今回は先週2022年3月期の第3四半期決算が発表された家電量販店ヤマダHDとエディオンの決算内容を中心に2銘柄の現状と今後を比較検証し、どちらが高配当銘柄としておすすめ銘柄か検証していきます。
そして今週私はこの2銘柄のうち、どちらかの銘柄を購入しましたので購入に至った経緯までをまとめています。
ヤマダHDとエディオンの最新情報は下記記事をご覧ください。
家電量販店の現状
それではまず家電量販店の現状を簡単にまとめますが、2021年3月期の家電量販店売上高でヤマダHDは1位、エディオンは4位となっています。家電量販店業界は近年、ネット通販の普及や販売店の多様化もあり売上は厳しい状況が続いていましたが、2021年3月期は特別定額給付⾦⽀給や「テレワーク」「巣ごもり需要」などにより売上は伸びています。
今期は前期の反動や緊急事態宣言による休業要請の影響、また⻑雨などの影響でエアコン等季節商品が苦戦している状況です。
そんな家電量販店業界より配当利回りが高く、株主優待もある為、個人投資家の人気も高いヤマダHDとエディオン2銘柄をここからは比較検証していきます。
ヤマダHD直近決算
ヤマダHDは2月3日に第3四半期決算を発表していますが、第3四半期までの最終利益は474億円と前年同期比で47億円の増益となっています。
配当予測はまだ開示していませんが、2022年3月期の年間配当金については、連結配当性向30%以上を目標に決定するとしており、現在の1株あたり利益70.6円で計算すると30%の水準は21円前後となります。
業績の内容についてデンキ事業は、テレワーク、巣ごもり商品等による一過性の需要に対する反動減があり減収減益でしたが、住建事業と金融事業は好調に推移しているとの事です。
配当推移
銘柄名 | ヤマダHD |
2015年 | 6 |
2016年 | 12 |
2017年 | 13 |
2018年 | 13 |
2019年 | 13 |
2020年 | 10 |
2021年 | 18 |
2022年(会社予想) | ‐ |
ヤマダHDの2015年からの配当推移をまとめていますが2020年にコロナショックの影響で減配した時以外は概ね安定傾向です。
ヤマダHDの配当方針は持続的な企業価値の向上を目指すうえで、資金効率の向上はもちろん、経営基盤の強化による安定した成長、業界内におけるシェアの維持・向上のための内部留保も不可欠であると考え、連結配当性向30%以上を目標に、財政状況や当期の業績などを勘案して配当金額を決定する方針です。
株価推移
ここ最近の株価については2018年に700円を付けた後は下落傾向で、コロナショックで400円付近まで売られた後は値を戻しましたが、最近は再び下落傾向でコロナショック時を下回る300円台まで売られた後、直近は400円前後で推移しています。
エディオン直近決算
エディオンの直近決算ですが、2月4日に第3四半期決算を発表しています。
第3四半期までの最終利益は98億円と前年同期比48億円の減益となっています。
通期業績予測に変更はなく、年間配当も44円のままです。
減益の要因について、第3四半期はエアコン・白物家電・リフォームが好調でしたが、第2四半期までの緊急事態宣言による休業要請の影響や⻑⾬などによりエアコン等季節商品が苦戦した影響が響いている状況です。
配当推移
銘柄名 | エディオン |
2015年 | 20 |
2016年 | 22 |
2017年 | 26 |
2018年 | 28 |
2019年 | 32 |
2020年 | 34 |
2021年 | 46 |
2022年(会社予想) | 44 |
エディオンの2015年からの配当推移をまとめていますが順調に増配傾向です。今期の配当は前期から2円減配となっていますが、2021年は第20期記念配当が5円実施されていましたので、記念配当を考慮すると実質的には増配となります。
エディオンの配当方針は資本効率の向上を通じて、株主の皆様への⼀層の利益還元と機動的な資本政策を遂⾏としていく方針で、具体的な数値目標としては安定配当のもと配当性向30%を目指すとしています。
株価推移
エディオンの株価はコロナショックで800円を割れる水準まで売られましたが、その後は特別定額給付⾦⽀給の影響で業績も好調となり株価も1300円を超える場面がありました。
今期は前期からの反動や度重なる緊急事態宣言による休業等の影響で業績は落ち込み、株価も1000円台半ばまで売られてきていましたが、今回の決算発表後、株価は急上昇し1100円台を回復しています。
業績推移比較
ヤマダHDとエディオンの2018年からの最終利益推移と2020年からの第3四半期時点の最終利益を比較検証していきます。
第3四半期時点最終利益(億円)
銘柄名 | ヤマダHD | エディオン |
2020年3月期第3四半期 | 248 | 99 |
2021年3月期第3四半期 | 427 | 146 |
2022年3月期第3四半期 | 474 | 98 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 100.8 | 90.8 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 82.5 | 87.9 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 80.3 | 78.4 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ヤマダHD | エディオン |
2018年3月期 | 297 | 89 |
2019年3月期 | 146 | 116 |
2020年3月期 | 246 | 109 |
2021年3月期 | 517 | 166 |
2022年3月期(会社予想) | 590 | 125 |
ヤマダHDは企業買収の影響もあり最終利益が大きく伸びています。
エディオンは前期の反動もあり今期は減益見込みですが、それでもコロナ前の水準は上回っている予測です。2銘柄とも第3四半期時点の進捗率が80%前後ですので、第4四半期に余程大きなマイナス要因が無ければ通期予測はクリア出来そうな数字です。
配当推移比較
銘柄名 | ヤマダHD | エディオン |
2015年 | 6 | 20 |
2016年 | 12 | 22 |
2017年 | 13 | 26 |
2018年 | 13 | 28 |
2019年 | 13 | 32 |
2020年 | 10 | 34 |
2021年 | 18 | 46 |
2022年(会社予想) | ‐ | 44 |
ヤマダHDとエディオンの2015年からの配当推移を比較していきます。
ヤマダHDの配当は安定していますが、今期配当予測がまだ開示されていない点と期末配当のみの年1回配当なのがエディオンとの大きな違いです。エディオンは先程触れました様に2021年に記念配当5円が実施されている為、記念配当を考慮すると順調に増配傾向です。
指標比較(2022年2月10日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ヤマダHD | 9831 | 403 | 5.65 | 0.52 | ‐ | ‐ | ‐ |
エディオン | 2730 | 1163 | 9.79 | 0.61 | 44 | 3.78 | 36.00 |
ヤマダHDとエディオンの株価等指標を比較検証していきます。
ヤマダHDは今期配当見込みが公表されていませんが、前期と同じ18円で計算すると配当利回りは4%半ばの水準です。
エディオンは決算を受けて株価が上がった為、配当利回りは3%後半の水準です。
また2銘柄ともPER、PBRは市場平均よりも低い数値となっています。
株主優待比較
ヤマダHDとエディオンには株主優待制度もありますので内容をまとめています。
ヤマダHD株主優待
基準日 | 100株~499株 | 500株~999株 | 1000株~9999株 | 10000株以上 |
3月末 | 500円分(1枚) | 2,000円分(4枚) | 5,000円分(10枚) | 25,000円分(50枚) |
9月末 | 1,000円分(2枚) | 3,000円分(6枚) | 5,000円分(10枚) | 25,000円分(50枚) |
ヤマダHDはヤマダデンキなどで使用出来るお買物優待券が3月と9月の年2回保有株数によって貰えます。
エディオン株主優待
保有株数 | ギフトカード |
100株~499株 | 3,000円 |
500株~999株 | 10,000円 |
1000株~1999株 | 15,000円 |
2000株~4999株 | 20,000円 |
5000株~9999株 | 25,000円 |
10000株以上 | 50,000円 |
1年以上長期保有の場合は下記優待が加算
保有株数 | ギフトカード |
100株から999株 | 1,000円 |
1000株以上 | 2,000円 |
エディオンの株主優待は、エディオンなどで使用出来るギフトカードが貰える優待ですが、保有株数によってかなり細かく金額が設定されています。また1年以上の長期保有によって優待額が加算されますので、中長期投資家にとっては有難い優待です。
ヤマダHDとエディオンの今後を比較
ヤマダHDとエディオンの今後を比較検証していきますが、2銘柄とも家電量販店としては成熟していますので、今回は家電以外の強化部分を検証していきます。
ヤマダHDは従来の家電量販店としてでなく、生活に関わる物全てを提案出来る「暮らしまるごと」のサービスを始めたことで、家電だけではなく住宅や家具・インテリア、リフォーム、不動産、保険・金融などのサービスをWEBでも店舗でも展開しています。
エディオンは、リフォームや住宅関連事業、モバイル事業等も手掛けていますが、まだ売上としては物足りず、今後は教育事業の拡大としてオンラインスクール事業も強化方針です。
ヤマダHDとエディオンのおすすめ度を比較
今までの点をもとにヤマダHDとエディオンをそれぞれの項目別にどちらがおすすめか検証していきます。
決算 ヤマダHD
今回の決算については正直2銘柄とも微妙な内容でした。
しかしヤマダHDは減収でしたが増益という事で、減収減益のエディオンよりもおすすめにしたいと思います。
配当 エディオン
配当についてはヤマダHDが現状通期予測を開示していない為、エディオンをおすすめにしています。また配当の推移についてもエディオンの方が順調に増配傾向です。
株価 ヤマダHD
ヤマダHDは現状コロナショック時付近の400円前後まで売られている為、現在の株価が安いという部分でヤマダHDをおすすめにしています。
優待 エディオン
優待の優劣は難しいところです。単純に優待利回りで計算するとヤマダHDの方が高いのですが、最低購入単元で貰える優待額はエディオンの方が多く、長期保有の割り増しもありますのでエディオンをおすすめにしています。
今後の展望 ヤマダHD
ヤマダHDの家電に捉われず生活に関わる物全てを提案していこうというスタイルは単純に今後楽しみですので、今後の展望についてはヤマダHDをおすすめにしています。
ヤマダHDとエディオンの投資判断
以上の様に2銘柄の優劣判断は、非常に難しいものがあります。今期の決算内容や家電に捉われない今後の企業方針に加え、株価が現在かなり安値圏である事を考えるとヤマダHDの方に魅力を感じますし、順調な増配や優待内容をみるとエディオンの方に魅力を感じます。
個人的にもどちらかの銘柄の購入を考えていたのですが、なかなか結論が出なかった為、こういう時は両方の銘柄を買う事に決めました。
という事で今週月曜日にヤマダHDを200株購入し、エディオンも一緒に買おうかと思ったのですが、決算を受けて株価がかなり上昇していましたので、少し様子を見ています。あの決算で何故これ程上がるか不明ですし、良く分からない時に慌てて買うと良い事がありませんので、せめて1100円を割れる水準までは待とうかなというのが今の気持ちです。
ヤマダHDとエディオンの比較検証はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧下さい。
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