今回はまもなく本格化する3月期銘柄の本決算発表ついて、注目ポイントを保有銘柄を中心に業種ごとにまとめていきます。
現在決算は四半期ごとに発表されていますが、やはり本決算は今期の予想も含め1番注目が集まる決算発表です。
その中でも今週は3月期銘柄の決算発表がピークを迎え、特に5月13日には全体の約4割にあたる875社が決算発表を予定していますので、決算の見方や注目ポイントについて徹底予習していきます。
コンセンサス予想とは
まず決算をみるうえで大切なコンセンサス予想について簡単に触れておきます。
コンセンサス予想とは、複数のアナリストや専門家などが企業の実態に沿って業績などを算出した予想の平均値の事です。
決算が良くても株価は売られたり、決算が悪くても株価は買われたりする事があるかと思いますが、これはコンセンサス予想との比較で株価が動いているケースが多いです。
大手企業になると大抵は事前にコンセンサス予想が算出されていますので、決算発表時にはコンセンサス予想との業績比較が大切になります。
そしてコンセンサス予想の数値も算出している企業によって異なりますので、今回は四季報のコンセンサス予想と比較検証していきます。
ENEOS
まずENEOSですが2月に発表した第3四半期時点の最終利益は3318億円と前年同期比で2648億円の増益となっていますが、通期最終予測2800億円、年間配当22円ともに従来予想に変更はありませんでした。
しかし、3月25日に原油や銅などの資源価格、石油製品マージン等の状況を踏まえ最終利益を4900億円へ2100億円上方修正しています。
コンセンサス予想
銘柄 | コード | 最終利益会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | 注目ポイント | |
ENEOS | 5020 | 4900 | 4647 | 今期業績、配当の予測額 |
ENEOSの最終利益予想とコンセンサス予想を比較していきますが、現状コンセンサス予想の方が200億円程度会社予想より低くなっていますが、ENEOSの場合は先ほど触れた様に3月末に業績の上方修正を発表していますので、ここからは数字の大きな変動はないと思います。
また配当については、2022年3月期も2023年3月期も四季報では年間22円の据え置き予想になっています。
注目ポイント
決算の注目ポイントは今期業績の予想金額かと思います。
現在業績好調の要因になっている原油高については前期ほどのプラスは想定出来ず、2023年3月期のコンセンサス予想は最終利益が1678億円と大幅減益予想になっていますので、今期の業績予想と配当についてもこの辺りの状況を踏まえ今期会社予想がいくらになるか注目です。
ENEOSの決算は、5月13日発表予定です。
総合商社(伊藤忠商事、三菱商事)
伊藤忠商事の第3四半期時点最終利益は6788億円、三菱商事の第3四半期時点最終利益は6447億円と2銘柄とも通期進捗率は80%付近となっています。
総合商社では唯一保有しているの三井物産は、5月2日に一足早く本決算を発表していますが、コンセンサスを400億円程度上回る決算でしたので、伊藤忠商事、三菱商事の本決算にも期待したいところです。
コンセンサス予想
銘柄 | コード | 最終利益会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | 注目ポイント | |
伊藤忠商事 | 8001 | 8200 | 8377 | 2022年最終着地点と今期予測 | |
三菱商事 | 8058 | 8200 | 8883 | 2022年最終着地点と今期予測 | |
三井物産 | 8031 | 8400 | 8735 | 5月2日に決算発表済み |
総合商社2銘柄の最終利益予想とコンセンサス予想を比較していきますが、伊藤忠商事で177億円、三菱商事で683億円コンセンサス予想の方が高くなっています。
また先程お伝えした様に三井物産は既に本決算を発表しており、最終利益は9147億円と会社予想、コンセンサス予想を上回る決算でした。
3銘柄とも規模は似た様な感じですので、決算も似た様な感じになりそうです。
注目ポイント
総合商社決算の注目ポイントは、まず2022年3月期業績の最終着地点です。
恐らく会社予想、コンセンサス予想を共に上回ってきそうですが、どこまで伸びるか注目です。
配当については2022年3月期は既に2銘柄ともかなりの増配額となっていますので、更なる増配は厳しいかもしれません。
そして2023年3月期の業績、配当予想にも注目で、前期は商品市況上昇の影響が大きかったですので、今期業績、配当の予想額がいくらになるかにも注目です。
決算発表日は伊藤忠商事、三菱商事ともに5月10日を予定しています。
メガバンク(三菱UFJ、三井住友FG)
三菱UFJの第3四半期時点の最終利益は1兆703億円と通期予想1兆500億円を既に上回っています。
三井住友FGの第3四半期時点の最終利益は6247億円と通期予測6700億円に対して通期進捗率は90%を超えています。
業績絶好調のメガバンクですが、第3四半期決算では2銘柄とも通期業績予測、年間配当予測に変更はありませんでした。
コンセンサス予想
銘柄 | コード | 最終利益会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | 注目ポイント | |
三菱UFJ | 8306 | 10500 | 11421 | 2022年最終着地点と今期配当予測 | |
三井住友FG | 8316 | 6700 | 6985 | 2022年最終着地点と今期配当予測 |
メガバンクの最終利益予想とコンセンサス予想を比較していきますが、三菱UFJで約1000億円、三井住友FGで約300億円程度、会社予想より高くなっており、金額が大きすぎて感覚がマヒしてしまいそうですが凄い金額です。
2銘柄とも大幅増益となりそうな2022年3月期決算ですが、配当については既に例年と比較して大幅増配となっている為、更なる増配は厳しそうです。
注目ポイント
2銘柄とも第3四半期時点の通期進捗率が高かった為、最終利益がどこまで伸びるか注目です。
また、配当については2023年3月期の年間配当予想に注目です。
四季報予想では三菱UFJが28円~30円、三井住友FGが210円~220円の増配予想になっています。
決算発表は三菱UFJが5月16日、三井住友FGが5月13日を予定しています。
リース(オリックス、三菱HCキャピタル、リコーリース)
オリックスの第3四半期最終利益は2113億円、三菱HCキャピタルは757億円、リコーリースは119億円となっています。
オリックスは去年12月に会計ソフト弥生の売却益を第4四半期に計上する事に伴い、通期最終利益を3100億円へ上方修正していますので、第3四半期時点の通期進捗率は約68%と低めです。
他の2銘柄の第3四半期時点の通期進捗率は、三菱HCキャピタルで80%付近、リコーリースで90%超えと順調に推移しています。
コンセンサス予想
銘柄 | コード | 最終利益会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | 注目ポイント | |
リコーリース | 8566 | 126 | 133 | 2022年3月期の配当額 | |
オリックス | 8591 | 3100 | 3179 | 2022年3月期の配当額 | |
三菱HCキャピタル | 8593 | 950 | 991 | 2022年3月期の配当額 |
リース3銘柄の最終利益予想とコンセンサス予想を比較していきますが、3銘柄ともコンセンサス予想の方が少し高い金額になっています。
業績好調のリース銘柄は、2022年3月期増配の可能性も残しています。
オリックスは前期年間配当を配当性向33%もしくは年間配当78円のいずれか高い方としており四季報では85円予想になっています。
また、リコーリースも四季報の配当予想は115円~120円となっており、2022年3月期の更なる増配にも期待です。
注目ポイント
リース銘柄の決算注目ポイントは、先ほども触れた様に2022年3月期で更なる増配があるかです。
リース銘柄は株主還元姿勢の高い銘柄が多く、三菱HCキャピタルとリコーリースは20年以上の連続増配を継続中ですので今期配当予想も含め、年間配当の金額に注目です。
決算発表はオリックスが5月11日、三菱HCキャピタルが5月16日、リコーリースが5月10日を予定しています。
通信株(NTT、KDDI、ソフトバンク)
NTTの第3四半期時点最終利益は1兆303億円、KDDIは5542億円、ソフトバンクは4208億円となっており、3銘柄とも第3四半期時点の通期進捗率は80%を超えています。
ディフェンシブ銘柄らしくロシアのウクライナ侵攻を受けても株価、業績は好調です。
コンセンサス予想
銘柄 | コード | 最終利益会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | 注目ポイント | |
NTT | 9432 | 11000 | 11292 | 今期配当予測額 | |
KDDI | 9433 | 6550 | 6644 | 今期配当予測額 | |
ソフトバンク | 9434 | 5000 | 5155 | 今期配当予測額 |
通信3銘柄の最終利益予想とコンセンサス予想を比較していきますが、3銘柄ともコンセンサス予想の方が少し高い数値になっています。
また2022年3月期の配当について四季報予想は3銘柄とも会社予想通りの金額となっていますので、業績の着地点に関わらず前期配当は予想通りの金額となりそうです。
注目ポイント
通信3銘柄の決算注目ポイントは今期配当の予想金額です。
四季報予想では、NTTが120円、KDDIは125円~130円、ソフトバンクは86円~87円となっており、3銘柄とも増配予想です。
今までの配当推移を見てもNTTとKDDIの増配は可能性が高いかと思いますが、ソフトバンクの増配はあるのか注目です。
決算発表は、NTTが5月12日、KDDIが5月13日、ソフトバンクが5月11日を予定しています。
決算注目ポイントまとめ
銘柄 | コード | 決算発表日 | 最終利益会社予想(億円) | コンセンサス予想(億円) | 注目ポイント | |
ENEOS | 5020 | 5月13日 | 4900 | 4647 | 今期業績、配当の予測額 | |
伊藤忠商事 | 8001 | 5月10日 | 8200 | 8377 | 2022年最終着地点と今期予測 | |
三菱商事 | 8058 | 5月10日 | 8200 | 8883 | 2022年最終着地点と今期予測 | |
三井物産 | 8031 | 5月2日 | 8400 | 8735 | 5月2日に決算発表済み | |
三菱UFJ | 8306 | 5月16日 | 10500 | 11421 | 2022年最終着地点と今期配当予測 | |
三井住友FG | 8316 | 5月13日 | 6700 | 6985 | 2022年最終着地点と今期配当予測 | |
リコーリース | 8566 | 5月10日 | 126 | 133 | 2022年3月期の配当額 | |
オリックス | 8591 | 5月11日 | 3100 | 3179 | 2022年3月期の配当額 | |
三菱HCキャピタル | 8593 | 5月16日 | 950 | 991 | 2022年3月期の配当額 | |
NTT | 9432 | 5月12日 | 11000 | 11292 | 今期配当予測額 | |
KDDI | 9433 | 5月13日 | 6550 | 6644 | 今期配当予測額 | |
ソフトバンク | 9434 | 5月11日 | 5000 | 5155 | 今期配当予測額 |
今回検証した銘柄の最終利益予想とコンセンサス予想や注目点を表にまとめています。
いずれの銘柄も現在の決算は順調に推移していますが、会社予想とコンセンサス予想には少しずれがありますので、決算発表の金額もですがコンセンサス予想との比較で決算発表後の株価がどの様に反応するかも注目点です。
その辺りの答え合わせは、決算発表後に改めて検証したいと思いますので宜しくお願いします。
3月期銘柄の本決算注目ポイントはYouTubeで動画版を投稿していますのであわせてご覧ください。
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