【永久保存版】配当方針を9つのタイプに分けたうえで、優良高配当株の見極め方を徹底解説!!

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銘柄検証

今週は3月期銘柄の本決算発表がピークを迎えていますが、決算内容を見るポイントはいくつもあり、なかなか慣れるまでは難しい部分もあるかと思います。もちろん、業績や配当の前期最終着地や今期見込みをどの様に発表するかが1番の注目点になりますが、個人的には配当方針も重要なチェックポイントにしています。

そもそも配当方針とは、各企業が利益をどの様に株主に還元するかについての方針を示すものですが、特に定義がないため銘柄によってかなり内容に違いがあります。

という事で今回は、配当方針を9つのパターンに分類し、配当方針ごとに代表的な銘柄を見ていく事で、どの配当方針が高配当株に向いているかを検証していきたいと思います。

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配当性向

まずは、配当方針でよく使用される配当性向について説明しておきます。配当性向とは当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに充てるかを示す指標です。

配当性向が25%の場合は、利益の4分の1を配当として出している事になりますし、配当性向が100%を超えている場合は、利益以上の配当を出している事になります。

配当性向の難しいところは、低すぎると今後の増配に余裕がある様にも見えますが、株主還元力が低い銘柄と見られてしまう可能性がありますし、逆に高すぎると株主還元力は高い企業に見えますが、今後の増配余地が少なく減配リスクが高い銘柄と判断される可能性もあります。

この様に配当性向は低すぎても高すぎても良い訳ではありませんので、この辺りは銘柄ごとの状況や最終的には個人の好みにもよると思います。

それでは以上の点を踏まえ、ここからは配当方針のタイプ別に高配当株を検証していきます。

下限設定タイプ

最初の配当方針は下限設定タイプで、配当の下限を明確に示している配当方針です。配当の下限が設定されていると指定されている金額からの減配リスクを考慮しなくても良いため、安心して保有する事ができます。

ただ、下限についてだけ設定されていて増配について触れられていない銘柄の場合は、配当が増えにくい可能性がありますので、実際に下限が設定されている2銘柄を見ていきます。

【5020】ENEOS

下限設定タイプ最初の銘柄はENEOSです。ENEOSは原油を精製し石油製品として販売する石油元売り会社で、ガソリンスタンドとしても馴染みがあるかと思います。

ENEOSの配当方針は2025年度までの中期経営計画中は、安定的な配当継続に考慮し、年間22円を下限としたうえで、総還元性向を3ヵ年累計の在庫影響を除き当期利益の50%以上としています。

以上の様に、ENEOSは現在の水準年間22円を下限として設定しています。

配当推移

銘柄名ENEOS
2015年16
2016年16
2017年16
2018年19
2019年21
2020年22
2021年22
2022年22
2023年22
2024年(会社予想)22

2015年からの配当推移を見ていきますが、2020年からは22円で変わっていないです。ENEOSは現状の配当を下限として設定していますので、配当方針通り22円を維持している状況です。

ただ、同時に自社株買いまで含めた総還元性向は3ヵ年累計の在庫影響を除き当期利益の50%以上としていますので、そろそろ増配も期待したいところですが、ENEOSは来週14日(火)が本決算発表日となっていますので、今期は増配があるのか注目です。

【1928】積水ハウス

下限設定タイプ2番目の銘柄は積水ハウスで、戸建てや賃貸住宅、マンションなど幅広い物件を手掛けているなか、アメリカを中心に海外市場の開拓も進めており、直近の海外売上比率は2割に迫る水準です

積水ハウスの配当方針は、中期的な平均配当性向を40%以上とする従来方針に加え、株主還元の更なる安定性向上を図るべく、一株当たり年間配当金の下限を 110 円としています。

配当推移

銘柄名積水ハウス
2015年50
2016年54
2017年64
2018年77
2019年79
2020年81
2021年84
2022年90
2023年110
2024年123
2025年(会社予想)125

2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配が続いており、前期までで12年連続の増配となっています。また、最近の増配幅は業績好調を受けて大きくなっており、今期も現状は2円の増配見込みとしています。

ただ、現在の配当水準は下限として設定している年間110円を上回る水準で推移しており、110円までの減配は一応可能性として考慮しないといけませんので、この辺りは下限設定値と現在の配当水準を比較検討する事も大切です。

下限設定タイプまとめ

下限設定タイプのまとめですが、ENEOSは設定された下限値で据え置きの配当が続いており、積水ハウスは増配が続いていますが現在の配当は下限値を上回って推移しているため、可能性として下限値までの減配は考慮しないといけない状況です。

この様に、下限設定タイプは下限以下への減配リスクはありませんが、下限値での据え置きが続く場合や増配によって下限値を上回った場合は、下限値までの減配リスクが発生しますので、この辺りは注意が必要です。

二者択一タイプ

2つ目の配当方針は二者択一タイプで、一方では下限を設定しつつ、もう一方では配当性向の目安を示し、どちらか高い方を最終的な配当金額にする配当方針です。

下限が設定されていながら業績次第では大幅増配も期待できますので、配当方針としては理想的に思えますが、実際にはどうなのか具体的な銘柄を見ていきたいと思います。

【8001】伊藤忠

二者択一タイプ最初の銘柄は総合商社の伊藤忠です。伊藤忠は従来から繊維や食品などの非資源部門に強みを持っており、前期最終利益も商品市況下落の影響で減益になる商社が多いなか、5大総合商社で唯一増益着地となっています。

伊藤忠の配当方針は配当性向30%または1株当たり200円のいずれか高い方としています。この様に伊藤忠は、下限を年間200円としたうえで、配当性向30%の方が高い金額になる場合は、そちらを選択できる様にしています。

配当推移

銘柄名伊藤忠
2015年46
2016年50
2017年55
2018年70
2019年83
2020年85
2021年88
2022年110
2023年140
2024年160
2025年(会社予想)200

配当はコロナショックも関係なく増配が続くなか、最近の増配幅は業績好調を背景に大きくなっており、前期は20円の増配、今期も二者択一配当方針のもと年間200円の40円増配見込みで発表しています。

そんななか、現状の配当性向は33%付近となっていますので、今後の業績次第では更なる増額も十分期待できる状況です。

【8591】オリックス

二者択一タイプ2銘柄目はオリックスです。オリックスはリース業界の代表的な銘柄ですが、現在はリース業にとどまらず、不動産、金融、事業投資など様々な事業で海外を含む多くの企業と取引しており、直近の海外売上比率は約25%程度を占めています。

オリックスの配当方針は配当性向39%もしくは前期配当金98.6円のいずれか高い方とします。

配当推移

銘柄名オリックス
2015年36
2016年45.75
2017年52.25
2018年66
2019年76
2020年76
2021年78
2022年85.6
2023年85.6
2024年98.6
2025年(会社予想)98.6

2015年からの配当推移をみていきますが概ね順調に増配傾向です。2023年は減益だった業績の影響で据え置きとなっていますが、前期は本決算で4.6円増額し13円の増配となっています。

今期は現状据え置きの予測にしていますが、最終利益が予測通りに推移した場合の配当性向39%は約133円となりますので、今後の業績次第で今期は現状から30円以上の増額が期待できるかもしれません。

二者択一タイプまとめ

二者択一タイプのまとめですが、一方では下限を設定していながら業績次第では大幅増配の可能性も残していますので、単純に下限だけを設定している銘柄と比較して増配に繋がっている印象です。

もちろん増配する意欲が強いため、この様な配当方針を導入しているのだと思いますので、投資家にとっても素晴らしい配当方針だと思います。

業績連動タイプ

3番目の配当方針は業績連動タイプで、配当が業績に連動する方針の銘柄です。上場企業の配当ですので業績に連動する事は当然と言えば当然なのですが、銘柄によっては業績に関係なく一定の配当を出している場合や目安としている配当性向を大きく上回っていながら配当を出している場合もあります。

しかし、完全に業績と連動して配当を出している銘柄の場合は、業績が良ければ増配となりますが、減益の場合はすぐに減配となりますので、ここからは具体的に2銘柄を見ていきます。

【9104】商船三井

業績連動タイプ最初の銘柄は商船三井で、日本郵船、川崎汽船と並ぶ日本三大海運会社の1つです。商船三井の配当方針は下限を年間150円としたうえで、連結配当性向30%を目安に、業績に連動した配当を行うとしています。

この様に、一応下限配当も設定されていますが、業績に連動した配当としていますので、実際の配当推移を見ていきます。

配当推移

銘柄名商船三井
2015年23.33
2016年16.67
2017年6.67
2018年6.67
2019年15
2020年21.67
2021年50
2022年400
2023年560
2024年220
2025年(会社予想)180

こちらが商船三井の2015年からの配当推移ですが、増減が激しくなっています。2021年までも50円以下の水準ですが乱高下が激しかったなか、2022年はコロナからの経済回復による運賃上昇などの影響で大幅増益となり、配当も前期比8倍の水準へ大きく増えています。

その後も数年前と比較すると高水準を維持していますが、減益とともに減配傾向が続いており、ここ数年の配当性向は目安の30%付近となっています。

この様に下限配当は一応設定されていますが、配当額は業績と連動して大きく上下していますので、中長期運用の高配当株としては落ち着きがない印象です。

【5334】日本特殊陶業

業績連動タイプ2番目の銘柄は日本特殊陶業です。日本特殊陶業は、スパークプラグやセラミック製品を製造するメーカーで、北米や欧州を中心に海外での売上比率は8割を超えるほど国際的な企業です。

日本特殊陶業の配当方針は、株主の皆さまに対する利益還元を経営における最重要施策の一つと位置付け、具体的には配当性向40%を目安に完全業績連動制としています。

配当推移

日本特殊陶業
2015年36
2016年42
2017年42
2018年60
2019年70
2020年70
2021年60
2022年102
2023年166
2024年164
2025年(会社予想)166

2015年からの配当推移について、数年前までは60円から70円の水準で安定していましたが、2022年以降は大きく増配となっています。2022年以降の配当額が大きく増えている要因は、コロナからの経済回復や円安の追い風により大幅増益となったためです。

この様に業績連動タイプの場合、業績が好調を維持している間は配当も高水準を維持できる事が大きなメリットですが、今後減益となった時の減配リスクには注意が必要です。

業績連動タイプまとめ

業績連動タイプのまとめについて、年ごとの業績により配当額も大きく増減するため中長期保有の高配当銘柄としては狙いにくい部分もありますが、業績好調時には高水準な配当が期待できます。

以上の点を踏まえ、今後の業績に期待できそうな銘柄の場合は、ある程度の減配が覚悟できるのならば、ポートフォリオの一部として保有する価値はあるのかと思います。

配当性向100%タイプ

4番目の配当方針は配当性向100%タイプです。配当性向100%という事は利益の全てを配当として還元する事になり、また業績と連動して配当性向100%の数値も上下しますので、ある意味業績連動タイプでもあります。

通常では考えにくい配当性向100%ですが、現在取り入れている銘柄は株主への利益還元を積極的に求める「物言う株主」の影響が大きい印象です。

【5192】三ツ星ベルト

配当性向100%タイプ最初の銘柄は三ツ星ベルトです。三ツ星ベルトは自動車用や産業用のVベルトをメインに製造するゴムメーカーで、欧米やアジアなどへの売上比率は約50%と海外への売上比率も高くなっています。

三ツ星ベルトの配当方針は2023年度までの配当性向を連結配当性向100%としており、現在の配当方針は前期までとなっています。

【5192】三ツ星ベルト配当推移

銘柄名三ツ星ベルト
2015年40
2016年36
2017年44
2018年50
2019年60
2020年54
2021年57
2022年143
2023年250
2024年(会社予想)250

2015年からの配当推移をみていきますが順調に増配傾向です。2016年や2020年は減配となっていますが、これは前期の記念配当などが影響しているため、普通配当で比較すると順調に増配を継続しています。

そんななか、配当性向100%を宣言した2023年と前期は、業績が好調だった事もあり大幅増配となっています。この様に配当性向100%のもと、最近の配当は大きく増えていますが、先ほどお伝えした様に現在の配当方針は前期までとなっていますので、5月14日の本決算で示される新たな配当方針次第で、今期配当は大きく減配となる可能性もありますので注意が必要です。

【7433】伯東

配当性向100%タイプ2番目の銘柄は伯東です。伯東は独立系のエレクトロニクス技術商社で、半導体などの電子部品を取り扱うなか、開発営業にも特色があります。

伯東の配当方針は、株主への利益還元の充実は経営上の重要な施策と位置づけ、 2025年3月期までの中期経営計画期間中は配当と自己株式の取得により総還元性向を100%とする方針です。

以上の様に、伯東は今期まで配当性向100%としていますが、自社株買いまで含めた総還元性向で100%としている点は注意が必要です。

配当推移

銘柄名伯東
2015年40
2016年40
2017年40
2018年46
2019年50
2020年50
2021年60
2022年160
2023年280
2024年280
2025年(会社予想)260

2015年からの配当推移について、数年前までは50円前後の水準で推移していましたが、2022年以降は急激に配当額が増えています。最近の配当が大きく増えている要因は、2021年4月に公表した中期経営計画で総還元性向を100%に引き上げたためで、今期予測は減益見込みで発表した業績と連動して20円の減配予測になっています。

この様に総還元性向100%のもと、最近の配当は高水準で推移していますが、減益による減配や配当方針の見直しによる減配には注意が必要です。

配当性向100%タイプまとめ

配当性向100%タイプのまとめですが、業績連動制の上位互換タイプの印象です。しかし、配当性向100%の場合は余裕が全くありませんので、伯東の様に業績の減益予測がすぐに減配に繋がってしまいます。また、今回検証した2銘柄の様に配当性向100%は期間限定の場合も多いですので、将来の配当方針変更にも注意は必要です。

DOE(株主資本配当率)タイプ

ここまでまとめてきた様に、配当性向を目安にした配当方針の場合は目安の水準に関わらず、業績と連動して配当額も上下してしまう可能性が高いため、最近は株主資本を目安のしたDOEを配当方針に掲げる企業も増えてきています。

という事で、5つ目の配当方針はDOEですが、DOEとは「株主資本配当率」の事で株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。

ちなみに株主資本とは、株主が出資した資本金や利益余剰金などで構成されていますので、最終利益に連動する配当性向と比較して安定感が期待できます。

【1951】エクシオグループ

DOEタイプの銘柄はエクシオグループで、主にNTTグループなど通信事業者向けの電気・通信基盤構築を手掛けている電気通信工事事業者です。

エクシオグループの配当方針は、DOE4%を基準に連続増配により株主還元を充実としています。

配当推移

銘柄名エクシオG
2015年16
2016年19
2017年23
2018年25
2019年35
2020年40
2021年41
2022年48
2023年51
2024年60
2025年(会社予想)62

2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配を継続しており、増配は前期までで12期連続となっています。特に最近の増配幅は業績が安定するなか大きくなっており、今期見込みは2015年と比較すると約4倍の水準です。

エクシオグループはDOE4%を配当の目安にしていますが、同時に「連続増配により株主還元を充実」としており、実際に増配も続いている状況です。

DOE(株主資本配当率)タイプまとめ

DOEタイプのまとめですが、業績と関係なく安定した配当が期待できるという部分では中長期保有の高配当株に向いている配当方針だと思います。ただ、DOEが目安の場合は、業績好調時に増配を期待しにくい可能性もありますので、できればエクシオグループの様にDOEを目安にしていながら、増配についても明記している配当方針が理想的かとは思います。

特に目安なしタイプ

6番目の配当方針は特に目安なしタイプです。特に目安なしタイプは配当性向などの具体的な数値目標を示していない銘柄になります。

具体的な目安がないと今後の配当推移などをイメージする事が難しくはありますが、多少の業績低迷時でも融通が効くため、減配に繋がりにくい可能性もありますので、具体的な銘柄を検証していきます。

【9432】NTT

特に目安なしタイプの銘柄はNTTで通信事業を主体とするNTTグループの持株会社です。NTTの配当方針は株主還元の充実は当社にとって最も重要な経営課題の一つとし、継続的な増配の実施を基本的な考え方としていますが、具体的な配当性向などの目安は示していません。

配当推移

銘柄名NTT
2015年1.8
2016年2.2
2017年2.4
2018年3
2019年3.6
2020年3.8
2021年4.2
2022年4.6
2023年4.8
2024年5.1
2025年(会社予想)5.2

2015年からの配当推移をみていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配傾向です。NTTの直近業績については携帯料金値下げの影響はありましたが、通信部門以外の分野でカバー出来ている状況で順調に増益が続いています。配当方針に具体的な目安はありませんが、順調な業績と連動する様に配当も増配が続いています。

特に目安なしタイプまとめ

特に目安なしタイプのまとめですが、配当性向などの目安を設定していない銘柄は他にもたくさんあると思いますので一概には言えませんが、NTTの様に特に目安はなくても継続して増配を行っている企業はあります。ただ、もちろん継続的な増配のためには安定した業績が必要です。

以上の点を踏まえ、特に目安がない銘柄については過去の配当や業績推移を見ながら投資を検討する事が良いかと思います。

非公表タイプまとめ

7番目は非公表タイプです。これは配当方針ではないのですが、銘柄によっては配当の見込みを本決算では公表せず、ある程度業績の見込みが立った時点で公表するケースがあります。もちろん銘柄によって様々な事情があるかと思いますが、ここでは例年配当見込みを公表していない銘柄を個別に見ていきます。

【8473】SBIホールディングス

非公表タイプの銘柄はSBIホールディングスで、国内最大手の証券会社「SBI証券」を中核に銀行業、暗号資産、ヘルスケアなどの子会社を抱えています。

SBIホールディングスの配当方針は、配当金総額に自己株式取得額を加えた総還元額を当面の間、金融サービス事業において子会社等株式売却益などの特殊要因を除いた税引前利益の30%程度を目安としています。

配当推移

銘柄名SBI
2015年35
2016年45
2017年50
2018年85
2019年100
2020年100
2021年120
2022年150
2023年150
2024年160
2025年(会社予想)

2015年からの配当推移について、たまに据え置きの年はありますが概ね順調に増配している印象です。ただ、前期の年間配当見込みが公表されたのは、今年2月7日に発表した第3四半期決算で、今期見込みも例年通り株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいとして非公表にしています。

もちろん、他の証券会社も同じ様な感じではありますが、なかなか年間の見通しが公表されない点は、やはり投資対象としてはデメリットに感じます。

非公表タイプまとめ

非公表タイプのまとめについて、今回検証したSBIHDは期の終盤に年間の配当額が公表されていますので、もちろん企業としてはきちんと業績を見極めたうえで配当額を公表したいとの想いがあるのでしょうが、投資家目線では年間配当がなかなか公表されない事はもどかしくもあります。

ただ、非公表タイプの銘柄は例年非公表にしているケースが多いですので、その辺りを覚悟のうえで投資できるのであれば、購入を検討できるかと思います。

段階的引き上げタイプ

8番目は段階的引き上げタイプで、言葉通り段階的に配当性向の引き上げを宣言している配当方針です。銘柄によっては具体的な時期や配当性向を示したうえで、数年先までの配当方針を示していますので、具体的な銘柄をみていきます。

【8566】リコーリース

段階的引き上げタイプの銘柄はリコーリースで、複合機やパソコンなどのオフィス関連機器をメインに取り扱っているリコー系のリース会社です。

リコーリースの配当方針は、配当の累進性と業界トップクラスの還元水準を意識し、配当性向は 26年3月期に40%以上、30年3月期に50%を目安としています。この様にリコーリースは、既に6年後の配当性向まで具体的に示しています。

配当推移

銘柄名リコーリース
2015年50
2016年55
2017年60
2018年70
2019年80
2020年90
2021年100
2022年120
2023年145
2024年150
2025年(会社予想)165

2015年からの配当推移を見ていきますが、減配はもちろん据え置きの年すらなく順調に増配が継続しており、前期までで29期連続増配と国内トップクラスの増配記録を継続中です。

ちなみに現状の配当性向は34.6%付近ですので、今後の配当性向引き上げにより更なる増配も期待できる状況です。

段階的引き上げタイプまとめ

この様に段階的引き上げタイプは数年先までの配当性向が具体的に示されているため、継続的な増配も期待できそうな印象です。ただ、配当性向が引き上げられても肝心の業績が低迷傾向だと減配となる可能性もありますので、その辺りは注意が必要です。

累進配当タイプ

最後は累進配当タイプです。累進配当とは減配せず現在の配当水準を維持または増配し続ける配当方針の事です。

つまり、累進配当を宣言している企業に減配リスクはなく、継続的な増配も期待できますので配当方針としては最強ですが、注意点としては期間を区切って累進配当を宣言している企業も多い事や業績悪化などにより累進配当を取りやめて減配する可能性もゼロではないという点です。

それでも累進配当を宣言していない企業と比較して減配のリスクが小さい事は間違いありませんので、銘柄選定の大きなポイントになります。

【8058】三菱商事

累進配当タイプ最初の銘柄は三菱商事です。三菱商事は三菱グループの総合商社で、世界約90の国・地域に広がる拠点と約1700の連結事業会社と協働しながら幅広くビジネスを展開しています。

三菱商事の配当方針は、総還元性向40%程度を目処とするなか、累進配当制度を維持としています。

配当推移

銘柄名三菱商事
2015年23.3
2016年16.6
2017年26.6
2018年36.6
2019年41.6
2020年44
2021年44.6
2022年50
2023年60
2024年70
2025年(会社予想)100

2015年からの配当推移をまとめていますが、累進配当を導入した2016年以降減配はなく順調に増配が続いています。特に最近の増配幅は業績好調を背景に大きくなっており、今期見込みは2015年と比較して4倍以上の水準です。

累進配当制度は減配しない事が大前提ですので、前期と同水準でも大丈夫ですが、据え置きの年すらないところに三菱商事の株主還元力の高さを感じます。

【8316】三井住友FG

累進配当タイプ2銘柄目はメガバンクの三井住友銀行を中核に持つ三井住友FGで、国内の金融グループとして三菱UFJFGに次ぐ存在です。

三井住友FGの配当方針はボトムラインの成長を通じて増配を実現するとしており、配当は累進的で具体的な目安は配当性向40%としています。

配当推移

銘柄名三井住友FG
2015年140
2016年150
2017年150
2018年170
2019年180
2020年190
2021年190
2022年210
2023年240
2024年(会社予想)270

2015年からの配当推移について、累進配当が宣言された2018年以降は順調に増配傾向です。コロナショックで業績が落ち込んだ2021年は配当性向が50%付近まで上昇しましたが据え置きとなっており、最近の増配幅は業績好調を背景に大きくなっています。

ただ、現在の配当性向は目安の39%付近となっており、今期以降も増配継続のためには更なる成長か配当性向の引き上げが必要ですが、三井住友FGならば来週5月15日の本決算で更なる株主還元力を示してくれると信じています。

累進配当タイプまとめ

累進配当タイプのまとめですが、最強の配当方針らしく2銘柄とも順調に増配が継続しています。しかし、先ほどお伝えした様に累進配当銘柄の配当は現状維持でも問題ありませんし、業績低迷により累進配当が取り下げられ減配となる可能性もあります。

という事で累進配当銘柄とはいえ、やはり業績が順調に推移しているかもチェックする事が大切ですが、いずれにしても最近は日本企業の株主還元力向上により累進配当を導入する銘柄が増えていますので、高配当株投資家にとっては有難い限りです。

まとめ

今回は配当方針を9つのタイプに分けたうえで、それぞれ該当する銘柄を検証しました。

冒頭でも触れた様に配当方針は企業の性格がかなり強く出る部分ですので、投資先として検討する場合の重要なポイントになると思います。

どの配当方針が1番良いと決める事は難しいですが、個人的には累進配当や段階的引き上げタイプはもちろんとして、二者択一タイプが割と好みです。

ただ、リスク分散として業種や銘柄を集中せずに投資する様に、配当方針も複数のタイプへ分散して投資する事が高配当株投資では大切かと思いますので、来週からは決算発表も終盤戦になりますが、是非各銘柄の配当方針にも注目してみてください。

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