見ていきますが、コロナショックで大幅減益となった2020年以外は順調に増益傾向です。
前期は国内外の貸し出し利ざや改善に加え、コロナショックによる倒産に備えていた与信関連費用の戻り入れなどの影響で最終利益は1兆円の大台に乗せています。
今期予測は最終利益が1兆円と1308億円の減益見込みで発表していますが、安定的に1兆円以上稼ぐことのできる会社を目指すとしており、今後の業績にも期待できそうです。
配当推移
銘柄名 | 三菱UFJ |
2015年 | 18 |
2016年 | 18 |
2017年 | 18 |
2018年 | 19 |
2019年 | 22 |
2020年 | 25 |
2021年 | 25 |
2022年 | 28 |
2023年(会社予想) | 32 |
2015年からの配当推移をまとめていますが、2018年頃からは順調に増配傾向です。
コロナショックで業績が落ち込んだ2021年の配当は据え置きでしたが、ここ数年は増配額に勢いが出ています。
三菱UFJの配当方針は、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的・持続的な増加を基本方針とし、2023年度までに配当性向40%への累進的な引き上げを目指すとしています。
株価推移
株価はコロナショックで380円まで売られた後は順調に値を戻しています。去年春以降は600円前後の水準で停滞する時期もありましたが、今年に入ってからはアメリカの長期金利上昇や業績好調を背景に株価は828円まで買われ、直近は高値からは少し売られましたが700円台で推移しています。
株価指標(2022年8月19日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱UFJ | 8306 | 728 | 9.1 | 0.54 | 32 | 4.40 | 39.8 |
配当は順調に増配が続くなか直近の株価は下落傾向ですので、配当利回りは4%半ばまで上昇しています。
業績好調を背景にPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は40%付近と方針通りの水準です。
三菱UFJフィナンシャルグループの投資判断
以上の内容をもとに三菱UFJフィナンシャルグループの投資判断ですが、業績、配当は順調に推移しており、日本を代表する企業規模も含めポートフォリオの一部に入れておきたい銘柄です。
第1四半期決算はMUB株式の譲渡決定に伴う臨時損失が発生し大幅減益でしたが、本業は順調に推移しており、通期予測に変更はなく今後の業績にも期待できます。
最近の株価は高値から下落していますが、できればもう少し下げて600円台前半くらいの水準があれば狙いたいところです。
【9432】NTT
続いての銘柄はNTTです。
NTTは通信事業を主体とするNTTグループの持株会社で、2020年にはNTTドコモを完全子会社化しています。
通信業界は2020年に菅総理による携帯料金値下げ圧力を受けた為、その後各社は携帯料金の値下げプランを発表しました。
通信料収入については値下げによる収益減のほか、国内市場は飽和状態で今後の飛躍的な成長が見込めない為、各社とも通信部門以外での収益確立を目指すようになっています。
直近決算
NTTは8月8日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は3685億円と前年同期比286億円の増益でしたが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありませんでした。
業績好調の要因として通信料金値下げの影響はありましたが、NTTデータの海外事業などが好調だった為としており、第1四半期としては過去最高益となっています。
通期最終利益(億円)推移
銘柄名 | NTT |
2018年3月期 | 8978 |
2019年3月期 | 8545 |
2020年3月期 | 8553 |
2021年3月期 | 9161 |
2022年3月期 | 11810 |
2023年3月期(会社予想) | 11900 |
通期最終利益は、コロナショックを受けた2020年頃は減益や据え置きの年もありましたが、ここ数年の増益幅は数年前と比較して勢いが付いている状況です。
業績好調の要因は、企業のデジタル変革の取り組みが急速に広がり国内外でITサービスの需要が増えたことや、テレワークの拡大で家庭向けのインターネットサービスの契約が増えた為としています。
携帯料金値下げの影響はありましたが、通信部門以外の分野で通信料金値下げの影響をカバー出来ている状況です。
配当推移
銘柄名 | NTT |
2015年 | 45 |
2016年 | 55 |
2017年 | 60 |
2018年 | 75 |
2019年 | 90 |
2020年 | 95 |
2021年 | 105 |
2022年 | 115 |
2023年(会社予想) | 120 |
2015年からの配当推移をみていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配傾向です。
NTTの配当方針は、株主還元の充実は当社にとって最も重要な経営課題の一つとし継続的な増配の実施を基本的な考え方としています。
具体的な配当性向などの目安は掲げていませんが、今後も好調な業績が続けば更なる増配が期待できそうな配当推移です。
株価推移
株価は菅ショックで2127円まで売られましたが、その後は右肩上がりの状況です。去年夏頃に少し停滞した時期はありましたが、今年に入ってからは上昇ペースに勢いが付いており、5月には4000円を超える場面もありましたが、直近は高値から少し売られ3700円前後で推移しています。
株価指標(2022年8月19日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
NTT | 9432 | 3761 | 11.2 | 1.56 | 120 | 3.19 | 35.7 |
今年に入って株価は大きく上昇していますが順調に増配が続いていますので、配当利回りはそれでも3%台前半の水準です。
業績は好調ですが株価も上昇傾向ですのでPERに割安感はそれ程なく、配当性向は35%付近と余裕を感じます。
NTT投資判断
以上の点を踏まえNTTの投資判断ですが、業績、配当は順調に推移しており企業規模にも文句はありません。
懸念されていた通信料金値下げの影響をDX関連や決済サービスなど他の事業でカバー出来ており、今回の決算も非常に良い内容でした。
直近の株価は高値から売られていますが、できればもう少し売られ3000円台前半の水準があれば狙ってみたいところです。
【8058】三菱商事
最後の銘柄は三菱商事です。
三菱商事は三菱グループの総合商社でエネルギー、金属などの金属資源部門に強みを持っていますが、企業規模は大きく国内外の様々な企業と取引がある為、金属資源部門以外のセグメント割合もバランスの良い収益構造です。
世界約90の国・地域に拠点があり、連結事業会社約1700社と協働しながらビジネスを展開しています。
直近決算
三菱商事は8月2日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は5339億円と前年同期比3464億円の増益でしたが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありませんでした。
業績好調の要因は資源価格が高値推移した事に加え、自動車関連事業、欧州エネルギー事業、不動産開発事業を中心に多くの事業が好調に推移した為としています。
業績好調により第1四半期時点で通期最終利益に対する進捗率は約63%でしたが、業績見通しについては事業環境の不透明さを見極めたうえで、第2四半期にかけて精査するとの事です。
通期最終利益(億円)推移
銘柄名 | 三菱商事 |
2018年3月期 | 5601 |
2019年3月期 | 5907 |
2020年3月期 | 5353 |
2021年3月期 | 1725 |
2022年3月期 | 9375 |
2023年3月期(会社予想) | 8500 |
2018年からの最終利益を見ていきますが、2020年以降は増減の激しい展開となっています。
2021年はコロナショックの影響で大幅減益となりましたが、前期は商品市況の上昇で大幅増益となりました。
今期は商品市況の落ち着きを想定し現状減益見込みとしていますが、先程お伝えした様に第1四半期時点で通期進捗率は60%を超えていますので、今後の上方修正に期待はできそうです。
配当推移
銘柄名 | 三菱商事 |
2015年 | 70 |
2016年 | 50 |
2017年 | 80 |
2018年 | 110 |
2019年 | 125 |
2020年 | 132 |
2021年 | 134 |
2022年 | 150 |
2023年(会社予想) | 150 |
2015年からの配当推移をまとめていますが、2016年以降減配はなく順調に増配傾向です。
コロナ禍で業績を大きく落とした2021年にも増配しており、株主還元姿勢の高さを感じます。
三菱商事の配当方針は、2024年度までの中期経営戦略において減配せず持続的な利益成長に応じて増配していく「累進配当」を継続としており、具体的な数値目標は総還元性向で30%から40%を目安としています。
株価推移
株価はコロナショックで2094円まで売られた後は好調な業績を背景に上昇傾向で、今年6月には4845円まで上昇しました。
その後はロシア事業の影響もあり3000円台まで売られましたが、直近は4300円前後で推移しています。
株価指標(2022年8月19日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱商事 | 8058 | 4364 | 7.5 | 0.84 | 150 | 3.44 | 25.7 |
ここ数年株価は上昇が続いていますが、増配も継続していますので配当利回りは3%半ばの水準です。
好調な業績を背景にPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は25%付近と余裕を感じます。
三菱商事投資判断
以上の点を踏まえ三菱商事の投資判断ですが、業績、配当は順調に推移しており、三菱グループという企業規模も含め100株は保有しておきたい銘柄です。
最近の業績好調は商品市況上昇の影響が大きいですので今後は今までの反動もあるかと思いますが、その辺りの状況は想定しているかと思いますし、将来的には非資源部門への構造改革も進んでいくと思います。
直近の株価は高値から下落していますが、できればもう少し下げて3000円台半ばくらいの水準があれば狙いたいところです。
まとめ
今回は株価がもう少し下がったら購入したい王道の高配当株を3銘柄検証しました。
王道としておきながら個人的に現在保有している銘柄は三菱UFJのみです。
NTTや三菱商事も今年始めには購入候補としていましたが、右肩上がりの株価に付いていけず、一旦購入をあきらめている状況でした。
ただ3銘柄とも業績は引き続き好調ですが、最近の株価は高値から少し売られている状況です。
NISA枠との絡みあり全ての銘柄を今年購入する事はできませんが、特にNTTについては もう少し株価が下がる場面があれば今年中の購入も検討したいと考えているところです。
もう少し株価が下がったら買いたい高配当株については、YouTubeで動画版を投稿していますのであわsてご覧ください。
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