今回はまもなく始まる3月期銘柄の本決算発表で業績の上方修正が期待できそうな銘柄を個別に検証していきます。現在私が保有している銘柄や購入を検討している銘柄を中心に5銘柄選んでいますので是非最後までご覧ください。
三菱UFJ、三井住友FG(銀行)
まず始めは銀行株から三菱UFJと三井住友FGです。メガバンクは最近の長期金利上昇やコロナショックによる倒産に備えていた貸倒引当金を想定程使用しなくてよかった事などで業績が急回復しています。
三菱UFJと三井住友FGの最近の株価は値動きの激しい展開が続いており、ロシアのウクライナ侵攻を受けて3月上旬に大きく下がる場面がありましたが、日経平均の戻りや3月権利確定へ向けて急速に戻した後、直近は権利落ちで再び株価は下がっている状況です。
直近決算
メガバンクの第3四半期時点の業績をまとめていますが順調に推移しています。
第3四半期時点最終利益(億円)
銘柄名 | 三菱UFJ | 三井住友FG |
2020年3月期第3四半期 | 5874 | 6108 |
2021年3月期第3四半期 | 6070 | 4339 |
2022年3月期第3四半期 | 10703 | 6247 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 111.2 | 86.7 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 78.1 | 84.6 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 101.9 | 93.2 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 三菱UFJ | 三井住友FG |
2018年3月期 | 9896 | 7343 |
2019年3月期 | 8726 | 7266 |
2020年3月期 | 5281 | 7038 |
2021年3月期 | 7770 | 5128 |
2022年3月期(会社予想) | 10500 | 6700 |
三菱UFJは通期最終利益予想1兆500億円に対し第3四半期時点で1兆700億と既に予想を上回っており、三井住友FGも第3四半期時点の通期進捗率は90%を超えています。
第4四半期はコロナ感染拡大やロシアのウクライナ侵攻などが発生しましたが、第3四半期時点の通期進捗率で考えると本決算で更なる上方修正が期待できるかと思います。
銀行株の配当推移
銘柄名 | 三菱UFJ | 三井住友FG |
2015年 | 18 | 140 |
2016年 | 18 | 150 |
2017年 | 18 | 150 |
2018年 | 19 | 170 |
2019年 | 22 | 180 |
2020年 | 25 | 190 |
2021年 | 25 | 190 |
2022年(会社予想) | 28 | 210 |
業績が好調だと気になるのが配当の行方ですが、三菱UFJは第2四半期決算で1円の配当増額を発表しており2021年からは3円増配の年間28円を予定しています。
三井住友FGも第2四半期決算で10円の配当増額を発表し、2021年からは20円増配の年間配当210円を予定しています。
メガバンクは毎年増配を継続していますが、2022年3月期の配当はそれぞれ例年と比較して既に大幅な増配となっている為、本決算で業績の上方修正があったとしても更なる増配の可能性は低そうな気がします。
株価等指標(2022年4月15日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱UFJ | 8306 | 752.1 | 9.0 | 0.54 | 28 | 3.72 | 33.6 |
三井住友FG | 8316 | 3903 | 8.0 | 0.44 | 210 | 5.38 | 42.9 |
メガバンク2銘柄の株価等指標を見ていきます。
現在の配当利回りは三菱UFJで3%半ば、三井住友FGは5%を超えています。
また、配当性向は三菱UFJで30%前半、三井住友FGで40%前半と余裕を感じる水準ですので、本決算では2023年3月期の配当予想にも注目です。
ちなみに本決算は三菱UFJが5月16日、三井住友FGが5月13日を予定しています。
伊藤忠(総合商社)
総合商社からは伊藤忠です。
総合商社の業績は資源価格の上昇を受けて各社とも好調な状態が続いています。
株価はロシアのウクライナ侵攻を受けて売られる場面もありましたが、他の銘柄より早い3月上旬には底を打ち、その後はロシアへの経済制裁を要因とした商品市況上昇の影響もあり急速に値を戻しています。
直近決算
総合商社3社の第3四半期時点の業績を見ていきますが、大手3社(伊藤忠、三菱商事、三井物産)は2月発表の第3四半期決算でいずれも通期最終利益の上方修正を発表しており、各社ともコロナ前の水準を大きく上回る最終利益見込みとなっています。
第3四半期時点最終利益(億円)
銘柄名 | 伊藤忠 | 三菱商事 | 三井物産 |
2020年3月期第3四半期 | 4266 | 3733 | 3350 |
2021年3月期第3四半期 | 3643 | 1691 | 1989 |
2022年3月期第3四半期 | 6788 | 6447 | 6332 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 85.0 | 69.7 | 85.5 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 90.7 | 98.0 | 59.3 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 82.7 | 78.6 | 75.3 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | 伊藤忠 | 三菱商事 | 三井物産 |
2018年3月期 | 4003 | 5601 | 4184 |
2019年3月期 | 5005 | 5907 | 4142 |
2020年3月期 | 5013 | 5353 | 3915 |
2021年3月期 | 4014 | 1725 | 3354 |
2022年3月期(会社予想) | 8200 | 8200 | 8400 |
3社の中でも伊藤忠は通期進捗率が80%を超えており、本決算での更なる上方修正が期待されます。
総合商社の配当
銘柄名 | 伊藤忠 | 三菱商事 | 三井物産 |
2015年 | 46 | 70 | 64 |
2016年 | 50 | 50 | 64 |
2017年 | 55 | 80 | 55 |
2018年 | 70 | 110 | 70 |
2019年 | 83 | 125 | 80 |
2020年 | 85 | 132 | 80 |
2021年 | 88 | 134 | 85 |
2022年(会社予想) | 110 | 142 | 105 |
総合商社3社の配当も順調に増配が続いています。
ただ既に2021年3月期から伊藤忠で22円、三菱商事で8円、三井物産で20円の増配を予定していますので、銀行株同様本決算で業績の上方修正があったとしても更なる増配は厳しいかもしれません。
また伊藤忠は2023年度までの下限配当を発表しており、2022年度は下限を120円としていますので、今期の配当予想も楽しみです。
株価等指標(2022年4月15日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
伊藤忠 | 8001 | 3999 | 7.24 | 1.51 | 110 | 2.75 | 19.7 |
伊藤忠の配当利回りは株価上昇の影響もあり現状2%後半の水準です。
また業績好調ですのでPERは市場平均と比較して割安で配当性向も20%を切る水準となっています。
伊藤忠の本決算は5月10日発表の予定です。
リコーリース(リース)
リース銘柄からはリコーリースです。
リース銘柄もコロナからの需要回復を受けて業績は急回復していましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて航空機需要の低迷などが懸念された事もあり、株価は2月下旬以降大きく売られました。
個人的にもリコーリースは年末から購入候補にしており、なかなか株価も下がらなかったので2月中旬に購入しましたが、購入以降下落が続いています。
直近決算
リコーリースの業績は同じリース銘柄のオリックスや三菱HCキャピタルに金額では劣りますが、複合機やパソコンなどのオフィス関連機器、医療機器などを中心に取り扱っておりコロナ禍の影響もそれ程受けず堅実に推移しています。
第3四半期時点の通期進捗率も90%を超えている為、本決算での上方修正に期待が持てます。
第3四半期最終利益(億円)
銘柄名 | リコーリース |
2020年3月期第3四半期 | 95 |
2021年3月期第3四半期 | 99 |
2022年3月期第3四半期 | 119 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 80.5 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 82.5 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 94.4 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | リコーリース |
2018年3月期 | 113 |
2019年3月期 | 119 |
2020年3月期 | 118 |
2021年3月期 | 120 |
2022年3月期(会社予想) | 126 |
配当推移
銘柄名 | リコーリース |
2015年 | 50 |
2016年 | 55 |
2017年 | 60 |
2018年 | 70 |
2019年 | 80 |
2020年 | 90 |
2021年 | 100 |
2022年(会社予想) | 115 |
リコーリースの配当は1996年の上場以来2021年まで26期連続増配を継続中と株主還元姿勢の高い企業です。
2022年の配当は前期から15円増配の年間115円を予定しており27期連続増配の記録を更新予定です。
毎年堅実に配当を積み上げている印象ですので、業績が上方修正されても2022年の更なる増配は無いかもしれませんが、今期28期連続増配の配当予想は楽しみです。
株価等指標(2022年4月15日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
リコーリース | 8566 | 3395 | 8.31 | 0.51 | 115 | 3.39 | 28.1 |
リコーリースの株価は2月後半より下落が続いている事もあって配当利回りは3%半ばの水準です。
現在の配当性向は20%台ですので今期の28期連続増配にも期待が持てる水準となっています。
リコーリースの本決算は5月10日発表を予定しています。
スカパーJSAT(情報・通信)
最後はスカパーJSATです。
スカパーJSATはつい先日個別の検証動画を投稿したのですが、銘柄の検証をしながら魅力を感じ早速200株購入しました。
スカパーと聞くと有料チャンネルを思い浮かべてしまうと思うのですが、現在は宇宙ビジネスに力を入れており、業績も宇宙ビジネスで稼ぐ割合の方が多くなっています。
一方有料チャンネルを中心としたメディア事業は同業他社の乱立もあり厳しい状態が続いており、実際放送加入者減少にともなう視聴料収入も減少しています。
株価はコロナショック以降500円を超える場面もありましたが、最近は400円台前半の動きとなっています。
直近決算
スカパーJSATの直近決算を見ていきますが、売上は有料チャンネル加入者の減少などで低迷していますが、宇宙事業の好調で最終利益は増益傾向です。
2022年3月期は第3四半期時点で通期進捗率が90%を超えており、本決算での更なる上方修正に期待が持てます。
第3四半期最終利益(億円)
銘柄名 | スカパーJSAT |
2020年3月期第3四半期 | 85 |
2021年3月期第3四半期 | 112 |
2022年3月期第3四半期 | 126 |
2020年3月期通期進捗率(%) | 70.8 |
2021年3月期通期進捗率(%) | 84.2 |
2022年3月期通期進捗率(%) | 96.9 |
通期最終利益(億円)
銘柄名 | スカパーJSAT |
2018年3月期 | 113 |
2019年3月期 | 96 |
2020年3月期 | 120 |
2021年3月期 | 133 |
2022年3月期(会社予想) | 130 |
配当推移
銘柄名 | スカパーJSAT |
2015年 | 12 |
2016年 | 14 |
2017年 | 18 |
2018年 | 18 |
2019年 | 18 |
2020年 | 18 |
2021年 | 18 |
2022年(会社予想) | 18 |
スカパーJSATの配当は、ここ数年18円で安定しています。
配当方針は年間配当16円以上と配当性向30%以上を目安にしており、現状はその水準を上回っていますので、仮に業績が上方修正となっても2022年3月期の配当が増配となる可能性は低そうです。
株価等指標(2022年4月15日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
スカパーJSAT | 9412 | 411 | 9.35 | 0.50 | 18 | 4.38 | 40.1 |
株価は400円台前半で低迷している事もあり、配当利回りは4%半ばの水準で、PERやPBRは市場平均を下回っており現状の配当性向は40%付近です。
スカパーの本決算は4月28日の発表を予定しています。
業績の上方修正が期待できる5銘柄(2022年4月15日時点)
銘柄 | コード | 株価 | PER | PBR | 配当 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱UFJ | 8306 | 752.1 | 9.00 | 0.5 | 28 | 3.72 | 33.6 |
三井住友FG | 8316 | 3903 | 7.98 | 0.44 | 210 | 5.38 | 42.9 |
伊藤忠 | 8001 | 3999 | 7.24 | 1.51 | 110 | 2.75 | 19.7 |
リコーリース | 8566 | 3395 | 8.31 | 0.51 | 115 | 3.39 | 28.1 |
スカパーJSAT | 9412 | 411 | 9.35 | 0.50 | 18 | 4.38 | 40.1 |
今回検証した5銘柄を表にまとめています。
配当利回りは伊藤忠の2%後半から三井住友FGの5%超えまで幅がありますが、今後の増配見込みまで含め5銘柄とも高配当株として魅力を感じる銘柄です。
また第3四半期までのPERやPBRは各銘柄とも市場平均と比較して割安で配当性向も余裕を感じる水準です。
まとめ
今回は4月末から5月に予定されている本決算で業績の上方修正が期待できそうな3月期決算銘柄を個別にまとめました。
第4四半期はコロナ感染拡大やロシアのウクライナ侵攻問題が勃発し、世界中の様々な場面で影響が出始め、そして問題は現在進行形で続いています。
従って今回検証した5銘柄の本決算にも注意が必要ですが、いずれの銘柄も第3四半期までの通期進捗率をみると本決算での上方修正を期待したいところです。
しかし、個別の検証でも触れた様に5銘柄とも仮に上方修正となっても2022年3月期の更なる増配は厳しいかもしれませんので、その分は2023年の配当予想に盛り込まれる事を期待したいと思います。
本決算で業績の上方修正が期待できる高配当株5選はYouTubeで動画版を投稿していますのであわせてご覧ください。
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