高配当株投資の基本は、10年、20年という長期間に渡って株式を保有して配当を受け取り続ける事ですが、その間には予期せぬ暴落に見舞われる事もありますし、逆に株価の上昇で含み益が大きくなり、売却して利益を確定させたくなる場面があるかもしれません。
特に株価が上昇した場合は一旦売却して、また下がったタイミングで買い直そうと思ってしまいがちですが、その様な場合に限って、売却後の株価は上昇していくケースも多いです。
そんななか、今年から始まった新NISAでは非課税保有期間が無制限になっていますので、制度を有効活用するためにも、保有銘柄を永久に保有して配当も永久に非課税で受け取り続ける事が重要になってきます。
ただ、いくら制度が完璧でも永久に保有したいと思える銘柄と出会えないと意味がありませんので、今回は永久に保有できるポイントを5つのテーマに分類し、その銘柄の良い部分を再確認する事で、購入した時に心に誓った「永久保有」の気持ちを改めて思い出していきたいと思います。
安定した配当
まず1つ目の永久保有ポイントは安定した配当です。配当を目的に購入していますので当たり前にはなりますが配当が安定している事は大きな永久保有のポイントです。そこでまずは、過去の配当推移が長期的に安定している2銘柄を見ていきます。
【5020】ENEOS
配当推移が安定している最初の銘柄はENEOSです。ENEOSは原油を精製し石油製品として販売する石油元売り会社で、ガソリンスタンドとしても馴染みがあるかと思いますが、石油元売り銘柄の業績は原油価格などの商品市況や為替に大きく左右されます。
実際、最近の業績も商品市況の影響で大きく増減を繰り返していますが、配当は業績とは関係なく、安定しています。
配当推移
銘柄名 | ENEOS |
2015年 | 16 |
2016年 | 16 |
2017年 | 16 |
2018年 | 19 |
2019年 | 21 |
2020年 | 22 |
2021年 | 22 |
2022年 | 22 |
2023年 | 22 |
2024年 | 22 |
2025年(会社予想) | 22 |
そんなENEOSの2015年からの配当推移を見ていきますが、2020年からは22円で変わっていないです。ちなみにこの間の業績は先ほど触れた様に商品市況価格や為替の影響で大きく上下しており、2020年に至っては赤字に転落していましたので、配当推移の安定感が際立っているかと思います。
ENEOSの配当方針は安定的な配当継続に配慮し、2025年度までの中期経営計画中は年間22円を下限としたうえ、3か年平均で在庫影響除き当期利益の50%以上を配当と自社株買いで還元するとしています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ENEOS | 5020 | 776.4 | 10.4 | 0.66 | 22 | 2.83 | 29.4 |
最近の株価は上下している原油価格の影響もあり乱高下していますが、配当は22円で安定していますので配当利回りは2%後半となっています。
今期業績は現状減益見込みとしていますがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は29%付近と余裕を感じる水準です。
ENEOSについて、業績は商品市況の影響で増減が激しいですが、配当には抜群の安定感がありますので、最近の株価は乱高下する場面もありますが、やはり永久に保有したい銘柄です。
【9434】ソフトバンク
配当推移が安定している2銘柄目は通信会社のソフトバンクです。ソフトバンクはNTT、KDDIと並ぶ大手通信会社で、近年は主力のモバイル事業に加え、ヤフーやLINE、PayPayなどの非通信事業にも注力しています。
そんななか、9月末に株式の10分割を行っています。
配当推移
銘柄名 | ソフトバンク |
2019年 | 3.75(期末のみ) |
2020年 | 8.5 |
2021年 | 8.6 |
2022年 | 8.6 |
2023年 | 8.6 |
2024年 | 8.6 |
2025年(会社予想) | 8.6 |
そんなソフトバンクは上場が2018年のため、2019年からの配当推移をまとめていますが、先日の株式10分割により配当額に小数点が付いているなか、ここ数年は8.6円で据え置きが続いています。
この間の業績は2023年までは増益が続き、前期は減益でしたが、配当は業績とは関係なく、安定しています。
ソフトバンクの配当方針は中長期的な成長と株主還元の両方を重視し、高水準の株主還元を維持する方針です。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ソフトバンク | 9434 | 192.8 | 18.2 | 3.88 | 8.6 | 4.46 | 81.1 |
最近の株価は上場来の高値付近で推移していますが、配当は高水準で安定していますので配当利回りは4%半ばとなっています。
今期業績は増益見込みですがPER、PBRは市場平均よりも割高で、配当性向も81%付近とかなりの高水準です。
ソフトバンクについて、前期は減益となりましたが、通信料収入の落ち込みには反転の兆しが見えており、また通信部門以外は順調に成長していますので将来性にも期待できそうです。
そんななか、配当性向は80%付近と高水準で推移していますが、配当方針に沿った内容ですし、今後も業績の伸長と共に高水準で安定した配当が期待できそうですので、永久に保有したい銘柄です。
右肩上がりの配当
2つ目の永久保有ポイントは右肩上がりの配当です。先程は配当が安定している2銘柄を見ましたが、やはり理想を言えば配当は右肩上がりの方が嬉しいです。という事でここからは配当推移が右肩上がりの3銘柄を検証していきます。
【8031】三井物産
右肩上がりの配当最初の銘柄は三井物産です。三井物産は5大総合商社の一角で、従来から資源部門に強みを持っていましたが、現在は非資源部門への収益構造改革も進めているところです。
そんななか、直近の業績に以前ほどの勢いは無くなっていますが、配当は増配が続いています。
配当推移
銘柄名 | 三井物産 |
2015年 | 32 |
2016年 | 32 |
2017年 | 27.5 |
2018年 | 35 |
2019年 | 40 |
2020年 | 40 |
2021年 | 42.5 |
2022年 | 52.5 |
2023年 | 70 |
2024年 | 85 |
2025年(会社予想) | 100 |
そんな三井物産の2015年からの配当推移について、コロナ前は据え置きや減配の年もありましたが、最近は順調に増配傾向となっています。特にここ数年の増配幅は業績好調を背景に大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると3倍以上の水準です。
三井物産の配当方針は、2026年3月期までは現行の年間100円を下限とし、配当維持または増配を行う方針で、具体的な目安を基礎営業キャッシュフローの37%程度としています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三井物産 | 8031 | 3162 | 10.3 | 1.17 | 100 | 3.16 | 32.6 |
最近の株価は8月の安値から反発していますので、配当は大幅増配が続いていますが配当利回りは3%前半となっています。
今期業績は減益見込みですがPERは市場平均よりも割安で、配当性向は33%付近と余裕を感じる水準です。
三井物産について、最近の業績は減益が続いており、減益の要因は商品市況の反落が主な要因ですが、数年前と比較すると業績は依然数倍の水準へ伸びている状況です。そんななか、配当は直近の減益とは関係なく増配が続いており、また来期までは現行の水準を下限としつつ、配当維持または増配を行う方針ですので、引き続き永久保有したい銘柄です。
【1925】大和ハウス
右肩上がりの配当2番目の銘柄は大和ハウスです。大和ハウスは大阪が本社の住宅総合メーカーですが、住宅の他に商業施設や事業施設も手掛けています。
また、現在25の国と地域で地域密着型の事業を展開するなど海外への進出も注力しており、直近の海外売上比率は1割を超えています。
配当推移
銘柄名 | 大和ハウス |
2015年 | 60 |
2016年 | 80 |
2017年 | 92 |
2018年 | 107 |
2019年 | 114 |
2020年 | 115 |
2021年 | 116 |
2022年 | 126 |
2023年 | 130 |
2024年 | 143 |
2025年(会社予想) | 145 |
そんな大和ハウスの2015年からの配当推移をまとめていますが、減配はもちろん据え置きの年もなく順調に増配が続いています。コロナショックの影響を受けた2020年頃は増配幅が1円程度の年も続きましたが、その後の増配幅は業績好調を背景に大きくなっており、連続増配は前期までで14年連続となっています。
大和ハウスの配当方針は連結当期純利益35%以上、かつ一株当たり配当金額の下限は145円として業績に連動した利益還元を行い、かつ安定的な配当の維持に努めるとしています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
大和ハウス | 1925 | 4571 | 11.2 | 1.16 | 145 | 3.17 | 35.4 |
最近の株価は上場来の高値付近まで上昇していますが、配当も増配が続いていますので配当利回りは3%前半となっています。
今期業績は減益見込みですがPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は35%付近と方針通りの水準です。
大和ハウスの投資判断について、最近の業績は一時的要因の影響もあって減益が続いていますが、数年前と比較すると依然高水準で推移しており、配当も10年以上連続増配が続いています。
そんななか、現在の配当性向は35%付近と決して無理をしている水準ではなく、また配当方針でも現在の水準を下限として示していますので、業績の増益転換と共に20年以上の連続増配も期待して、永久に保有したい銘柄です。
【9882】イエローハット
右肩上がりの配当3番目の銘柄はイエローハットです。イエローハットはカー用品を専門に取り扱う量販店で、現在全国に700店舗以上展開しています。
取り扱い製品はタイヤやカーナビなどに加え、車検やオイル交換などのメンテナンスも行っており、車全般に関わるサービスを手掛けています。
配当推移
銘柄名 | イエローハット |
2015年 | 23 |
2016年 | 27 |
2017年 | 30 |
2018年 | 33 |
2019年 | 36 |
2020年 | 46 |
2021年 | 54 |
2022年 | 58 |
2023年 | 62 |
2024年 | 66 |
2025年(会社予想) | 70 |
そんなイエローハットの2015年からの配当推移をみていきますが、据え置きの年すらなく順調に増配が継続しており、増配は前期までで14期連続となっています。また、最近の増配幅は4円刻みと大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると3倍以上の水準です。
イエローハットの配当方針は、連結業績、財務状況、投資計画などを勘案しながら配当性向30%以上を目安に安定的な配当を継続していく方針です。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
イエローハット | 9882 | 2492 | 11.0 | 0.97 | 70 | 2.81 | 30.8 |
最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、増配が継続している事で配当利回りは2%後半となっています。
今期業績は増益見込みですのでPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は31%付近と方針通りの水準です。
イエローハットついて、前期業績は減益となっており、今期も現状増益見込みにはなっていますが、過去最高益を記録した2023年の水準にはわずかに届かない予測になっています。そんななか、配当は10年以上連続増配が続いており、現状の配当性向も31%付近と余裕がありますので、更なる連続増配を期待して、永久に保有したい銘柄です。
右肩上がりの配当と業績
ここまでは、配当が安定している銘柄や配当が右肩上がりの銘柄を検証しましたが、できれば配当だけでなく業績も右肩上がりの方が永久保有ポイントは高まります。そこでこのパートでは、配当に加え業績も右肩上がりの3銘柄を見ていきます。
【8316】三井住友FG
配当と業績が右肩上がり最初の銘柄は三井住友FGです。三井住友FGはメガバンクの三井住友銀行を中核に持つ金融持株会社で国内では三菱UFJFGに次ぐ金融グループです。三井住友銀行のほか、SMBC日興証券や三井住友ファイナンス&リース、三井住友カードなどを傘下にしています。
そんななか、9月末に株式の3分割を行っています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 三井住友FG |
2019年3月期 | 7266 |
2020年3月期 | 7038 |
2021年3月期 | 5128 |
2022年3月期 | 7066 |
2023年3月期 | 8058 |
2024年3月期 | 9629 |
2025年3月期(会社予想) | 10600 |
2019年からの通期最終利益について、コロナショックの影響を受けた2021年は5000億円台へ大きく減益となりましたが、その後は順調に増益が続いています。そんななか、最近はコロナからの経済回復を受けて法人貸出の増加や付帯取引の獲得、好調な決済ビジネスなどに加え、円安や金利上昇などの外部要因の追い風もあり増益幅が増えています。
そして、今期も好調な流れは継続するとして最終利益は1兆円を超える予測になっていますが、第1四半期時点の通期進捗率は35%付近と順調なスタートを切っています。
配当推移
銘柄名 | 三井住友FG |
2015年 | 46.6 |
2016年 | 50 |
2017年 | 50 |
2018年 | 56.6 |
2019年 | 60 |
2020年 | 63.3 |
2021年 | 63.3 |
2022年 | 70 |
2023年 | 80 |
2024年 | 90 |
2025年(会社予想) | 110 |
2015年からの配当推移について、2021年までは据え置きの年もありましたが、概ね順調に増配が続いていました。そんななか、2022年以降は好調な業績を背景に増配幅も大きくなり、最近は10円刻みの増配が続いていましたが、今期は一気に20円の大幅増配見込みになっています。三井住友FGの配当方針はボトムラインの成長を通じて増配を実現するとしており、配当は累進的で具体的な目安は配当性向40%としています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三井住友FG | 8316 | 3273 | 12.1 | 0.86 | 110 | 3.36 | 40.6 |
最近の株価は8月の暴落時から上昇しているなか、大幅増配が続いていますので配当利回りは3%半ばとなっています。
業績も過去最高益が続いていますのでPER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は41%付近と方針通りの水準です。
三井住友FGについて、最近の業績は過去最高益を更新し続けるなか、配当も大幅増配が続いていますが、現状の配当性向は41%付近と目安としている水準で推移しています。従って、今後の増配のためには、配当性向の引き上げか更なる増益が必要な状況となっていますが、三井住友FGは今年の利上げにより年間1000億円の利益上積みが期待できるとしており、さらなる金利上昇時のアップサイド追求のための取組も継続するとしていますので、今後の更なる増益や増配を期待して、永久に保有したい銘柄です。
【8593】三菱HCキャピタル
配当と業績が右肩上がり2番目の銘柄は三菱HCキャピタルです。三菱HCキャピタルは機械や器具備品のリース、割賦販売、貸付を中心に、再生エネルギーや不動産、航空・モビリティ領域なども手掛けています。
また、直近業績の海外売上比率も3割程度に迫るほど国際的な企業です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 三菱HCキャピタル |
2019年3月期 | 687 |
2020年3月期 | 707 |
2021年3月期 | 553 |
2022年3月期 | 994 |
2023年3月期 | 1162 |
2024年3月期 | 1238 |
2025年3月期(会社予想) | 1350 |
2019年からの通期最終利益をみていきますが、コロナショックで業績が落ち込んだ2021年以外は順調に増益が続いています。2023年の業績が好調だった要因は、2021年に完全子会社化した米国の海上コンテナリース会社CAIの利益貢献や貸倒関連費用の減少としており、前期は航空事業やロジスティクス事業における利益の計画比上振れや不動産事業、環境エネルギー事業における売却益の計画比が上振れたためとしています。
今期は前期特別利益の反動影響もありますが、航空事業をはじめとした各事業の伸長や前期に計上した大口損失の剥落などにより、更に増益の予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は29%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | 三菱HCキャピタル |
2015年 | 9.5 |
2016年 | 12.3 |
2017年 | 13 |
2018年 | 18 |
2019年 | 23.5 |
2020年 | 25 |
2021年 | 25.5 |
2022年 | 28 |
2023年 | 33 |
2024年 | 37 |
2025年(会社予想) | 40 |
2015年からの配当推移をまとめていますが順調に増配が続いており、連続増配は前期までで25期連続です。増配額もコロナショック時の2021年は0.5円とぎりぎりの増配でしたが、前期は4円、今期も3円の増配見込みと、ここ数年の増配幅は好調な業績を背景に大きくなっています。
三菱HCキャピタルの配当方針は、株主還元は配当によって行うことを基本とし、利益成長を通じて配当総額を持続的に高めていくとしており、具体的な目安は配当性向40%以上としています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱HCキャピタル | 8593 | 1030 | 11.0 | 0.82 | 40 | 3.88 | 42.5 |
最近の株価は停滞が続いていますが、増配は継続していますので配当利回りは4%前後となっています。
業績も過去最高益が続いていますのでPER、PBRは市場平均よりも割安で、配当性向は42%付近と方針通りの水準です。
三菱HCキャピタルについて、業績は過去最高益が続いているなか、配当も日本トップクラスとなる20年以上の連続増配が続いています。そんななか、今年の株価は今後の金利上昇による調達コスト増や景気後退などを懸念してか1000円前後で停滞が続いていますが、更なる過去最高益の更新や30年以上の連続増配に加え、株価上昇も期待して永久に保有したい銘柄です。
【1928】積水ハウス
配当と業績が右肩上がり3番目の銘柄は積水ハウスで、国内外で不動産開発を手掛けており、日本を代表するハウスメーカーです。戸建てや賃貸住宅、マンションなど幅広い物件を手掛けているなか、アメリカを中心に海外市場の開拓も進めており、直近の海外売上比率は2割に迫る水準となっています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 積水ハウス |
2019年1月期 | 1285 |
2020年1月期 | 1412 |
2021年1月期 | 1235 |
2022年1月期 | 1539 |
2023年1月期 | 1845 |
2024年1月期 | 2023 |
2025年1月期(会社予想) | 2090 |
2019年からの通期最終利益について、コロナショックの影響を受けた2021年は減益となっていますが、2022年以降は増益が続いており、最近は過去最高益が続いています。業績好調の要因は高付加価値住宅の提案やボリューム効果もあり国内市場が順調に回復している事に加え、アメリカを中心に海外市場も堅調に推移しているためとの事です。
そして、今期も好調な流れは継続する見込みとして更に過去最高益を更新する予測にしているなか、第2四半期時点の通期進捗率は59%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | 積水ハウス |
2015年 | 50 |
2016年 | 54 |
2017年 | 64 |
2018年 | 77 |
2019年 | 79 |
2020年 | 81 |
2021年 | 84 |
2022年 | 90 |
2023年 | 110 |
2024年 | 123 |
2025年(会社予想) | 129 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配が続いており、前期までで12年連続の増配となっています。また、最近の増配幅は業績好調を受けて大きくなっており、今期も第1四半期決算の業績上方修正にあわせて4円の増額が発表された事で6円の増配見込みとしています。
積水ハウスの配当方針は中期的な平均配当性向40%以上に加え、一株当たり配当金の下限値を年間110円と設定しています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
積水ハウス | 1928 | 3716 | 11.5 | 1.23 | 129 | 3.47 | 40.0 |
最近の株価は上場来高値の水準まで上昇していますが、配当は増配が続いていますので配当利回りは3%半ばとなっています。
業績は過去最高益が続いていますのでPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は40%付近と方針通りの水準です。
積水ハウスについて、業績は過去最高益を更新し続けているなか、配当も10年以上の連続増配が継続しています。そんななか、ハウスメーカーという事で、アメリカの高金利や今後の国内金利の行方は懸念材料ではありますが、最近の決算を見ても分かる様にアメリカの住宅市場は好調に推移しており、またM&A効果もあって更なる飛躍も期待できそうですので、まだ保有していませんが、永久に保有したい銘柄です。
株主還元抜群
4つ目の永久保有ポイントは株主還元力が抜群の銘柄です。もちろん高配当株銘柄として注目集める様な銘柄は株主還元力が高い銘柄が多いですし、今まで紹介してきた銘柄も株主還元力は高い銘柄ですが、このパートでは配当方針において通常の銘柄よりも株主還元力が高く、今期中の更なる増配も期待できそうな2銘柄を見ていきます。
【8591】オリックス
株主還元力が抜群な最初の銘柄はオリックスでリース業界の代表的な銘柄ですが、現在はリース業にとどまらず、不動産、金融、事業投資など様々な事業で海外を含む多くの企業と取引しています。
実際、リースを起点に「金融」と「モノ(物件)」の2つの専門性から関連するビジネスを拡大させており、直近の海外売上比率も約25%程度を占めています。
配当方針
そんなオリックスの今期配当方針は、配当性向39%、もしくは前年度配当金(98.6円)のいずれか高い方としており、現状は下限の98.6円予測となっています。
最近のオリックスは今回の様に前期配当を下限にしつつ、業績次第では増配の可能性がある様な二者択一の配当方針を設定する事が多いですので、株主還元力の高さを感じます。
配当推移
銘柄名 | オリックス |
2015年 | 36 |
2016年 | 45.75 |
2017年 | 52.25 |
2018年 | 66 |
2019年 | 76 |
2020年 | 76 |
2021年 | 78 |
2022年 | 85.6 |
2023年 | 85.6 |
2024年 | 98.6 |
2025年(会社予想) | 98.6 |
2015年からの配当推移について、たまに据え置きの年もありますが減配はなく、概ね順調に増配が続いている印象です。2023年は減益だった業績の影響で据え置きとなっていますが、前期は業績好調により13円の大幅増配となっており、今期も業績は大きく増益の見込みですが配当は現状据え置きの予測になっています。
ただ、先ほどお伝えした様に今期の配当方針は配当性向39%、もしくは前年度配当金(98.6円)のいずれか高い方としていますので、業績次第では今後の大幅増配が期待できそうな状況です。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
オリックス | 8591 | 3270 | 9.6 | 0.92 | 98.6 | 3.02 | 28.9 |
最近の株価は停滞していますので、今期配当は現状据え置き見込みですが、配当利回りは3%前後となっています。
業績は今期も過去最高益見込みという事もありPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は29%付近と目安の水準を10%程度下回っています。
オリックスについて、ここ数年の最終利益は3000億円付近で停滞が続いていましたが、今期は4000億円に迫る予測になっています。ちなみに最終利益が予測通りに推移した場合の配当性向39%は約133円となりますので、現状から30円以上の増配を期待しつつ、永久保有を続けたい銘柄です。
【8001】伊藤忠
株主還元力が抜群な2番目の銘柄は伊藤忠で、三菱商事や三井物産と並ぶ5大総合商社の一角です。
ここ数年の商社業界は商品市況上昇や円安の恩恵を受けて業績が大きく伸びていましたが、前期からは商品市況の反落で減益に陥る商社株が多いなか、伊藤忠はファミリマートや食料関連取引などの非資源部門に強みを持っている事もあり増益を維持しています。
配当方針
そんな伊藤忠の今期配当方針は、配当性向30%または1株当たり200円のいずれか高い方としており、現状は200円の予測となっています。この様に伊藤忠も先ほどのオリックスと同じ様に下限を設定したうえで、業績によっては増配の可能性を示すほど、株主還元力は抜群となっています。
配当推移
銘柄名 | 伊藤忠 |
2015年 | 46 |
2016年 | 50 |
2017年 | 55 |
2018年 | 70 |
2019年 | 83 |
2020年 | 85 |
2021年 | 88 |
2022年 | 110 |
2023年 | 140 |
2024年 | 160 |
2025年(会社予想) | 200 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、コロナショックで業績が落ち込んだ2021年でも増配を継続するほど順調に増配傾向が続いています。そして、最近の増配額も業績好調を背景に大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると4倍以上の水準です。
そんななか、今期の配当方針は配当性向30%または1株当たり200円のいずれか高い方としており、現状の水準でも既に40円の増配見込みとなっていますが、業績次第では更なる増額が期待できる状況です。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
伊藤忠 | 8001 | 7653 | 12.5 | 1.92 | 200 | 2.61 | 32.6 |
最近の株価は上場来の高値付近で推移していますので、配当は大幅増配が続いていますが、配当利回りは2%半ばとなっています。
今期業績は過去最高益の見込みですのでPERは市場平均より割安で、配当性向は33%付近と方針通りの水準です。
伊藤忠について、最近の最終利益は8000億円付近で横ばいが続いていましたが、商品市況の反落で減益となっている他の総合商社と比較すると健闘が目立っており、堅調な業績と連動して配当も大幅増配が続いています。
実際、今期配当も現状は下限の年間200円予測ですが既に40円の増配は確定しており、今後の更なる増配も期待できる状況ですので、引き続き永久に保有したい銘柄です。
将来性が期待できる
最後の永久保有ポイントは将来性が期待できる事です。10年、20年の長期保有となると世の中の仕組み自体も大きく変わっている可能性があります。その様な時代の変化に上手く対応して企業規模が大きくなれば、当然業績や配当に加え株価も大きく伸びる事が考えられますので、最後のパートでは今後の時代テーマを踏まえ、事業内容に将来性を感じる2銘柄を見ていきます。
【9412】スカパーJSAT
将来性が期待できる最初の銘柄はスカパーJSATで日本唯一の衛星通信専業会社です。メイン事業は衛星多チャンネル「スカパー!」などを運営しているメディア事業と軌道衛星を活用した衛星通信サービスを展開している宇宙事業となっています。
そんななか、スカパーJSATは「未知を価値に」をテーマに、この地上から宇宙へ広がる空間で世界が驚くビジネスを展開していく方針です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | スカパーJSAT |
2021年3月期 | 133 |
2022年3月期 | 145 |
2023年3月期 | 158 |
2024年3月期 | 177 |
2025年3月期(会社予想) | 180 |
2021年からの通期最終利益を見ていきますが、順調に増益が続いています。業績好調の要因は、グローバル・モバイルなどの収益貢献や新領域での順調な案件獲得などで宇宙事業が堅調に推移しているためとしています。
前期も宇宙事業において、国内や海外事業が引き続き堅調である事や衛星画像販売、国内衛星ビジネス分野などの拡大に加え、メディア事業も収支改善策が進んだ事で過去最高益となっており、今期も2030年を見据えた成長のための先行投資を行いながら、基盤となる事業の収益性・生産性向上を図るとして、更に増益の見込みにしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は28%付近と順調に推移しています。
配当推移
銘柄名 | スカパーJSAT |
2015年 | 12 |
2016年 | 14 |
2017年 | 18 |
2018年 | 18 |
2019年 | 18 |
2020年 | 18 |
2021年 | 18 |
2022年 | 18 |
2023年 | 20 |
2024年 | 21 |
2025年(会社予想) | 22 |
2015年からの配当推移について、数年前は18円で横ばいの時期が続いていましたが、2023年以降は好調な業績と連動して増配が続いています。増配幅は1円から2円と物凄く大きい訳ではありませんが、以前と比較すると堅実に増配している印象です。
スカパーJSATの配当方針は、年間16 円以上、配当性向30 %以上の条件を満たす額を前提に安定配当方針を継続としています。
株価指標(2024年10月31日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
スカパーJSAT | 9412 | 883 | 13.9 | 0.93 | 22 | 2.49 | 34.6 |
最近の株価は8月の安値から反発していますので、増配は続いていますが配当利回りは2%半ば程度となっています。
業績は過去最高益が続いていますがPER、PBRに割安感はなく、配当性向は35%付近と方針通りの水準です。
スカパーJSATについて、宇宙事業という将来性が期待できる事業に注力しているなか、最近の業績も宇宙事業を中心に好調が続いています。実際、前期最終利益177億円のうち155億円を宇宙事業で稼いでいますので、もはや宇宙メインの企業と言える状況です。
そんな宇宙事業は今後も国策と絡み成長していく事が期待され、スカパーJSATも既存事業への投資も含め2030年までに3000億円の資本を投下するとしており、また2030年には最終利益を250円億超と今の水準から70億円以上増やす事を目標に掲げていますので、将来の更なる飛躍を期待して永久に保有したい銘柄です。
【9286】エネクスインフラ投資法人
将来性が期待できる最後の銘柄はインフラファンドのエネクスインフラ投資法人です。エネクスインフラは現在12件の発電所を保有しており、エリアは九州から北海道まで分散されていますが、取得価格ベースで見ると関東と中部で8割を超えます。
分配金推移
銘柄名 | エネクス・インフラファンド |
2019年 | 5980 |
2020年 | 6000 |
2021年 | 6000 |
2022年 | 6030 |
2023年 | 6000 |
2024年(会社予想) | 5989 |
2025年(会社予想) | 2993(半期) |
2019年からの分配金推移を見ていきますが、6000円前後で安定しています。今年の分配金はわずかに減配になっていますが誤差のレベルで、来年も現状は5月の分配金予測しか発表されていませんが、同水準の見込みになっています。
基準価格指標(2024年10月31日時点)
銘柄名 | コード | 基準価格 | 分配金確定月 | 予想分配金 | 利回り |
エネクスインフラ | 9286 | 64300 | 5月、11月 | 5988 | 9.31 |
最近の基準価格は大きく下落しているなか、分配金は高水準で安定していますので利回りは脅威の9%超えと高水準です。
また、2021年までは11月の年1回分配でしたが、現在は5月、11月権利確定の年2回分配となっています。
エネクスインフラ投資法人について、現在の利回りは9%超えと異次元の高さで、現在上場しているインフラファンド5銘柄の中でもトップとなっています。インフラファンドの基準価格はエネクスインフラに限らず右肩下がりの状況が続いており、確かにFIT終了後の売電価格や最近は電力ケーブルの盗難などに加え、出力制限の問題など懸念点も多いです。
ただ、今後の電力需要については、人口減少や節電・省エネなどにより減少していく事が懸念されていましたが、最近はデーターセンターや半導体工場の新増設などにより、将来的に需要が増えていく可能性も指摘されており、また利回り9%の銘柄を11年保有すれば、分配金だけで元本も回収できますので、このまま永久に保有したい銘柄です。
まとめ
今回は永久に保有したいと思う高配当株を5つのテーマに分け、合計12銘柄の検証を行いました。通常購入銘柄を選定する時は銘柄の良い部分だけでなく、懸念点やマイナス材料についても考慮する事が大切ですが、たまには今回の様に良い部分だけにスポットを当てる事も面白いかもしれません。
10年、20年単位での付き合いとなる保有銘柄には、これから先も様々な事が起こるかとは思いますが、改めてその銘柄に出会った時の事を思い出し、握力強めでいきたいと思っています。
永久に保有したい最強12銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。
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