【危険!?】配当性向が高すぎる高配当株2選

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銘柄検証

高配当株を選定するポイントはいくつもありますが、その中でも配当性向は重要な指標の1つです。

配当性向が低い企業は、今後の増配に余力があると見る事もできますが、株主還元力が低いと見られる可能性もあります。

逆に配当性向が高い企業は、今後の減配リスクが高いと言えますが、株主還元力が高いと見る事もできます。

この様に配当性向は同じ数値でも見方が分かれる場合もありますので、今回は直近の配当性向が異常に高い2銘柄が高配当銘柄として投資可能か検証していきます。

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配当性向とは

そもそも配当性向とは当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標です。

配当性向が25%の場合は、利益の4分の1を配当として出している事になりますし、配当性向が100%を超えている場合は、利益以上の配当を出している事になります。

配当性向の目安は各企業の方針もありますので一概には言えませんが、概ね30%から50%くらいが一般的かと思います。

以上の点を踏まえ、ここからは配当性向が異常に高い2銘柄を個別に検証していきます。

【5192】三ツ星ベルトとは

最初の銘柄は三ツ星ベルトです。

三ツ星ベルトは自動車用や産業用のVベルトをメインに製造するゴムメーカーで、建築用の防水材や土木用の遮水材、電子材料なども取り扱っています。

また、欧米やアジアなどへの売上比率は約50%と海外への売上比率も高くなっています。

直近決算

三ツ星ベルトは8月8日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は20億円と前年同期比で約4億円の増益となっており、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

業績好調の要因は、国内の自動車用ベルトは新型コロナウイルス、半導体不足によるユーザの減産影響を受けましたが、搬送ベルトは食品業界の需要回復や物流業界向けの大型倉庫案件や新製品の売上が好調に推移した事に加え、欧米及びその他アジア地域での売上増加や円安の影響の為としています。

通期最終利益(億円)推移

銘柄名三ツ星ベルト
2019年3月期61
2020年3月期54
2021年3月期40
2022年3月期63
2023年3月期(会社予想)63

しかし、前期は半導体不足や原材料価格、物流費高騰の影響を受けつつも、コロナからの経済回復を受けて業績はコロナ前の水準へ戻しています。

2019年からの最終利益を見ていきますが、コロナショックの影響を受けた2021年は大きく減益となっています。

配当推移

銘柄名三ツ星ベルト
2015年40
2016年36
2017年44
2018年50
2019年60
2020年54
2021年57
2022年143
2023年(会社予想)220

2015年からの配当推移をみていきますが順調に増配傾向です。2016年や2020年は減配となっていますが、これは前期の記念配当などが影響しているため、普通配当で比較すると順調に増配を継続しています。

そして、2022年3月期の配当は一気に2倍以上の増配となっており、今期も大幅増配の予測となっています。

配当方針

この様な大幅増配となった要因は、三ツ星ベルトが2023年度までの配当性向を従来の1株当たり54 円以上、連結配当性向35%から連結配当性向100%まで引き上げた事が原因です。

冒頭でも触れましたが配当性向が100%という事は、利益の全てを配当として還元する事になります。

そして三ツ星ベルトが配当性向を急に100%まで引き上げた理由については、株主還元を求める「物言う株主」の影響とされています。

従来の日本企業は、企業間取引の強化や敵対的買収の回避を目的として取引先同士で株式を持ち合っていましたが、バブル崩壊後の株価低迷により株式持ち合いによる資金繰りの悪化や相互の株価下落による業績への悪影響が出始め、株式の持ち合いは解消され始めました。

株式の持ち合い解消により、株主への利益還元を積極的に企業に求める「物言う株主」が増えた事は、日本企業の株主還元力が向上した1つの要因とされています。

株価推移

株価はコロナショックで1104円まで下げた後は、2000円付近まで順調に値を戻しました。そして今年5月の本決算で配当性向100%への引き上げと同時に大幅増配を発表した事で株価は更に大きく上昇し、直近の株価は3000円の大台を超えています。

株価指標(2022年8月26日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
三ツ星ベルト5192322014.51.052206.8399.0

最近の株価は大きく上昇していますが、大幅増配により配当利回りは6%後半と高水準です。

PER、PBRは市場平均並みで配当性向は100%と方針通りです。

三ツ星ベルトの投資判断

今までの内容から三ツ星ベルトの投資判断ですが、コロナショック時など業績を落とす時期もありましたが、直近の業績は回復傾向で、何より配当利回りが6%を超えている点は高配当株として気になる銘柄です。

配当利回りが上昇している要因は、配当性向を100%まで引き上げた事によるものですが、配当性向100%は現状来期までの期間限定となっています。

配当性向が引き上げられた経緯から考えると、2024年度以降大きく減配という事は無さそうな気もしますが、そのまま100%を維持という事も難しい様な気はします。

ちなみに配当性向が引き上げられる前の配当利回りは3%付近で、仮に現在の株価で計算すると配当利回りは1%後半となります。

以上の点を踏まえ、三ツ星ベルトについては気になる銘柄ではありますが、もう少し今後の株価や配当方針を見守りたいといったところです。

【6651】日東工業

2つ目の銘柄は日東工業です。

日東工業は、電設資材のキャビネットや配電盤などを製造する電気機器メーカーです。

先進の機能を有する設備で生産し在庫する即納体制を構築しており、工程を跨いだ一貫生産を行うことで「高品質で標準化」された製品が提供できる点を強みとしています。

また、グループ全体の2割近い700人がシンガポールやタイなどの海外事業に携わるなど、海外にネットワークも保有しています。

直近決算

日東工業は8月8日に第1四半期決算を発表しており、最終利益は約4億円と約7億円の減益ですが、通期最終利益、年間配当予測に変更はありません。

前期大幅減益の要因は、コロナ禍の影響が徐々に緩和され設備投資に持ち直しの動きがみられたことから主力の配・分電盤や電気・情報インフラ関連の売上は増加しましたが、原材料価格高騰の影響を強く受けた為としています。

通期最終利益(億円)推移

銘柄名日東工業
2019年3月期40
2020年3月期80
2021年3月期88
2022年3月期66
2023年3月期(会社予想)67

2019年からの最終利益推移を見ていきますが、2021年に最高益を記録した後は減益傾向となっています。

2021年好業績の要因は、コロナショックの影響は受けつつも第5世代移動通信システム「5G」などの案件獲得により、情報通信関連流通事業の売上が大幅に伸長した為としています。

2022年3月期は前期の反動や原材料価格高騰の影響で減益としており、今期も原材料高騰の影響は残る見込みとしていますが、現状は微増益見込みとしています。

しかし、第1四半期決算の最終利益は通期進捗率の10%にも届いていない状況ですので、今後の下方修正が懸念される内容です。

配当推移

銘柄名日東工業
2015年56
2016年57
2017年50
2018年40
2019年40
2020年60
2021年66
2022年50
2023年(会社予想)177

2015年からの配当推移を見ていきますが、2022年までは50円付近で増減を繰り返している感じでしたが、2023年の年間配当は3倍以上の増配予測になっています。

大幅増配の要因は、2024年3月期までの中期経営計画中はさらなる自己資本の積み増しを抑制し、ROEの向上をはかるため、連結配当性向目標を従来の30%から100%へ引き上げた為です。

しかし、配当性向100%という事は今後業績の下方修正があると年間の配当額も減額してしま可能性が高いですので注意が必要です。

株価推移

株価はコロナショックで1459円まで売られた後に2000円を超える場面もありましたが、その後は業績低迷を背景にコロナショック時付近の株価まで売られました。

しかし、今年5月に発表した本決算で来期までの配当性向100%への引き上げと大幅増配を発表した事で株価は2500円を超える水準まで急上昇しています。

株価指標(2022年8月26日時点)

銘柄コード株価PERPBR配当配当利回り配当性向
日東工業6651256714.50.981776.90100.2

直近の株価は大きく上昇していますが大幅増配により配当利回りは7%付近と高水準です。

PER、PBRは市場平均並みで配当性向は100%と方針通りです。

日東工業の投資判断

今までの点を踏まえ日東工業の投資判断ですが、7%付近の高配当に加え将来性が期待できる企業内容には魅力を感じます。

直近の業績は原材料高騰の影響で減益傾向となっており、特に第1四半期の内容が悪すぎる点は気になるところですが、売上は増収傾向ですので今後の巻き返しに期待したいところです。

しかし、三ツ星ベルト同様、配当性向100%は来期までの期間限定ですので、もう少し今後の業績や配当推移を見守りたいところではあります。

まとめ

今回は配当性向が異常に高い2銘柄を個別に検証しました。

2銘柄とも今期から配当性向を100%へ引き上げており、要因は途中で触れた様に「物言う株主」を意識した株主還元向上によるところが大きそうです。

配当性向100%は普通に考えれば高すぎですが、今回の2銘柄は自己資本が高まり過ぎた事による影響でもありますので、そこまで無理をしている感じはないです。

そして、同様の流れは他の銘柄へも波及していきそうな感じもしますので、今後配当性向を引き上げそうな銘柄についても改めて検証できればと考えています。

配当性向が異常に高い高配当株2銘柄については、YouTubeで動画版も投稿していますのであわせてご覧ください。

【危険!?】配当性向が異常に高い高配当株2選

40代元証券マンの高配当株投資(YouTube編)

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