今回は電力会社Jパワーが高配当銘柄として投資可能かJパワーの現状や今後を踏まえて検証していきます。
Jパワーとは
戦後の電力不足を解消する為に1952年に国によって設立され、各地に発電所を建設して日本の経済成長を支え、2004年に完全民営化を果たしています。
Jパワーは全国約100ヶ所の発電所で水力、風力、地熱、再生可能エネルギー、石炭火力など様々なエネルギーを利用して発電し、作った電力を各地域の電力会社などへ販売しています。
Jパワーの現状
Jパワーは国内だけでなく海外でも発電事業を手掛けていますが、石炭火力の割合が1番高く、脱炭素の部分で現在再生可能エネルギーへの移行を進めているところで、業績は電力価格の上下によって大きな影響を受ける状況が続いています。
また、Jパワーは、青森県の大間に稼働待ちの原子力発電所を抱えており、今後の動向は気になるところです。
Jパワーの直近決算
Jパワーは1月末に第3四半期決算を発表しています。
第3四半期時点の最終利益は403億円と前年同期比では157億円の減益です。
しかし、通期最終利益は従来予想から160億円増の460億円へ上方修正しており、配当については従来予想通り75円のままです。
業績好調の要因は、JEPX価格の上昇によるJEPX向け電力販売収入の増加や燃料調達上の工夫による発電粗利改善としています。
JEPXとは
電力の現物取引などを仲介する日本で唯一の卸電力取引所です。
現物電気の売却先を探している事業者(発電事業者)と電気の需要を満たすために電気を調達したい事業者(小売事業者)の間で需要と供給によって株式市場の様に電力の取引価格が決まります。
株価推移
Jパワーの株価はコロナショックで1900円を割れる水準まで売られ、更に業績低迷により2020年末には1300円台まで下落しました。しかし、今回の決算を受けて株価は急上昇し直近では1800円台での動きです。決算前は1500円前後の株価で推移していましたので、今回の決算はかなりポジティブサプライズとなっています。
業績推移
Jパワーの2018年からの通期最終利益推移と2020年からの第3四半期時点の最終利益推移をまとめています。
第3四半期時点最終利益(億円)
銘柄名 | Jパワー |
2020年3月期第3四半期 | 387 |
2021年3月期第3四半期 | 560 |
2022年3月期第3四半期 | 403 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 91.7 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 251.1 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 87.6 |
通期最終利益推移(億円)
銘柄名 | Jパワー |
2018年3月期 | 684 |
2019年3月期 | 462 |
2020年3月期 | 422 |
2021年3月期 | 223 |
2022年3月期(会社予想) | 460 |
最終利益は2021年に大きく下落していますが、2021年以外は安定しています。
その2021年も第3四半期時点までは順調でしたが、電力価格高騰を受けてJEPXなどから電力を購入して販売している子会社で大幅な損失が発生し、第4四半期で大きな赤字に転落しています。
今期も先程お伝えした様に第3四半期決算で通期業績の上方修正を発表していますが、第2四半期決算では発電所の設備トラブルによる発電所利用率低下などを要因に通期業績の下方修正を発表していました。
四半期単位で通期業績の下方修正や上方修正が繰り返されるというのは珍しく、業績の安定や今後の見通しの部分では不安なポイントです。
配当推移
銘柄名 | Jパワー |
2015年 | 70 |
2016年 | 70 |
2017年 | 70 |
2018年 | 75 |
2019年 | 75 |
2020年 | 75 |
2021年 | 75 |
2022年(会社予想) | 75 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、ここ数年は75円で安定しています。
Jパワーの配当方針は、短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30% 程度を目安に利益水準、業績見通し、財務状況などを踏まえた上で、安定的かつ継続的な還元充実に努めるとしています。
2021年は業績悪化により配当性向が60%を超える水準まで上昇しましたが、減配をせず配当が安定している点は高配当銘柄としておすすめ出来るポイントです。
株価等指標データ(2022年3月25日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
Jパワー | 9513 | 1818 | 7.23 | 0.89 | 75 | 4.13 | 29.8 |
Jパワーの株価は今回の決算を受けてかなり上昇しましたが、配当利回りは4%台となっています。
また、今回の上方修正を受けて配当性向は20%台で推移しています。
そしてPERは7倍台、PBRは0.4倍付近と市場平均と比較してかなり割安な数値です。
Jパワーの今後
Jパワーは世界的な脱炭素の流れもあり、水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーの開発を進めています。
また、新たな領域への挑戦として大量かつ安定的な水素利用を実現するために、再生可能エネルギーのほか、 化石燃料からのCO₂フリー水素製造が必要としており、国内外で石炭からのCO₂フリー水素の可能性を追求していく方針です。
海外事業については、現在発電出力で26%、セグメント利益で40%超を占めており、今後も成長が見込まれるとしており、建設中の大型プロジェクトを着実に遂行しつつ、新規案件獲得によりさらなる事業基盤の拡大に取り組んでいくとしています。
そしてJパワーには建設工事が終了し稼働待ちの大間原子力発電所があります。
2014年12月に新規制基準に基づく原子炉設置変更許可申請書等を原子力規制委員会に提出し、現在原子力規制委員会の適合性審査では基準地震動および基準津波について審査中との事です。
適合性審査に真摯かつ適切に対応し早期に建設工事本格再開を目指すとしており、また安全強化対策の工事期間を2022年後半から2027年後半と予定しています。
Jパワーの今後を検証するうえで避けては通れない大間原発の存在ですが、稼働まではまだ時間が掛かりそうです。
Jパワーの投資判断
今までの点を踏まえJパワーの投資判断ですが、業績は電力の取引価格によって大きく上下する状況が続いており、また発電所は老朽化もあり設備トラブルによる減益リスクも抱えています。
電力価格の今後は予測しづらく、直近業績の様に四半期単位で通期業績予測が大きく上下する可能性もあります。
しかし業績が多少悪化しても現状配当は安定しています。
今後は、世界的な脱炭素の流れもあり現在の発電方法に頼らない技術の確立も目指しており、また海外での収益性も高く将来にも期待が持てる状況です。
大間原発の問題も時間は掛かるかもしれませんが、今後再稼働となればポジティブ要因となりますので、状況を見守り続ける必要があります。
以上の事からJパワーについては将来的な期待を込めて高配当銘柄として狙っても面白いかなと思います。
しかし、現状の株価は第3四半期決算を受けてかなり上がっていますし、今後再び四半期単位で業績が悪化するタイミングもありそうですので、次回業績が悪化し株価が下がる場面があれば狙いたいと考えています。
Jパワーの検証はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧下さい。
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