今回は現在の配当利回りが6%付近と高水準なアルヒについてまとめていきます。
アルヒは「フラット35」を取り扱う住宅ローン専門の金融機関で個人的にも今のマンションを購入する時にアルヒのフラット35を利用しましたので馴染みのある会社ではあります。
そんなアルヒが高配当株として投資可能かアルヒの現状や今後を踏まえて検証しましたが、ある条件に当てはまる人にはおすすめる出来る銘柄だと思いましたので内容をまとめていきます。
アルヒ【7198】とは
アルヒは日本最大手の住宅ローン専門金融機関で2017年に東証に上場しており、住宅ローン「フラット35」の取り扱い実行件数では12年連続のシェアNo.1を継続中です。
AIやITなどテクノロジーを活用して全国150店舗以上の対面型店舗網のほかWebでも多彩な住宅ローン商品の貸出や取次業務を行っています。
フラット35とは
「フラット35」とは全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う住宅ローンで、民間ローンほど厳しい審査がない事も特徴です
最長35年間固定金利で資金受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定します。
また、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する時に一定期間金利を引き下げる「フラット35S」や中古住宅購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを行う場合に一定期間金利を引き下げる「フラット35リノベ」など様々な種類があります。
アルヒの現状
住宅関連業界は通年の新設住宅着工戸数がコロナ感染拡大前の水準に近づいた一方で、住宅の引き渡しは一部でウッドショックや原油価格の高騰による建築資材不足、住宅設備機器の欠品、遅延が発生したことによる影響が響いている状況です。
住宅ローン市場においては、預金増を背景とした銀行による積極的な貸出が行われた一方で、フラット35市場は感染症の長期化による就業不安や物件価格の高騰などから利用顧客層の購入見送りなどの影響も見られ厳しい状況が続いています。
直近決算
アルヒは5月10日に2022年3月期の本決算を発表しており最終利益は42億円と約9億円の減益、配当は従来の予想通り年間60円としています。
今期予測は最終利益が43億円とほぼ据え置きの水準で、配当も据え置きの年間60円で発表しています。
業績低迷の要因は、コロナ感染拡大の影響によるフラット35市場の低迷、中古物件の供給減、三大都市圏における競争激化などが要因との事です。
通期最終利益(億円)推移
銘柄名 | アルヒ |
2019年3月期 | 43 |
2020年3月期 | 49 |
2021年3月期 | 51 |
2022年3月期 | 42 |
2023年3月期(会社予想) | 43 |
2019年からの最終利益を見ていきますが、2021年をピークに減益傾向です。
2021年もコロナ感染拡大により厳しい状況でしたが、テレワーク普及による在宅時間の増加などで快適な住環境が重視された事や住宅ローン減税の効果もあり持ち直しの動きが見られ、新設住宅着工戸数、中古マンション、中古戸建住宅の成約件数は回復傾向として最終利益は過去最高の水準でした。
しかし、2022年3月期は中古物件の在庫不足、給湯器などの調達遅延の影響や競合他社との競合により業績を落としている状況です。
配当推移
銘柄名 | アルヒ |
2018年 | 22 |
2019年 | 44 |
2020年 | 51 |
2021年 | 55 |
2022年 | 60 |
2023年(会社予想) | 60 |
アルヒは上場が2017年ですので2018年からの配当推移を見ていきます。
上場後は順調に増配が続いていますが、今期予測は現状据え置きとなっています。
アルヒの配当方針は余剰資金については継続して安定的に配当を実施していくことを基本方針としており、具体的には配当性向35%以上を目標としています。
株価推移
株価はコロナショックで854円まで売られた後は急速に値を戻し、2020年末には2000円を超える場面もありました。
しかしそこからは右肩下がりの状況が続いており、直近は1000円付近で推移しています。
株価指標(2022年7月8日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
アルヒ | 7198 | 1005 | 8.3 | 1.11 | 60 | 5.97 | 49.2 |
株価は下落が続くなか配当は増配から据え置きとなっていますので、配当利回りは6%付近と高水準です。
PERは市場平均と比較して割安ですが、配当性向は50%付近と目標としている35%を大きく上回っている状況です。
アルヒの今後
アルヒは「住宅ローンカンパニー」から総合的な「住み替えカンパニー」への進化を目指し、住宅ローン事業に加え、不動産事業(居住用)と住み替えに関するコンシューマーサービス事業をアルヒの3つのコア事業と位置付け、各事業間のシナジーを実現するとしています。
街や家探しから住宅の購入、住宅ローンや保険のサポート、住み替え後の日々の暮らしまでシームレスなワンストップサービスを提供することで、お客さまにフォーカスしたコンシューマーブランドを目指す方針です。
その一環として2021年11月には街探しサービス TownU(タウニュー)を開始し、4か月半で25万人以上が利用しています。「TownU(タウニュー)」とは、あなたにとって”本当に住みやすい街”を発見するためのWebサービスで一人ひとりのライフスタイルや価値観をもとに、今まで検討していなかった新しい街を提案してもらえるとの事です。
今期は住み替え事業のリード(見込み客)獲得機能強化を目的に、TownU(タウニュー)上での物件情報掲載による家探しサポートなどの機能を拡張する予定です。
また、2021年8月より住み替えコンシェルジュ事業を開始し、一都三県における収益モデルやビジネスプロセスを確立との事。今期はリード(見込み客)獲得のためのマーケティング強化など、持続的な成長に向けた事業基盤の強化、DXを推進する方針です。
そして不動産関連事業においても今期は事業拡大期と捉え、仕入・販売エリアの拡大、部材不足の影響緩和のためリノベーション提携先の拡大を推進していくとしています。
アルヒの投資判断
今までの点をもとにアルヒの投資判断ですが、フラット35の分野においてはシェアNo.1をキープしており、直近の業績は低迷していますが6%付近の配当利回りは高配当株としての魅力を感じます。
業績についてはフラット35事業が今後飛躍的に伸びていく事は想像しにくいですので、今後の方針でもある様に住宅ローンだけでなく、住宅に関わるものを付随して提案できるかがポイントになる様な気がします。
そして金融機関という事で投資対象としてはメガバンクとの比較にもなってしまいます。
敢えてアルヒを購入しなくても三菱UFJや三井住友FGの方が企業規模や業績、将来性の部分で全て上回っている事は事実だと思います。
アルヒがメガバンクを上回っている点とすれば10万円前後で購入できる事や6%近い配当利回りだと思いますが、三菱UFJは10万円以下で購入できますし、三井住友FGはアルヒには劣りますが5%半ばの配当利回りです。
以上の点を踏まえアルヒについては、余程思い入れのある人以外は金融機関という括りでは先にメガバンクを購入した方が良いかと思います。
しかし、私の様にメガバンクを既にある程度保有している人は、ポートフォリオの分散という意味で購入を検討する価値はあるかと思います。
という事でアルヒについては今後の動向を見守りつつチャンスがあれば購入しようかなというところです。
アルヒの投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。
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