今回は32期連続増配と日本記録を更新中の花王について本決算内容を中心に現状や今後を検証し高配当銘柄として購入可能か検討していきたいと思います。
花王の現状
まず花王の現状を簡単にまとめていきます。
花王は、アタックなどでお馴染みの洗剤や石鹸、ボディソープなどのトイレタリー商品、また化粧品など普段の生活で使用する商品を製造、販売する日用品メーカーです。
歴史のある会社でCMなどでも目にする事が多い為、日本人で知らない人はいないくらい有名なメーカーだと思います。
そんな花王の現状ですが、コロナ感染が拡大した2020年はハンドソープ、手指消毒液などの衛生関連商品の特需がありましたが、化粧品のインバウンド需要消滅や最近の原材料費高騰で業績は厳しい状態が続いています。
花王の直近決算等
ここからは花王の直近決算を検証していきますが、花王は12月決算の為、2月3日に本決算を発表しています。
花王の本決算ですが、最終利益は1096億円と前年から165億円の減益になっています。
2021年の年間配当は従来予想通りの144円で変更はありません。
2022年の予測は最終利益1170億円と前期より74億円の増益、配当は4円増の年間148円へ増配となっています。
業績低迷の要因は、2020年のコロナ感染対策による衛生関連商品特需の反動や化粧品はインバウンド需要の消滅、また原材料価格高騰の影響としています。
株価推移
花王の株価は、2018年と2020年の前半に9000円を超える場面がありましたが、そこからは下落が続いています。特にここ2年くらいは右肩下がりの状態が続いており、低迷する業績と共に株価も厳しい状況です。
最終利益推移(億円)
銘柄名 | 花王 |
2018年12月期 | 1536 |
2019年12月期 | 1482 |
2020年12月期 | 1261 |
2021年12月期 | 1096 |
2022年12月期(会社予想) | 1170 |
花王の2018年からの最終利益推移をまとめていますが、減少傾向が続いており、特に2020年以降は減少幅が大きいです。
業績低迷の要因として、化粧品はインバウンド需要激減に加え、コロナ禍でマスクをする事によるメイク品の売上低迷、小売店の臨時休業や外出規制の影響としています。
配当推移
銘柄名 | 花王 |
2015年 | 80 |
2016年 | 94 |
2017年 | 110 |
2018年 | 120 |
2019年 | 130 |
2020年 | 140 |
2021年 | 144 |
2022年(会社予想) | 148 |
花王の2015年からの配当推移をまとめています。低迷する業績とは関係なく、配当は増配が続いています。
しかも、花王は冒頭で触れた様に2021年迄で32期連続増配の日本記録を継続中で、2022年も現状4円増配見込みですので記録を更新予定です。
花王の配当方針は、安定的・継続的な配当の実施を通じた利益還元を重視としており、具体的な数値としては配当性向40%を目標にしています。
花王の株価等指標(2022年2月25日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
花王 | 4452 | 5280 | 21.4 | 2.59 | 148 | 2.80 | 59.9 |
花王の株価等指標ですが、配当利回りは株価が右肩下がりの中、増配を続けていますので2%後半の水準まで上昇しています。しかし、業績が低迷するなかでの増配の為、配当性向が60%付近まで上昇していますので、徐々に気になり始める水準となっています。
また、PERは21.4倍、PBRで2.59倍と市場平均よりも割高な数値となっています。
花王の今後
花王の今後ですが、経営戦略に基づく3領域の資本配分として下記領域を掲げています。
安定収益領域
衣料用洗剤や食器用洗剤を取り扱うファブリックケア事業やホームケア事業を高収益コア事業として的確な投資を行い、利益貢献を重視
成長ドライバー領域
化粧品事業や殺菌や洗浄用途の油脂誘導体製品を取り扱うケミカル事業を成長戦略のための投資により売上成長と利益拡大を実現
事業変革領域
ヘアケア事業や健康飲料事業などは、オンリーワン価値を目指し、厳選した投資により効率よく利益を創出
また花王は、中期経営計画「K25」として2025年度までの経営方針を示しており、注力事業の今後の方向性として衣料用洗剤の圧倒的No1や柔軟仕上げ剤の日本No1奪還を掲げています。
花王の投資判断
今までの点をもとに花王の投資判断ですが、洗剤や化粧品という取り扱い商品の性質上、人口減少が見込まれる国内で今後飛躍的に売上を伸ばしていく事は難しそうに感じます。コロナ前は化粧品などがインバウンド需要で好調でしたが、コロナが収束したとしてもインバウンド需要が元に戻るかは不透明です。
そこで花王は海外展開も進めており、中国や欧州、欧米で売上を伸ばしていますが、他社メーカーとの競合もあり、こちらも今後の動向は不透明です。
また、業績低迷でも増配を続けている事や株価の下落もあり配当利回りは2%後半まで上昇していますが、配当性向も目標の40%を大きく上回る60%付近まで上昇しており、こちらも今後の懸念点です。
個人的な見解ですが、花王の配当は連続増配日本一という記録がネックになってきている様な気もします。もちろん連続増配は投資家にとって有難い事ですが、裏付けとなる業績がなく、記録にこだわり続けると将来的に厳しくなることは明らかです。
その様な状況を踏まえ花王については、色々な意味でもう少し様子を見たいというのが正直な感想です。
日本を代表するメーカーであり、株主還元姿勢も強い銘柄ですので、今後の動向について期待を込めて見守りつつ、チャンスがあれば将来的には狙っていきたいと考えています。
花王の投資判断はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧下さい。
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