【2023年8月】決算が特に気になった9つの高配当株

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銘柄検証

7月下旬からお盆前にかけては、3月期銘柄の第1四半期決算や12月期銘柄の第2四半期決算を中心に決算発表がピークを迎えました。

3月期銘柄は第1四半期決算だったため、通期見込みの修正など大きな動きはありませんでしたが、前期までの好調な流れを継続している銘柄や前期の反動が出ている銘柄など明暗は分かれている印象でした。

という事で今回は、7月末からお盆前にかけて発表された決算の中から、保有銘柄を中心に特に気になった9銘柄の内容をまとめていきます。

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7月31日(月)

まずは本格的な決算シーズンがスタートした7月31日に決算を発表した銘柄の中から12月期決算のJTと伊藤忠エネクス、SPKの3銘柄を見ていきます。

【2914】JT

7月31日決算発表最初の銘柄はJTです。

JTの直近業績は海外たばこ事業の好調や円安の追い風もあり堅調に推移しており、第1四半期時点の通期進捗率も33%付近と順調なスタートでした。

そんななか、JTは12月決算で今回は第2四半期決算になりますので、業績の上方修正や配当の増額があるのか注目でした。

直近決算

JTは7月31日に第2四半期決算を発表しており、最終利益は2870億円と前年同期比230億円の増益となっています。

業績好調に伴い通期最終利益を4570億円へ170億円上方修正していますが、年間配当は188円で変更ありません。

業績好調の要因は、引き続きたばこ事業におけるプライシング効果(価格設定)や円安の影響としています。

直近決算の感想

決算の感想について、第1四半期までの好調な流れが継続した順調な内容で、配当の増額こそありませんでしたが、通期最終利益を上方修正しています。

そして、上方修正後でも通期進捗率は60%を超えていますので、第3四半期以降の更なる上方修正や配当の増額が期待できそうな印象です。

【8133】伊藤忠エネクス

2番目の銘柄は伊藤忠エネクスです。

伊藤忠エネクスは伊藤忠グループ中核のエネルギー商社で、ガスや石油関連商品を全国のガソリンスタンドや工場、病院、一般家庭へ販売しています。

前期業績はカーライフ部門の石油製品や自動車の販売が好調だった事に加え、産業ビジネス部門の外航船向け重油販売などが堅調に推移した事で過去最高益を記録しています。

しかし、今期は商品市況の下落などを想定し減益見込みとしていましたので、前期比増益でスタートできるのか注目でした。

直近決算

伊藤忠エネクスは7月31日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は51億円と前年同期比7億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

業績好調の要因は、ホームライフ事業ではLPガス輸入価格の下落に伴うマイナス影響がありましたが、自動車ディーラー事業が好調に推移したことやメガソーラー売却による一過性の利益があったためとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、通期業績は減益見込みとしているなか、第1四半期決算は前期比増益となり、通期進捗率も38%付近と好調なスタートになっています。

しかし、大きな要因はメガソーラー売却による一過性要因で、本業は減益のセグメントも多く、通期見込みの上方修正などはありませんでした。

という事で伊藤忠エネクスについては順調なスタートにはなりましたが、第2四半期以降の業績推移に注意は必要です。

【7466】SPK

7月31日本決算発表最後の銘柄はSPKです。

SPKは自動車や産業、建設機械の部品を中心に、現在80か国、350社以上の顧客に高品質な自動車用補修部品などを供給しています。

直近業績は堅調な販売などの影響で増益が続いており、前期は過去最高益を記録しているなか、今期も更に増益の見込みにしていましたので、好調な流れが継続しているのか注目でした。

直近決算

SPKは7月31日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は7億円と前年同期比約3億4000万円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

業績好調の要因は、原材料の高騰や円安による仕入価格の上昇並びに物流費の高騰などが続いていますが、好調な輸出に加え販売価格見直しなどの効果が出ているためとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、前期までの好調な流れが継続し今期も順調なスタートとなっており、通期進捗率も33%付近となっています。

第1四半期決算という事もあり通期業績の上方修正こそありませんでしたが、好調な流れはしばらく続きそうな雰囲気ですので、第2四半期以降の上方修正が期待できそうな印象です。

【8316】三菱UFJFG

続いては、8月1日に決算を発表した三菱UFJFGで、メガバンクの三菱UFJ銀行を中核に持つ国内最大手の金融グループです。

直近業績は順調に増益が続いているなか、前期はMUB(米国地銀ユニオンバンク)の株式譲渡に絡む臨時損失が発生した事で、第3四半期までの通期進捗率は34%付近と悲惨な状況になっていました。

最終的には損失の大部分を特別利益として第4四半期に計上した事で、最終利益は1兆円の大台を超えましたが、前期は減益での着地となっています。

しかし、今期はMUBの問題も片付き通期業績も増益の見込みにしていましたので、順調なスタートを切れるのか注目でした。

直近決算

三菱UFJFGは8月1日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は5583億円と前年同期比4447億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

業績好調の要因は、業務純益の増益や持分法適用会社であるMorgan Stanleyの持分法適用決算期の変更、前期MUB関連損失の反動に加え、円安の影響などとしています。

ちなみにMSの決算期変更については、決算期を従来の1月-12月から4月-3月へ変更したとの事で、変更に伴い今期第1四半期はMSの23年1Q(2023年1月-3月)決算を含む6ヵ月間の損益を取込んでいるとの事です。

直近決算の感想

決算の感想ですが、第1四半期で通期進捗率は43%付近とかなりのロケットスタートとなりました。

しかし、内訳は一過性要因や前期のMUB関連の反動もありますので、額面通りには受け取れない部分もありますが、本業も順調に推移している印象です。

そして今期は、前期とは逆に第4四半期が大きく減益となる可能性がありますので、第3四半期までにどの程度利益を積み上げられるか引き続き注目です。

【8566】リコーリース

続いては8月3日に決算を発表したリコーリースです。

リコーリースは複合機やパソコンなどのオフィス関連機器に加え、医療機器や産業工作機械などのファイナンス・リースも法人向けに融資を行っているリコー系のリース会社です。

直近業績は増益が続いており、前期はリース&ファイナンス事業が伸長した事などで過去最高益を記録しています。

しかし、今期はコロナ関連のレンタル特需による反動減や販管費の増加を見込むため減益見込みとしていましたので、どの様なスタートになるのか注目でした。

直近決算

リコーリースは8月3日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は9億円と前年同期比38億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比大幅減益の要因は、大口債権の早期返済やサービス事業が伸長している事で売上は増収ですが、投資有価証券の評価損を39億円計上するためとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、今まで業績が順調に推移していたリコーリースですが、第1四半期決算は前年同期比で8割減、通期進捗率は6%付近と衝撃的に悪い内容でした。

しかし、要因は先程お伝えした様に投資有価証券の評価損に絡むもので、営業利益の通期進捗率は25%付近と順調に推移しており、通期予測の修正もありませんでした。

以上の点からも第2四半期以降で十分巻き返せるものだと信じてはいますが、少し心配なスタートではあります。

8月4日(金)

8月4日は金曜日という事もあり決算発表も多くなりましたが、保有銘柄の中からは総合商社の伊藤忠、通信会社のソフトバンク、水産メーカーのニッスイを見ていきます。

【8001】伊藤忠

8月4日決算発表最初の銘柄は総合商社の伊藤忠です。

伊藤忠は従来から繊維や食品などの非資源部門に強みを持っていますが、ここ数年の業績は商品市況上昇の影響も加わり好調な状況が続いています。

そんななか、今期業績は商品市況の落ち込みなどを想定して2%程度の減益見込みとしていましたので、前期比増益のスタートが切れるのか注目でした。

直近決算

伊藤忠は8月4日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は2132億円と前年同期比174億円の減益となっていますが、通期最終利益、年間配当見込みに変更はありません。

前期比では減益でしたが、通期進捗率は27%付近と通期見通しの確実な達成に向けた順調なスタートとしています。

順調なスタートとなった要因は、機械部門やファミリーマートでの商品力・販促強化による客数及び客単価の伸⾧に伴う日商増加や店舗減損の改善など非資源分野が堅調に推移したためとの事です。

直近決算の感想

決算の感想について、前期比増益とはなりませんでしたが順調なスタートを切っています。

伊藤忠は先程も触れた様に非資源部門に強みを持っていますので、今後商品市況が下落したタイミングでも他の総合商社と比較して底堅く推移できそうな印象です。

また、伊藤忠は保守的な期初利益計画を踏まえ、期中上方修正時には総還元性向40%を目途とした追加還元を実施としていますので、第2四半期以降の上方修正に期待したいです。

【9434】ソフトバンク

8月4日決算発表2番目の銘柄は、通信会社のソフトバンクです。

直近業績は通信料収入の値下げによる収益減をLINE・ヤフーなど通信部門以外の分野や前期はPayPay子会社化に絡む再測定益でカバーしている状況です。

しかし、今期業績はPayPay子会社化に絡む再測定益の反動を考慮し、大幅減益見込みとしていましたので、持ち直しの動きはあるのか注目でした。

直近決算

ソフトバンクは8月4日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は1467億円と前年同期比196億円の増益となっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期比増益の要因は、スマートフォンの契約数が増えた事などでコンシューマ事業に持ち直しの動きが見られる事やエンタープライズ、メディア・EC事業が引き続き好調なためとしています。

直近決算の感想

決算の感想について、第1四半期の決算は前期比で15%程度の増益、通期進捗率は35%付近と順調なスタートとなりました。

ソフトバンクは今期予測が前期比大幅減益な事に加え、第3四半期以降にはPayPay子会社化に絡む再測定益の反動が待っていますので過度に楽観はできませんが、とりあえずは一安心という内容です。

【1332】ニッスイ

8月4日決算発表3銘柄目はニッスイです。

ニッスイは水産品の加工や物流を手掛ける大手水産メーカーで、家庭用の冷凍食品でも馴染みがあると思います。

直近業績は国内外での販売が堅調に推移している事や国内養殖事業の改善に加え、加工品の販売好調、北米事業の経費削減などのために好調が続いており、前期は過去最高益となっています。

今期も堅調な流れは継続するとして更に増益の見込みにしていますので、好調な状態は続いているのか注目でした。

直近決算

ニッスイは8月4日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は59億円と前年同期比17億円の増益になっていますが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

業績好調の要因は、水産市況の変調で苦戦する魚種がありましたが、養殖事業の改善が進んだ事に加え、値上げが追い付かず苦戦していた食品事業も大きく回復したためとしています。

直近決算の感想

決算の感想ですが、前期までの流れが継続し、前年同期比で約4割増、通期進捗率は27%付近と好調なスタートになっています。

今後については欧米を中心とした景気減速や日本を含めた人件費などのコスト高止まりは懸念材料としていますが、このまま好調な流れはしばらく続きそうな雰囲気です。

実際、停滞が続いていた株価も最近は上昇傾向となっていますので、第2四半期以降の上方修正を含め、今後が楽しみな銘柄です。

【7267】ホンダ

最後は8月9日に決算を発表したホンダです。

ホンダは日本を代表する輸送機器メーカーで、オートバイの販売台数、売上高は世界1位となっており、国内に限らず北米やアジアなど世界各国に製品を販売しています。

前期は減益での着地となりましたが、コロナ以降の業績は二輪車の販売好調や円安などを要因に堅調に推移しています。

今期は従来から取り組んできた商品価値向上に見合う値付けや事業体質の更なる強化に加え、四輪車の生産販売台数増加などにより大きく増益見込みとしていましたので、好調なスタートが切れるのか注目でした。

直近決算

ホンダは8月9日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は3630億円と前年同期比2138億円の増益となりましたが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

業績好調の要因は、従来から強化してきた固定費体質のもと北米を中心とする四輪販売台数の増量効果を最大化し、四輪事業の収益が改善されたためとしています。

また、9月末を基準日とした株式の3分割も発表しました。

直近決算の感想

決算の感想について、大きく増益見込みとしていた通期予想を裏切らない内容で、通期進捗率は50%に迫るほど好調なスタートでした。

第1四半期決算という事もあり通期見通しの上方修正こそありませんでしたが、第2四半期以降に期待が持てる印象です。

そして、同時に発表した株式の3分割を含め、今後が楽しみな銘柄です。

まとめ

今回は保有銘柄を中心に7月末からお盆までに発表された9銘柄の決算を検証しました。

通期見通しの上方修正を発表した銘柄は12月決算のJTのみで、3月期銘柄は第1四半期決算という事もあり、通期見通しを修正した銘柄はありませんでしたが、SPKや三菱UFJFG、ニッスイ、ホンダなど今後の上方修正に期待が持てそうな銘柄も多かった印象です。

8月も折り返しを過ぎましたが、業績好調の要因となっている堅調な商品需要や円安は継続していますので、次回以降の決算にも期待したいです。

直近決算が気になった9銘柄はYouTubeで動画版も投稿していますので、あわせてご覧ください。

【2023年8月】決算が特に気になった9つの高配当株

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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