高配当株投資の基本は10年、20年という長期間に渡って株式を保有して配当を受け取る事です。しかし株式を長く保有していると予期せぬ暴落に襲われる事もありますし、その逆に株価の値上がりで含み益が大きくなり、売却して利益を確定させたくなる場面があるかもしれません。
特に株価が上昇した場合は一旦売却して、また下がったタイミングで買い直そうと思ってしまいがちですが、その様な場合に限って売却後、株価は上昇していくケースも多いです。
もちろん株式市場には「利食い千人力」という適度に利益を確定させる事をすすめる格言もありますが、長年放置されていた口座の方が、結果的に資産が増えているというデータもあります。
しかし、頭では分かっていても実際に行動に移す事が難しいのが人生です。
私も購入した株式を売却するつもりはなく永久に保有するつもりですが、株価が大きく上下するタイミングでは心が揺れる事もあります。
そこで今回は保有銘柄や現在購入を検討している銘柄を中心に、永久に保有できるポイントを5つのテーマに分類し、その銘柄の良い部分だけを確認する事で購入した時に心に誓った「永久保有」の気持ちを改めて思い出していきたいと思います。
安定した配当
まず1つ目の永久保有ポイントは安定した配当です。
配当を目的に購入していますので当たり前にはなりますが配当が安定している事は大きな永久保有ポイントです。
そこでまずは長期的に配当が安定している2銘柄を見ていきます。
【5020】ENEOS
配当が安定している最初の銘柄はENEOSです。
ENEOSは原油を精製し石油製品として販売する石油元売り会社で、ガソリンスタンドとしても馴染みがあるかと思いますが、石油元売り銘柄の業績は原油価格に大きく左右されます。
実際最近も原油価格などの影響で業績の上方修正と下方修正を繰り返すなど安定感はありませんが、業績に関係なく配当は安定しています。
配当推移
銘柄名 | ENEOS |
2015年 | 16 |
2016年 | 16 |
2017年 | 16 |
2018年 | 19 |
2019年 | 21 |
2020年 | 22 |
2021年 | 22 |
2022年 | 22 |
2023年(会社予想) | 22 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、2020年からは22円で変わっていないです。
ちなみに2020年からの業績はコロナショックによる原油価格の変動などにより大きく上下しており、赤字に転落した年もあります。
ENEOSの配当方針は株主への利益還元が経営上の重要課題であるとの認識のもと、中期経営計画(2022年度迄)中の配当は現状を下回らない配当水準とし、また総還元性向を3ヵ年累計の在庫影響を除き当期利益の50%以上としていますので、原油価格の上下によって生じた利益は配当原資に含めない方針です。
この様な配当方針のもと業績に関係なく配当は安定していますが、現在の配当方針は前期までとなりますので今期以降の配当方針は気になるところです。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ENEOS | 5020 | 484.1 | 10.4 | 0.52 | 22 | 4.54 | 47.4 |
業績の増減に関わらず配当が安定しているなか株価も安定しているため、配当利回りは4%半ばと高水準です。
前期業績は大幅減益見込みとなっていますがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は47%付近となっています。
ENEOSについては途中でも触れた様に原油価格などにより業績は大きく上下していますが、業績に関わらず配当は安定しており、また株価も第3四半期決算の大幅下方修正を受けても10円程度しか下がらないほど落ち着いています。
業績に関係なく安定した配当を出し続けているENEOSは、やはり永久に保有したい銘柄です。
【4502】武田薬品工業
配当が安定している2番目の銘柄は武田薬品工業です。武田薬品工業は日本の医薬品企業の中で売上はトップの国内最大手医薬品メーカーで、現在約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点があります。
武田薬品工業も業績は新薬の治験中止や突如買収絡みの費用が発生する事などで大きく上下しますが、配当は安定しています。
配当推移
年 | 配当金 |
2015年 | 180 |
2016年 | 180 |
2017年 | 180 |
2018年 | 180 |
2019年 | 180 |
2020年 | 180 |
2021年 | 180 |
2022年 | 180 |
2023年3月期(会社予想) | 180 |
2015年からの配当推移をみていきますが、年間配当は毎年180円です。配当は遡ると2009年から10年以上180円で変わっておらず、30期以上減配はしていません。
武田薬品工業の株主還元方針は、売上と利益が中期的に伸長していくことを見込んでおり、1株当たり年間配当金180円の確立された配当方針を維持した上、自己株式の取得は適切な場合に取り組むとしています。
武田薬品工業は先程のENEOSよりも更に長い10年以上、配当額が変わっていませんが、この間も業績は大きく上下しており、配当性向が100%を超える様な年もありましたので配当の安定感は際立っています。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
武田薬品 | 4502 | 4580 | 23.2 | 1.15 | 180 | 3.93 | 91.1 |
最近の株価はここ数年の中では高値圏ですが配当が安定している事もあり、配当利回りは4%前後の水準です。
前期業績は大幅増益見込みですがPERに割安感はなく、配当性向は91%付近とかなりの高水準です。
武田薬品工業についても業績は大きく増減を繰り返すなか、180円の確立された配当方針のもと配当性向が100%を超えようと10年以上現在の水準を維持していますので、個人的にはまだ保有していませんが、永久に保有したい銘柄です。
右肩上がりの配当
2つ目の永久保有ポイントは右肩上がりの配当です。
先程は配当が安定している2銘柄を見ましたが、やはり理想を言えば配当は右肩上がりの方が嬉しいです。という事でここからは配当が右肩上がりの3銘柄を見ていきます。
【1925】大和ハウス
右肩上がりの配当最初の銘柄は大和ハウスです。大和ハウスは大阪が本社の住宅総合メーカーで住宅の他に商業施設や事業施設も手掛けており、また現在25の国と地域で地域密着型の事業を展開するなど海外への進出も注力しています。
最近の業績はアメリカの住宅価格上昇や住宅ローン金利の上昇に加え、国内でも今後の利上げ懸念など不安な材料はありますが、配当は右肩上がりの状況です。
配当推移
銘柄名 | 大和ハウス |
2015年 | 60 |
2016年 | 80 |
2017年 | 92 |
2018年 | 107 |
2019年 | 114 |
2020年 | 115 |
2021年 | 116 |
2022年 | 126 |
2023年(会社予想) | 130 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配傾向です。ちなみに業績はコロナショック時に落ち込んだ時はありましたが基本的に横ばいでしたので、業績と比較すると順調な増配ペースです。
大和ハウスの配当方針は連結当期純利益35%以上として業績に連動した利益還元を行い、かつ2026年度までの第7次中期経営計画期間は一株当たり配当金額の下限を130円としています。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
大和ハウス | 1925 | 3440 | 7.4 | 1.04 | 130 | 3.78 | 27.7 |
配当は順調に増配が続くなか、最近の株価は4月末に業績の上方修正があった事で上昇していますので、配当利回りは3%後半となっています。
業績の上方修正もありPERは市場平均と比較して割安で、配当性向は28%付近となっています。
大和ハウスについては今後の住宅市場に懸念点もありますが、配当は2026年度までの下限を設定したうえで増配傾向が続いています。配当性向にもまだ余裕があり、今後の増配にも期待できますので永久に保有したい銘柄です。
【2503】キリンHD
右肩上がりの配当2番目の銘柄はキリンHDでキリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリングループの持株会社です。
ここ数年の業績は度重なる緊急事態宣言の影響による休業要請や外出自粛に加え、政情不安が続くミャンマー市場の問題もあり厳しい状況が続いていましたが、配当は安定して増配傾向です。
配当推移
銘柄名 | キリン |
2015年 | 38 |
2016年 | 39 |
2017年 | 46 |
2018年 | 51 |
2019年 | 64 |
2020年 | 65 |
2021年 | 65 |
2022年 | 69 |
2023年(会社予想) | 69 |
キリンHDの2015年からの配当推移について、たまに据え置きの年はありますが減配はなく安定して増え続けています。
最近の業績はコロナショックなどの影響で大きく低迷する時期もあり、配当性向が90%を超える様な年もありましたので業績を踏まえると順調に増配している印象です。
キリンHDの配当方針は、株主の皆様への適切な利益還元を経営における最重要課題の一つと考えており、具体的な目安を配当性向40%以上とし中長期的な利益成長に応じた安定的かつ継続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指すとしています。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
キリン | 2503 | 2198.5 | 15.8 | 1.82 | 69 | 3.14 | 49.5 |
最近の株価は安値圏からじわじわ上昇していますが配当も徐々に増えていますので、配当利回りは3%台前半です。業績は回復傾向ですがPERに割安感はなく、配当性向は50%付近となっています。
キリンHDのここ数年の業績はコロナショックやミャンマー問題などかなりイレギュラーな要因に影響を受けましたが、今後コロナからの経済回復が進んでいけば更に業績が伸びていく事も期待できます。
そしてここ数年業績が苦しんだなかでも減配はせず増配の姿勢を示してくれましたので、永久に保有したい銘柄です。
【7466】SPK
右肩上がりの配当3番目の銘柄はSPKです。
SPKは自動車や産業、建設機械の部品を中心に取り扱っており、メーカー、モデルを問わず、あらゆる国産車、輸入車を対象に補修部品などを供給しています。
販路は国内のみに限らず、80か国、350社以上の顧客に高品質な自動車用補修部品を提供しているためコロナショックで業績を落とす時期もありましたが、配当は前期までで25年連続増配を継続中です。
配当推移
銘柄名 | SPK |
2015年 | 29.5 |
2016年 | 30.5 |
2017年 | 31.5 |
2018年 | 32.5 |
2019年 | 33.5 |
2020年 | 36 |
2021年 | 37 |
2022年 | 40 |
2023年 | 44 |
2024年(会社予想) | 50 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、SPKは2020年に株式を2分割していますので2020年より前の配当は分割調整した数字です。
数年前までは年間1円ずつの増配でしたが、2022年は3円、前期は4円の増配、そして昨日発表した本決算で今期は6円の増配見込みと発表しており、連続増配は前期までで25年連続増配を継続中と国内でもトップ5に入る水準です。
SPKの配当方針は、連続増配も意識しながら業績に連動した従来以上に積極的な株主還元に努めるとしています。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
SPK | 7466 | 1842 | 8.6 | 0.83 | 50 | 2.71 | 23.4 |
連続増配を継続中ですが最近の株価は上昇傾向ですので、配当利回りは2%半ばまで低下しています。直近の業績は順調に推移していますのでPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は23%付近と余裕を感じます。
SPKについて業績や会社の規模感では他の高配当株と比較して見劣りする部分もありますが、20年以上連続増配を続ける株主還元力や現状の配当性向の低さから、今後の増配も期待できますので永久に保有したい銘柄です。
右肩上がりの配当と業績
3つ目の永久保有ポイントは右肩上がりの配当に加え右肩上がりの業績です。
先程は配当が右肩上がりの3銘柄を検証しましたが、できれば配当だけでなく業績も右肩上がりの方が永久保有ポイントは高まります。そこでこのパートでは配当に加え業績も右肩上がりの3銘柄を見ていきます。
【8566】リコーリース
右肩上がりの配当、業績最初の銘柄はリコーリースです。
リコーリースは複合機やパソコンなどのオフィス関連機器に加え、医療機器や産業工作機械、計測器などのファイナンス・リースや法人向けに融資を行っているリコー系のリース会社です。
コロナショックで業績を大きく落とすリース銘柄もありましたが、リコーリースの業績はコロナショックも関係なく増益が続いており配当も右肩上がりです。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | リコーリース |
2019年3月期 | 119 |
2020年3月期 | 118 |
2021年3月期 | 120 |
2022年3月期 | 134 |
2023年3月期(会社予想) | 135 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響も関係なく順調に増益が続いており、特に2022年は大きく伸びています。
業績好調の要因は、資産利回り改善の継続やレンタル事業の伸長により各セグメントの利益はいずれも計画を達成し、過去最高益を更新したためとの事です。
前期も更に増益見込みとしているなか、第3四半期時点の通期進捗率は90%を超えていますので本決算での更なる上積みも期待できそうです。
配当推移
銘柄名 | リコーリース |
2015年 | 50 |
2016年 | 55 |
2017年 | 60 |
2018年 | 70 |
2019年 | 80 |
2020年 | 90 |
2021年 | 100 |
2022年 | 120 |
2023年(会社予想) | 135 |
2015年からの配当推移を見ていきますが好調な業績を背景に増配傾向が続いており、特に最近の増配幅は業績好調を背景に大きくなっています。
そして連続増配は2023年までで28期連続の記録を更新見込みとなっています。
リコーリースの配当方針は2022年度までの中期経営計画の目標として、配当性向30%を目指すとしていますが、現在の配当方針は前期までとなりますので今期以降の配当方針は気になるところです。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
リコーリース | 8566 | 3920 | 9.0 | 0.58 | 135 | 3.44 | 30.8 |
最近の株価はじわじわ上昇していますが継続して増配している事で、配当利回りは3%半ばとなっています。業績好調によりPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は31%付近と方針通りの水準です。
リコーリースについては業績、配当が右肩上がりで成長しているなか、クオカードがもらえる株主優待を含め株主還元力も抜群ですので、何の文句もなく永久に保有したい銘柄です。
【9433】KDDI
右肩上がりの配当、業績2番目の銘柄はKDDIです。
KDDIはNTT、ソフトバンクと並ぶ大手通信会社で、最近の業績は通信料金値下げや大規模通信障害の問題を抱えながらも、DXや金融事業などの成長領域部門でカバーし増益が続いています。
増益が続く業績と連動する様に配当も右肩上がりの状況で、現在20年以上増配を継続しています。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | KDDI |
2018年3月期 | 5725 |
2019年3月期 | 6176 |
2020年3月期 | 6397 |
2021年3月期 | 6514 |
2022年3月期 | 6724 |
2023年3月期(会社予想) | 6880 |
2018年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックも関係なく増益が続いています。通信会社は景気の動向に業績が左右されにくいディフェンシブ銘柄とされていますが、この間も通信料金値下げや大規模通信障害の問題はありましたので、よく増益を維持できている印象です。
増益を維持できている要因は、先程も触れた様にDXや金融事業などの通信事業以外の分野が成長しているからで、飽和状態である国内の携帯事業を考慮すると今後もこの流れは継続していく可能性が高そうです。
配当推移
銘柄名 | KDDI |
2015年 | 56 |
2016年 | 70 |
2017年 | 85 |
2018年 | 90 |
2019年 | 105 |
2020年 | 115 |
2021年 | 120 |
2022年 | 125 |
2023年(会社予想) | 135 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、据え置きの年すらなく順調に増配が継続しており、20年以上増配を継続しています。
増配額も10円以上と大きい年が多く、2015年と比較すると2倍以上の水準に増えています。
KDDIの配当方針は配当性向40%超と利益成長に伴うEPS成長の相乗効果により、今後も持続的な増配を目指すとしています。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
KDDI | 9433 | 4273 | 13.4 | 1.84 | 135 | 3.16 | 42.4 |
直近の株価はじわじわ上昇していますが増配を継続しているため、配当利回りは3%前半となっています。業績も増益が続いていますがPERに割安感はなく、配当性向は42%付近と方針通りの水準です。
KDDIについて業績は順調に増益が続いているなか、配当も20年以上増配を継続しています。景気の動向に業績が左右されにくいディフェンシブ株である事も含め、永久に保有したい銘柄です。
【8001】伊藤忠
右肩上がりの配当、業績3番目の銘柄は総合商社の伊藤忠で三菱商事や三井物産と並ぶ5大総合商社の一角とされています。
伊藤忠は従来から繊維や食品などの非資源部門に強みを持っていますが、ここ数年の業績は商品市況上昇に円安の追い風も加わり好調な状況が続いています。
また、最近はウォーレン・バフェット氏が更なる商社株の買い増しを検討していると報じられた事でも話題になりました。
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 伊藤忠 |
2019年3月期 | 5005 |
2020年3月期 | 5013 |
2021年3月期 | 4014 |
2022年3月期 | 8202 |
2023年3月期(会社予想) | 8000 |
2019年からの通期最終利益を見ていきますが、コロナショックで2021年は減益となっていますが、2022年からの業績は商品市況上昇の影響などで過去最高益の水準へV字回復しています。
前期は現状減益見込みとしていますが、機械、エネルギー・化学品、住生活を中心とした非資源分野での更なる伸⾧や円安の影響により、第3四半期時点の通期進捗率は85%付近と順調に推移していますので、5月の本決算で過去最高益を更に更新できるかもしれません。
配当推移
銘柄名 | 伊藤忠 |
2015年 | 46 |
2016年 | 50 |
2017年 | 55 |
2018年 | 70 |
2019年 | 83 |
2020年 | 85 |
2021年 | 88 |
2022年 | 110 |
2023年(会社予想) | 140 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、コロナショックで業績が落ち込んだ2021年でも増配を継続しており、また直近の増配額は業績好調を背景に大きくなっています。
伊藤忠の配当方針は2023年度までの中期経営計画中は累進配当を継続としており、前期2022年度の下限配当は140円、今期2023年度は140円+αを下限配当としています。
また具体的な数値としては、2023年度までに配当性向30%をコミットメントとの事です。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
伊藤忠 | 8001 | 4534 | 8.2 | 1.39 | 140 | 3.09 | 25.5 |
最近の株価は上場来の高値付近で推移していますが、大幅増配により配当利回りは3%前後の水準です。業績好調によりPERは市場平均より割安で配当性向は25%付近と余裕を感じます。
伊藤忠の直近業績は商品市況上昇や円安の追い風もあり絶好調な状態で、株価も好調な業績やバフェット氏の買い増し報道で上げ幅を加速させています。
そんななか、配当は累進配当導入のもと増配幅が拡大していますが、余裕のある配当性向を含め今後の増配にも期待できそうですので永久に保有したい銘柄です。
株主還元抜群
4つ目の永久保有保有ポイントは株主還元力が抜群の銘柄です。
もちろん高配当株銘柄として注目集める様な銘柄は株主還元力が高い銘柄が多いですし、今まで紹介してきた銘柄も株主還元力は高い銘柄ですが、このパートでは配当方針において通常の銘柄よりも株主還元力が高い2銘柄を見ていきます。
【8591】オリックス
株主還元力抜群最初の銘柄はオリックスです。
オリックスはリース業界の代表的な銘柄ですが、現在はリース業にとどまらず、不動産、金融、事業投資など様々な事業で海外を含む多くの企業と取引しています。
その分コロナショックの影響は大きかったですが、以前と比較して企業規模が大きくなっている事は間違いないです。
配当方針
そんなオリックスの配当方針について、2022年は配当性向33%もしくは年間配当78円のいずれか高い方としており、前期2023年は配当性向33%または前期配当金額(85.6円)の高い方を年間配当にする方針です。
以上の様にオリックスは具体的な金額を下限として設定しつつ、業績の上振れにより配当性向33%の方が高くなる場合は増配の余地も残すなど株主還元力の高さを感じる配当方針です。
配当推移
銘柄名 | オリックス |
2015年 | 36 |
2016年 | 45.75 |
2017年 | 52.25 |
2018年 | 66 |
2019年 | 76 |
2020年 | 76 |
2021年 | 78 |
2022年 | 85.6 |
2023年(会社予想) | 85.6 |
2015年からの配当推移について、たまに据え置きの年はありますが概ね順調に増配傾向です。
コロナショックの影響が出始めた2020年は据え置きとなっていますが、2021年は配当性向を一時的に50%まで引き上げて増配を実施しています。
しかし前期の見込みは現状据え置きの85.6円となっており、第3四半期時点のEPSで配当性向33%を計算すると70円付近となりますので、このままいくと前期は据え置きとなる可能性が高そうです。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
オリックス | 8591 | 2307 | 10.8 | 0.83 | 85.6 | 3.71 | 40.2 |
最近の株価は2000円台前半での動きが続いており、前期配当は据え置きの見込みですが配当利回りは3%後半の水準です。業績も前期は減益見込みとなっていますがPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は40%付近となっています。
オリックスの直近業績は少し微妙ですが、その様な状況でも何とかして増配を行いたい株主還元力を今までの配当推移や配当方針から感じます。
また、オリックスは去年個人投資家から人気を集めていたカタログギフト方式の株主優待を2024年3月末で廃止すると発表しています。
株主優待の廃止自体は残念な事ですが、廃止までの猶予がかなり長めに設定されている事や今後は配当などによる利益還元に集約するとも発表していますので、今後も抜群の株主還元力に期待して永久に保有したい銘柄です。
【8098】稲畑産業
株主還元力抜群2番目の銘柄は稲畑産業です。
稲畑産業は自動車向けの高機能樹脂や生活用品などへの合成樹脂、また水産、農産物を取り扱う食品なども、海外を含め多くの取引先へ販売している化学系の専門商社です。
現在海外18カ国に約60拠点を展開しており、市場開発や製造加工、物流などから、マーケットの専門知識、ノウハウに基づく企画、提案などを行っています。
配当方針
そんな稲畑産業の配当方針は、2024年3月期までの中期経営計画中は累進配当を継続としており、具体的な目安は総還元性向で概ね50%程度としています。
しかし、政策保有株式を売却し相当程度のキャッシュインが発生した事業年度においては、今後の資金需要や会社の財務状況、株価、マーケットの状況などを総合的に勘案し、総還元性向の目安には必ずしも囚われずに、株主還元を実施するとしています。
この様に配当方針では累進配当を宣言していながら、保有株式の売却状況によっては更なる増配の可能性も残す株主還元力の高い配当方針です。
配当推移
銘柄名 | 稲畑産業 |
2015年 | 33 |
2016年 | 36 |
2017年 | 40 |
2018年 | 40 |
2019年 | 48 |
2020年 | 53 |
2021年 | 63 |
2022年 | 110 |
2023年(会社予想) | 115 |
2015年からの配当推移をみていきますが、減配はなく順調に増配が継続しているなか2022年は一気に2倍近い増配幅となっており、前期は更に5円増配の予測になっています。
2022年以降配当が急激に増えている要因は、2021年2月に配当方針を従来の配当性向30%から35%程度を50%程度に引き上げたためです。
配当性向の引き上げに保有株式の売却益まで加わり最近の配当は大幅増配となっています。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
稲畑産業 | 8098 | 2776 | 7.6 | 0.87 | 115 | 4.14 | 31.7 |
最近の株価はじわじわ上昇していますが、大幅増配を受けて配当利回りは4%前半の水準です。業績好調を受けてPER、PBRは市場平均と比較して割安で、配当性向は32%付近と余裕を感じます。
稲畑産業については本業も順調に推移しているなか、保有株式の売却により更なる増配の期待も集まります。
累進配当を宣言している中期経営計画は今期までとなっていますが、保有株式の売却は2027年まで続く点や現状の配当性向にも余裕がありますので、永久に保有したい銘柄です。
将来性が期待できる
最後の永久保有ポイントは将来性が期待できる事です。
10年、20年の長期保有となると世の中の仕組み自体も大きく変わっている可能性があります。その様な時代の変化に上手く対応して企業規模が大きくなれば、当然業績や配当に加え株価も大きく伸びる事も考えられます。
という事で最後のパートでは、今後の時代テーマを踏まえ事業内容に将来性を感じる2銘柄を見ていきます。
【9412】スカパーJSAT
将来性が期待できる最初の銘柄はスカパーJSATです。
スカパーJSATの事業は主に通信衛星によるサービスを基盤としており、日本最大の衛星多チャンネル「スカパー!」などを運営しているメディア事業と衛星を活用した新たな宇宙ビジネスや航空機の機内インターネット無料サービスなどを手掛ける宇宙事業がメイン事業です。
スカパーと聞くとメディア事業の方をメインにしているイメージもあるかと思いますが、直近の決算では利益の8割以上を宇宙事業が生み出している状況です。
株価指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
スカパーJSAT | 9412 | 550 | 10.7 | 0.63 | 20 | 3.64 | 38.8 |
先月末に発表した本決算で年間配当を20円に増配しましたが、決算後に株価も上昇しため配当利回りは3%半ばの水準です。業績は順調に増益が続いている事もありPER、PBRは市場平均と比較して割安で配当性向は39%付近となっています。
スカパーJSATについて直近の業績も順調に推移しており配当性向にも余裕がある事に加え、宇宙事業という将来性が期待できる事業内容にも魅力を感じます。
もちろんすぐに業績が大きく伸びる可能性は高くないかもしれませんが、10年後、20年後を期待して永久に保有したい銘柄です。
【3455】ヘルスケア&メディカル投資法人
将来性が期待できる2番目の銘柄はREITのヘルスケア&メディカル投資法人で介護、医療、健康をキーワードとするヘルスケア施設へ重点投資するREITです。
現在の保有物件は48件で投資先は有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などが8割以上を占め、エリアは三大都市圏(首都圏、近畿圏、中部圏)と中核都市圏で8割以上となっています。
今後の日本社会において少子高齢化は避けては通れない問題だと思いますので、将来性が期待できる銘柄だと思います。
分配金推移
銘柄名 | ヘルスケア&メディカル |
2016年 | 5070 |
2017年 | 5137 |
2018年 | 5352 |
2019年 | 6763 |
2020年 | 6560 |
2021年 | 6452 |
2022年 | 6611 |
2023年(会社予想) | 6822 |
2024年(会社予想) | 3235(半期) |
2016年からの分配金配当推移を見ていきますが、好調な業績を背景に順調に増配傾向が続いています。ここ数年は6000円台で安定していますが、このままのペースで増配が続けば7000円の大台も見えてきそうな感じです。
基準価格指標(2023年5月2日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ヘルスケア | 3455 | 163900 | 27.7 | 1.51 | 6500 | 3.97 | ‐ |
最近の基準価格は下落傾向ですが分配金は安定して増配しているため、利回りは4%前後の水準です。
ヘルスケア&メディカル投資法人は、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などに特化しており、オフィスやマンションなどが主流のREIT銘柄の中では異色の存在です。
しかし、少子高齢化は今後の日本が避けては通れない問題であり、高齢者向け施設や住宅の需要も今後更に高まる事が想定されます。
そのためヘルスケア&メディカル投資法人の将来性にも期待できるかと思いますので、個人的にはまだ保有していないですが、永久に保有したい銘柄です。
まとめ
今回は永久保有したいと思う高配当株を5つのテーマに分け、合計12銘柄の良い部分だけにスポットを当て、購入当初に考えていた永久保有の気持ちを改めて思い起こしました。
通常購入銘柄を選定する時は銘柄の良い部分だけでなく、懸念点やマイナス材料についても考慮する事が大切ですが、たまには今回の様に良い部分だけにスポットを当てても良いかもしれません。
10年、20年単位での付き合いとなる高配当株投資では、これから先も様々な事が起こるかとは思いますが、改めてその銘柄に出会った時の事を思い出し、握力強めでいきたいと思います。
永久に保有したい12銘柄については、YouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。
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