今回はブログと同時に投稿しているYouTubeのコメント欄で検証をリクエスト頂いた3銘柄の検証をまとめて行いたいと思います。
JT
まず始めはJTです。JTは個人的にも200株保有しており、最近のロシアウクライナ情勢を受けて株価は大きく下げていますので最近の動向について検証をリクエスト頂きました。
JTの現状
JTの現状ですが2月に発表した本決算では海外たばこ事業の好調を背景に業績も回復し、今期配当も年間150円と減配前の水準に戻る予測で発表しました。
ところが2月下旬より始まったロシアのウクライナ侵攻に大きく影響を受けているところです。
JTはウクライナやロシアに工場がある事やロシア周辺での利益が全体の2割近くを占めるとの事で影響を懸念されています。
JTの株価
JTの株価は昨年2月に上場後初の減配を発表し大きく売られましたが、その後は好調な業績を背景の株価も戻しました。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻を受けて株価は大きく下がり、直近では2000円台前半の動きになっています。
ロシア市場における最新情報
JTは3月10日に現在の状況を公表しており、ロシア市場における全ての新規の投資及びマーケティング活動について一時的に停止することに加え、本年上期に予定していたプルーム・エックス最新型の発売延期を発表しています。
ロシア市場における事業環境は、過去に例がない厳しいものとなっており、今後の事業への影響は多岐にわたるものと想定される為、事業環境が大幅に改善しない限り、ロシア市場における製造を一時的に停止する可能性もあるとの事です。
また、ウクライナの工場については、現在製造を含むオペレーションを中止している状況です。
以上の様に影響は間違いなくありますが、今後の動向が不透明な為、JTとしても具体的なものは示せないという事が現状ではないでしょうか。
今後の配当の行方
そしてJTの保有者にとって1番気になる事は配当の行方ではないでしょうか。
JTは現在配当の目安を配当性向75%としており、今期のEPS(1株あたり利益)は約200円の為、75%の150円が年間配当予測になっています。
仮に20%の減益となるとEPS160円、年間配当120円という数字になります。
もちろん今後の状況次第では、ここから更に上下に振れる可能性はありますが、今期のJTについては、ある程度の配当減額は覚悟しないといけない状況となりそうです。
ライオン
続いてはライオンです。ライオンは花王の銘柄検証を投稿した際に同業銘柄として検証リクエストがありました。
ライオンの現状
まずライオンの現状を簡単にまとめていきます。
ライオンは歯磨き、ハンドソープ、医薬品等を手掛ける生活用品メーカーでデンターやクリニカ、バファリンなど馴染みのある商品も多いかと思います。
ライオンの現状はコロナショックで需要が急増したハンドソープなどの反動や原材料価格の上昇もあり業績、株価ともに厳しい状況が続いています。
ライオン直近決算
ライオンは12月決算の為、2月14日に本決算を発表しています。
2021年12月期の最終利益は237億円と前期から61億円の減益ですが、配当は従来予想通りの年間24円です。
今期の予想は、最終利益200億と37億円の減益見込みですが、配当は年間25円の1円増配見込みで発表しています。
業績低迷の要因は、コロナ禍によるハンドソープなどの衛生関連商品反動減や原材料価格の上昇としています。
株価推移
ライオンの株価はコロナショックで1700円台まで売られた後は2800円を超える水準まで値を戻しました。しかしその後は業績低迷の影響もあり再び売られ、最近はコロナショック時の価格を下回る1300円台での動きになっています。
最終利益業績推移(億円)
銘柄名 | ライオン |
2018年12月期 | 256 |
2019年12月期 | 205 |
2020年12月期 | 298 |
2021年12月期 | 237 |
2022年12月期(会社予想) | 200 |
ライオンの2018年からの業績を見ていきますが、2020年をピークに下がっている状況です。2020年はコロナショックによりハンドソープなどの衛生関連商品の売り上げが伸びた事に加え、固定資産(本社土地)譲渡益により業績が伸びています。
2021年はハンドソープなどの反動減があったものの、中国市場の好調、化学品の市況回復により増収ですが、原材料費高騰や前期は固定資産譲渡益があった事で最終利益は減益となっています。
2022年の予測は、原材料価格の上昇や成長投資の増加などが増益要因を上回るとして減益見込みとなっています。
配当推移
銘柄名 | ライオン |
2015年 | 10 |
2016年 | 13 |
2017年 | 17 |
2018年 | 20 |
2019年 | 21 |
2020年 | 23 |
2021年 | 24 |
2022年(会社予想) | 25 |
2015年からの配当推移を見ていきますが順調に増配傾向です。
ライオンの配当方針は、継続的かつ安定的な利益還元を行うことを経営の最重要課題と考え、配当は連結配当性向30%を目安として継続的かつ安定的に実施する方針です。
また、2024年までの今後3年間は毎期の増配を目指すとしています。
株主優待制度
ライオンの株主優待は12月末に100株以上保有している株主に対して、ハミガキやハブラシ等の新製品を中心とした自社製品詰め合わせがもらえます。
ライオンの株価等指標(2022年3月25日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
ライオン | 4912 | 1393 | 20.25 | 1.61 | 25 | 1.79 | 35.5 |
ライオンの株価は右肩下がりで増配を継続していますが、配当利回りは現状1%台です。配当性向は35%台ですので目安としている30%は上回っていますが、そこまで無理をしている水準ではないです。
ライオンの投資判断
以上の事を踏まえライオンの投資判断ですが、企業規模や配当方針は問題なく、十分投資対象になる銘柄だと思います。
しかし、高配当銘柄として考えた場合、現在の配当利回り1%台後半では少し低すぎます。
ライオンは今後の増配も配当方針として明示していますので、今後配当利回りが上昇する可能性は十分ありますが、せめて2%を超える水準までは様子をみたいかなというところです。
という事でライオンについては、今後の業績や配当推移について期待を込めて見守りたいというところです。
三菱ケミカルHD
最後は三菱ケミカルHDです。三菱ケミカルHDは化学専門商社の稲畑産業の動画でリクエストを頂きました。
三菱ケミカルHDの現状
まず三菱ケミカルHDの現状を簡単にまとめていきます。
三菱ケミカルHDは2017年に三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社が合併して発足した総合科学メーカー三菱ケミカルが中核企業の持ち株会社で、その他は田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併して発足した田辺三菱製薬などがあります。
機能商品、素材、ヘルスケアの3分野で事業を展開しており、特に自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに用いられるアクリル樹脂の原料となるMMAの世界シェアは約40%弱と世界一のメーカーです。
また、2021年4月に外国人の新社長が就任し、一部事業の売却も含め事業再編を加速させているところです。
三菱ケミカルHD直近決算
三菱ケミカルHDは2月3日に第3四半期決算を発表しています。
第3四半期時点の最終利益は1221億円と赤字だった前年同期と比較すると大きく改善されており、配当は前期比6円増の年間30円予想です。
2021年は傘下企業の減損処理などで大きな赤字に転落しましたが、今期はMMAや基礎化学品などの市況が上昇し大幅増益となっています。
株価推移
三菱ケミカルHDの株価はコロナショックで600円を割れる水準まで売られましたがその後は順調に値を戻し1000円を超える場面もありました。
直近は高値からは売られ800円台の動きになっています。
通期最終利益推移(億円)
銘柄名 | 三菱ケミカルHD |
2018年3月期 | 2117 |
2019年3月期 | 1695 |
2020年3月期 | 540 |
2021年3月期 | -75 |
2022年3月期(会社予想) | 1920 |
三菱ケミカルHDの2018年からの最終利益推移を検証していきますが、ここ数年は大きく上下しています。
特に2021年は傘下の医薬ベンチャー「ニューロダーム」(イスラエル)が開発を進めているパーキンソン病の治療薬について、収益性の低下に伴う無形資産の減損損失として845億円を計上することに加え、「ルーサイト・インターナショナル」(アメリカ)のボーモント工場の閉鎖に伴う減損損失や構造改革費用を計上した事で赤字に転落しています。
配当推移
銘柄名 | 三菱ケミカルHD |
2015年 | 13 |
2016年 | 15 |
2017年 | 20 |
2018年 | 32 |
2019年 | 40 |
2020年 | 32 |
2021年 | 24 |
2022年(会社予想) | 30 |
2015年からの配当推移を見ていますがここ数年は業績にあわせて上下している感じです。
三菱ケミカルHDの配当方針は、企業価値の向上を通して株主価値の向上を図ることを株主還元の基本方針としており、配当については今後の事業展開の原資である内部留保の充実を考慮しつつ、中期的な利益水準の30%を連結配当性向の目安とし安定的に配当を実施する方針です。
三菱ケミカルHDの株価等指標(2022年3月25日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱ケミカルHD | 4188 | 846.2 | 6.26 | 0.98 | 30 | 3.55 | 22.2 |
三菱ケミカルHDの株価等指標データを見ていきますが、配当利回りは最近の株価下落もあり3%半ばで配当性向は20%前半の水準です。
PERは6倍前後、PBRで0.9倍台と市場平均と比較して割安な水準です。
三菱ケミカルHDの投資判断
以上の点を踏まえ三菱ケミカルHDの投資判断ですが、企業規模や企業内容に問題は無く配当利回りも3%半ばと魅力を感じる水準です。
しかし、企業規模の大きさが2021年の様に突如大きなマイナス要因に繋がってしまう可能性も有りますので注意が必要です。
特に今は去年4月に外国人新社長が就任し、事業再編を加速させているところです。
現在の株価は上にも下にも行きそうな水準ですので、個人的に三菱ケミカルHDについては、もう少し今後の事業再編や業績、株価の推移を見たいかなというところです。
まとめ
今回はYouTubeのコメント欄でリクエスト頂いた銘柄より3銘柄を検証しました。
最近は、私が証券会社で働いていた20年前と比較して株式投資に興味を持つ人が増えている様な気がします。
その要因は、銀行金利の低下や老後の資金問題、ネット証券の普及など様々あるかと思いますが、特にネットで気軽に情報を収集できる様になった事は大きな要因だと思います。
しかし、今の世の中は様々な情報が溢れている為、どれが正しい情報なのか分からなくなる事も多いかと思いますし、そもそも正解が無いのが株式市場です。
従って私の投稿も数多くある情報の1つとして参考程度にして頂ければ幸いです。
リクエスト3銘柄の検証はYouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。
にほんブログ村
コメント