8年前と比較して配当が3倍以上に増えている優良高配当株3選

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銘柄検証

最近の日本企業は以前と比較して株主還元力が向上しており、実際数年前と比較して配当が大きく増えている企業がたくさんあります。

そこで少し前に数年前と比較して配当が2倍以上になっている優良株の検証を行いましたが、今回は更にハードルを上げて8年前と比較して配当が3倍以上になっている優良高配当株を3銘柄個別に検証していきます。

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【8593】三菱HCキャピタル

最初の銘柄は三菱HCキャピタルです。

三菱HCキャピタルは、2021年4月に三菱UFJリースと日立キャピタルの合併により誕生した総合リース会社です。

事業内容は、法人・官公庁向けのファイナンスソリューションや航空機、自動車、海上コンテナなどのリース業に加え再生可能エネルギーの発電事業なども手掛けています。

そして販路も国内のみに限らず欧米を中心に海外でも売上を伸ばしており、国際的に展開している企業です。

直近決算

三菱HCキャピタルは8月10日に第1四半期決算を発表し、最終利益は320億円と前年同期比で約11億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比減益の要因は、前年同期に計上した政策保有株式の大口売却益約267億円剥落の為としています。

しかし、欧米子会社を中心とした事業の伸長や不動産関連の売却益が増加したことなどで通期進捗率は約29%と概ね計画通りに進捗しているとの事です。

通期最終利益(億円)

銘柄名三菱HCキャピタル
2019年3月期687
2020年3月期707
2021年3月期553
2022年3月期994
2023年3月期(会社予想)1100

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックで減益となった2021年以外は順調に増益傾向です。

2022年から急激に伸びている要因は日立キャピタルとの合併の影響もありますが、合併の影響がない今期の見込みも各事業の伸長や2021年11月に完全子会社化した米国の大手海上コンテナリース会社CAIの連結貢献などの影響で過去最高益見込みとしています。

また、ロシアのウクライナ侵攻による影響については、航空機リース事業はロシア、ウクライナ向けの債権は無く、その他の事業でもロシア向けに有している債権残高約5億円のほぼ全てを貿易保険でカバーしているとの事で直接の影響は限定的としています。

配当推移

銘柄名三菱HCキャピタル
2015年9.5
2016年12.3
2017年13
2018年18
2019年23.5
2020年25
2021年25.5
2022年28
2023年(会社予想)31

2015年からの配当推移を見ていきますが、業績を落とした2021年も増配を実施するなど株主還元姿勢の高さを感じます。そして増配については現在23期連続増配を継続中と日本でもトップ5に入る連続増配企業です。

三菱HCキャピタルの株主還元は配当によって行うことを基本とし、2023年4月にスタート予定の新中期経営計画期間中の配当性向イメージである40%程度に沿って配当額を決定する方針です。

そして配当額は2015年と比較すると8年で約3.2倍の水準に右肩上がりで増えており、高配当銘柄としては理想的な展開です。

株価推移

株価はコロナショックで445円まで下げた後は上下を繰り返しながら値を上げ、2021年3月に700円に迫る水準まで上昇しました。今年に入るとロシアのウクライナ侵攻を受けて3月頭に521円まで下げた後は上昇し、9月には再び700円に迫る場面もありましたが、直近は600円前後で推移しています。

株価指標(2022年10月21日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
三菱HCキャピタル85936288.20.64314.9440.4

最近の株価は直近の高値からは下落している事もあり、配当利回りは5%前後と高水準です。

PER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は現状40%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から三菱HCキャピタルの投資判断ですが、業績は順調に推移しており、配当も20年以上連続増配中な事に加え、配当利回りは5%付近と文句の付けられない銘柄です。

株価は直近の高値からは下落しており指標面も割安ですので、個人的にも三菱HCキャピタルは現在200株しか保有しておらず、NISA枠の関係で今年は購入できませんが、来年以降買い増したいと考えています。

【1419】タマホーム

2つ目の銘柄はタマホームです。

タマホームは住宅事業に特化しているハウスメーカーで、現状売上の約8割を住宅関連事業が占めています。

そして住宅の中でも注文建築の木造住宅に特化しており、価格が他のメーカーと比較して安い事や宣伝にも力を入れている事で近年急速に成長している企業です。

直近決算

タマホームは5月決算の為、10月11日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は19億円と前年同期比で約1億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

最終利益は前期とほぼ変わらない水準でしたが、第1四半期の受注状況は引き続き好調に推移しているとの事で住宅事業売上⾼は上場来過去最⾼を更新しており、売上⾼および営業利益は第1四半期として上場来過去最⾼の水準となっています。

通期最終利益(億円)

銘柄名タマホーム
2019年5月期39
2020年5月期51
2021年5月期71
2022年5月期82
2023年5月期(会社予想)84

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、ここ数年で大きく伸びている状況です。

業績好調の要因は、住宅取得支援策の実施やコロナ禍における生活様式の変化を背景に住宅取得への関心が高まり、新設住宅着工戸数が2020年夏頃より回復するなど、需要が堅調に推移した為としています。

しかし、今期についてはウクライナ情勢の深刻化によって、円安の進行や資源・原材料価格の上昇が進むなどの影響がある事に加え、中長期的には人口減少による国内住宅市場の縮小およびそれに伴う住宅着工戸数の減少などの懸念点があるとして現状微増益見込みとしています。

ここ数年はかなりのハイペースで業績が伸びていましたので、今後の業績動向には注目です。

配当推移

銘柄名タマホーム
2015年10
2016年10
2017年15
2018年30
2019年53
2020年70
2021年100
2022年125
2023年(会社予想)130

配当についても好調な業績と連動して大幅増配が続いており、今期の配当見込み130円は8年前と比較すると13倍に増えています。

タマホームの配当方針は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、経営成績に応じて株主の皆様への利益還元を継続的に行うことを基本方針としています。

具体的な配当性向などの数値目標はありませんが、好調な業績と共に配当も増え続けている感じです

株価推移

株価はコロナショックで898円まで下げましたが、2021年7月には3000円を超える水準まで上昇しています。その後、社長の社員に対するワクチン禁止令報道などで株価が大きく上下する場面もありましたが、最近は2000円台前半で落ち着いた動きになっています。

株主優待

タマホームには継続保有年数によってクオカードがもらえる株主優待がありますので、内容を表にまとめています。

タマホーム保有継続年数金額優待品
100株以上3年未満500円クオカード
3年以上1000円クオカード

金額はそこまで大きくないですが、5月と11月の年2回権利確定がある優待は珍しいかと思います。

株価指標(2022年10月21日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
タマホーム141922747.92.291305.7245.3

最近の株価は停滞が続いていますが、大幅増配を受けて配当利回りは5%後半と高水準です。

好調な業績を受けてPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は45%付近となっています。

投資判断

今までの内容からタマホームの投資判断ですが、業績、配当は順調に伸びており、6%近い配当利回りも魅力的です。

しかし、直近の業績に以前程の勢いは無くなっており、配当性向も50%近い水準ですので、今後も今までの様なペースで増配が続けられるかは不透明です。

以上の点からタマホームについては、今後の業績や配当の推移をもう少し見守りたいかなというところです。

【1820】西松建設

最後の銘柄は西松建設です。

西松建設は準大手のゼネコンで土木事業と建築事業が主軸となっており、ダムやトンネルなどの土木や物流施設、超高層ビルといったプロジェクトも手掛けています。

また、東南アジアに特化した海外展開やシンガポールでも地下鉄工事を受注するなど国際的に展開している企業です。

直近決算

西松建設は8月4日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は28億円と前年同期比で約10億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比減益の要因は、建設事業の受注高が繰越工事のうち第1四半期に進捗する工事が少なく減収となっている事に加え、前期好採算の大型工事が竣工した事や資源価格高騰の影響としています。

通期最終利益(億円)

銘柄名西松建設
2019年3月期187
2020年3月期187
2021年3月期171
2022年3月期151
2023年3月期(会社予想)160

2019年からの通期最終利益を見ていきますが、前期までは減益が続いている状況です。

そして今期は現状増益の見込みとしていますが、先程もお伝えした様に資源価格高騰の影響などで第1四半期は減益となっています。

資源価格高騰はまだ続いており第1四半期時点の通期進捗率は約17%ですので、今後の業績動向は気になるところです。

配当推移

銘柄名西松建設
2015年50
2016年80
2017年105
2018年95
2019年105
2020年105
2021年105
2022年221
2023年(会社予想)285

2015年からの配当推移を見ていきますが、2021年までは主に100円を挟んだ水準での推移でした。しかし、2022年の配当を前期の2倍以上へ増配し、今期は更に増配の見込みとしています。

西松建設の配当が急増した要因は、2021年に発表した「中期経営計画2023」で配当方針を見直した事によるものです。

2023年度までの中期経営計画中は、従来の配当性向30%以上から連結配当性向を継続的に70%以上にする方針へ大きく引き上げています。

配当方針の引き上げにより今期の配当見込み285円は、8年前と比較すると5倍以上に増えています。

株価推移

株価はコロナショックで1784円まで下げた後は、右肩上がりの状況です。そして今年の6月には4445円まで上昇しましたが、直近は高値からは売られ3000円台後半で推移しています。

株価指標(2022年10月21日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
西松建設182037459.20.982857.6170.3

最近の株価は高値から下落している事に加え大幅増配の影響で、配当利回りは7%超の高水準です。

PER、PBRは市場平均より割安で、配当性向は70%付近と方針通りの水準です。

投資判断

今までの内容から西松建設の投資判断について、業績は減益傾向ですが配当利回りは7%超と高配当株として惹かれる水準です。

しかし、途中でも触れた様に減益の要因である原材料費高騰は継続中の為、今後の業績推移は気になるところです。

現在の配当性向は70%と高水準で2024年度以降の配当方針も気になるところですので、懸念点も多いですが、もし今後業績の下方修正などで株価下がる場面があれば狙いたい様な気もします。

まとめ

今回は8年前と比較して配当が3倍以上になっている優良株というテーマで3銘柄を個別に検証しました。

8年という数字に特に意味はありませんでしたが、3銘柄とも3倍以上、タマホームに至っては13倍の水準へ配当が大きく増えています。

しかし、途中でも触れた様に直近の業績は少し微妙な銘柄もありましたので、今後も同様のペースで増配が続くかは分かりませんが、今回の3銘柄の様に少しずつでも増配を継続してくれる銘柄は、高配当株投資家にとって有難い限りです。

という事で今回紹介した3銘柄については、個人的にも今後の動向を見守りつつチャンスがあれば購入を検討したいと考えています。

配当が3倍以上になっている高配当株3選については、YouTube動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

8年前から配当が3倍以上に増えている優良高配当株3選

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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