今回は仮想化ビジネスをはじめとしたITインフラ基盤の構築ビジネスを手掛け、IT総合サービス会社を目指している兼松エレクトロニクスが高配当銘柄として投資可能か検証していきます。
兼松エレクトロニクスとは
それでは本題ですが、まず兼松エレクトロニクスの事業内容を簡単にまとめていきます。
兼松エレクトロニクスは総合商社兼松のグループ会社でITを基盤に企業の情報システムに関する設計・構築、運用サービス及びシステムコンサルティングとITシステム製品、ソフトウェアの販売などを行っています。
設立は1968年と古く、セグメントはITインフラの設計、機器の検証、導入・構築などを行うシステム事業とシステムトラブル時の対応や据付・調整から設置環境の調整・対策・レイアウトなどの導入コンサルを手掛けるサービス・サポート事業がメイン事業です。
国内の大手企業を中心に3000社以上と取引があり、顧客の戦略的ITパートナーを目指しているとの事です。
兼松エレクトロニクスの現状
そんな兼松エレクトロニクスの現状ですが、コロナ禍によるライフスタイルやワークスタイルの変化により企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は一層加速している状況としています。
またリモートワークの拡大により高度化・多様化したサイバー攻撃の急増に伴うセキュリティ対策需要や人手不足を背景に業務効率化や自動化を目的とした戦略的なIT投資は堅調に推移しているとの事です。
兼松エレクトロニクス直近決算
兼松エレクトロニクスは1月に第3四半期決算を発表しており、第3四半期時点の最終利益は51億円と前年同期比で9億円の増益です。
通期最終予測は83億円、年間配当は145円で変更ありません。
業績好調の要因は、コロナ禍によるリモートワーク拡大などのニューノーマルが定着した事でIT投資が堅調に推移している為としています。
株価推移
株価はコロナショック時に2700円台前半まで売られましたが、その後は4500円を超える水準まで値を戻しています。その後はじわじわと値を下げ、今年に入ってからは3000円台後半での動きとなっています。
業績推移
2018年からの最終利益推移と2020年からの第3四半期時点の最終利益を見ていきますが最終利益は順調に増加傾向です。
第3四半期最終利益(億円)
銘柄名 | 兼松エレクトロニクス |
2020年3月期第3四半期 | 45 |
2021年3月期第3四半期 | 42 |
2022年3月期第3四半期 | 51 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 61.6 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 57.5 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 61.4 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 兼松エレクトロニクス |
2018年3月期 | 64 |
2019年3月期 | 67 |
2020年3月期 | 73 |
2021年3月期 | 73 |
2022年3月期(会社予想) | 83 |
2021年3月期はコロナショックによる企業の設備投資抑制などの影響があり前年並みでしたが、2021年以外は順調に増益傾向です。
また第3四半期時点の通期進捗率が60%前半と低めではありますが、ここ数年は同程度の水準ですので、今回も予測通りの決算になるか本決算の数字に注目です。
配当推移
銘柄名 | 兼松エレクトロニクス |
2015年 | 65 |
2016年 | 75 |
2017年 | 90 |
2018年 | 110 |
2019年 | 125 |
2020年 | 135 |
2021年 | 135 |
2022年(会社予想) | 145 |
2015年からの配当推移を見ていきますが、順調に増配傾向が続いています。
配当も業績が前年並みだった2021年は据え置きですが、その2021年以外は増配が続いています。
兼松エレクトロニクスの配当方針は、中長期的な企業成長のための事業基盤の強化に努め、安定的かつ継続的な配当を実現していくことを基本方針としており、具体的な数値としては配当性向50%以上を目安にしています。
株価等指標(2022年4月15日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
兼松エレクトロニクス | 8096 | 3785 | 13.05 | 1.87 | 145 | 3.83 | 49.9 |
兼松エレクトロニクスの配当利回りは増配が続いていますので3%後半の水準で、配当性向は目安の50%付近で推移しています。
PERは13倍、PBRは1.9倍付近とPERは市場平均、PBRについては市場平均よりも割高な数値となっています。
兼松エレクトロニクスの今後
IT市場は「働き方改革」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への取り組みを背景にデジタル投資が拡大しており、そうした企業の戦略的なIT投資に加え生産性向上や効率化・省人化を目的としたシステム投資需要は今後も堅調に推移するとしています。
一方、IT投資への要望は高度化・複雑化が進行しており、またITリソースを「所有」から「利用」へのいわゆるクラウドシフトが加速しつつあり、ビジネス形態の急速な変革への対応が必要ともしています。
重点施策
インフラ構築ビジネスの展開に加え運用サービスの質の向上など、アプリケーション開発以外のビジネス領域を拡充しエンドユーザーへのビジネスをさらに強化し総合的な関係を確立するとしています。
また、技術革新によるICT環境の高度化、複雑化へも柔軟に対応していく方針です。
兼松エレクトロニクスの投資判断
今までの点をもとに兼松エレクトロニクスの投資判断ですが、ITに特化している企業体制や安定している業績、配当など高配当銘柄として十分購入を検討できる銘柄だと思います。
コロナ禍によるリモートワークなどの新しい生活スタイルや企業のDXは、コロナが収束したとしても今後加速していくものだと思いますので、不確かな事が多い現代社会ですがIT業界の未来は明るいと言い切れるかと思います。
この様に将来に期待できる銘柄であり配当も安定して高配当というのは、配当だけでなく将来の値上がり益やポートフォリオ分散の面でも優良な銘柄かと思いますので、個人的にも今後の動向を見ながら株価が下がる場面があれば狙っていきたいと考えています。
兼松エレクトロニクスの銘柄検証はYouTubeで動画版を投稿していますのであわせてご覧下さい。
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