【高配当株投資家必見!!】配当方針を7つのタイプに分類しおすすめ高配当株を検証

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銘柄検証

優良高配当株を選ぶ時の条件は、業績や配当、株価の推移に加え将来性など様々な要因があるかと思いますが、配当方針も重要なチェックポイントの1つです。

そもそも配当方針とは、各企業が利益のどの程度を株主に分配するかについての目安を示すものですが、特に定義がないため銘柄によってかなりの違いがあります。

そこで今回は配当方針を個人的に7つのパターンに分類し、配当方針ごとに代表的な銘柄を見ていく事で、どの配当方針が高配当株に向いているかを検証したいと思います。

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配当性向

まずは、配当方針でよく使用される配当性向について触れておきます。

配当性向とは当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに充てたかを示す指標です。

配当性向が25%の場合は、利益の4分の1を配当として出している事になりますし、配当性向が100%を超えている場合は利益以上の配当を出している事になります。

配当性向の難しいところは、低すぎると今後の増配に余裕がある様にも見えますが、株主還元力が低い銘柄と見られる事もありますし、逆に高すぎると株主還元力は高い企業に見えますが、今後の増配余地が少なく減配リスクが高いと判断される可能性もあります。

この様に配当性向は低すぎても高すぎても良い訳ではありませんので、この辺りは銘柄ごとの状況や最終的には個人の好みにもよると思います。

それでは以上の点を踏まえ、ここからは配当方針のタイプ別に高配当株を検証していきます。

下限設定タイプ

最初の配当方針は下限設定タイプで、配当の下限を明確に示している配当方針です。

配当の下限が設定されていると示されている数字からの減配リスクを考慮しなくて良いため、安心して保有する事ができます。ただ下限についてだけ設定されていて増配について触れられていない銘柄の場合、配当が増えにくい可能性はありますので、実際に下限設定タイプの銘柄を2つ見ていきます。

【5020】ENEOS

下限設定タイプ最初の銘柄はENEOSです。ENEOSは原油を精製し石油製品として販売する石油元売り会社で、ガソリンスタンドとしても馴染みがあるかと思います。

配当方針は2022年度までの中期経営計画中は現状を下回らない配当水準とし、また総還元性向を3ヵ年累計の在庫影響を除き当期利益の50%以上としています。

以上の様にENEOSは現在の水準を下限として設定しています。

配当推移

銘柄名ENEOS
2015年16
2016年16
2017年16
2018年19
2019年21
2020年22
2021年22
2022年22
2023年(会社予想)22

2015年からの配当推移を見ていきますが、2020年からは22円で変わっていないです。

ENEOSは現状の配当を下限として設定していますので、配当方針通り22円を維持している状況です。22円が下限ですので増配も期待したいところですが、今期見込みを含め配当は据え置きが続いています。

そして現在の配当方針は今期までとなりますので、来期以降の配当方針は気になるところです。

【4502】武田薬品工業

下限設定タイプ2番目の銘柄は武田薬品工業です。

武田薬品工業は日本の医薬品企業の中で売上はトップの国内最大手医薬品メーカーで、現在約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点があります。

配当方針は売上と利益が中期的に伸長していくことを見込んでおり、1株当たり年間配当金180円の確立された配当方針を維持するとしています。

以上の様に武田薬品工業は、年間180円を下限として設定しています。

配当推移

配当金
2015年180
2016年180
2017年180
2018年180
2019年180
2020年180
2021年180
2022年180
2023年3月期(会社予想)180

2015年からの配推推移をみていきますが、年間配当は毎年180円です。配当は遡ると2009年から10年以上180円で変わっておらず、30期以上減配はしていません。

ただ武田薬品工業は年間180円の配当方針を確立しているため、業績によっては配当性向が100%を超えている年もあります。

以上の様に業績にも関わらず一定の配当を確立する配当方針は珍しいかと思います。

下限設定タイプまとめ

下限設定タイプのまとめですが、2銘柄とも設定された下限値で据え置きの配当が続いています。高配当株の理想は毎年増配が続く事ですが、なかなかその様な銘柄はないため、減配しない事も大切な要因です。

その様な意味で下限設定タイプの銘柄は、ポートフォリオの一部で保有しておきたい配当方針だと思います。

下限設定プラスαタイプ

2つ目の配当方針は下限設定プラスαタイプで、先程の下限設定にプラスαで増配の余地を示した配当方針となります。

下限が設定されていながら条件によっては増配も期待できますので、配当方針としては理想的に思えますが、実際にはどうなのか具体的に銘柄を見ていきたいと思います。

【8591】オリックス

下限設定プラスαタイプ最初の銘柄はオリックスです。

オリックスはリース業界の代表的な銘柄ですが、現在はリース業にとどまらず、不動産、金融、事業投資など様々な事業で海外を含む多くの企業と取引しています。

配当方針について、前期は配当性向33%もしくは年間配当78円のいずれか高い方としており、今期は配当性向33%または前期配当金額(85.6円)の高い方を年間配当にする方針です。

以上の様にオリックスは具体的な金額を下限として設定しつつ、業績の上振れにより配当性向33%の方が高くなる場合は増配の余地も残しています。

配当推移

銘柄名オリックス
2015年36
2016年45.75
2017年52.25
2018年66
2019年76
2020年76
2021年78
2022年85.6
2023年(会社予想)85.6

2015年からの配当推移をみていきますが概ね順調に増配傾向です。

コロナショックの影響が出始めた2020年は据え置きとなっていますが、2021年は配当性向を一時的に50%まで引き上げて増配を実施しています。そして先程お伝えした様に前期は下限設定プラスαタイプの配当方針のもと、実際の配当は配当性向33%に小数点第1位まで寄せた85.6円となっています。

そして今期についても同様の配当方針のもと現在の予想は据え置きの85.6円となっていますが、第3四半期時点のEPSで配当性向33%を計算すると70円付近ですので、今期は据え置きとなる可能性が高そうです。

【8098】稲畑産業

下限設定プラスαタイプ2番目の銘柄は稲畑産業です。

稲畑産業は自動車向けの高機能樹脂や生活用品などへの合成樹脂、また水産、農産物を取り扱う食品なども、海外を含め多くの取引先へ販売している化学系の専門商社です。

配当方針は2024年3月期までの中期経営計画中は累進配当を継続としており、具体的な目安は総還元性向で概ね50%程度としています。

しかし、政策保有株式を売却し相当程度のキャッシュインが発生した事業年度においては、今後の資金需要や会社の財務状況、株価、マーケットの状況などを総合的に勘案し、総還元性向の目安には必ずしも囚われずに、株主還元を実施する方針です。

累進配当については後でもまとめますが、稲畑産業は累進配当により現状の配当を下限としつつ、保有株式の売却状況によっては更なる増配の可能性も残しています。

配当推移

銘柄名稲畑産業
2015年33
2016年36
2017年40
2018年40
2019年48
2020年53
2021年63
2022年110
2023年(会社予想)115

2015年からの配当推移をみていきますが、減配はなく順調に増配傾向です。そして前期は一気に2倍近い増配幅となっており、今期は更に5円増配の予測になっています。

前期以降配当が急激に増えている要因は、去年2月に配当方針を配当性向50%程度まで引き上げた事に加え、保有株式の売却益まで加わり大幅増配となっています。

今期は現状5円の増配見込みとなっていますが、保有株式の売却益が加われば更なる増配があるかもしれません。

下限設定プラスαタイプまとめ

下限設定プラスαタイプのまとめですが、単純に下限が設定されている銘柄と比較して実際に増配に繋がるケースが多い印象です。もちろん増配する意欲が強いため、この様な配当方針を導入しているのだと思いますので、保有者にとっても下限については安心しつつ、業績次第では増配の可能性もある素晴らしい配当方針だと思います。

業績連動タイプ

3番目の配当方針は業績連動タイプで、配当が業績に連動する方針の銘柄です。上場企業の配当ですので業績に連動する事は当然と言えば当然なのですが、銘柄によっては業績に関係なく一定の配当を出している銘柄や目安としている配当性向を大きく上下しつつ配当を出している銘柄もあります。

しかし、完全に業績に連動して配当を出している銘柄の場合、業績が良ければ増配となりますが減益の場合はすぐに減配となりますので注意が必要です。

【2914】JT

業績連動タイプ最初の銘柄はJTです。

JTのメイン事業はたばこ事業ですが、直近の業績はロシアウクライナ情勢の影響を受けつつも、海外たばこ事業の好調に加え円安のプラス要因もあり急回復しています。

配当方針は強固な財務基盤を維持しつつ、中長期の利益成長を実現することにより株主還元の向上を目指すとし、具体的な数値としては配当性向75%を基準に±5%程度の範囲内を目安にしています。

以上の様にJTの配当は配当性向75%を基準に決められる事になっています。

配当推移

配当推移
2015年118
2016年130
2017年140
2018年150
2019年154
2020年154
2021年140
2022年188
2023年(会社予想)188

2015年からの配当推移について、2019年までは順調に増配傾向でしたが2020年には配当性向が90%付近まで上昇し、2021年には上場後初の減配を発表しています。

JTが配当性向75%の目安を取り入れたのは減配を行った2021年からで、それまで具体的な目安はありませんでした。具体的な目安がないなか増配を継続していたため配当性向がかなりの高水準となっていた事もあり、2021年に具体的な目安を取り入れたのだと思います。

そして、配当性向75%を目安にして以降の業績は好調なため、ここ数年の配当は大きく増えていますが、今後減益となった時の減配リスクは覚悟しておく必要がありそうです。

【5334】日本特殊陶業

業績連動タイプ2番目の銘柄は日本特殊陶業です。

日本特殊陶業は、スパークプラグやセラミック製品を製造するメーカーで、北米や欧州を中心に海外での売上比率は8割を超えるなど国際的な企業です。

配当方針は株主の皆さまに対する利益還元を経営における最重要施策の一つと位置付け、具体的には配当性向40%を目安に完全業績連動制としています。

以上の様に日本特殊陶業は2021年4月から配当方針を完全業績連動制としています。

配当推移

日本特殊陶業
2015年36
2016年42
2017年42
2018年60
2019年70
2020年70
2021年60
2022年102
2023年(会社予想)166

2015年からの配当推移について、数年前までは60円から70円の水準で安定していましたが、前期以降は大きく増配となっています。前期以降の配当額が大きく増えているのは、完全業績連動制のもと業績が伸びている事が要因です。

日本特殊陶業は自動車用部品を中心に海外での売上が多いため、コロナからの経済回復や円安の追い風により最近の業績は急激に伸びています。今後も業績が伸び続ければ継続的な増配も期待できそうですが、業績が不振に陥った時の減配リスクには注意が必要です。

業績連動タイプまとめ

業績連動タイプのまとめについて、年ごとの業績により配当額も大きく増減するため中長期保有の高配当銘柄としては狙いにくい部分もありますが、今回検証した2銘柄の様に業績好調時には大幅な増配が期待できます。

以上の点を踏まえ、今後の業績に期待できそうな銘柄の場合はポートフォリオの一部として保有する価値はあるかと思います。

配当性向100%タイプ

4番目の配当方針は配当性向100%タイプです。配当性向100%という事は利益の全てを配当として還元する事になり、また配当性向100%にあわせて配当が上下するため、ある意味業績連動タイプでもあります。

通常では考えにくい配当性向100%ですが、現在取り入れている銘柄は株主への利益還元を積極的に求める「物言う株主」の影響が大きい印象です。

【5192】三ツ星ベルト

配当性向100%タイプ最初の銘柄は三ツ星ベルトです。

三ツ星ベルトは自動車用や産業用のVベルトをメインに製造するゴムメーカーで、欧米やアジアなどへの売上比率は約50%と海外への売上比率も高くなっています。

配当方針は今期から2023年度までの配当性向を従来の1株当たり 54 円以上、連結配当性向35%から連結配当性向100%へ引き上げています。

以上の様に来期までの期間限定ですが、今期より配当性向100%としています。

配当推移

銘柄名三ツ星ベルト
2015年40
2016年36
2017年44
2018年50
2019年60
2020年54
2021年57
2022年143
2023年(会社予想)240

2015年からの配当推移をみていきますが順調に増配傾向です。2016年や2020年は減配となっていますが、これは前期の記念配当などが影響しているため、普通配当で比較すると順調に増配を継続しています。

そして今期の配当は配当性向100%導入により期初当初から年間220円の大幅増配見込みとなっており、第2四半期決算で業績を上方修正した事で更に増額されています。

配当性向100%と業績好調により直近の配当は大きく増えていますが、2024年度以降の配当方針は気になるところです。

【6651】日東工業

配当性向100%タイプ2番目の銘柄は日東工業です。

日東工業は電設資材のキャビネットや配電盤などを製造する電気機器メーカーで、グループ全体の2割近い700人がシンガポールやタイなどの海外事業に携わるなどの海外ネットワークも強みとしています。

配当方針は2024年3月期までの中期経営計画中は、さらなる自己資本の積み増しを抑制しROEの向上をはかるため、連結配当性向目標を従来の30%から100%へ引き上げています。

日東工業も今期から来期までの配当性向100%を導入しています。

配当推移

銘柄名日東工業
2015年56
2016年57
2017年50
2018年40
2019年40
2020年60
2021年66
2022年50
2023年(会社予想)140

2015年からの配当推移を見ていきますが、前期までは50円付近で増減を繰り返していましたが、今期は前期の2倍以上の水準へ大きく増配見込みになっています。

ただ、期初当初は年間177円見込みと更に大きな増配見込みになっていましたが、第2四半期決算で業績を下方修正した事に伴い配当を減額した事で増配幅は縮小しています。

また、三ツ星ベルト同様に配当性向100%は来期までの方針となっていますので、その先の配当方針は気になるところです。

配当性向100%タイプまとめ

配当性向100%タイプのまとめですが、業績連動制の上位互換タイプの印象です。しかし、配当性向100%の場合は余裕が全くありませんので、日東工業の様に業績の下方修正がすぐに配当減額に繋がってしまいます。また、今回検証した2銘柄の様に配当性向100%は期間限定の場合も多いですので、将来の配当方針変更にも注意は必要です。

特に目安なしタイプ

5番目の配当方針は特に目安がないタイプです。特に目安なしタイプは配当性向などの具体的な数値目標を示していない銘柄になります。

具体的な目安がないと今後の配当推移などをイメージする事が難しくはありますが、多少の業績低迷でも融通が効くため、減配に繋がりにくい可能性もあります。

【9432】NTT

特に目安なしタイプ最初の銘柄はNTTです。

NTTは通信事業を主体とするNTTグループの持株会社で、2020年にはNTTドコモを完全子会社化しています。

配当方針は株主還元の充実は当社にとって最も重要な経営課題の一つとし、継続的な増配の実施を基本的な考え方としていますが、具体的な配当性向などの目安は示していません。

配当推移

銘柄名NTT
2015年45
2016年55
2017年60
2018年75
2019年90
2020年95
2021年105
2022年115
2023年(会社予想)120

2015年からの配当推移をみていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配傾向です。NTTの直近業績については携帯料金値下げの影響はありましたが、通信部門以外の分野でカバー出来ている状況で順調に増益が続いています。配当方針に具体的な目安はありませんが、順調な業績と連動する様に配当も増配となっています。

【7466】SPK

特に目安なしタイプ2つ目の銘柄はSPKです。

SPKは自動車や産業、建設機械の部品を中心に取り扱っており、メーカー、モデルを問わず、あらゆる国産車、輸入車を対象に補修部品などを供給しています。

配当方針は中長期的な視野で財務体質の強化と業績との連動を考え、積極的に実施していく方針としています。

SPKも以上の様に配当性向などの具体的な目安は示していません。

配当推移

銘柄名SPK
2015年29.5
2016年30.5
2017年31.5
2018年32.5
2019年33.5
2020年36
2021年37
2022年40
2023年(会社予想)44

2015年からの配当推移を見ていきますが、SPKは2020年に株式を2分割していますので2020年より前の配当は分割調整した数字です。

数年前までは年間1円ずつの増配でしたが、前期は3円、今期は4円増配見込みと以前と比較して増配ペースに勢いが付いています。

そして増配は前期までで24年連続増配を継続中で今期も記録を更新予定と、連続増配記録では国内でトップ5に入る水準です。

特に目安なしタイプ

特に目安なしタイプのまとめですが、配当性向などの目安を設定していない銘柄は他にもたくさんあると思いますので一概には言えませんが、今回検証した2銘柄の様に特に目安はなくても継続して増配を行っている企業はあります。

ただ、もちろん継続的な増配のためには安定した業績が必要です。

以上の点を踏まえ、特に目安がない銘柄については過去の配当や業績推移を見ながら投資を検討する事が良いかと思います。

配当方針無視タイプ

6番目は配当方針無視タイプです。これは配当方針ではないのですが、銘柄によっては基準としている配当方針を無視して配当を行っている銘柄もあります。もちろん銘柄によって様々な事情があるかと思いますが、ここでは直近の配当が配当方針を無視している2銘柄を個別に見ていきます。

【4452】花王

配当方針無視タイプ最初の銘柄は花王です。

花王はアタックなどでお馴染みの洗剤や石鹸、ボディソープなどのトイレタリー商品、また化粧品など普段の生活で使用する商品を製造、販売する日用品メーカーです。

配当方針は安定的・継続的な配当の実施を通じた利益還元を重視としており、具体的な数値としては配当性向40%を目標にしています。

この様に花王は配当性向40%を目標にしていますが、今期の配当性向は現状約79%となっています。

配当推移

銘柄名花王
2015年80
2016年94
2017年110
2018年120
2019年130
2020年140
2021年144
2022年148
2023年(会社予想)150

2015年からの配当推移を見ていきますが、低迷する業績とは関係なく配当は増配が続

いており、前期までで33期連続増配の日本記録を更新中です。今期も現状2円ですが増配見込みとしていますので更に連続記録を伸ばす可能性が高そうですが、業績は原材料費高騰などの影響で厳しい状況が続いています。

花王は日本記録を更新中の連続増配に強いこだわりを持っている様ですが、業績が付いてきていないため最近の配当性向は目標の40%を大きく上回る数字が続いています。

【9142】JR九州

配当方針を無視している2銘柄目はJR九州です。

JR九州は九州地方を中心に旅客鉄道などを運営する鉄道事業者ですが、現在は鉄道事業を補完するため旅行やホテルに加え、不動産、船舶、飲食業、農業などの事業多角化を進めています。

配当方針は長期安定的に行っていくことが重要と考え、2025年3月期までは1株当たり配当金93円を下限として、連結配当性向35%を目安としています。

JR九州の今期配当性向は約55%と目安を上回っており、またコロナショックで業績が赤字に転落した時など配当性向が100%を超えている年もありました。

配当推移

銘柄名JR九州
2017年38.5
2018年83
2019年93
2020年93
2021年93
2022年93
2023年(会社予想)93

JR九州は2016年上場ですので2017年からの配当推移を見ていきますが、ここ数年は93円で変わらない水準です。コロナショックで赤字に転落した2021年も減配はしておらず、前期は黒字に転換していますが配当性向は100%を超えていました。

今期はコロナからの経済回復もあり業績は回復していますが、それでも配当性向は55%付近となっています。

JR九州は配当方針で下限の配当を93円としていますので、完全に無視している訳ではありませんが、配当性向は目安を大きく上回る状況が続いています。

配当方針無視タイプまとめ

配当方針無視タイプのまとめについて、今回検証した2銘柄ですと花王は連続増配記録のため、JR九州はコロナショックというイレギュラーな状況でも減配しないため、配当性向の目安を無視している印象です。

配当方針を無視してでも配当を維持してくれる株主還元姿勢は評価したいところですが、早めの業績回復も期待したいところです。

累進配当タイプ

最後は累進配当タイプです。

累進配当とは減配せず現在の配当水準を維持または増配し続ける配当方針の事です。

つまり、累進配当を宣言している企業に減配リスクはなく、継続的な増配も期待できますので配当方針としては最強ですが、注意点としては期間を区切って累進配当を宣言している企業も多い事や業績悪化などにより累進配当を取りやめて減配する可能性もゼロではないという点です。

それでも累進配当を宣言していない企業と比較して減配のリスクが小さい事は間違いありませんので、銘柄選定の大きなポイントになります。

【8316】三井住友FG

累進配当タイプ最初の銘柄はメガバンクの三井住友銀行を中核に持つ三井住友FGで、国内の金融グループとして三菱UFJFGに次ぐ存在です。

配当方針は株主還元は配当を基本に機動的な自己株取得も実施していくとしており、配当は累進的とし配当性向は2022年度までに40%を目指すとしています。

三井住友FGは累進配当と共に配当性向の目標も掲げていますが、配当性向40%の目標も今期中に達成見込みとしています。

配当推移

銘柄名三井住友FG
2015年140
2016年150
2017年150
2018年170
2019年180
2020年190
2021年190
2022年210
2023年(会社予想)230

2015年からの配当推移をまとめていますが、順調に増配傾向です。

累進配当は前期以上の配当を約束しているため、コロナショックの影響が出た2021年など据え置きとなっている年もありますが、概ね安定して増配をしている印象です。

そして最近の増配幅は業績好調を背景に大きくなっていますが、今期の配当性向は現状40%付近となっています。

【8058】三菱商事

累進配当タイプ2番目の銘柄は三菱商事です。

三菱商事は三菱グループの総合商社で、世界約90の国・地域に広がる拠点と約1700の連結事業会社と協働しながら幅広くビジネスを展開しています。

配当方針は財務健全性、配当の安定成長、株主還元に対する市場期待の3つのバランスがとれた還元政策としており、具体的な数値としては総還元性向で30%から40%程度を目処に、2024年度までの中期経営戦略期間は累進配当を継続する方針です。

配当推移

銘柄名三菱商事
2015年70
2016年50
2017年80
2018年110
2019年125
2020年132
2021年134
2022年150
2023年(会社予想)180

2015年からの配当推移をまとめていますが、累進配当を導入した2016年以降減配はなく順調に増配傾向で、コロナショックで大きく業績を落とした2021年にも増配しています。

累進配当は前期と同水準でも大丈夫ですが、据え置きの年すらないところに三菱商事の株主還元力の高さを感じます。

累進配当タイプまとめ

累進配当タイプのまとめですが、最強の配当方針らしく2銘柄とも順調に増配が継続しています。しかし、途中でも触れた様に累進配当は現状維持でも問題ありませんし、業績低迷により累進配当が取り下げられる可能性もあります。

という事で累進配当銘柄とはいえ、やはり業績が順調に推移しているかもチェックする事が大切です。

まとめ

今回は配当方針を個人的に7つのタイプに分けたうえで、それぞれ該当する銘柄を検証しました。

冒頭でも触れた様に配当方針は各銘柄の性格がかなり強く出る部分ですので、投資先として検討する場合の重要なポイントになると思います。どの配当方針が1番良いと決める事は難しいですが、業種や銘柄を分散して投資する様に配当方針も複数のタイプへ分散して投資する事が高配当株投資では大切かと思います。

累進配当別のおすすめ高配当株については、YouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

【高配当株投資家必見!!】配当方針を7つのタイプに分類しおすすめ銘柄を検証

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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