【東証再編後初】プライム市場配当利回り上位10銘柄の投資判断

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銘柄検証

今回は4月4日に再編された東京証券取引所のプライム市場において4月8日時点の配当利回り上位10銘柄の投資判断を個別に検証していきます。

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東証再編とは

それでは本題ですが、まずは東証再編について簡単にまとめていきます。

そもそも東証再編とは、東証の市場区分(東証一部、二部、JASDAQ、マザーズ)を「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つの新しい市場区分へと再編する事です。

市場区分が見直される理由は東証一部に上場する企業数が増えた為、東証一部としての市場価値が低下している事が要因とされ、市場再編によって各市場の性格を明確にして世界からの投資資金を呼び込む事を目的としています。

しかし、4月4日の再編スタート時点では東証一部に上場していた2177社のうち、1839社と8割を超える銘柄がプライム市場へ移行する事になり、市場再編の効果を疑問視する声が聞かれました。

この様な事になった要因は市場の混乱を避ける意味もあり、現時点でプライム市場の基準を満たしていない銘柄も経過措置としてプライム市場への移行を認めているからです。

現状東証は経過措置の期限を定めていませんので、東証再編については今後もどの様に進んでいくのか動向を見守る必要があります。

東証一部配当利回り上位10銘柄(2022年3月4日)

順位銘柄コード株価予想配当配当利回り評価備考
1日本郵船910111900120010.08×業績・配当の増減が大きすぎ
2明和産業8103117611810.03×急激な増配が一時的な可能性が高くNG
3商船三井91041076010509.76×業績・配当の増減が大きすぎ
4JFEHD541117531407.99×業績・配当の増減が大きすぎ
5ノーリツ鋼機774419121527.95110円は特別配当
6乾汽船930824691877.57×業績・配当の増減が大きすぎ
7JT291421141507.10ロシアウクライナ情勢を見守りたい
8淺沼組185254403636.67配当性向70%、期末一括配当
9ディア・ライフ3245512346.64配当性向40%で配当金も安定傾向
10日本製鉄540121461406.52×業績・配当の増減が大きすぎ

東証一部の配当利回り上位10銘柄の検証は約1ヶ月前にも行っており、こちらがその時の上位10銘柄です。

今回はこの時から3月期銘柄は権利落ちで株価が下がっていますし、また東証再編の影響がどの程度出ているのかにも注目しながら検証していきたいと思います。

それでは2022年4月8日時点のプライム市場配当利回り上位10銘柄を10位から見ていきます。

10位 小野建(6.74%)

鋼材、建設機材の専門商社で福岡県北九州市が本社です。

11月発表の第2四半期決算で今期2回目の配当増額(92円→102円)を発表した事と2月に発表した第3四半期決算や3月権利落ちを受けて株価が下落した事で配当利回りが上昇しています。

また今期業績好調の要因は主力販売商品である鉄鋼商品の原料価格上昇が主な要因です。

商品市況の恩恵を受けている状況ですが、今までも業績、配当は割と安定傾向ですので高配当銘柄として狙っても面白いかもしれません。

9位 日本製鉄(6.83%)

日本製鉄は日本最大手の鉄鋼メーカーです。

今期は鋼材価格の上昇や昨年度断⾏した抜本的コスト改善、海外グループ会社の収益⼒向上等により業績が急回復しています。

業績の急回復により配当も2021年3月期の年間10円から130円増の年間配当140円へ大幅増配となっており、3月権利落ち以降株価も下がっている為、配当利回りは更に上昇しています。

企業規模は文句なしに日本を代表するメーカーですが、業績や増配の振れ幅が大きすぎる為、5月発表予定の本決算での今期予測を含めもう少し様子を見たいところです。

8位 ノーリツ鋼機(6.89%)

ノーリツ鋼機は、音楽機器開発・販売、ペン先部材の製造・販売、医療データ分析調査など多角的に事業を展開している企業です。

ノーリツ鋼機は12月決算ですので2月14日に本決算を発表しており、その時の今期配当予測は年間40円でした。

しかし、約1週間後に連結子会社JMDCの一部株式をオムロンに売却する事に伴い、売却益を計上する事で最終利益を従来予想の約17倍へ上方修正、年間配当を40円から152円への大幅増配を発表し配当利回りが上昇しています。

今回の大幅増配は株式売却益によるものですが、一過性の要因を除いても業績は安定傾向で、また2月に発表した中期経営計画 FY25で、配当性向25%から40%以上への変更も発表しています。

しかし、今期配当152円の内110円は特別配当ですので来期以降の配当がどうなるのか、もう少し様子を見たいところです。

7位 JT(7.01%)

JTも12月決算ですので2月に本決算を発表しており、前期は海外たばこ事業の好調や円安の影響で業績は大きく改善しています。今期の業績見込みも順調で年間配当も150円と減配前の水準に戻る予測で発表しています。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻が始まるとロシアやウクライナに工場がある事やロシアでのたばこ販売への懸念から株価は大きく売られ配当利回りも上昇しています。

JTもロシア周辺での利益は全体の2割程度でインパクトがあるとしており、影響は避けられない状況です。

株価は2000円割れ寸前まで売られた後、直近では2100円台まで回復していますが、ロシアウクライナ問題は依然不透明な状況が続いていますので、4月28日に予定されている第1四半期決算の内容が気になるところです。

6位 淺沼組(7.19%)

淺沼組は関西系の中堅ゼネコンで昨年11月に今期年間配当を363円と当初予測から103円増額し配当利回りが上昇しています。

増配の要因は中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)における株主還元方 針を修正した事としており、連結配当性向を従来の50%以上から70%以上に変更しています。

淺沼組は3月の期末一括配当ですので3月権利落ち翌日は権利落ち配当(363円)を上回る420円安の4930円まで下げました。直近では少し戻し5000円前後で推移していますが権利落ち前と比較すると株価を下げていますので配当利回りは7%を超えています。

4位 JFEHD(8.62%)

JFEHDは粗鋼生産国内2位のJFEスチールを中核にJFE商事、JFEエンジニアリング、大手造船メーカーのジャパンマリンユナイテッドを傘下に持つ持株会社です。

JFEHDの業績は堅調な鋼材需要や鋼材市況、販売価格改善の取り組み等により鉄鋼事業を中心に大幅に回復しています。

業績好調により年間配当を2021年3月期から130円増の140円へ増配した事と3月権利落ち以降株価が下落を続けていますので配当利回りが上昇しています。

日本製鉄と同様に業績好調の大きな要因は商品市況上昇の為、業績、配当の増減が激しく中長期の高配当株銘柄としては狙いにくいところです。

5位 NSユナイテッド海運(7.85%)、3位商船三井(11.73%)、2位日本郵船(13.1%)

昨年業績の大幅上方修正から大幅増配が続いた商船株からは前回同様3銘柄がランクインしていますが、前回ランクインしていた乾汽船はスタンダード市場へ移った為、代わりにNSユナイテッド海運が入っています。

海運株は各社とも年明けに発表した第3四半期決算で更なる業績の上方修正と増配を発表し、また株価は3月権利落ちを受けて下落していますので配当利回りは更に上昇し商船三井と日本郵船の配当利回りは10%を超えています。

下記に2022年3月期の商船3社の増配推移をまとめていますが、最近の増配額がいかに大きい水準だったかが分かると思います。

  • NSユナイテッド海運  40円(前期)→285円(第3四半期決算で発表)
  • 商船三井        50円(6月)→183円(7月)→266円(10月)→350円(1月)
  • 日本郵船        200円(7月)→700円(8月)→800円(11月)→1200円(2月)

※商船三井は3月末に株式を3分割しています

コロナからの経済回復需要にコンテナや人員の供給が追い付いておらず賃料UPが好業績に繋がりましたが、今期以降の動向は不透明な部分も大きい為、中長期の高配当株銘柄としてはNGにしています。

1位 明和産業(13.15%)

明和産業は、化学品、樹脂などを取り扱う専門商社です。

明和産業は2021年に2回の増配を発表した事と3月権利落ちを受けて株価が大きく下落した為、配当利回りは13%を超えています。

明和産業の増配は東証再編に絡み、プライム市場への選択方針決定を踏まえたものです。

現状流通株式時価総額についてプライム市場への基準を満たしていない為、流通株式時価総額の向上に向けた施策を進めいていくとの事で、増配により株価を上げ時価総額を上げたい意向です。

明和産業の前期配当性向は200%を超えており、今期も同水準の配当を維持できるか不透明な部分も大きい為、とりあえず4月28日発表予定の本決算で今期の配当予測をどの程度の数字で発表するのか確認したいところです。

プライム市場配当利回り上位10銘柄(2022年4月8日時点)

順位銘柄コード株価予想配当配当利回り評価備考
1明和産業810389711813.15×急激な増配が一時的な可能性が高くNG
2日本郵船91019160120013.10×業績・配当の増減が大きすぎ
3商船三井9104298335011.73×業績・配当の増減が大きすぎ
4JFEHD541116241408.62×業績・配当の増減が大きすぎ
5NSユナイテッド海運911036302857.85×業績・配当の増減が大きすぎ
6淺沼組185250503637.19配当性向70%
7JT291421411507.01ロシアウクライナ情勢を見守りたい
8ノーリツ鋼機774422051526.89110円は特別配当
9日本製鉄54012049.51406.83×業績・配当の増減が大きすぎ
10小野建741415131026.74業績・配当は割と安定傾向

それでは今回紹介した10銘柄を表にまとめていますが、今回おすすめ評価にしたのは小野建のみです。小野建の業績が伸びている要因は、日本製鉄やJFEHD同様に商品市況の上昇ですが、小野建の場合は商品市況上昇の恩恵を受ける前でも配当利回りは4%から5%付近で推移しており、業績や配当も安定傾向ですのでおすすめにしています。

その他の△評価にしている淺沼組、JT、ノーリツ鋼機はもう少し株価や業績、配当推移の様子を見たいかなというところです。

まとめ

今回はプライム市場の配当利回り上位10銘柄の投資判断を個別に検証しました。

3月期銘柄の権利が落ちて株価が下がっている事もあり、1ヶ月前の検証時と比較して全体的に配当利回りは上昇しています。

今回検証した銘柄だけでなく、高配当株は権利落ちで一時的に権利配当分以上の株価を下げるケースも多いですので、なかなか株価の下がらない高配当株などは権利落ちのタイミングが購入チャンスの場合もあります。

高配当株投資で1番大切な事は業績、配当の安定ですので、急激な業績回復や増配、配当性向が100%超えている銘柄は高配当銘柄として基本的にNGです。

業績回復や株主還元姿勢の高まりが一時的なものにならないか見極めながら引き続き銘柄検証を行っていきたいと考えています。

プライム市場配当利回り上位10銘柄の投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

【東証再編後初】プライム市場配当利回り上位10銘柄の投資判断を検証

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