最近の相場は強い動きが続いており、なかなか優良高配当株を安い株価で購入する事が難しくなっています。
その様な状況もあり、最近の日本企業は株主還元力向上で数年前と比較して配当が大きく増えている銘柄も多いですが、株価上昇により配当利回りが低下している銘柄も増えています。
今の様な強い相場の時は本来であれば株価の調整を待ちたいところですが、これだけ強い相場が続いていると、押し目を待っている間にどんどん株価が上がっていき配当利回りが低下する事で、結局購入できなくなるケースも出てくるかと思います。
そして高配当株投資の場合、厳密に配当利回り何%以上が高配当株という定義はありませんが、3%を一つの目安にしている場合も多いかと思います。
という事で今回は少し目先を変えて、現時点の配当利回りは3%に達していませんが、今後の増配や株価の調整で将来高配当株になりそうな5つの銘柄を検証していきます。
【2802】味の素
最初の銘柄は味の素です。
味の素は日本を代表する食品メーカーで、アミノ酸技術を核として商品名が社名にもなっている「うま味調味料」が主力商品です。
その他、冷凍食品や加工食品に加え、医薬品や飼料など食品以外の商品も手掛けています。
そして、直近の海外売上比率は7割に迫るほど国際的な企業です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 味の素 |
2020年3月期 | 188 |
2021年3月期 | 594 |
2022年3月期 | 757 |
2023年3月期 | 940 |
2024年3月期(会社予想) | 950 |
2020年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響も関係なく大きく増益が続いています。
2021年頃の業績が好調な要因は、調味料や食品、冷凍食品などの外食需要は減少しましたが、家庭用製品の増収効果や遊休資産売却などのためとしています。
2022年以降は原燃料高によるコスト増により調味料や食品、冷凍食品などは減益となりましたが、コロナからの経済回復やヘルスケアなどの伸長により大幅増益となっており、前期は過去最高益を記録しています。
今期も事業を取り巻く環境は引き続き厳しいとしていますが、 適切な施策を実行するとして、更に増益の見込みにしています。
配当推移
銘柄名 | 味の素 |
2015年 | 24 |
2016年 | 28 |
2017年 | 30 |
2018年 | 32 |
2019年 | 32 |
2020年 | 32 |
2021年 | 42 |
2022年 | 52 |
2023年 | 68 |
2024年(会社予想) | 74 |
2015年からの配当推移について、数年前までは30円前後の水準で変わりありませんでしたが、2021年以降は業績好調を背景に大きく増配となっており、今期予測は2015年と比較して3倍以上の水準になっています。
味の素の配当方針は今後も安定的に配当や株主還元の拡充を図っていくとしており、具体的な目安を配当性向40%、また2025年度までの中期経営計画中は累進配当の導入を発表しています。
株主優待
味の素には保有株数や保有継続年数によって味の素グループの製品詰め合わせがもらえる株主優待がありますので内容を表にまとめています。
保有株数 | 保有継続年数 | 金額 |
100株~500株未満 | 半年以上(100株) | 1500円相当 |
500株~1000株未満 | 半年以上(100株) | 3000円相当 |
1000株以上 | 半年以上(100株) | 4000円相当 |
1000株以上 | 3年以上(1000株) | 7000円相当 |
100株を半年以上継続保有が最低条件になっており、1000株を3年以上継続保有が最高ランクになっています。
株価推移
株価はコロナショックで1626円まで売られた後は、上下を繰り返しながらも右肩上がりです。
そして今年に入ると上昇ペースが加速し、直近は5000円台で推移しています。
株価指標(2023年8月4日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
味の素 | 2802 | 5518 | 30.2 | 3.62 | 74 | 1.34 | 40.5 |
ここ数年の増配ペースに勢いは出ていますが、株価も上昇している事で配当利回りは1%台となっています。
業績は増益が続いていますがPER、PBRは市場平均よりも割高で、配当性向は40%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容から味の素の投資判断について、日本を代表する企業で業績も順調に推移しているなか、累進配当導入により今後の増配にも期待できそうです。
しかし、現状の配当利回り1%台では、高配当株として寂しすぎます。
最近の株価もかなりの高値圏である事を踏まえると、味の素については今後の増配や株価の調整を待ちつつ、せめて配当利回りが2%台に乗るまでは様子を見たいところです。
【9989】サンドラッグ
2番目の銘柄はサンドラッグで、ドラッグストア「サンドラッグ」をチェーン展開しています。
「サンドラッグ」は全国に店舗を展開しており、またグループ会社まで含めた店舗数は約1400店舗と業界第4位となっています。
そして、九州を中心にディスカウントストアの「ダイレックス」も300店舗以上運営しています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | サンドラッグ |
2020年3月期 | 236 |
2021年3月期 | 253 |
2022年3月期 | 238 |
2023年3月期 | 257 |
2024年3月期(会社予想) | 263 |
2020年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響も関係なく250億円前後で安定しています。
2022年の業績は感染症予防対策商品や食料品・日用品などの巣ごもり消費需要の反動減に加え、化粧品需要の長期減少などの影響で減益になっていますが、前期はインバウンド需要の回復や風邪薬・花粉症関連商材などの需要増加に加え、節電対策などの経費コントロールにより過去最高益を記録しています。
今期業績は原材料価格の高騰や同業他社との出店競争など厳しい経営環境は継続見込みとしていますが、プライベートブランド商品の開発や品揃えの充実、IT・デジタル推進による生産性向上などにより、更に増益の見込みにしています。
配当推移
銘柄名 | サンドラッグ |
2015年 | 30 |
2016年 | 42.5 |
2017年 | 50 |
2018年 | 60 |
2019年 | 66 |
2020年 | 68 |
2021年 | 70 |
2022年 | 71 |
2023年 | 100 |
2024年(会社予想) | 114 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく増配が継続しており、連続増配は前期までで21期連続となっています。
そして最近は増配幅も大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると4倍近い水準です。
サンドラッグの配当方針は、事業成長につながる積極投資と株主還元策を検討しながら、 持続的な企業価値向上をめざした経営判断と戦略遂行に務めるとしており、具体的な目安を配当性向50%としています。
株主優待
サンドラッグには株主優待で設定されており、100株以上の保有でプライベートブランド12種の中から1種類が選べる無料引換券や2000円分の優待券がもらえますので、サンドラッグをよく利用する人にとっては有難い株主優待です。
株価推移
株価は2018年に5700円付近まで上昇していましたが、2019年には2676円まで下落しています。
その後は2000円台半ばから4000円付近の間で推移しており、直近は4000円付近まで上昇しています。
株価指標(2023年8月4日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
サンドラッグ | 9989 | 4113 | 18.3 | 2.04 | 114 | 2.77 | 50.7 |
最近の配当は大きく増配となっていますが、株価もここ数年の高値付近まで上昇していますので配当利回りは2%台で推移しています。
今期業績は増益見込みですがPERに割安感はなく、配当性向は50%付近と方針通りの水準です。
投資判断
今までの内容からサンドラッグの投資判断について、直近の業績は増益が続いているなか、20年以上増配を継続するほど株主還元力も抜群です。
そして最近の株価はここ数年の高値圏で推移していますが、ドラッグストアやディスカウントストアの需要は今後も高まっていく事が想定されます。
以上の点を踏まえると、現状の配当利回りは2%台ですが、今後の増配を期待して狙いたくなる銘柄です。
【7504】高速
3番目の銘柄は高速です
高速は包装資材の専門商社で本社は仙台市となっています。
食品容器やトレー、弁当容器などの食品用資材や紙製品やラベルなどの工業包装資材なども手掛けています。
そして、スーパーやコンビニエンスストアの食品をトレーやフィルムで包む「プリパッケージ」包装資材の商品企画から配送なども行っています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 高速 |
2020年3月期 | 22 |
2021年3月期 | 24 |
2022年3月期 | 26 |
2023年3月期 | 29 |
2024年3月期(会社予想) | 30 |
2020年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックも関係なく順調に増益が続いています。
2021年頃は、コロナショック感染拡大による「巣籠り消費」で内食需要が増加した事などにより増益となっており、前期は原料価格高騰や燃料費高騰の影響があるなか、商品の安定供給や企画の提案、情報提供を継続した事で過去最高益を記録しています。
そして、今期も好調な流れは継続する見込みとして、更に増益の予測にしています。
配当推移
銘柄名 | 高速 |
2020年3月期 | 22 |
2021年3月期 | 24 |
2022年3月期 | 26 |
2023年3月期 | 29 |
2024年3月期(会社予想) | 30 |
2015年からの配当推移について、減配はもちろん据え置きの年すらなく増配が継続しておおり、連続増配は前期までで19期連続となっています。
また、2021年の配当は創業55周年の記念配当が11円出ていましたが、2022年以降は普通配当のみで増配を継続しています。
高速の配当方針は長期的に売上高及び利益を向上させ、その利益に見合った配当を安定的に継続することが、経営の最重要課題としています。そして具体的な目安として、これまで継続してきた増配をさらに継続し、2025年度で22期連続増配を目指す方針です。
株主優待
高速には保有株数によってクオカードやカタログギフトがもらえる株主優待がありますので、内容を表にまとめています。
保有株数 | 金額 | 優待内容 |
100株~300株未満 | 500円 | クオカード |
300株~500株未満 | 3000円相当 | カタログギフト |
500株~1000株未満 | 5000円相当 | カタログギフト |
1000株以上 | 1万円相当 | カタログギフト(2冊) |
今の株価なら100株で20万円くらいから購入できますので、最高ランクの株主優待も現実的な水準です。
株価推移
株価はコロナショックで968円まで値を下げましたが、その後は停滞する時期を挟みながら上昇しています。
そして去年後半以降は上昇ペースが加速し、直近は上場来高値の2000円付近で推移しています。
株価指標(2023年8月4日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
高速 | 7504 | 2007 | 12.6 | 1.12 | 48 | 2.39 | 30.1 |
配当は増配が続いていますが、最近の株価は上場来の高値圏付近で推移しているため配当利回りは2%台となっています。
業績は増益が続いていますがPER、PBRに割安感はなく、配当性向は30%付近と余裕を感じる水準です。
投資判断
今までの内容から高速の投資判断について、会社規模や株式の出来高はそこまで大きくないですが、増益が続く業績や20年近く増配が続く株主還元力は魅力的です。
そして、包装資材に特化している事業内容や現在の余裕ある配当性向を考慮すると、今後の増配も期待できそうです。
以上の点を踏まえると、最近の株価は上場来の高値付近で推移している事もあり配当利回りは2%台ですが、将来の高配当株化を期待して購入候補にしておきたい銘柄です。
【9037】ハマキョウレックス
4番目の銘柄はハマキョウレックスです。
ハマキョウレックスは物流サービス会社で3PLのパイオニアとして物流センター事業や貨物自動車運送事業を展開しています。
ちなみに3PLとは「3rd Party Logistics」の略称で、お客様の物流全般を包括的に請け負う事で最適な物流通を提案し、物流費圧縮や業務効率化を実現する取り組みです。
そんな3PLサービスで、アパレルや医療機器、ECなどの物流を手掛けています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | ハマキョウレックス |
2020年3月期 | 62 |
2021年3月期 | 64 |
2022年3月期 | 71 |
2023年3月期 | 74 |
2024年3月期(会社予想) | 77 |
2020年からの通期最終利益について、コロナショックの影響も関係なく順調に増益が続いています。
業績好調の要因について、2021年頃は新規荷主獲得や新規子会社取得などのためとしており、前期は物流センター事業での運営充実や新規稼働したセンターが順次業績に寄与している事に加え、M&A効果のためとしており、過去最高益を記録しています。
そして、今期も好調な流れは継続する見込みとして、更に増益の予測にしています。
配当推移
銘柄名 | ハマキョウレックス |
2015年 | 22 |
2016年 | 27.5 |
2017年 | 40 |
2018年 | 45 |
2019年 | 65 |
2020年 | 70 |
2021年 | 75 |
2022年 | 85 |
2023年 | 95 |
2024年(会社予想) | 100 |
2015年からの配当推移について、減配はもちろん据え置きの年すらなく増配が継続しておおり、連続増配は前期までで17期連続となっています。
そして最近は増配幅も大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると5倍近い水準です。
ハマキョウレックスの配当方針は、事業拡大による収益向上を図ることで株主の皆様へも安定的な配当を行うとしており、中長期的には配当性向30%を目指す方針です。
株価推移
株価はコロナショックで2208円まで売られた後は、停滞する時期も挟みながらじわじわ上昇しています。
そして今年春以降は上昇ペースが加速し、直近は4000円付近まで値を上げています。
株価指標(2023年8月4日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ハマキョウレックス | 9037 | 3885 | 9.5 | 0.93 | 100 | 2.57 | 24.4 |
配当は増配を継続していますが、最近の株価上昇を受けて配当利回りは2%半ばとなっています。
業績も増益が続いている事でPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は24%付近と余裕を感じる水準です。
投資判断
今までの内容からハマキョウレックスの投資判断ですが、業績は増益が続いているなか、配当も20年近く連続増配を継続しています。
そして、物流事業に特化している事業内容や余裕を感じる配当性向からも、今後の増配への期待が高まります。
以上の点を踏まえると、最近の株価はじわじわ上昇していますが、今後の増配を期待して今のうちに購入しておく事も1つの手かと思います。
【7466】SPK
最後の銘柄はSPKです。
SPKは自動車や産業、建設機械の部品を中心に取り扱っており、メーカー、モデルを問わず、あらゆる国産車、輸入車を対象に補修部品などを供給しています。
販路は国内のみに限らず、80か国、350社以上の顧客に高品質な自動車用補修部品を提供しています。
そして、海外への売上比率は3割を超えるほど国際的な企業です。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | SPK |
2019年3月期 | 14 |
2020年3月期 | 15 |
2021年3月期 | 13 |
2022年3月期 | 16 |
2023年3月期 | 20 |
2024年3月期(会社予想) | 21 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響で大きく減益となった2021年以外は順調に増益傾向です。
前期業績好調の要因は、仕入価格の上昇や物流費の高騰などにより一部に苦戦を強いられましたが、好調な輸出に加え販売価格の見直しなどの効果が着実に表れたためとしており、過去最高益を記録しています。
そして今期も好調な流れは継続する見込みとして更に増益予測にしているなか、第1四半期時点の通期進捗率は33%と好調を維持しています。
配当推移
銘柄名 | SPK |
2015年 | 29.5 |
2016年 | 30.5 |
2017年 | 31.5 |
2018年 | 32.5 |
2019年 | 33.5 |
2020年 | 36 |
2021年 | 37 |
2022年 | 40 |
2023年 | 44 |
2024年(会社予想) | 50 |
2015年からの配当推移について、数年前までは年間1円ずつの増配でしたが、前期は4円、今期は6円の増配見込みと以前と比較して増配ペースに勢いが付いています。
SPKの配当方針は連続増配も意識しながら、業績に連動した従来以上に積極的な株主還元に努めるとしています。
SPKの配当は前期までで25期連続増配と事実上累進配当の様な銘柄ですが、今期の配当方針には「連続増配も意識しながら」の文言が新たに付け加えられていますので、今後の増配も期待できそうです。
株価推移
株価はコロナショックで1112円まで売られた後は1500円を超える水準まで急速に戻しました。
その後は1400円付近で停滞する時期が長かったですが、今年に入ると右肩上がりとなっており、また今回の決算を受けて株価は2000円付近まで急騰しています。
株価指標(2023年8月4日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
SPK | 7466 | 1945 | 9.1 | 0.86 | 50 | 2.57 | 23.4 |
増配は継続していますが、最近の株価は急激に上昇している事もあり配当利回りは2%半ばとなっています。
業績は順調に推移していますのでPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は23%付近と余裕を感じる水準です。
投資判断
今までの内容からSPKの投資判断ですが、業績は順調に推移しているなか20年以上連続増配を続けるほど株主還元力は抜群です。
そして今年から配当方針に付け加えられた「連続増配も意識しながら」の文言や現在の余裕のある配当性向を考慮すると、今後の増配も期待できそうです。
最近の株価は上昇しており配当利回りも2%台まで低下していますが、直近のペースで増配が続けば、今の株価でも来年には配当利回り3%を回復する可能性もありますので、先回りして購入しておいても良いかもしれません。
まとめ
今回は現時点の配当利回りは高配当株の目安とされている3%を下回っていますが、今後の増配や株価調整で将来高配当株になりそうな5つの銘柄を検証しました。
5銘柄とも順調に増配が継続しているなか最近の株価上昇もあり、配当利回りは3%を下回っている状況です。
しかし、今までの配当推移や現在の配当性向、配当方針を踏まえると、今後の増配も十分期待できそうな5銘柄でしたので、購入時点の配当利回りは低くなりますが、少し目先を変えて購入候補にしておく事も1つの方法の様に感じました。
将来高配当株になりそうな銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。
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