今回は有料チャンネル「スカパー!」のサービスで馴染みのあるスカパーJSATが高配当銘柄として投資可能か現状の株価や今後の会社方針を踏まえ検証していきます。
スカパーJSATとは
それでは本題ですが、まずスカパーJSATの事業内容を簡単にまとめていきます。
スカパーJSATは有料チャンネルで知られるメディア事業社スカイパーフェクト・コミュニケーションズと通信衛星事業を手掛ける宇宙事業社JSATが合併して誕生した会社です。
現在の事業は主に通信衛星によるサービスを基盤としており、アジア最大数の20機を保有する静止衛星を活用した新たな宇宙ビジネスや航空機の機内インターネット無料サービス、日本最大の衛星多チャンネル「スカパー!」の運営など多岐にわたります。
衛星回線の提供及び各種サービスを通じビジネスや毎日の生活をより便利により豊かにするサポートをしているとの事で事業セグメントも宇宙事業とメディア事業に分かれています。
スカパーJSATの現状
動画配信サービス会社の乱立や静止衛星の技術革新、低軌道衛星による新たなビジネスの台頭など、メディア事業、宇宙事業共に競争環境が大きく変化しています。
特にメディア事業は、同業他社との争いやコロナ禍による大型イベントの中止などで厳しい状況が続いています。
また、スカパーJSATは2021年に持続可能な社会の実現に向けた新たな宇宙事業創出を目指すことに合意し、ビジネス協業を目的としてNTTと業務締結契約を結んでおり、新たな宇宙インフラを構築する方針です。
直近決算
スカパーJSATは2月に第3四半期決算を発表しています。
第3四半期時点の最終利益は126億円と前年同期比で14億円の増益ですが、通期最終予測は130億円、年間配当は18円で変更ありません。
業績好調の要因はメディア事業では放送加入者減少にともなう視聴料収入の減少などで約7億円の減益でしたが、宇宙事業はコロナ禍の影響を受けた航空機業界以外の事業で収益を積み重ね、対前年約20億円の増益と好調だった事が要因です。
しかし、第4半期はメディア事業において春のスポーツシーズンの開幕、あるいは配信事業強化に向けて、積極的なプロモーション展開を計画している事や新型コロナウイルスの感染状況悪化による不透明感などを踏まえ、通期業績見通しは変更していないとの事です。
株価推移
株価はコロナショック時に338円まで売られましたが、その後は500円を超える水準まで値を戻しています。その後はじわじわと値を下げ、今年に入ってからは400円台前半での動きとなっています。
業績推移
2018年からの通期最終利益推移と2020年からの第3四半期時点の最終利益を見ていきます。
第3四半期最終利益(億円)
銘柄名 | スカパーJSAT |
2020年3月期第3四半期 | 85 |
2021年3月期第3四半期 | 112 |
2022年3月期第3四半期 | 126 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 70.8 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 84.2 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 96.9 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | スカパーJSAT |
2018年3月期 | 113 |
2019年3月期 | 96 |
2020年3月期 | 120 |
2021年3月期 | 133 |
2022年3月期(会社予想) | 130 |
最終利益は概ね安定しており、特にここ数年は増益が続いています。また今期は第3四半期時点で通期進捗率が90%後半ですので、本決算での上方修正も期待できる数値です。
しかし、メディア事業の業績不振を中心に売上が減少傾向な点は気になるところではあります。
配当推移
銘柄名 | スカパーJSAT |
2015年 | 12 |
2016年 | 14 |
2017年 | 18 |
2018年 | 18 |
2019年 | 18 |
2020年 | 18 |
2021年 | 18 |
2022年(会社予想) | 18 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、ここ数年は18円で安定しています。
スカパーの配当方針は、積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実と財政状態、利益水準及び配当性向等を総合的に勘案し安定配当方針を継続としています。
具体的な数値としては、年間配当16円以上と配当性向30%以上を目安にしています。
株価等指標(2022年4月8日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
スカパーJSAT | 9412 | 410 | 9.33 | 0.50 | 18 | 4.39 | 40.1 |
スカパーは配当安定しているなか株価を下げていますので配当利回りは4%半ばの水準です。
配当性向は現状40%付近ですが、今後の業績次第で30%台まで下がる可能性もあります。
また、PERで9倍台前半、PBRで0.5倍付近と市場平均と比較して割安な数値です。
スカパーJSATの今後
スカパーJSATは経営方針として中期的に宇宙事業、メディア事業で基礎収益力のさらなる強化を目指すとしていますのでセグメント別に見ていきます。
メディア事業では、光回線経由の放送サービス拡大や5G、Beyond5G等の多様な伝送手段における利益拡大を目指すとしています。
また、昨年10月に配信サービスを開始した「SPOOX」において無料キャンペーンに加えスカパー!契約者限定の割引キャンペーンを展開しサービスの拡充を目指す方針です。
宇宙事業では、航空機Wi-FIや船舶などのグローバル市場の旺盛な衛星通信需要へ積極対応する事や宇宙基本計画に沿った事業拡大を具体策にしています。
また、宇宙における太陽光発電を利用した事業展開を進めており、衛星通信システムは宇宙で作られるクリーンなエネルギーと地上機器も含めた効率的な電力利用により、地上回線に比べて3分の1の消費電力で通信が可能との事です。
この様に宇宙事業では新しい事業創出を通じ、さらに地球環境の改善や社会課題の解決に取り組んでいく方針です。
スカパーJSATの投資判断
今までの点を踏まえスカパーJSATの投資判断ですが、最終利益や配当は安定傾向で配当利回りも4%を超えていますので十分高配当銘柄として狙える銘柄だと思います。
しかし、セグメント別で見ると明暗が分かれており今後の展開が気になるところです。
スカパー!で馴染みのあるメディア事業は、同業他社が様々なサービスを乱立させている為、厳しい状況なのは理解できます。昨年10月に新しい配信サービスを開始したとの事でしたが、個人的にも今回スカパーJSATの銘柄調査をした時に初めてSPOOXの存在を知りましたので、今後の動向は不透明です。
一方宇宙事業は、現在の業績も好調で今後にも希望が持てるように思います。
航空機Wi-Fiや宇宙における太陽光発電利用など他社が簡単には真似できない事業展開を確立させており、更なる飛躍が期待できそうです。
また災害に強い衛星通信の特徴を生かして、全国の自治体や電力・ガスなどの重要なライフラインを担う企業に対して災害対策・BCPに適したサービスを提供している点や、高品質のデジタル映像をリアルタイムで一斉配信している衛星通信は、教育・医療・ビジネスなど幅広い分野で活躍しており、時代にも合っている感じがします。
そして現時点の業績で見ても宇宙事業セグメントで稼ぐ利益の方が多い状況が続いています。
以上の点からスカパーJSATについては、馴染みのあるメディア事業としての将来には不安が有りますが、宇宙ビジネスを手掛ける企業としての将来には夢があると思います。
宇宙ビジネス自体の今後は世界的にも注目を集めており、今後更に加熱していく可能性も高いです。
将来に夢がある上に4%を超える高配当銘柄ですので、個人的にも魅力を感じ先週200株購入しました。今後もスカパーJSATの動向について夢を持って見守りつつ、株価が安くなる場面があれば更なる買い増しも検討しようかと考えているところです。
スカパーJSATの投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。
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